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「バイファム」第34話感想

前回(第33話)ラストと同日の夜。誰もいなくなったジェイナスにミサイルが雨あられと降り注ぐ。(が、一発も当たらなかったりするが……。ジェイナスが破壊されるシーンを見せるのはショッキングだからかもしれないし、単純に今後の展開上の都合かも。) 敵だ。母艦?と、多数のギブルが降下してくる。"THE ASTRO ENEMY"が流れる。母艦からは兵士がわらわらと。
ククト兵はジェイナスに侵入し、内部を捜索する。しかしコンピュータの端末は"BAKA"、"AHO"を表示する(いまなら"FUCK"、"SHIT"かなあ)。
ミューラァと兵士のやりとりはここではククト語で交わされ、日本語を字幕表示。全部これだと声優さんはある意味楽かも(NGなんてありえないからね……)。コンソールの表示を見たミューラァはフンと笑い、「忠義深いやつめ」。と言うか、カチュアかフレッドあたりがそういう風にセットしておいただけという気もする。それともククトのコンピュータは命令を守らないこともあるんだろうか?
兵士にかわってミューラァがじきじきにボギーを尋問(?)。私の名は…と言って、名乗りだす。
さて、「シド」といったら誰を思い浮かべますか?
  1. シド・メイヤー
  2. シド・ミューラァ
  3. シド・ミード
このページを読む人なら2.はもちろん知っているはずだし、「バイファム」を知っている人は3.もおそらく知っているだろう。しかし1.まで知っている人はかなりビョーキだ。ちなみにこの順番は思いついた順。
ジェイナスへようこそと答えるボギー。端末の"WELLCOME"はLが1つよけい。負けじと(?)ボギーは名乗りかえすが、ミューラァは「お前の名などどうでもいい」。そして乗組員がどこへ行ったか尋ねるが、ボギーは答えない。
そのころ、13人はククトのどこかで野宿。1人起きているスコット(バーツも夜番だが)は、ジェイナスからの秘密通信を受けとる。ボギーが、ジェイナスが敵の手におちたと通信を送ってきたのだ。それを聞いたロディは出発が1日遅れていたら大変なことになっていたと、安堵する。スコットが出発を急いだのはやはり正しかった。
が、ボギーのほうは災難だ。徹底的に調べられることになる。「乱暴はやめてください」、「激しい振動を受けますと私は……」、「やめてください。本当にやめてください」しかし、ボギーの本体ってブリッジにあるんじゃないと思うけどね。ボギーの芝居なのかな? そもそもそういう調べかたじゃコンピュータが壊れると思う。「頑固者め、素直に話せばいいものを」って、やっぱりククトのコンピュータは本当に人格を持っているのか??(培養した脳細胞を使っているとか…あわわ。)
副官から支援隊が到着したとの報告を受け、ミューラァは一度引き上げることにする。基地へ帰投し、支援隊の届ける新型試作機のテストをかねて地球人捜索を行うと。
翌朝、また13人の旅が始まる。旅の2日目だ。フレッドはけっこう気楽なもので「思い出すよ、兄さんたちとキャンプに行ったこと」とペンチに話しかける。「たち」っていうのは両親のことだろうか? それともほかの友だち? ペンチは揺れる車上なのに本を読んでいる(これで乱視になって眼鏡をかけることになったのか?)。「本当に読書が好きなんだね」と半ば感心(半ばあきれている?)するフレッド。本人いわくそうではなくて、ボーッとしているのがもったいないだけ、だそうだ。1人車の最後部に座っているジミーは2人の恋路を邪魔しちゃ悪いから、そうしているんだと。そうでなくても孤独癖があるとは思う。
運転手のマキは「クレアドを出てからってもの、いろんなものに乗っけられたけどさ、車の運転までするとは思わなかったな」と。そうだ13歳なのに運転なんて……はいいとして。答えるシャロン、「本当だね。しっかしオレたちだけでよくここまでこれたよな。……ねえ、オレ運転かわろっか?」「あんたが? フフッ、宇宙空間なら浮いてられるけど、引力のある地べたじゃ思ったより難しいんだよ。おことわりだな」「ズキッときたぜ」……ということは、マキが運転するのはこれがはじめて?
空を行くロディたちが追いついてくる。フレッドとシャロンが立ち上がって手をふって、マキに余計な心配をかけさせる。「座ってなって、危ないじゃない。ったく」3機のRVは偵察開始。スコットが「カチュア、無茶なことはしないように、よくケンツを見張ってるんだよ」と注意を与える。
スコットの助手席に座るクレア。早くジェダさんとかいうかたに会えるといいわね、と。スコットはジェイナスで降りてくるときに、町の灯りと思われる光をいくつも見たと答える(=その中の1つにジェダさんがいるだろう)。
マルロが昨日、敵を見たと言い出す。夕べ、オシッコをするときに、変なバッテンじるしの飛行機が飛んでいるのをを見たと。「バッテンじるし?」と聞き返すスコット。
ククトのどこか。秘密の工場らしきところで、RVの生産が行われている。「これも我がククトニアンの自由のためです」とジェダが、となりのゴーグル眼鏡の老人に話しかける。老人のそばには女性が。そこへあごの割れたククトニアンが、作業を一時ストップすると言ってきた。政府軍が頭上を通り過ぎるからだ。外へ出るジェダ(とあご割れ)。双眼鏡で上空を飛ぶ政府軍機を確かめる。マルロの言っていた「バッテンじるし」だ。ジェダは「間違いなく政府軍の新鋭機だ。これからは今までのようにはいかなくなるぞ」とひとりごつ。
バッテンじるしは基地に戻り、ミューラァはそれを見上げ「これだけの新鋭機を投入すれば不穏分子はもとより、船を捨てた地球人どももあす中に発見できるだろう」と。
と言っているそばに物陰にひそむ少年少女が。4人組初登場。中共とか文革とか、そっちのほうではない <当たり前だっ! さっきサライダとかデュボアも出てきたけど、こういう伏線がないのが「バイファム」の魅力だったのに。
日も暮れ、子どもたちは今日も野宿。ジミーとシャロンを見張りにたて、みんなは食事。カチュアが給仕。「さあおかわりあるわよ」「ちょうだいちょうだい」「まだお皿にあるじゃない」今日の探索も成果なしに終わった。敵の目を気にしながらでは神経も疲れる。
マルロが「スコットさん、ママやパパにいつ会えるの?」ときく。スコットは返事に窮しながら「もうすぐ」と答える。「もうすぐってあした?」「と、とにかくもうすぐさ」が、バーツは「そいつは約束できねえな。これからは毎日が戦場だ。小さい子だからって変に期待を持たせないほうがいいぜ」そうしゃべるバーツを見つめるマキ。ロディも軽くとまどいながらも、「バーツの言うとおりかもしれないな」と。バーツは「今は何も考えずに安心してメシ食って寝ろや」とつけ加えた。
再び夜が明け、旅の3日目。カチュアは計器を調べて異常がないことをスコットに知らせようとするが、スコットは毛布にくるまってうたた寝している。おはよう、と声をかけられたのにはね起きて「敵か!?どこだ!?どこにいる!?」と寝ぼけている。声をかけたのはロディたちで、マキがカチュアにお弁当のつつみを渡したあと、偵察に出発すべく、RVのところへ。
すでにケンツがトゥランファムの整備をしている。そして、バーツがトゥランファムを貸してくれと相談を持ちかける。下心あり? 「おまえ夕べもあんまり眠ってないだろ?」と言ってもケンツはいやがる。そこでいつもの奥義。「ケンツ軍曹」「ハッ」「よしなおれ」「ハッ」そしてバーツは、俺たちがいなくなったらおまえ以外に頼れるのがいない、だからおまえはスコットの補佐をしろとおだてて、まんまとトゥランファムをせしめる。飛び立つ2機のRVをシャロンが見送る。ポンチョをサスペンダーの下にかぶっていた。
朝っぱらからククト軍も行動開始。ミューラァが、地球より飛来してきた侵略者どもは、と演説で活を入れる。地球人は例の物体とともに移動しているし、彼らは例の物体の機能を完全に把握していると。「よいか、必ず探しだせ。行け!」
ジャングルを上空から探索するバイファムとトゥランファム。何かあったと思ったら滝。15分間隔で連絡をとりあうことにして2機は別れる。マキがふと不安をもらす。「でも本当に収容所なんてあんのかな?」「あるさ! 絶対にあるさ」――「なにかあったのか?」とスコットのまぬけな通信。「異常なしならいちいち連絡するなよ!」まあ定時連絡は(もしそうなら)重要だ。
マルロとルチーナはメニアを見つけて、手なずけようとしている。「あの子たちはあの子たちなりにママやパパのことを考えまいとしているのよ」
またもやRVの中から双眼鏡を使うマキ。「あっ、あそこ」と何かを見つける。「どうした?」とあわてるバーツがより目。森の切れ目に建物みたいなものが。
降り立ったトゥランファム。バーツは先に地面に降りてしまったらしい。「バーツーッ、ねえどこ?」と呼ぶ声が響く。「やだよ、こんなところに一人にしちゃ」と、奇妙な声が響く。「誰? ……誰? ……バーツ?」からん、と石が。おどろいて銃をぶっ放すマキ。「バーカ、味方を撃つなよ。俺だよ俺。猫の子一匹いやがらねえぜ。全く思わせぶりに町なんかあるからよ」マキはむくれて下に降りる。
「バーツ、もう本当にあんたって人は……、ひとに心配かけたうえにおどかしたりして。もうっバカバカ、バーツのバカ」バーツの胸をたたくマキ。「お、おいマキー、ごめんごめん、悪かったよ。ちょっとからかっただけだよ、ごめん本当に」が、マキは体をバーツの腕にあずける。「マキ…」「なんで、こんなことになっちまったんだろう? あたい、おうちに帰りたい。なんで、こんな戦争に……」と言って泣き出す。
「ハッハッハハハ、まーったくさっきのおまえの顔ったらなかったぜ」「んもう、言わないでよ、そのことは」「でも、俺たちよくいままで生きてこれたな」「本当ね。…でもバーツ、あんた偉いよ」「あん? なにが?」「夕べ食事のときさ、マルロとルチーナに言ってたこと」「ああ、そのことか。下手な気休め言ってごまかすより、きっぱり言ったほうがいいと思ってさ。俺だってあのチビどもと同じさ」「そりゃあ誰だって、おふくろさんや親父さんに会いたいと思ってるよ」「いや、俺の言うのは違うんだ」と言って、バーツは自分の身の上を語りだす。
バーツの産みの母親は、彼がミドルスクールのときに死んでしまった(ミドルスクール=中学校だとちょっと変かも)。そして2回目の命日のときに、父親はミレーユ、つまり今の母親を連れてきた。バーツはミレーユも父親も受けいれることができず、V80の改造車を乗り回す毎日だった。ところがある日、バーツは事故を起こしてしまい、重体となる。そのとき、彼に血を分けたのはミレーユだった。しかしそのため、妊婦だったミレーユは流産する。それを知ったバーツだが、今度は戦争が始まり、両親とは別れ別れになってしまった。
しんみりとして2人は廃墟の中からあふれる陽光の中へ出ていく。が、警報が鳴り、敵襲。例のバッテンじるしx2。「グレード5、戦力比最大。コンバット不可能」とトゥランファムのコンピュータ。「バーツ」と叫ぶマキの片目が見えている。ロディに助けを求める。現在位置(ロディから見て10時の方向、20km)を伝えているあいだに被弾し、トゥランファムは転倒する。バーツのひたいから血が。「……(聞き取れず)、脱出せよ」とコンピュータが指示する(わりと横柄なしゃべりかた?)。
マキは操縦桿をよこせと言うが、バーツは「バカ言うな」。しかし絶体絶命。「チャンバーバルブが折れちまった」「あたいたち、ここでやられちゃうの?」「バカ野郎、ここで死ぬわけにはいかないんだ!」
ここで颯爽とロディ登場。あっという間にバッテンじるしを1機落とし、2機のギブルを同時に相手取る。「はさみ撃ちにする気か! そうはさせるか!」そして1機、撃破。隠れたもう1機は飛び出して逃げる。残ったバッテンじるしの腕にぶら下がって逃げようとするが、ギブルもバッテンじるしも撃墜される。
マキにおでこの傷を手当してもらうバーツ。「いてていてて」とオーバーに騒ぐのは甘えているのか。「もっと静かにできねえのか?」「男の子でしょ」
「今度ばかりは参った。……しかしなんだ? あの変テコなメカは?」
マキって「おうちに帰りたい」とか、意外と子どもっぽいしゃべり方をすることもあるんだ。それともあのシーンだったからわざとそうしたのかも。
原画
小林智子、村中博美、中島美子、山本佐和子、スタジオ・ダブ

Vd: 2000.2.5, Vd: 1998.5.21