当面の目的地であるベルウィックが眼前に迫ってきた。あの絵で見る限り、とても海があるようには見えない惑星だ。もうすぐ両親に会える期待に喜ぶ子どもたち。「そうよ、もうすぐ会えるのよ」……この先何度この言葉が口にされるだろうか。しかし今は、心なしかベルウィックは荒れているように見える。シャロンは敵にやられたのかと、さらっと口にする。ベルウィックには二個師団(個でいいんだっけ…)が守っているからそんなことはないと、ケンツは反論するが……。ケイトは首都のアゾレックは今見えている反対側に位置するのだと言う。しかしかなりの子どもがこの星の出身と思われるし、ペンチなどついこの間ここからクレアドに移ったばかりのはずなのに、「戻ってきた」という感慨がまるで見られない。
第2ステーション(Orbital 2)が近づいてきて、ブリッジを手伝われている以外の子どもたちは邪魔にならないようキッチン・ルームへ。しかしステーションは相変わらず応答がない。ところでこのステーションのナンバーは衛星軌道を内側からつけていった数字らしい。つまり内側から2番目の軌道上のステーションということだ。さて、今や軍人は2人を残すのみのブリッジだが、スコット、ロディ、マキも何とか作業をこなしている。スコットは「単位を間違えないように」とケイトに注意されている。ロディは、"Orbital Maneuvering System"は「長い報告は命取り」だから"OMS"でいいと、クレークにアドバイスされる。また、軍人氏に「ぼうや」と呼ばれて、「やめてください、そういう呼び方」(名前で呼んでほしい)ときっぱりしたところを見せる。
ステーションには順調に近づいているものの、向こうから反応がない。それどころか、当のステーションから救難信号が入った。念のため砲座を出し(ブリッジから遠隔で操作するらしい)、ピーピングトムを使って偵察する。それが何なのか知らないフレッドに、ケンツは得意になって知識を披露するが、それが何を意味するのかは言ってしまった後になって気づく。「決まってんだろ、敵がいるか……敵ぃ!?」ステーションは手ひどくやられている。壊滅状態だ。しかし救難信号が出ている以上生存者がいるのかもしれない。軍人氏の一人と、クレークが直接ステーションを探りに出る。それを食堂の窓から眺める子どもたち。ケンツは、二人の援護は俺がしてやるのだとこっそり勝手に砲座へ回る。
ステーション内は、BGMをわざと使わずに二人の呼吸音(?)で間を持たせている。「2001年宇宙の旅」でも似たことをやっていた。中は生存者がいるような状態ではない。救難信号を出しているのも、かろうじて生きているコンピュータだった。しかしそれもパワーサプライが尽きた。今度は扉の向こうに熱源が。温度は36.2度。人の体温だが、そこにいるのは生存者なのか、それとも、もしや異星人なのか……。扉は中からロックされていて、うかつに開けることができない。試しに扉を大きく叩いてみるが、応答はない。その時、二人が取り除いた瓦礫がそのまま外へ出ていった。その動きを敵と早とちりしたケンツは、ビームをぶっ放す。反動でシートから落ちるし、当然大喝される。ステーションは衝撃に包まれるが、中の二人はどうやら無事。しかも、ショックにより扉が開いていた。クレークが危惧した中に空気が残っていて……という可能性は結果オーライに。そこには救命カプセルが漂い、その中には子どもが2人。
キッチンでは、ペンチがケンツのケガを手当している。本人には名誉の負傷か。確かに鉄板だったが狙いは正確だった、照準器がうんたら、とかぶつくさ言っている。他の子どもたちはカプセルから助け出された二人の子どもを待っている。「かわいい子だったらいいなぁ」とマルロ。「ナマ言っちゃってえ」ってそれがナマなんだよ、とルチーナに突っ込んでしまった。シャロンは「オシッコ」へ。ちょうど彼女が出て行くところに、マキにともなわれて、その二人が(マキの帽子に名前が入っていない…)。カチュアとジミーだ。クレアが握手で迎える。いきなり「敵の規模は?」、「少しはやっつけたんだろうな?」などとうるさいケンツ。クレアがたしなめる。ペンチとフレッドは二人のためにホット・ミルクと「ちょっといける」クッキーをテーブルに並べる。席を譲ったケンツはカチュアに、ありがとうと言われて赤くなる。ここでケンツはカチュアが怪しいとなんとなく勘づいたようなそぶりを見せたと思っていたが、記憶違いか。
そろそろ人心地着いただろう二人に、クレアが「よかったら、どういう状況だったのか話してくれない?」と。ぽつぽつと話すカチュアだが、急に戦闘が始まり、気がついたら救命ボートの中に乗せられていたのだと、相当混乱していたようだ。それに「まさに電撃的な攻撃ってわけだな」と、またも血の気の多い突っ込みを入れるケンツ。言った後で勝手に照れくさくなり、部屋から出ようとしてすっころぶ。それを見ているシャロンのにこっとした顔がかわいい。
緊張がまた始めるブリッジ。地上との連絡まで途絶えた。嫌な予感がクルーを包む。突然交信が途切れたのが、あまりに感触が悪い。特にスコットは、最悪の事態を口に出してしまう。ともかく、ドックにジェイナスを入れた後、軍人2人がジェイナス搭載の小型艇で地上へと降下していく。この小型艇は翼があるだけあって、大気圏突入までできるのだ。が、ザンビア・シティ(?、と聞こえた)が見えてきたあたりで小型艇まで音信不通に。
いよいよ状況は抜き差しならない。ステーションには、シャトルが1台残っている。20人乗りだ。クレークはそれで全員ベルウィックへ降りることにする。クレークの言うようにかなり危険だと思うのだが……。シャロンは軽口を叩いているが、さっき「こうなったら本土決戦だ!!」と勇ましく叫んでいたケンツは、今はふるえている(しかしシャトルには走って行った…)。博士とケイトは「例のサンプル」、つまり遺跡はジェイナスへ置いておくことにする。
シャトルは無事にアゾレック基地に着陸する。基地(と町)は無惨な有様だ。おまけに向こうで爆音が。クレークがこっそりうかがうと、RV同士の戦闘中だ。ARV2機とディルファム。当然ディルファムの形勢が不利だ。挟まれて絶体絶命。のところへもう1機のディルファムが。しかし挟まれたディルファムは結局やられる(運がない)。敵を撃退したディルファムに駆け寄る子どもたちだが、この機体、左足の関節がいかれていて、バランスを崩して倒れてしまう。ケンツが下敷きにならなかったのは幸運だ。
しかも、中から出てきたのは、少年だ。兵隊さんじゃないのか、とがっかりするケンツに、彼は答える。「援軍かと思ったら、幼稚園の遠足とはな」彼の話によると、アゾレックも混乱していて、何がどうなったのかさっぱり分からない。とにかく首都は全滅、「今のところ」彼がただ一人の生存者だ。ということは、子どもたちの親も……と沈むケイト(それをロディたちの前で口にするなって)。しかし子どもたちはとりあえず元気一杯だ。ケンツにパーティーに参加しろとせかされる年長組。ロディは、ベルウィックの少年に声をかける。「君も来いよ、俺はロディ」「ありがとう。俺、バーツってんだ」こうして13人が揃う。夕暮れの廃墟にホタルが舞い始めた……。
クレアドからベルウィックまで72時間(第2話)。戦闘があったから実際にはもっとかかっているはずだが、ベルウィックはクレアドと同時攻撃されたのか、それともバーツが戦っていたところをみると、ついさっき攻撃されたのだろうか? しかし、そのわりには第2ステーションは、破壊されてからかなり時間が経過しているように思える。
- 原画
- 富沢雄三、横山健次