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「バイファム」第9話感想

冒頭、ナレーションでこれまでを振り返る。「何の連絡もないまま、数日が過ぎていた」の「数日」は、どこから数えて数日なんだろうか。
雷雲がたれ込める。天気が悪ければ悪いでシミュレーションに熱を上げるロディ。敵にはさまれて撃破されてしまう。既に難易度は最高レベルに到達している。実戦では常に1対1とは限らない。ロディの「あれから一週間」の「あれから」は何を指すのだろうか? とにかく、軍からの連絡が待ち遠しい2人。
それは誰しも同じで、管制室でスコットにそれを尋ねたのは、マキでその日5人目だった。そして入ってきたバーツ、ロディで6人、7人。
ただ待っているだけの無為な日々では食料もみるみる乏しくなる。とりあえずあと1月はもつらしいが、ケイトとクレアは先行きが多少気がかりだ。クレアはカロリーをとりすぎないように気をつけているらしいが、保存食料ばかりではつらそうだ。
そういう心配とは無縁なケンツは、ソーセージを大量に持ち出す。どうやら家でもそんなだったらしい(軍人一家を支えるケンツのお母さんはどんな人なんだろう?)。クレアから逃げ出しはしたが、ソーセージを1本隠していたケンツは、こういうところばかり抜かりがない。
しかし食い気はあっても、まだ色気を知らないケンツ。シャロンの裸を見させられて逃げていく。シャロンもシャロンだが、昼間っからシャワーを浴びるとは結構きれい好きなのかも。
リンゴを丸かじりするバーツ(かっこいいけど、全部食いきるのが大変だと思う)。マキがしびれを切らして、ジワイメルウにこっちから連絡すればとこぼすのを一蹴する。が、連絡がないのに苛立っているのはスコットも同じだった。バーツが止めにはいる。そんな大事なことを独断で決めていいのかと。スコットは「僕が責任をとる」と、ついできもしない答えをしてしまう。割と楽観的というか、大胆なところのあるロディは止めない。レーダーに敵影はないし、大丈夫のはずなのだ。
だが、やはり応答はない。しかも、敵がレーダーに映った。オルコーニ方面に向かったから、危険はないだろうが……。
雷鳴が激しくなってきた。おびえるマルロ、そしてルチーナ。基地に落雷して、停電。サブの電源が動き出す、とバーツは冷静だ(でもどうやって発電しているんだろう?)。が、この間に敵が来ても分からない。危険はないはずだったのだが……。
用意がいいジミー。自動ドアの悲しさ(?)で、シャワールームから出られないシャロン。「誰なの?」「オレだよ、オレ」
停電は復旧。当然のように敵襲。「コードS21発令」と言われてもどうしようもない子どもたち。とにかく、敵は来た。全員管制室に集められる。緊迫した音楽(=状況)の中で、のんきな芝居をする子どもたち。ペンチのフライパンはどう始末されたのだろう? 服を着ながら走ってくるシャロンの乳暈が見えていたりして。
今回は汎用艇ではなく、フローティング・タンクに2機のジャーゴが乗ってやって来た。モニターを見つめながら息を殺す子どもたち。「バッタみたい」格納庫のシャトルが見つかったら、と気づくロディ。それより、洗濯物が干しっぱなしだ。干す係りは、とり入れるところまではやらない。「また洗わなきゃね」と、激しくズレた感覚のペンチ。
後悔するスコット。しかし敵はシャトルと洗濯物を見つけてしまった。しかも、ケンツがいない。「あの子がいない…」ってカチュア、名前覚えろよ。ケンツは、シャロンと会ったときに一人だけ違う方に行ったと思ったら……、「わーてるよ」って何を分かっていたんだ。
ジャーゴに後ろから狙いをつけるケンツ。敵の大きさに改めて驚きつつも、ひるまない。蟷螂の斧。的はでかいのだが、撃った反動のせいで弾はそれてゆく。敵に気づかれれば、あとは逃げるしかない。
それを見て「ばっ、ばかやろー」とののしるバーツだが、それでも戦いに飛び出していく。カチュアにマルロたちを残して、あとの子どもたち、それにケイトもバーツに続く。
クレアまで勇ましく銃撃に参加。責任を感じているのだろうが、スコットは「僕がこの場所をを離れるわけにはいかないんだ」の場面では、実に情けない。しかし自分が彼の立場だったらああなるだろう、とも思う。それにひきかえマキはいつもながらしっかり者。
「かーちゃーん」と叫ぶケンツは、死なないですんだだけでももうけもの。戦闘が始まったのは直接的には彼のせいだが、遅かれ早かれ戦わざるを得なかっただろう。でもこちらが奇襲できれば、「運だけで」切り抜けずにすんだはず。
ロディとバーツはディルファムに乗り込んで、ついにRV戦を体験。いきなり戦うのではなく、前回、前々回と少しづつ経験を重ねる筋書きはうまい。もっともバーツはいきなり動かしてしまったのだが……。ロディが出撃にもたついたのは、やはり緊張のせいなんだろうか?
未熟なバーツははやはり旗色が悪い。ロディが追いつくまでに、(逆に)追いつめられてしまう。弾切れ(しかしこれは今回だけだ)。銃を投げつけて、ジャーゴにむしゃぶりつくが、投げ出されて、ほとんど絶体絶命。
ロディが助けに来たものの、2機の敵に挟まれてしまう。マニュアルに書いてあったとおり伏せるが、そのあとはどうしたらいいのか? 敵に突っ込んでいくが、やはり敵はやられてはくれない。
シャロン、フレッド、マキは子どもらしい発想と無鉄砲さで出撃。みんなでいけばびっくりして逃げてくれるかもしれない。マキはシャロンが操縦できるのか心配するが、ひとのことは言えない。一応シャロンもシミュレータを使っていたらしい。
観念するロディ。間一髪3人が間に合う。「動いた、動いた」とはしゃぐシャロンも、敵を見て「うっ」となる。ジャーゴがひるんだすきに1機、撃破するロディ。しかしジャーゴのコックピットから出てきたパイロットが必死になる様子は、まるで人間だった。もう1機は、大破したほうを破壊して逃げていく。
動かしたはいいが、停められないマキ、シャロン。シャロンは、もう二度と乗らないと思った。戦いが終わってもひたすら撃ち続けるスコットはそんなものか。
雨上がり、空には虹がかかる。素直に喜べない子どもたち。シャロンまでついマルロたちを「うるさいぞ」と叱りつけてしまう。ジミーは今回も1テンポ遅い。しかしケンツは全く懲りない。ことが済めばまるでけろっとしている。にらみつけるだけとはロディも人がいい。バーツの「殺し屋じゃない」もこの時はまだ説得力を持っている。 シャロンのノーパン発言にロディだけ顔を赤らめていた。シャロンは本当にパンツをはき忘れていたのかもしれないが、それでも、彼女なりの気の使い方だろう。
これでアゾレックも安全ではなくなり、スコットとケイトは今後のことを考え始める。
今回バーツの口元のしわが目立った。
原画
富沢雄三、横山健次、大嶋城次

Vd: 1999.8.1, Vd: 1997.11.28