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「バイファム」第41話感想

ミューラァが床でフォークをとぐ音が響く。捕虜に出す食器に金属製を使うとは甘い。果物を刺すのに使うような二またのだ。先割れスプーンでなくてよかったことだ(なんのこっちゃ)。彼は虎視眈々と再生装置を奪うチャンスをうかがう。
前話(第40話)から結構な日数が経過。暇な日々。マルロとルチーナはあやとりに興じる。しかも2人あやとり。そもそもあやとりって日本以外の国にもある遊びなのだろうか? この2人はいつも暇ではある。
「いつまでこんなとこにいなきゃいけないのかね」とシャロンが言えば、ペンチは食事が口にあわない、ゲリラたちが汗くさいと不平をこぼす。そんなこと言ったらガキはガキくさいんだけどねえ。それにロディとかバーツは結構臭いそうだし。ゲリラたちはパンツをとっかえてないんじゃ、とシャロンが言ったのはやぶへびで、ペンチにあなたみたいとつっこまれる。
話している2人の上にボロキレが落ちてきた。シャロンの頭の上に落ちる。頭上でケンツとフレッドがトゥランファムの整備と訓練をやっていた。「きったねー! ンニャロー、レディの顔にこんなきたねえもん落としやがって!」「は? "レディ"ですって」とペンチがあきれてこっそりつぶやく。「そんなこと気にするほどのツラでもねえだろ、まったく」「ひとのこと言える顔かっての」とシャロンは憤慨するが、ケンツはフレッドに操縦教授の続きをはじめて、一顧だにしない。「ナロー、無視しやがって」思わずボロキレを噛むシャロン。
サライダたちゲリラが例の石を調査し、それに年長組の男の子たちが立ち会う。政府軍が、力線の影響下で発信源を突き止められたということは、彼らが対抗手段を持っているということだろう。(これで今までの疑問――なぜミューラァの部隊は子どもたちを追跡できるか――に説明がつけられたかというと、ならなぜミューラァの部隊がそもそも存在するのかが疑問になる。もしかするとゲリラを油断させるための罠なのか?)
リフレイド・ストーンを持ち込んで、ゲリラのコンピュータは何故無事かというと、サライダ博士が開発したものだから。「反作用化のボタンを押したのはこの私だ」だそうで。石はククトニアンのコンピュータが近づくと力線が強くなるようにプログラムされているんだそうだ。石の検査用の機器のパネルの表示にCGを使っていたくさい。
また何日かが過ぎ、ゲリラの偵察隊が帰ってくる。だが、地球人が収容されているらしき収容所へは近づけず、確認できずじまい。「偵察になってないじゃないですか!」バーツが声を荒らげる。もう1つ収容所があると聞いたスコットたちは、自分たちでそっちに行って見る決心をする(なぜ急にそうなるかわからないが)。
自分の部屋に入ろうとしたサライダはものかげの2人――カチュアとジミーに気づく。「あの……、お話したいことがあるんです、できれば2人だけで」博士の部屋にカチュアと一緒に入れなかったジミー。結構ショックだったろう。
カチュアの身の上を聞き、サライダは彼女の両親がクレアド星の移住実験プロジェクトのメンバーだったことを知る。しかし、たしかに彼はプロジェクトの推進者だったとはいえ、1人1人まで把握しているわけはない。地球軍に攻撃されたとき、助かった人もたしかにいたが、赤んぼうを置いてきた夫婦がいたかどうかもわかりかねる。カチュアを立たせたままなのに気づいた彼は、「まあかけなさい」とすすめるが、彼女は机にバンと手をついて「わたし、知りたいんです!」サライダはミューラァの存在を思い出し、彼が知っているかもしれないと、ミューラァを呼び出す。
「11、12、15」とブランコをこぐマルロ。細かくてよろしい。一同はもう一つの収容所を目指すことになりつつある。「もう俺たちがここにいる義理はなくなったわけだ」「そーそー、メシはまずいしさ、何となく暗いんだよな、ゲリラって」と逆立ち中のシャロン。スコットに意見を求められたクレア、「ジェダさんたちと私たちとはもともと目的が違うんだし」。ロディの意見では、地球軍とコンタックトをとっても、彼らがすぐ救出できるとは思えない。そしてルチーナ、マルロ、ペンチはとにかく早く会いたいと。
マキがトゥランファムの整備をしていたケンツとフレッドをやっと見つけて連れてくる。2人は、操縦方法を知るには構造を知らなきゃということで、動力部に入りこんでいた。干してあったパンツをとって、そうとは知らずに顔をふくケンツ。「こらケンツ! それオレのパンツ!」「ん? わーバッチー!」「このー、なにがバッチーだよ! せっかく洗ったパンツ汚くして!」「ギャーギャー言うことねーだろ。タオルと間違えただけだろうが」「これのどこがタオルだよ!?だいいち、イチゴのタオルなんてあるかよ、えーっ!」がそのそばでペンチがフレッドにタオルを渡す。「あー、立場ねえじゃん、オレ」
ミューラァが連れてこられる。彼は袖の下に例のフォークをしのばせている。サライダは彼の手錠をはずさせた。「いいんですか? 私を自由にして」と尋ねるミューラァに、サライダは、ここにいる限り銃口にさらされているとお決まりの答えをし、さらに「いまの君は軍というものに縛られすぎている」と。しかしお説教をたれるために呼んだのではなく、用があるのは「このお嬢さん」だ。
ミューラァに自分や彼女の両親のことを聞くカチュア。しかしちゃんと順を追って説明しないと。サライダが補足する。だが「この子も君と同じ戦争の犠牲者なんだよ」はお気に召さない。「お願いです!」と訴えるカチュアにミューラァは「そういえば」「え?」「知らんよ。これは冗談のおかえしですよ」怒、怒、怒。つまらんジョークで腰砕けにしてからカチュアを襲うとは、ミューラァもなかなかのやり手だ(違う)。しかしここでカチュアでなく地球人の子どもだったらククトニアンのゲリラには人質にならなかったかも。
基地内に警報が鳴り渡る。「捕虜が女の子を人質にして脱走をはかっている!」がくぜんとする子どもたち。ミューラァは再生装置を探す。ジェダはアジトの位置を知られないために、射殺の許可を出す。そのために足下のジミーに噛みつかれる。「撃っちゃだめだ! カチュアが死んじゃう!」「私にはかまうな! 絶対に逃がすな!」
石はちょうど子どもたちのトレーラーに戻されるところだった。車に乗りこむミューラァ。「なんだこの車は。まるで旧時代の代物だ」それでも彼は発進させる。
銃をかまえるゲリラを子どもたちが止める。「カチュアを巻きぞえにするつもりなのか!?」そうしたのはミューラァなんだけど。「おっさん! 撃ったら電気アンマだぞ!」って、バズーカかまえて言うことじゃないぞ。
「しばらく私につきあってもらう。しっかりつかまってろ!」と紳士的なミューラァ。「第1ゲートを閉めろ!」しかし車は止まらない。ロディは車に飛び乗るが、ゲートが閉まりかけているところに車がつっこんだのによく無事だったものだ。
ジェダはギャドルを出動させ、フレッドも「これには僕が乗る!」と、ついにバイファムを操縦。ベルウィックの件はいい加減忘れたのか? トゥランファムにはバーツとマキが搭乗していたが、ケンツはどうなったんだろう?
バックミラーに映るロディに気づいたカチュア。ロディは髪がなびいているせいか、妙に手塚調。
政府軍のフローティングタンクが接近する。慣れないフレッドには災難だ。「フレッド、あんた操縦できんの?」ミューラァがマイクで呼びかけるが通じない。ひびの入ったフロントガラスをなぎ払う。
戦い慣れているバーツ、カチュアよりARVを倒すのが先と判断、だがフレッドは「どうしてさ!?カチュアと兄さんをほっておけないよ!」ギャドルに踏みつぶされそうになったジェダ、「貴様! 味方を殺す気か!」
ロディの足がカチュアの視界に入る。彼女はミューラァに話しかけて注意をそらす。さっきの話はやはりでたらめだ。「うそです!」「だが、もしおまえの両親が生きているとすればコロニーにいるはずだ。……会いたいか、両親に?」「はい!」「だろうな。地球人の中ではいろいろとつらい思いをしたんだからな」「そんなことはありません! みんな仲間です!」「仲間?」
そのときロディが彼につかみかかる。「止めろ! 車を止めろ!」ロディをつき落とそうとするミューラァ。「やめてください!」「おとなしくしてろ!」ミューラァはロディの顔をはたき、ロディは車から落ちる。
それを見るやカチュアはドアを開ける。あわてたミューラァがブレーキをかけたのは、カチュアには幸運だった。ロディがカチュアに走り寄る。車が止まった。逃げようとする2人だが、足下の地面を銃で撃たれる。座りこむ2人、カチュアがロディにすがりつく。 「カチュアだけは見逃してください! 同じククトニアンですよ!」「ちょうど逆だな、俺の両親と。本人同士は愛しあっていたかもしれんが、こっちはいい迷惑だった。命をかけてまでも守る価値があるのか、異星人の子を?」「あなただって半分地球人の血が流れているんだ! そんな…」蹴り飛ばされるロディ。「子どもの貴様に何がわかる」って前にもケイトさんに同じこと言われてたよね。「俺がどんな思いで生きてきたか!」「なぐりたいならなぐってください。そのかわり僕は何度でも同じことを言ってやる、あなたの体には僕と同じ地…」「やめて、ロディ!」ミューラァはしかし、つかんでいたえりを放した。「俺はククトニアンだ。誇りを持ったククトニアンの軍人だ!」そう言って彼は車に乗って去った。ハンカチをとりだしてロディの口もとの血をふくカチュア。
こうしてリフレイド・ストーンは子どもたちの手を離れていきました(ただし1話だけ)。
有名な蹴られるシーン、カチュアはロディの頭がぶつかって鼻血が出そうだ(つくづくくだらない)。
エンディング・クレジットを見ていたら、1998.7.3で書いた、山内という人が今回作画していた。まあ見分けがつかないのでどうでもいいけれど。
原画
渡辺浩、斎藤格、松下浩美、合田浩章、山内則康、江古田豊

Vd: 2000.3.5, Vd: 1998.7.9