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「バイファム」第32話感想

ククトの夜明け。前回(第31話)の翌朝。焚き火のそば、カチュアは毛布を縫っている。ロディとケンツは、調子の悪いトゥランファムのスリングパニアの整備。ケンツは2人乗りで大食らいのトゥランファムの燃料の心配をしている。本当にジェイナスにたどり着けるかそろそろ不安になってきたケンツを、意外と心配性だなとロディはからかう。
実は当時観たアニメは、観ていたことは覚えていてもほとんど内容は覚えていない。「ダイオージャ」「ザブングル」「ダンバイン」がそれぞれ1話記憶。「モスピーダ」も1話、ただしタイトル(番組自体の)は忘れ。…といった具合だ。「ガンダム」「ルパン三世」など再放送を何回も観たのは別。ちなみに「モスピーダ」は観ていて「マクロス」は観ていなかった(放映時間のせいだろうけど)。変な奴だ。ただし当時はモスピーダよりレギオスが好きだった。「バイファム」もまるで覚えていないのだが、今回、トゥランファムのスリング・パニアーの整備場面だけは、何故か覚えていることに気づいた。どうやらペンみたいなのを使っているのに好奇心を抱いたらしい。やはり変な奴である。
空を見上げたロディは、朝焼けに天気が崩れそうだとつぶやく。ここでタイトル。「雨上がりの再会」――これではわかってしまうではないか。今回の題としてはふさわしいけれど、しかし……。スポーツの試合結果を、NHKのニュースははじめにどうなったか言って、その過程を解説するが、民放は「さあどうなったんでしょうか」と言って解説し、結果は最後にわかる。視聴者をひきつけるのはどうしても後者になってしまうと思う。
朝食は缶詰をバーナーで温めている。スプーンはないかと聞くケンツ。カチュアはロディの包帯が汚れているのを見て、かいがいしく包帯を外し、消毒薬をつけようとする。無視されているケンツ。ロディが後ずさったので、カチュアは「しみないわよ、弱虫ね」。でも、ロディが自分でやると言ったのは本当にしみるのがいやだったからだろうか? ケンツは自分でスプーンを取りに行っていた。
カチュアが毛布を縫っていたのは、ポンチョにするためだった。ただ真ん中に穴を開けただけではなく、背が低くてひきずってしまうケンツのために、腰の紐を締めるとたくしあげられるようにしてある。
雨雲の中を2機のRVが飛ぶ。トゥランファムはまだ調子が戻らない。また交代するために降りようか、というところで町らしき建物を発見してともかくも着陸する。町なのかどうかわからないが、どちらにせよかつてはそうだったものだ。今は廃墟。3人は建物の1つに入る。「なんでしょう? ここ」内部はなんだかよくわからない色々なものが陳列してある。ロディがはたと気づく。「きっとここは博物館だ」ロディとカチュアはある部屋で太陽系の模型を見つける。しばらくそれに見とれていた2人だが、ロディはまた驚くべきことに気づかされる。つまり、ククトニアンは地球を知っていたのだ。それもずっと昔から。
1人、別の部屋を調べるケンツはかすかな物音に身構える。彼は飛び出したコウモリ(?)に仰天して銃を乱射してしまう。そのはずみで鎮座していた巨大な球体が台座から転げ落ち、ケンツに襲いかかる。逃げるケンツ。わりとありがちな演出だが、どうせならついでにケンツが、のしイカのようになってほしかった(ウソ)。騒ぎを聞きつけた2人はその光景に一瞬ぽかんとする。ケンツはそのまま建物の外に飛び出す。球は建物のわきの沼に落ち、ケンツは何とか助かる。
けがの功名か、ケンツはジェイナスのアンテナを発見。「まさかこの下にジェイナスが沈んでんじゃないだろうな」とろくでもないことを口にする。「まさか。馬鹿なことを言うな」しかしケンツは調べるために、枝を水面に張り出した木に登る。そして落ちる(さっきからあまりにパターン)。ケンツは泳げない。が、足が底についた(これも)。が、今度は足が抜けない。「まさか! ここは底なし沼!?」(これも…) カチュアは冷静に、「立ってちゃだめ! 横になるのよ!」つまり、圧力の問題か。ロディはバイファムからワイヤーを撃ち出す銃を取ってくる。それで、さっきの沼に張り出した枝にワイヤーを張り、それを伝ってケンツの近くまで行ってロープを垂らす。何とかそれにつかまったケンツは無事に固い地面に引き上げられた。
しかしケンツは今度はむこうの空から敵影が迫ってくるのを発見。敵はギブルを乗せたフロートタンクとデュラッヘ。「いたぞ」とほくそ笑む金髪軍人氏。
ロディは自分が敵をひきつける間にトゥランファムは逃げろと言っていたのだが、結局2機とも廃墟の中に息をひそめる。敵はジェイナスのアンテナに気をとられているから。が、ミューラァは「近くにきっといる」と確信し、低空であたりを探索する。ロディが「気づかれたのか!?」とつぶやいたときに、身を乗り出したトゥランファムが態勢を崩して、戦闘が始まる。
対峙した敵に、ロディは「あいつだ!」と叫ぶ。「どう出る?」と自問するロディ。金髪軍人氏は「この前の礼をさせてもらうぞ。さあ来い地球人め。うけてたってやる!」。ロディはケンツに逃げるように命令するが、彼のみならずカチュアまで「私もいやです! あなたを見捨てて逃げるなんてできません」と言って戦う。
ロディはフローティングタンクは何とか撃破する。しかし1機森の中に隠れ潜んで、樹上からバイファムを攻撃する。トゥランファムは出会い頭にそのギブルにメインカメラを撃ち抜かれる。それでもかじりついて離さない。「ケンツ、離しちゃだめよ。離したらやられてしまう」ロディは今度はデュラッヘとの戦闘で、トゥランファムを助ける余裕はない。
「速い!」デュラッヘの動きは圧倒的だ。「だめだ、やられる」背中を見せるバイファム。「逃げるがいい、どこまでもな」そしてデュラッヘの放った一撃にバイファムは倒れたかに見える。が、ロディは息を殺し、近づいてくるデュラッヘをぎりぎりまでひきつける。そしてビームを放つが、それもかわされてしまう。「しぶといやつめ」
トゥランファムのほうは、しがみついたままもみ合ううちにスリングパニアまで破壊される。しかも手を離してしまい、ハッチを開いて直接目視で敵をつかまえる。しかし運良くもつれあったたまま2機体とも底なし沼にはまり、2人はポッドで脱出、敵は身動きがとれないところをポッドのビームに撃破される。
ロディは廃墟のドームの上に立ったところを、デュラッヘのビームで足場を崩され、中に落ち込む。デュラッヘはドームを破壊しバイファムはそのがれきの下に埋まる。 しかし金髪軍人氏は、ロディの生死を確認する前に、空を飛ぶ何かに反応する。「この乱れは……。あの中にまさか!?」彼はそれを追いかけて去って行く。何とかがれきの中から出てきたバイファム。「強すぎる。逃げ回るのがやっとだった。今度やつが現れたら……」
ジェイナスを探して、バイファムとポッドは飛行を続ける。まったく歯が立たなかった敵にロディの表情は暗い。しかもポッドの燃料はあと1時間くらい。が、そのとき前方にケンツが見つけたのは……。イチゴのパンツにレッドベアーの旗。7時の方向からの機影に驚かされたのも一瞬、ネオファムのバーツの声が飛び込んでくる。「おめーら幽霊か!?忘れちまったのか!?俺だよ! バーツだよ!……ああ、正真正銘のバーツ様よ!」そして見えてくるジェイナス。イチゴの下ではみんなが飛び出してくる。そしてロディにはフレッドが……。「兄さーん、にーいさーん!!」
結局2日で再会できるとは運がいい。トゥランファムって強いのか弱いのか。1機目は短い寿命だった。新型なのにパイロットに恵まれないってのはね……。かといって、ロディが乗って、バイファムにはケンツ/マキってのもあまりにパターンだけど。
何となく思ったけど、ロディはケンツがいなければカチュアと2人っきりの夜を過ごせたとくやしがったかも。でも、ケンツが深入りしたからトゥランファムと一緒にカーゴでククトに着陸したんだよね。だったら自分がトゥランファムのパイロットをやっていたらよかったのかも。そしてわざと無謀な行動をとって1機でククトに降りると。
原画
佐々門信芳

Vd: 1999.12.30, Vd: 1998.5.7