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「バイファム」第31話感想

前回(第30話)の数分後か数時間後か、とにかく直後。砂浜海岸の浅瀬に着地(水)したカーゴ。その周りにカモメが群がる。と、中でバイファムがむくりと動きだし、カモメの群は飛び散る。ロディが「ここが…」と言ったところで、今回のタイトルが。「みしらぬ星ククト」そう、ここがククト星。だけど、いきなりバイファムを塩水につけちゃって……。
ちょっとした感慨にふけるロディだが、ケンツとカチュア――つまりトゥランファム――が見あたらない。トゥランファムはどうやら着地したときのショックで投げ出されたらしく、浜辺にでかい穴を作っていた。ロディはトゥランファムの足のマイクで(第5話で、バーツが使ったのと同じこと)、中に向かって呼びかける。返事がない。外からハッチを開けて、ようやく無事な2人を発見する。計器パネルの上につっぷしているカチュア、ほとんどひっくり返っているケンツ。さすがに状況把握が速いカチュア、「何だ? 俺死んだのか?」のケンツ。
あたりを見渡す3人。あらためてやってきた実感がわいてくる。「ククト星ね、ここが」「生きてたんだ、俺たち」ケンツは喜びのあまりロディにしがみつき、勢い余って砂に頭をつっこむ。しかしジェイナスのみんなが無事か心配でもある。
肌寒さをおぼえるカチュアに、ロディは自分の上着を脱いで着せる。カチュアの「ありがとうロディ」に照れる。
しかしいつまでもここにいるわけにはいかない。とりあえず移動を開始するが、トゥランファムは第2エンジンの調子が悪く、思うように飛べない。投げ出されたときに砂でもつまったのか。海岸から少し離れた高台で、この先の地形をうかがうと、目に入る限りずっと砂漠。そして海岸には早くも敵がやってきた。新登場のギブル2機がフロートタンクに乗って、カーゴのそばを撃つ。それで反応がないのを確かめて、敵は去った。
ロディは食糧をとりにカーゴに戻り、その間にトゥランファムはジェイナスと交信をこころみる。通信可能な最小出力でやってみるが駄目。ケンツは例によって根拠なく「ちょっとくらい大丈夫だよ」と、出力を上げて交信するもやはり通じない。カチュアは、完全にはぐれてしまった……、みんな無事だといいけどと心の中でつぶやく。それより、ケンツが出力を上げるのをもっと強く止めるべきだったような。
ロディが戻ってきたところで、ジェイナスを求めて出発。ジェイナスの位置は、大気圏突入用のプログラムから割り出したんだそうだ。北東に300の地点。300kmなのなら、空飛んで行くのだから数時間以内だろうけど……。ロディはケンツと交代し、ケンツがバイファムに乗る。トゥランファムの調子が悪いから、腕でカバーできる自分が乗るんだそうだが、さっきの上着の件で下心を感じるような。
ジェダさんはこの星の人口は2、3万と言っていたらしい。星全体でそれだけだから、そう簡単に人に会いそうにない。
先行するケンツは崖の下に広がる大きな森を見る。そこに入れば敵に発見されにくいだろう。飛び降りる2機のRVの影が森に映る。だけど砂漠だったのに忽然と森が広がっているって変。この崖が気候の変わり目なのかな?
森の中、滝の近くで小休止。真っ先に飛び降りたケンツは、手袋を外す暇ももどかしく、冷たい流れに手をつっこんで水を飲む(僕はもっとせっかちなので、腹這いになってそのまま口をつけて飲む)。が、ロディの手遅れな忠告が。「何でも勝手に口に入れるなよ。毒でも入ってたらどうする」カチュアも「見て、あいうのは特にやめておいたいいわ」と、小動物がたかってかじっている果実を指さす。追い打ちをかけるかのように「うまそうに見えるものほど毒が強いって言うからな」とロディ。「でもケンツ、飲んでないなら気にすることないわよ」(わざと言ってるんじゃないだろうな…?) 「そういうこと早く言ってくれよ。俺飲んじまったよ……」
ケンツの気は知らないで、そのまま食事。チューブの栄養食は飛び散ってしまったそうだ。カーゴに食糧を積んでくれたのは、ジェイナスの誰かだろうから、よくそこまで気を回してくれたものだ。ケンツは毒を薄めるために、水をボトル1本飲み干す。2本目に手を伸ばそうとしてロディに止められる。携行食糧なので、ロディは「栄養はあるかもしれないけど、全然食べた気がしないよ」とぼやく。カチュアは節約して計画的に食べないとと、フォローになっているのかいないのか。ロディはつまみ食い、特に頭の黒いネズミに注意しなきゃと答えたけど。
森が開けて空き地になったところに収容施設を発見。ちょうど、人がどこかへ移送されるところだ。服装からして地球人ではない。しかしRVの中で双眼鏡を使うのもまぬけな気がする。捕虜(?)の中には茶色の頭もいた。ククトニアンも髪を染めるのか??
輸送船は飛び立ち、あとは静まり返る。「あと20分変化がなかったら調べてみよう」とロディ。実際調べることになる。近づくと地面にぬいぐるみが落ちている。地球的基準から言うとかわいくない。牙があったり爪があったり。ぬいぐるみは、センサー式の自動警備装置を試すのに使われて、あっけなく消滅。
中はいきなり温室。生鮮野菜を作っていたらしい。ここはククトでも寒いところなのか、それとも、もともとククトは寒冷なのでほか(クレアド?)原産の植物なのか。
そして居住区。「なーんか趣味悪いな」…みんな同じこと言うね。ケンツは部屋の片隅にもぎたての果物を見つける。さっき森で見たものだ。「誰だよ毒があるなんて言ったのは?(カチュア: でもわたしは……) ククトニアンだって同じ人間だろー」最後の言葉の持つ意味にロディとカチュアは思わず顔を見合わせる。ケンツは蛇口をひねり、流れ出てきた水を飲むと宣言する。しかしロディは「待てケンツ、俺が飲むよ。――いや飲みたいんだよ」と言って、自分がかわる。まさか、これもカチュアに対してポイントをかせごうとしたのだろうか?? ごくごくと飲んだロディは、うっとうめき苦悶の表情。あわてる2人。が、単なる冗談。「ごめんごめん、おどかすつもりはなかったんだ」って、わざとやってんだろ??
外に出た3人、森に入るあたりに見覚えのある石板がある。が、裏側は削られていてる。削られた面はピカピカ。石板に開けられた穴に手を突っ込んで抜けなくなるケンツ。猿みたい(?)。
食糧を確保したケンツは、食べながら操縦。さらに進んで日が沈んできたところでキャンプ。ケンツはさっき水を飲みすぎたせいか、立ち小便。寒くてくしゃみした拍子に、手にひっかける(何を、って……)。「ま、いーか」よくない。それはともかく、ケンツは茂みの向こうに敵を見つけてしまう。よく鉢合わせしなかったものだ。
敵は、地面に落下したジェイナスの通信センサーとマキュムレータ(?)を調べているところだった。ロディが双眼鏡の中に見たのは、タウトで出会った金髪ククトニアン軍人。兵士たちがこっちに向かってくるのであわてて戻るところで、つまずいたケンツは銃を誤撃。セーフティ外してた、なんて言っている場合ではない(誰も怪我せずにすんだのはもうけものだが)。
戦闘になるので、バイファムにはロディが乗ることに。自分のテーマが流れ、金髪軍人(「ミューラァ」は13人がその名前を知るまで、なるべく使わない)は早くも撃破された1機の爆発を見ながら、デュラッヘに搭乗する。トゥランファムは「ハンドキャノン」の出力が上がらず、なかなか発進できない。ハンドキャノン=ビームライフル?
1機、また1機と倒していくロディだが、デュラッヘには苦戦。腕に被弾。ジャンプしての空中での激突時も、足で蹴られてしまう。「父さんたちに会えるまで、こんなところで死んでたまるか!」しかし、ロディを救ったのは気合いではなかった。どうしても発進できないので業を煮やしたケンツがパネルを叩いたはずみに銃が発射され、しかもそれがデュラッヘの銃をはじき飛ばす。2機挟まれたデュラッヘは撤退。キノコUOに収容された(はず)。「あの一撃がきいたんでい」「本当ね」
戦場になったのに、キャンプが無事だったのは運がいいかも。夜番をするロディ。物思いにしずむ。「何とか早くみんなと合流しなくちゃ」そこへやはり毛布にくるまったカチュアが「ロディ、温かいものでも飲んで」とカップを持ってくる。
「交代するわ」
「いいよゆっくり寝てろよ」
が、カチュアはそのままそこに座って話し始める。「あそこにジェイナスのブロックが落ちてたってことは、この近くにいるんじゃないかしら」「うん、僕もそう思うんだ」ロディが手をついたところに虫が這ってきて、彼の指を噛む。虫の毒に手がしびれだす。動いちゃ駄目と言うなり、カチュアは、傷口に口を当て毒を吸い出す。ケンツが虫を潰している間も、カチュアは吸い出し続ける。息が切れて、カチュアは荒く息をつき苦しげな表情でロディにもたれかかる。ここでカチュアがむせたらなおいいと思った。けほけほっと <最低。「あ、ありがとう。楽になったよ」ロディの声がうわずる。「いま消毒するわ」ケンツがいなきゃあねえ。この後、この晩2人はどうしたんだろう? 何もなかったんだろうなあ。
「バイファム」ではもっともレギュラーキャスト少ない回ではあった。スコットたちはどうしていたんだろう? 彼らのほうが移動するわけにはいかないから、ジェイナスを中心に周囲を探索するしかなかったんだろうけど……。
原画
大島城次、小野順之、横山淳一、桑原周枝、横山健次、佐藤久美子

Vd: 1999.12.26, Vd: 1998.4.30