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「バイファム」第3話感想

食堂では乗員全員によるミーティングが開かれている。軍属の乗組員は既に8人しかいない。それではあまりに不十分だ。そこでここにいる全員の民間人の協力を得たいと。具体的には「素人にもできる」砲手をつとめてもらう。何人必要なのかと尋ねていたおばさんの声は野沢雅子っぽい(ディグレーみたいだと思った)。できれば全員という要請にこたえ、全員参加を表明、レクチャーのため会議室へ移る。兵士の去り際、ケンツが自分も志願したいとせがむ。「自分はカノン砲を撃ったケイゲン(経験)がある」ケンツだが、兵隊たちには相手にされない。「言いつけてやっからなー」って、もしかしてケンツの親父はかなり偉いのだろうか。ケンツのミリタリーっぽい格好は今時はあまり不自然ではないが、放映当時はかなり芝居衣装ぽかったはずだ。クレーク、ケイトはブリッジ要員に回され、中尉とともにそっちへ。
子どもたちは食堂に残って食事をとっている。ケンツは、マルロにカノン砲を撃ったときの自慢話をしている。マルロくらいのときに撃ったらしいが、撃ったときの反動がすごくて、大人でもぶっ飛ぶんなら、実際のところ、ケンツが撃ったときもどっかに頭をぶつけて泣き出すようなオチだったりして。それを聞いていたロディの感想は「あいつ、おかしな奴だな」が、フレッドに「兄さんだって前はかなりおかしかった」と突っ込まれる(ここのフレッドの顔立ちが何とも言えず幼い)。その理由は、「猫のシッポをひっぱればサイレンだ」なんてやってたから。それを聞かれてペンチに笑われ、マキにも「猫をいじめる奴はサイテーだね」と。
早くも料理番になっているクレアは、ルチーナの分を用意しているが、シャロンも早くしろとせっつく。もう食べ終わったマキ(「サイテー」は食べる前のセリフ)いわく、シャロンのはニンジン、タマネギ、ピーマン抜きの特別メニューだから時間がかかるのだと。ついでに肉も抜いちゃえばと皮肉を言われていた。スコットの食事もできたが、彼は一人沈んでいる。両親が無事かどうしても気になるのだ。クレアは無事だと信じている、「そうでも思わなきゃ、こんなところでじっとしてられない」と励ますが、表情は晴れない。
と、何やらケンカが。ケンツが、自分がカノン砲を撃った経験を吹聴するから、マキが信じられないと言い出したのだ。テーブルに乗るケンツ、行儀悪いぞ。そうでもしなきゃ身長差がありすぎるけど、そうしたところで勝てっこない。ロディが止めるが、きかない。シャロンはかえって二人をあおる。スコットも仲裁に入るが、マキに「何よ、おたく」……「おたく」だって、ひどい。そういう意味じゃないんだけど、うむむむ。ケンツの矛先は今度はスコットに向く。一番大きいくせに志願もしなかった奴が何を言うんだと。スコットは黙ってしまう。
ブリッジでは、ベルウィック第2ステーションとの交信を試みていたが、どうにもつながらない。中尉は、今度敵が総力をあげて攻めてきたら、「その時は覚悟してもらう必要があります」と言うし、見通しは芳しくない。と、計ったように敵の接近をキャッチ、にわかに緊張する。しかしそんなことは知らない食堂ではまだケンカが続く。シャロンは今度は傍観者を決め込んでいる。「何か悪いモンでも食ったんだろ」って、そりゃあない。ケンツになおも迫られて、ついにスコットは戦闘部署に配置してもらおうと食堂を出かける。「そうこなくっちゃ」のマキ、心配するクレア。そこへいよいよ警報が。
砲座もスタンバイ。少なくともジェイナスには16番まで砲座があるようだ。まだこの頃は砲座のスケールが中盤以後より小さい。元軍人のじいさんがはやって発砲。収束率が悪すぎると毒づくが勝手に撃ったのを怒られる。スコットはブリッジで中尉に志願する。中尉は、残っている全員で攻撃をかけ、足りないブリッジ要員は子どもたちでまかなうことを決める。出撃するのはRV6機(バイファム2、ネオファム4)、パペットファイター2機。クレークはそれは無茶だと反対するが、中尉は敵の戦力に相当危機感を抱いているらしく、押し切る。ロディ、マキ、フレッドがブリッジに回される。マキは3歳の時からコンピュータを習い始めていて、相当できるようだ。フレッドは相変わらず「おしっこ」。
敵は5機で、こっちは8機なのだからそれほど不利とも思えないが、現実には大苦戦だ。「4番砲座、右上25度から敵接近」「どこよ、見えないわ」「そんなはずないよ、おばさん。よく見て!」――マキの叫びもむなしく砲座は次々とつぶされていく。ジェイナスの各部も被弾して、残った人々もまきこまれていく(本当はこの描写は変だが)。泣き叫ぶルチーナと、その後を追うクレアたちがブリッジへ来てしまう。さっき円周通路も爆風にやられていたのだから、一歩間違えればかなり危ない。クレアたちはすぐ引き上げかけるが、スコットの悲痛な叫びが。「人員減少率が1.2」で、30分後には全滅だと。クレークもコンピュータに生存確率を問うが、答は「0.29%」。さらに敵の母艦が。この時点で中尉を含めてバイファム2機、ネオファム1機しか残っていない。ついに中尉は最後の手段に訴える。「よし、奇跡を見せてやろう」残ったバイファム1機、ネオファム1機をジェイナスに帰してしまう。そして被弾しながらもひるまずXU23aへと突っ込んでいく。フラッシュバックで映る休暇の時の景色……。
沈むブリッジ。ケイトは、0.29%がこういうことだったとは「思いもよりませんでしたわ」ともらすが、クレークは「所詮コンピュータのはじき出した確率だ。人間の決意など算出できるものではないだろう」と。
生き残りは既にブリッジにいる人間だけ。子どもたちがブリッジに来たのは幸運だった。他の船からの入電があり、お互いの状況を知らせあう。向こうの艦長はクレアの父だ。その船にはスコットの父親もいるらしい。しかし、向こうで敵の攻撃が始まり、交信は途絶えてしまう。
この回以後、視聴者にとっては2ヶ月はバイファムが活躍しないことになる。次に画面に出てくる第12話でやっとロディが操縦する。
原画
吐内孝行、平田智浩、藤川大、富田悦子、青木康道、岩永しのぶ

Vd: 1999.3.3, Vd: 1997.10.17