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「バイファム」第33話感想

前回(第32話)の数秒後。降りてくるバイファムとトゥランファムのポッドを迎えに、子どもたちは走り出す、ただ一人立ちつくす割烹着姿のフレッドを置いて。
着地を待ちかねるようにケンツは真っ先に飛び出すが、カチュアはロディが降りてくるのを待つ。そしてロディは「行こう、カチュア」と言って…、手をつないで走っているように見える。あんま気にしなくていいのかな。
みんなが3人を取り囲むが、フレッドは離れたところに立っている。それを見とがめたバーツは、「おいフレッド、なにやってる。兄貴のご帰還だぞ」。目をうるませているフレッドはとうとうロディに抱きついて泣きじゃくる。「すまなかったな、心配かけて」「本当によかったよ。僕……。兄さんが無事に帰ってきてくれて」「俺はこのククト星で会おうって言ったろ?」抱きついたのが恥ずかしくなったのか赤くなるフレッド。
バーツは、(ロディに聞こえるように)フレッドにささやく。「なー、フレッド、俺の言ったとおりだろ? お前のは簡単には死なないって。わかった? なんたってお前の兄貴は見かけよりしぶといんだから」むっとするロディをバーツはさらにからかう。「お前さんのナニちゃんにはこちとらかなわないってことよ」フレッドの前で言うなよなー。
マキが、みんなお腹すいてるんでしょ?と聞いたのにケンツはともかく、カチュアが「わたしもうペコペコ」なんて答えるとは。そりゃカチュアもペコペコにならないわけはないけど。
スコット、ロディ、バーツの3人は再会の喜びから現実的なことに気持ちが切り替わりつつある。ジェイナスを見上げるロディ。あらためて見るとあわれな姿になってしまった。「これが俺たちがこの前まで乗っていたジェイナスか…」それでも岩に激突しなかったのは幸運だ。かしいだ通路を通り、3人はブリッジへ向かう。大気圏に突入した角度から軌道を計算してここまで飛んできたと話すロディ。ジェイナスを見つけられたのは、旗のおかげだと。ボギーが完全ではないが動かなくなったわけではないと聞いてロディは喜ぶ。
ジェイナスの浴室ではカチュアがシャワーを浴びている。さすがきれい好きなのだろか? 脱衣所?でハーモニカを吹いているジミーに話しかける。「ジミー、わたしあなたのことずっと心配してたのよ」……ロディが聞いたらどう思うだろうか? 前回(第32話)のあのいい雰囲気はなんだったんだろう? ジミーとはそういうんじゃないって?
場面は一転、ククトのどこかを飛ぶ2機のARV。1機はデュラッヘ、パイロットはもちろん金髪軍人氏。デュラッヘの腕につけた探知機が反応する。しかし見つけたのは「またしてもダミーか」。
ちょうど同じとき、そのダミーのことをスコットとバーツが、ロディに説明している。カモフラージュのために、ピーピングトムやVRCに遺跡から出るエクストラ力線と同じ周波数をセットしてあちこちに飛ばしているのだと。敵はどうやら遺跡を探しているらしい。そして、ということはジェイナスに近づきつつある。
素直じゃないケンツとシャロン。この2人なりに再会を喜びあっているのだが。靴を修繕しようとして自分の指をカナヅチで叩いて飛びあがるケンツ。「ナニやってんだ?」「なんでもねえよ」「なんでもねえことねえだろ?」靴をなおしているのだと見てとったシャロンは「どいてみな」とかわってやってあげる。「お前できんのか?」「まーかせとけ」釘を口に放り込んで、んべっと出すあたり、そうとう慣れているみたい。そして「これ食ってろ」とリンゴをよこす。服でこすってからかじるケンツ。「しかしナンだね、お前がくるとここもまたにぎやかになるねー」「どっちが?」が、さすがに今日のケンツは憎まれ口はそこまでで、「だけど正直言ってお前のアレ見たときほっとしたぜ」。あれって?ととぼけるシャロンだが、もちろんイチゴのパンツのことだ(でも、旗にしてあげている間はノーパン?)。あれは自分のアイデアと言うシャロン。「大変だったんだぜ。敵の目を気にしながら、旗をあげたりおろしたり」とあくまでおどけた調子を崩さないけれど、リンゴを半分残そうか?ときくケンツに「いいよ、お前満足なもの食ってなかったんだろ」と優しいところも見せる。と言っている間に靴はなおる。「へー、お前って案外」と余計な一言。が、はいてみたケンツはまた飛びあがる。「出てた? やっぱし」とやっぱり見よう見まねだったみたいだ。
そんな2人の様子を見下ろしながら、スコットたちは今後の行動予定を話しあう。「これでもうここに残っている理由はなくなったんだ」と、スコットは明日出発することを決意する。ロディたちが帰ってきたらすぐに出発できるように、すでに必要な荷物は外に出してまとめてある。それを聞いたロディは、それなら急いで盾を作らなくてはと言う。地上戦では盾があったほうがいいと気づいたからだ。そこへマルロとルチーナが、クレアたちがパーティをするんだと伝えに来る。「そうか、このジェイナスともお別れだからな」とロディはひとりごつ。
どこかの基地に帰投するデュラッヘ。金髪軍人氏は、ダミーも1つ1つつぶしていけば必ず(本物を)発見できると執念深い。それは司令本部からコールしてきた上官のイヤミにこたえるためなのかもしれない。上官は、遺跡が敵の手によって解析・量産されたら、自軍は壊滅状態に等しくなると危惧する。そして「ミューラァ君、君はまさか手心を加えているわけじゃあるまいね? なにしろ君の体には半分やつらの血がまじっているんだからな」。彼の名前が「ミューラァ」とわかるのはここだったのか。そして彼の素性もかなりわかってしまう。視聴者が13人より先にこの2つを知ってしまうのは、この場合はしかたないかな。素性知れずでミューラァを出し続けてもつまらないだろうし。
ロディが言っていた盾を、ジェイナスの第3格納庫のハッチから切り出して作っている。大きさは縦5mらしい。それを眺めるシャロンは、「でもさ、いくらバイファムだからってそんな重たいもの持ってなんとかなるのか?」ともっともな疑問を出す。ケンツは「なんとかどころか、こいつは敵の攻撃をかわす盾なんだぞ」と反論するけど、盾が重くて動きが鈍くなったらやっぱり困るんじゃないだろうか? しかし予備要員なのでトゥランファム用の盾は作らない。
向こうではパーティの準備に忙しいマキが、「シャロン、こっち来ててつだってくれない?」と呼ぶが、シャロンは盾のほうを手伝い、かわりにフレッドが行かされる。「僕が? もういつもそうなんだから」
ミューラァは地図を見ながら部下と策略を練る。部下のフォルクスは、本当にジェイナスに石板が積まれているのかと尋ねる。ミューラァは「私は直前に情報をつかんだからこそタウト星へ調査に向かったのだ」。そして、タウトの守備隊があんなに簡単に敵の手に落ちたのは、石板のためだと言う。敵が近づいてくると計器類が全く役目を果たさなくなり、有視界に入ってくるまで手をこまねいているしかないからだと。
パーティの準備はほぼ整った。例によってつまみ食いをするジミー。「もう少しだから待ってるのよ」とカチュアが言ったはしからまた食べている。さすがに今回は全部なくなったりはしないだろうけど。スコットはまだブリッジに残って、忘れているものはないかと最後の点検。「燃料よし、食糧よしと。何事もなく無事に出発できるといいが」
盾はできあがって、出来映えをたしかめる。「ちょっくら強度を試してみるか」ネオファムがバイファムの盾をどつく。「おいバーツ、本気でやるなよ。壊れちゃうじゃないか」「ばーか、これくらいでぶっ壊れるようなら役にたたねえよ」RV同士のどつきあいを眺めるシャロンがチュイーンガムをかんでいる。
タイミングよくかどうか、スコットが敵襲を伝える。「何とか発見される前に撃退するんだ」バイファムとネオファムが飛び立ち、ケンツとシャロンは砲座に。この状態でも砲座を使うとは。ほかのみんなはジェイナスの中に避難。
敵はフローティングタンク1台に乗ったギブル2機。ネオファムとバイファムで挟み撃ちにして、フローティングタンクはあっけなく被弾し煙を吐く。が、そのまま飛んで行く先にはジェイナスが。それに気づいたギブル2機は、タンクを捨ててそっちへ向かう。慌ててロディは2機の前に回り込む。敵のビームを防いだり、敵を押したりと盾は結構な活躍ぶり。「それにしても大したもんだぜ、この即席プロテクターってやつはよ」
ギブルは倒したが、しかし結局それによってジェイナスの位置がわかってしまった。「コーネル・ミューラァ、報告します」と言って慌ただしく入ってくる部下。「君は礼儀というものを知らんのかね?」(下品な部下を嫌うって、デスラーっぽいのかも…) 部下の報告は捜索隊の1機が消息をたち、その地点がどこなのか調査中ということ。
やっとパーティが始められる。最初のシーンでクレアの足の色指定が間違っていて素足に見えた(画面のはしっこにいる)。これまでにも何回かある。しかし今回は角度が俯瞰なので、いまいちかも。
ケンツ、ジミー、フレッドが余興にパンツとブラジャーで踊る。はやすマキ、シャロン。「あれどうにかならない?」とペンチ。「えっ?」と答えたカチュアはあんまり楽しくなさそう。
「まーまー、おひとつどうぞ。あなたいけるくちなんでしょ」「ああ、これはごていねいに」どこでそういうこと覚えるのかね。「まあ、どうなってんの?」とクレア。
ロディたちはボギーに最後の別れをつげる。 「ジェイナスには本当に世話になっちまったよな」
「ああ、おかげで俺たちはこうしてククトまで来れたんだ」
「このブリッジに立つのもこれが最後かもしれないな」
「ああ」
「さよならボギー」
「元気でな」
「ありがとうございます皆さん。留守中はこのジェイナスをお守りしています」
「ああ頼むよ。本当に君にはいろいろ助けられたよ。ありがとうボギー」
「どういたしまして。皆さんの楽しい旅行の無事を祈っています」
「楽しい旅行、か」
そして下に降りて行った3人。「ようしみんなちょっと聞いてくれ」とスコットは切り出す。「明日朝早くここをたとうと思うんだ」「ここをたってどこへ行くの?」とルチーナ。「どこになるかはわからない。だがなによりまず、ジェダさんに会うことだ。今日はジェイナスとの最後の日だ。明日からは僕たちだけの力で父さん、母さんを捜さなければならない。みんな今日は存分にやってくれ」
ごちそうにかぶりつくバーツ。「もうこんなごちそうは食えねえと思えよ」バーツとロディはついにおおっぴらに酒を飲み出す。もはや誰もとがめない。おまけにケンツとジミーまで。その歳でビール飲んでうまいかね。「あいつら大物になるぞ」ってあんたもまだ未成年だろうに。
翌朝。朝まだき探索の最後の行程が始まる。ちょうど朝日がのぼるころ、朝霧の中、一行は静かに出発する。ジェイナスをふりかえり見るみんな。盾を切り取ったハッチはちゃんと元に戻してある。「ありがとうボギー!!」やがてRVも飛び立つ。「あばよ、ボギー」
原画
富沢雄三、アニメ・アール、横山健次、アド・コスモ

Vd: 2000.1.4, Vd: 1998.5.14