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「バイファム」第42話感想

前話(第41話)からまた数日経過。ただし、ミューラァがこの日に助けられたところを見るとたいして日はたっていないのかも。カチュアがさらわれた事件のために、自分たちだけで行く話はうやむやになったようだ。そして彼らの目指す収容所に地球人がいることがわかる。
バーツはなにしにドライブに出たんだろう? 本当に単なる趣味? 逆タヌキ顔になったバーツ。なんで誰も突っ込まない? これがスコットだったら絶対笑ってるはずだ!
ロディとケンツはトゥランファムの整備、ってケンツは前回も同じことやってた。ひさびさにバーツの「ひゃっこいの」を聞く。スコットはついに何も言わなかった。あきらめたんだろうなあ。っていうか、昼間っから……。さらに、っていうか、ジェイナスからわざわざ持ってきたのか、ククトニアンのなのか??
やっと両親の居場所がわかった子どもたちはうきうきしている。「いよいよ俺たちの旅もおわりだな」「ああ、そしてスコット、君のリーダーとしての責任ももうすぐ終わるわけだ」だがスコットの顔はさえない(え、いつものこと?)。彼はカチュアのことが気になっていた。彼女の両親がコロニーにいて、この星にいないことを彼女は知らないだろう。思いきって本当のことを話して別れるのか。「あの子、案外芯はしっかりしてるからな」とバーツ。
警報が鳴った。しかしただの敵の定期便だ。地球軍が進入を開始するという情報が入っているために敵の動きもあわただしい。よろこぶロディたち、いっぽうジェダはクレアドでの悲劇がまたここでも繰りかえされなければと案ずる。
カチュアに会ったスコットたち3人。「ああカチュア、ちょっと話があるんだ」と切り出したもの口ごもるスコット、かわりにバーツが「カチュア、君の両親はこの星にはいないらしいんだ」。「はい」「"はい"って、あの……」カチュアはすでに知っていた。しかし彼女は、こう続ける。「でもわたし両親がここにいないってわかって、ちょっぴりほっとしてるんです。私を赤ちゃんのときから育ててくれたパパとママが私の本当の両親だと、いまでもそう思ってるんです」「しかし君は本当の両親に泡名うていいのかい?」「ええ、顔さえ見たことないし、本当の両親と言ってもなんだか……。だからわたし、ちょっぴり気が重かったんです」
スコットが「時間はあるからゆっくり考えればいい」と言ったとき、警報に反応してひさしぶりにジミーがとろい戦闘配備を。「めんぼくない」って7歳児の言うことじゃないような。
ジェダがまたロディたち3人を呼んだ。地球軍が本当に進入を開始したのだ。目的は捕虜の救出だろう。それを受けて子どもたちも明日早朝に出発することになる。地球軍がくれば敵の心配もないはしゃぐ子どもたち。「スコットさん、こんどこそほんっとうにパパやママにあえるんだね」とマルロ。「ほんとにほんとにほんとに?」とルチーナ。「ああ、ほんとにほんとにほんとにほんとにほんとにライオンほんとだー!」(あの歌(?)、串田アキラらしい)
ケンツがはしゃぎすぎて、枕が破れて羽根が飛び散る。シャロンがいの一番に枕投げを始めた。「やめてお願い!」と言っていたクレアもバーツにぶつけられて、結局参加。スコットは「しかしこれらの寝具はジェダさんからの……」とお堅い。笑うカチュアだが、立って見ているだけ。
「今度こそ確実に父さんや母さんに会える。僕たちが旅に出てこんなに楽しく天にものぼるような気持ちになったのはこの日がはじめてのようだ」
夕方、ロディとバーツは外に出て友情を深める(違う)。背中をかきながらスコットが出てくる。またじんましんかとあせる2人。第20話のじんましん?はやはりじんましんだったわけだ。スコットはミューラァのことを考えていたと言う。そうだ、結局ミューラァは逃げたんだから、ここの位置は知られたわけだ。なんでスコット以外このことを考えないんだろう。どうしようもないから? しかしスコットはのんきに背中に入った羽根がやっととれたと喜んでいる。シャツの裾をズボンから出せばてっとり早いのに。
ちょうどその頃、ミューラァはギブル隊に救出されていた。基地に帰還し、意気込んで再生装置を奪還したことを報告する。だが、彼の特務機動部隊には解散命令が出ていた。つまり、再生装置の影響を全く受けないシールドの開発に成功し、それが配備されつつあるのだ。
「多くの死傷した将兵はまったくの犬死にだったのですか!?」憤懣やるかたないミューラァ。上司の近くに立つオールバックにダテ眼鏡(想像)の男がさっきから薄ら笑いを浮かべている。
上司はただ存分に休養しろとだけ言って出ていこうとする。彼は、ミューラァの追っている地球軍の機動メカについて、地球軍が進出してくるという情報があることをつけ加える。ミューラァはそれを聞いて、たとえ一兵卒としてでも閣下の麾下に加えてほしいと申し出る。
だが、返事は「くどいぞ、君は! はっきり言おう、君には地球人の血が半分流れているというではないか。君には向いていないのだよ、この作戦は」。ミューラァが机にたたきつけたこぶしから血がにじむ。「血が! この私の体の中に流れている地球人の血が憎い! やつらの血を一滴残らずしぼり出せるものならしぼり出してしまいたい!」
翌日。出発する子どもたちには護衛がつけられる。しかもジェダも同道する。どうもジェダは陣頭指揮をとりたい性格らしい。そして彼にとっては13人は失うわけにはいかない存在なのだろう。トレーラーがなくなって、車がいりようだが、そんなことだけじゃあるまい。
年長組は博士に挨拶。彼には楽しい日々だったらしい。カチュアはジミーが少し熱っぽいので、トゥランファムには乗らず、かわりにマキが。博士がカチュアにたずねる。「カチュア君、やはりみんなと行くのかね」「ええ、仲間ですから」「そうか、君は立派だ。……そうだ、コロニー行きのこと、なんとか工作してみよう」「ありがとうございます。でも、私もう……」デュボアが言い添える。「気が変わったら戻ってらっしゃい」
一行が出立した直後、地球軍が収容所に強行着陸したという情報が入る。「あの子たち、まにあえばいいけど……」デュボアの心配をよそに、子どもたちは「パパに会える、ママに会える」と合唱。
シャロンの「うちのおふくろ、また別のとうちゃんとっつかまえてたりして。……ジョーダン、でも、ありえるなー」は彼女一流のてれ隠しなのかな?
スコットたちが彼女を心配したように、ジミーのことを案ずるカチュア。「パパとママに早く会えるといいわね」「僕、知ってる。あのとき、死んだんだ。でも僕もう平気だよ」カチュアが本当のことを知っていたように、ジミーももう知っていた……。うーん、切ない。
まだうかない顔のスコットの今度の心配は、みんなを両親に会わせたときに、なんて挨拶するか。彼らしい。だが、彼らにも地球軍が交戦中との情報が伝わり、RVが急行する。
出動するARVを見上げるミューラァ。彼は野ざらしのトレーラーに歩み寄る。いくらもういらないからって、野ざらしはないような。彼は中を開け、再生装置に手をふれる。「シド・ミューラァ、貴様はいったいなんのために……。おまえにはもはやなんのなすすべもないというのか? 全てうたかただったと言うのか?」ミューラァはひたすらかっこいい。しかし「いや、残されたただ一つの使命がある。あの地球人の機動メカを倒すこと、あのバイファムとやらを」。「バイファムとやらを」倒すのに(しかもガキが乗っている)執念を燃やすようになったら末期的だよ。そこに器の小ささを感じてしまう。おっと、ロディではなくあくまでバイファムなのか、彼にとっては。逆にロディにとってはデュラッヘよりはミューラァだったようだけれど。だけど、いままでミューラァは一度もバイファムを撃墜したことないんだろうか? 量産機なのにねえ。
収容所では迷彩のトゥランファムがどんぱち。「急がせろ」と叫んだトゥランファムがわざわざ腕を振ってたよ。「場合によっては積み残しがあってもかまわない」のは仕方ないのか。「このままでは全員は無理か…!」と機長がつぶやいたとき、新手が迫る。「これまでか!」だが「バイファムだ! トゥランファムもいる!」と子どもが叫ぶ。「まさに奇蹟だ」
「じゃまはさせない、この日のために命がけの旅をしてきたんだ」「シャトルには手出しはさせねえぞ」「ようし、あたいやってやる」「父ちゃん、母ちゃん、いま行くぞ」ロディたちのセリフ(とくにロディ)はかっこいいが、それは「バイファム」なのだろうか?
クレアもいさましく銃をとる。爆風を受け、車から投げ出されると、バズーカでギブルを撃破する(でも相変わらず撃った反動に負けてるけど)。
戦闘が激しく、なかなか近づけない。だがクレアは遠目に、シャトルに乗りこもうとする男の顔を見わける。危険も忘れ走り出すクレア。「パパ! あたしよ、クレアよー!」「待って、パパ、パパー!」だが、シャトルは発進しクレアは爆風に倒れる。彼女の頬を涙が伝う。彼女は、最後の瞬間父が彼女の声に振り返ったのに気づいたろうか?
だけど、パパって言うなー!!やっぱ、中学生になってまで「パパ」は恥ずかしいよ。まあ現実には大学生になってまで言っている人もいるけれど、聞いてて何というか……(Mさん、このページ見ていたらごめんなさい)。
「マルロ、ルチーナ、あなたたちのパパやママもきっと無事よ」泣いても気丈なクレア。「僕たちは一歩、ただ半歩だけ遅かった。でもみんなの両親が生きている、確実に。それが明日への大いなる希望だ」最後の一言はちょっとクサすぎるかも。蛇足という感じ。
枕投げに、カチュアだけ参加していないのは(ジミーですら投げっこしているのに)、一行の中での彼女の立場をほのめかす。それでも彼らは「仲間」なのだ。が、彼らと一緒にいてさえ、心から楽しむことのできないカチュアに、安まるときはいつくるのだろう? それをどこに見いだすのだろう? そう、たしかに彼女は「強い子」なのだ……。しかし11歳の少女がそこまで強い、そのこと自体が悲劇だ。願わくば彼女の未来に幸多からんことを。
地球軍がククトに「侵入」すると言ったときのジェダさんの胸中は察してあまりある。これは一種の賭だ。敵(政府軍)の敵(リベラリスト)は味方というが、地球はどちらも敵とみなすこともできるのだ。何しろ力づくでベルウィック、クレアドを奪いとった軍隊だ。
枕投げのときにバーツの前に立つマキもよかった。
ロディの顔がいつもより3割増しで美形、と最初に見たときには思ったのだが、いまにしてみるとなんでそう思ったのかまったく謎。
収容所を襲った地球軍のRVはどうやって大気圏に突入したのだろう? 脱出するときは置いていったが。
原画
佐々門信芳

Vd: 2000.3.5, Vd: 1998.7.16