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「バイファム」第27話感想

観ながらのメモ書きの量がやけに少なかった。戦闘の分量がいつもより多かったから。戦いながら相手と会話しない以上、こっちはぼけっと見る以外しかたないので。今回は、結果としてロディがつかまってしまう展開なので、戦闘はいつもとは違う意味を持っているとも言える。
ジェイナスはタウトの(周回?)軌道上に突入しつつある。前回(第26話)から数時間か。依然として敵の反応はない。何でないのかは、子どもたちに知るすべはない。ということは「バイファム」の場合は我々にもわからないということだが、例の石のせいなのかどうなのか。
敵の様子を探るため、VRC探査ロケットが射出される。VRCが接近したところで、敵の動きはない。映し出されるタウトの外観。小さい子どもたちもそれに見入る。「ジミー、押すなよ」とはマルロ。いちおうジミーのほうが年上なんだけど……。
遠目にもわかるが、タウトは一部破壊されている。「ぶっこわれてんじゃん」とシャロン。生体反応はないのかと考えるケンツだが、「バーカ」とバーツに一蹴される。外側からではわからないと。それに傷つくケンツ。「バカはないだろ、バカは」青春はデリケートと謝るバーツだが、どっちかというと青春ど真ん中はバーツのほうのような。
それにしても、タウトが沈黙しているのはなぜか。スコットが思いついたのは、先にもう味方が来ている?――そんな馬鹿な。ケンツは、でっかいジェイナス見てびびってる――それもないだろう。それならククトに救援を頼んでいるはずだ。
マルロとルチーナが「おねむの時間」と、クレアに連れられて行ったので、今は夜ということになる。が、2人とも、両親が待っているタウトを目の前にして、ぐずるのはまあしかたない。「おやすみ、マルロ、ルチーナ」と言うスコットに、べえっと舌を出す。
このままではらちがあかない。ケンツはいつものように、「思い切って突入」を提案。シャロンも、にらめっこするにはせっかちな性格なので、ケンツにならう。ロディも、やはり行動派、中に潜入しようと言う。スコットは当然反対するわけだが、バーツは、敵と通信してみようと別の案を出す。結局、折衷案で、敵と通信してみることにして、敵がしかけてきたときのために、バイファムは外に出ることに。ロディだけでなく、バーツに、マキはケンツと乗るのはこりごりなのでパペットファイターで、かわりにカチュアがケンツとトゥランファムに。カチュアもRVの訓練をしていたとは。ブリッジから出るカチュアの腕の振りかたが、いかにも女の子してた。
万一にそなえて、シャロン、フレッド、ジミーは砲座に。ブリッジが手薄なのでスコットはクレアを呼ぶ。それでもあとはペンチしかいないことになる。
こちら側は総勢4機と壮観だ。ニュートロンバズーカのとき以来か(第20話)。敵からの応答はなく、ロディはタウトに接近する。はなっからロディは、外に出てしまえばこっちのものと思っていたのかも。
しかし、ついに(結局)ARVが出てくる。中へ入りたいロディは、カチュアに右の砲塔を黙らせろと頼む。ロディの意図するところは聞こえているのに、カチュアは「わかりました」なんて答えていいんだろうか。ケンツは相変わらずうるさくて、さしものカチュアも辟易。それにトゥランファムがあんまりちょこまか動くのでカチュアは狙いをつけられない。この2人乗りって、RVではあんまりうまいことかないのかも。
スコットは退却の命令をさっきから出しているのだが、敵にはばまれてなかなか帰艦できない。しかも、ロディだけはタウトの中へと飛び込んでしまう。「よーし、いちかばちかだ」って、同じ単独で乗り込むにせよ生身でこっそり潜入ならともかく、あまりに無謀すぎる。
ロディが(バイファムが)スクリーンから消えたため、慌てるスコット。当然だ。「やつなら中だ」とバーツ。ロディは中で敵に挟まれてしまう。スコットはロディに呼びかけ続けるが、中には届かない。クレアは、通信を続けるといい目標よと冷静な意見。フレッドは半泣き。
挟まれたロディ。ようやくポッドの出番(子どもたちが使うという意味で)。これが出てくるのは最後のどたんばだから出番はないほうがいいに決まっているが。ロディはポッドで逃げようとはするものの……。爆風で吹き飛ばされたりしたら、中の人間が死にそうだ。最後はARVにつかまえられて、地面にたたきつけられる。これまた中の人間が死にそう。ロディは銃を持ってポッドからはい出る。RVに乗っている間は、自分が子どもであることを感じずに――そのハンディを持っていることを忘れて――戦えるのだが、生身になってしまえばただの(無茶な)子どもだ。「撃つぞ、本当に撃つぞ」とはつぶやくが、ARVの圧倒的な大きさの前では……。
「兄さんを助けに行くんだ!」と泣きべそをかきながらフレッドはブリッジを飛び出す。が、バーツにおさえられる。フレッドは「なんであのとき、一緒に連れて帰ってくれなかったの」とバーツを責める。スコットは、ローデン大佐に救援を頼もうと思いつく。それでひとまずはフレッドも落ちついたのだが……。
車に乗ってどこかへ連れられていくロディ。銃を構えていたくせに、無傷で捕まるなんて運のいいことだ。通路の下には街並み?が見える。そう言えば、この星は中に重力があるらしい。
「我ガタウト星ヘヨウコソ」
連れて行かれた先では、案の定尋問が待っていた。地球では少年兵を使っているのか、地球軍の規模はどうなのか、などなど。
「僕は兵士じゃない!」
「ソレデハ一体何ナノレスカ?」
「もちろん民間人です」
「みんかんじん? ソノ言葉ハ知リマセーン」
「つまり、戦わない人です」
「戦ワナイ!?フザケルノハタイガイニシナサーイ、真面目ニヤリナサイ!」
デカルチャー! って感じだ。こうはならなかったなあ。そりゃそうだ。
ロディが上述の質問をされても答えようがないのはもっともだが、逆にこちらから質問をしたのはまずかった。明らかにそういう立場にはないのだ。彼がこの星にとらわれているはずの地球人に会いたい一心で言っているのはわかるが。
通訳氏が「ですね」を「レスネ」としか言えないのは、日本人が"r"と"l"を区別できないのと同じく、ククトニアンにも区別できない音があることを示しているのだろうか?
ククトニアンの質問は、例の遺跡に移った。ロディは、それが彼らにとって大事なものであると悟り、慎重な返答を返す。それはいいのだが、ここでまた「これ何に使うものですか?」と質問するのは、向こうの心理を逆なでするだけだ。まだまだ子どもなのか……。
で、通訳氏はやはり怒りだす。「イイ加減にシナサイ! 真面目ニヤリナサイ! サモナイト、オ薬使ワナクテハイケマセン。私ハ、必ズシモイイコトトハ思イマセンガネ」そして、ロディの目の前には薬が出てきて、「イイノレスカ? ソレヲ用イレバ」……、とこの後の音量が急に下げられてしまったが、例の「脳ミソクルクル」で、「モウ二度トモトニハ戻レマセン」
つばを飲み込むロディ。多分、それを飲むと相手の言うとおりに答えてしまうような薬か(判断力を鈍らせる?)、それとも脳から電気的に(?)直接情報を抜き出すさいに必要になるのか……。通訳氏はあきらめ「マタニシマショウ」、「ヨーク考エテミヨウ」と。
一方のジェイナス。ローデン艦隊からの応答はなし。バーツは彼らがやられてしまったのだとあきらめる。
開放型、あるいは空間隔離型とでも言えるククト式の房にロディは入れられた。つまり、だだっ広い空間にたくさんの枝のようなものが突き出していて、その一つ一つが独房になっている。そこに入れられたロディは、何とかしてバイファムに戻らなくては、とにかく俺がなんとかしなければ、ジェイナスやみんなを巻き込んでしまう(もう巻き込んでいると思うが)と脱出を試みるが……。しょせん無理。
と、下から赤ん坊の泣き声。ロディははるか下に向かって呼びかける。その返事は「あなたは地球人か?」……地球の言葉。ロディはうれしさのあまり、下に向かって自分やジェイナスのみんなの名前を伝える。
しかし、下からの答は、ロディもほかの子どもたちも予想だにしないものだった。「悲しいけど、私たちここにいるのはみんなククト人です」――「地球人はいないんですか?」――「そうです」下からの声が言うには、地球からの囚人はだいぶ前にここから移されたと。
床につっぷして泣き叫ぶロディ。下からの声も耳に入らない。「父さんや母さんに会いたい、それだけで暗い星空を渡ってきたのに」、「そんな馬鹿な!、そんな馬鹿な!」ちょっと芝居がかっていて、何となくそぐわない感じ。
原画
大島城次、桑原周枝、横山淳一、小野順之、佐藤久美子

Vd: 1999.11.21, Vd: 1998.4.3