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「バイファム」第28話感想

前回(第27話)のあらすじ。長い。制作スケジュールが逼迫しているのだろうか。子どもたちの作戦は失敗し、ロディはタウトに囚われてしまった。貝のように押し黙っているあの星で、両親たちは、そしてロディはどうしているんだろうか?
タウトの暗い房のロディには、まだあののんきな声が下から「びっくりしましたでしょう」と呼びかけている。前回から30分かそこらしか経過していないようだ。落ちつきは取り戻したものの、ロディは意気消沈している。シーツをかぶるロディは、「少しの質問、OKでしょうか?」という声にも、返事は、考えさせてくれ。
ジェイナスでは、レーガンへの通信が続けられる。すでに第54号。しかし応答はない(だが、レーガンがよほど近くにいるならいざ知らず、向こうに届いて、さらに返事が戻ってくるまでそれなりに時間がかかりそうなものだ)。やっぱり、やられちゃったんじゃないのとマキ。また、ペンチはロディが捕まってしまったんじゃないのかしらと。「そんなことないよ!」とフレッドは叫ぶ。彼は、クレアの差し出すオレンジジュース(?)も受け取らない。
おまけに、ケンツが、早くしないとロディが「処刑されちゃう。敵は血も涙もない連中」だからと言うにおよんで、フレッドはついに泣きながらブリッジを飛び出してしまう。スコットは、ケンツを「君はどうも一言多すぎる」からと、戦闘食を作りに行かせる。この評価は、どちらかというとシャロンにこそふさわしいと思うが、やはり似た者同士なのかも。
そんなこんなのかたわらで、バーツはタウト星を攻撃した場合のシミュレーションを繰り返しているのだが、どうしても勝算はない。
そしてそれらを見つめるカチュアは、ある決意を固めつつあった。宇宙服を着込んだカチュアは、小型艇に乗り込む。実は彼女は前々から小型艇を整備していたようだ。心配するジミーにハッチを開けるよう託し、カチュアは1人ジェイナスを飛び出す。彼女が何か決意するときって、1人でやることが多い気がする。
タウトのロディは、食事の差し入れが入った。地球人にはあわない味らしい。下から赤んぼうの泣き声が聞こえてきて、栄養状態が悪いと知った彼は、自分の分を下に降ろす。シーツを裂いて作ったロープで。しかし、下の連中のよりロディのほうが食事の待遇はいいらしい。
彼がシーツのロープを引き上げると、本物のロープがゆわえられていた。そして、下から人が登ってくる(ロディは、ロープの端をつかんでいたわけでないから、どうやって支えていたのか不明だが)。「こ、こんにちは」と話しかけたその男はジェダと名乗った。あとずさっているロディだが、ともかく自分も名前を言う。ジェダは、自分たちがこの戦争に反対していること、しかしククトの体制がそのような意見を許さないことを語る。「いけないことをいけないと言えない、このこと一番こわいことです」
小型艇に乗っているのがカチュアと知ったジェイナスの一同。ケンツは「カチュアのやつ、裏切ったのか!?」。「違う!」とジミー。「じゃ、なにしにいったのかなー?」とシャロン。「あなたたち、まだカチュアのことそんな風にしか見れないの!?」とクレアが強い調子でたしなめる。ジェイナスから彼女に向かって呼びかけるが彼女は応答しない。が、彼女の(ジェイナスに向けてではない)声が入る。
自分がククトニアンであると言って、タウト星に向かって呼びかけるカチュア。「ククト星人」はないだろ……。身長40m、体重5万4千t?「お願いです、わたしたちのパパやママに会わせてください」と呼びかけ続ける。考えるまでもなく、「わたしたち」と言うカチュアの両親はそこにいないと本人は承知していて、あえて自分は殺してほかの子どもたちのためにそう言っているのだ。しかし、彼女はタウトから出てきたRVに捕まえられる……。
ロディの房の前に兵がやって来た。ジェダは、自分たちがまもなく決起することを伝え、「信じてください。私たちククトニアンにも、あなったたちとの戦いに反対する者がいることを」と言い残して降りていった。(しかし、ジェダは先に捕虜になった地球人とは交渉しなかったんだろうか? それともジェダが来たときにはもう移送されていたのか。)
ロディと同じようにとらえられたカチュアは、同じように尋問を受ける。いきなり「聞イテルノデスカ?」と聞かれるあたり、カチュアの風貌、物腰にはやはり一種独特のものがあるのだろうか。彼女は、自分の生い立ちはとりあえず語ったが、その次には、地球人の捕虜に会わせろと懇願する。しかしその答は冷たいものだった。負ければ(捕虜になって)会えると。そして「モウスグアナタノぼーいふれんど来マス。話ハソレカラユックリ聞キマス」ということで連れてこられたのは、もちろんロディ。
あれ? 「ヨーク寝レ(ら抜き)マシタカ?」と通訳氏がロディに聞いたからにはそれくらいの時間は経過したのか? にしては、ロディがククトの食事を見たのはさっきが初めてのようだけど。ロディは、カチュアを見て(当然ながら)おどろく。しかし2人に勝手にしゃべらせたりはしない。「オシャベリハイケマセン。オ座リナサイ。(……)2人トモ聞イテルンデスカ!?」
「話すことはありません」と反抗的なロディに「ソーイウ言イカタ、誰ニ教ワリマシタ? 愛スルぱぱサン、ソレトモはいすくーるノてぃーちゃー? 私ハ甘イトイウコト、トテモイケナイコトト思イマス」と恐い顔で言って、通訳氏は彼を殴りつける。それにしても、謎なのは、時々英語が入るのは何を意味しているんだろう? 複数の言語がちゃんぽんになっているということなのだろうか?
カチュアがロディを起こしたその時、異変が起きた。爆発音。ジェダたちだ。「アナタタチハココニジットシテイナサイ!」と言って通訳氏をはじめ慌ただしく出ていくが、おとなしくしているはずもない。見張りの兵士に、もよおしてきたことを訴えるふりをして、ロディはとびかかる(カチュアの前で恥ずかしく…なんて考える余裕はないか)。が、さすがに組み敷かれてしまう。カチュアは銃を取るように言われるが挙動が遅い。しかしともかくも拾い上げたカチュアが叫んだ言葉は「お願い、やめて!」。ケンツあたりとは大違い。
このあたりからちょっと絵のレベルが低い。今回はスタジオライブ担当なのだが。どうやら、まだ駆け出しの山内則康がやったんじゃないかと思うが、もうちょっと何とかならないものか。せっかくのカチュアだというのに。
部屋を出て、ロディはようやくカチュアに尋ねる、「独りで来たのか!?」――「ええ、でも駄目だったみたい」爆発があちこちで起きる中、ロディはカチュアの手を引いて逃げる。煙にむせるカチュアにヘルメットをかぶせるが(この辺の絵が……)、今度は自分がせきこむ。ハンカチを差し出すカチュア。
タウト内の爆発は、ジェイナスからもわかるほどだった。「捕まっている人たちが反乱を起こしたんだ!」とケンツが叫ぶ。マキは「気が早いんだよ」と言うが、実際、爆発物によって起こされたものと確認され、今度ばかりはケンツが正しい。
ここで、何とスコットまでバイファムで出撃すると言う。ロディのいなくなった穴を埋めるつもりなのか(カチュアもいないし)。フレッドも行くと主張するのだが、今度もジェイナスに残らされる。スコットが乗るのは黄色いバイファム。ケンツが「????用」と言っていたが、聞き取れず。
ようやく(運がいいとも言えるが)、ロディたちはバイファムと小型艇を発見する。が、そこでカチュアの背中に銃が突きつけられる。ロディは銃を降ろし、それは背後の兵に蹴り飛ばされる。その銃が(そこが無重力なので)ふわふわ浮くのを見たロディは、兵につかみかかり、彼を無重力の空間に突き落と(?)す。残った2人の銃弾から(小型艇にだいぶ当たっていたみたいなんだけど……)逃げたロディは、天井から下がるフック(鉤)のついたワイヤーにつかまり、兵士めがけてとびかかる。1人をフックで吹っ飛ばし、残る1人は銃の台座で頭を殴ってどうやらバイファムに乗り込むのだが、今度はARVが……。ガッシュの斧に銃を切られて万事休すかというところで、ジェダたちがARVを奪ってバイファムを助けた。
ちょうどタウトに侵入したバーツは(彼も、いちいちうるさいケンツに、不慣れなスコットでご苦労なことだ)、(ジェダたちの)ARVに囲まれるバイファムを見て、どうしようかと迷う。が、スコットは「迷っているひまはない。僕に続け!」と真っ先に飛び込んでいく。「えっ?」とおどろくバーツも続くのだが……。この勢いじゃジェダたちはやられかねなかったが、無事でよかった。
スコットたちはタウトを引き上げ、ジェイナスにみんな無事であると伝える。艦長代理はクレア。フレッドの「ヤッホー!!」がかん高くて耳が痛い。
しかしその喜びもつかの間、両親がタウトにはいないことを知らされる。「くそったれめ、やっとここまで来たっつうのに」「あたち、泣いちゃいそう」「泣いちゃだめだよ。ぼくだって、ぼくだって泣いちゃう…」
ロディは「また振り出しに戻ってしまった。でも会えるさ、絶対に」。
原画
芦田豊雄、松下浩美、山内則康、西島克彦、わたなべひろし

Vd: 1999.11.28, Vd: 1998.4.9