|
四阿山へ向かう
四阿山頂(南峰)
南峰から見た北峰
四阿山頂(北峰)
四阿山から眺めた根子岳
根子岳山頂の祠
|
真田十勇士の人気者・猿飛佐助ゆかりの地
《マイカー利用》 上信越自動車道・上田菅平IC-《車》-あずまや温泉〜稜線分岐〜四阿山南峰2354m〜北峰2333m(往復)〜根子岳2207m〜ダボス牧場管理事務所〜菅平高原バス停-《宿の車》-あずまや温泉(泊)… 【歩行時間:
6時間】
→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ
「あずまや高原ホテル」の駐車場に車を停め、北北東に向かい、道幅約2メートルのほとんど真っ直ぐな登山道を歩き出したのは午前8時10分。カッコウやウグイスが盛んに鳴いている。何処からか「ケーン、ケーン」というキジの鳴声も聞こえている。西から前線が接近中とのことで天気は下り坂だが、今日一日は何とかなりそうだ。
上空でヒバリも囀るのどかな広い牧場を横目で見ながら、四阿山へ向かい緩斜面を登ること約50分、第1回目の中休止。曇っているけれど空は高く、眺望は良い。正面に四阿山の一角のなだらかな山容。牧草が広がる丘の彼方、左手北西方向に白装束の頚城(くびき)や戸隠の山々。そのさらに左奥には北アルプスの山並みが薄っすらと見えている。右手を振り返ると篭ノ塔山や浅間隠山などが近いが、その中央に位置する浅間山は雲の中のようだ。これら浅間山系の山々と北アルプスの中間に見えているなだらかな山並は美ヶ原の辺りかな。 「この天気でこれだけ見えれば最高だね」 などと、楽しい山々の品定め。例によってここでも「時間管理」の不徹底。早くも予定時間を大きくオーバーし始めた。
ササと芽吹き前の細身のダケカンバ(シラカンバだったかも)の林の中、「七合目・標高2000米」の標柱の傍で2回目の中休止。5万図によると、登山道沿いに神社(鳥居のマーク・里宮かな)がある筈なのだが、2ヶ所ほど小さな石の祠はあったけれど、神社の建物らしきものは、見落としたものか見つからなかった。あるいは、あの石祠がそうだったのかな(?)。風が少し出てきたようだ。まだ薄っすらと北アルプスが見えている。
(オオ?)シラビソが目立ち始める。稜線の少し手前、標高約2150mの地点で3回目の中休止後、再び歩き出す。緩やかな傾斜上の残雪道を2〜3ヶ所通りすぎ、暫らく行くと稜線の分岐へ出た。南西の風が強く、吹き飛ばされそうな帽子を脱いだ。鳥居峠からの登山道と合流する辺りから人影が見え始めた。ここまで出合った登山者は二人組の若い男性たちだけ、静かな山道だった。矢張りここでは鳥居峠からのルートが主流のようだ。鳥居峠コースを歩いていないので比較はできないが、私達の選んだ道(あずまや温泉コース)は、歩き易さといい眺望といい素晴らしいコースだった。
細長い四阿山の山頂(南峰2354m)へ着いたのは11時40分頃だった。信州側と上州側のそれぞれに似たような小さな祠が建っている。祠が少し離れて2つあるわけだが、なんか、ややこしい感じだ。いっそのこと、長野県と群馬県でよく話し合って、立派な一つの社にすれば良いのに、と思うのは素人の浅はかさだろうか。(実際、この信州祠と上州祠の歴史は古いらしく、それぞれの祭神も違うのだから、まぁ、やむを得ないか…。) しかしながら、山頂からの展望は流石だ。雲が少しずつ低くなってきて遠望はできなくなりつつあったが、近くの山々はよく見えていた。
早速、双耳峰のもう一つの峰、北峰2333mへ向かう。鞍部には雪が残っていたが、歩行には問題なかった。10分足らずで北峰の狭い山頂へ到着。雪の中から二等三角点の標石がピョコンと突き出ていた。ほとんどの登山者たちは標高の高い南峰だけで満足して、北峰へは足を延ばさないようだった。この南北2峰からなる山頂部が、遠目には屋根の形に見えるので「あずまやさん」の山名になったという。
南峰の山頂へ戻り、展望を楽しみながらの昼食後、12時35分、西隣りの根子岳へ向かう。往路を少し戻り、鳥居峠コースとあずまや温泉コースを左に見送り、雪が残る樹林の急坂を下ると、笹原の鞍部(十ヶ原)へ出る。僅かだけれど、所々にピンク色の花をつけたショウジョウバカマが咲いていた。未だ寒いこの時季に咲いているなんて相当にしぶとい花だが、とても可憐で美しいと思った。目立って咲いていたのがこの花だけだったから、よけいにそう感じたのかも知れない。
根子岳山頂まで続いている広い笹原のなだらかな稜線を登っているとき、とうとう霧雨が降り出した。振り返ると、案外雄大な四阿山が、今にも霧に飲みこまれようとしていた。
石祠と一等三角点のある根子岳山頂へ着いたのは14時20分。遮るもののない割と広い山頂だったが、霧のため殆ど何も見えない。一服の後、菅平牧場へ向かって真っ直ぐに下っていく。この道は、「花の百名山」の著者・田中澄江さんが若い頃(といっても四十歳代後半…)、夜中の2時から、走って登り下りしたという道である。そのときはコケモモやイワカガミやウメバチソウなどが沢山咲いていたという…。田中さんの情熱と体力に感心しながら、私達はゆっくりと下山した。
閑散とした菅平高原のバス停に着いたのは16時25分。次のバスが来るまでまだ2時間くらいある。意を決して、傘を差しながら、温泉ホテルのある四阿高原をめざして歩き出したのだが、多分たっぷりと2時間以上はかかってしまう。タクシー会社に電話したら、上田から迎えに行くので、なにやかやで1時間以上はかかってしまうという。疲れ果て、困り果てて、試しにホテルヘ電話を入れてみたら、渡る世間に鬼はいない、車で迎えに行きましょう、と言われた。感謝感激。ここでも携帯電話が大活躍した。携帯電話って、電波さえ通じれば、ものすごいアイテムだと思う。運転手のホテルの若い従業員さんに感謝して「あずまや高原ホテル」に降り立ったのは17時20分。雨足は益々激しくなってきた。
明日は草津白根山登山を予定しているのだが…。
あずまや温泉「あずまや高原ホテル」: 標高約1500mの四阿高原にたたずむ一軒宿の温泉ホテル。平成2年7月にオープン。前身はハイカーたちに親しまれたという「ロッジあずまや」、とのこと。単純泉(弱アルカリ性低張性低温泉)、大浴場(内湯)と雲上露天風呂。ロケーションは申し分ないが、週末料金2食付き一人23,000円は、矢張りチト高すぎると思った。が、しかし、下山口の菅平高原バス停まで親切な従業員さんに乗用車で迎えに来てもらい、しかも無料で…、高い、と言ったらバチがあたるかも。* この後、宿泊料は随分と値下げされているようです。(後日追記)
部屋へ案内してくれた若い女性従業員さんに聞いた話だが、晴れた日には、時々だが、カモシカがホテルのすぐ近くまで来るそうだ。何故か今日のような雨降りの日には出てこないらしい。まぁ、真田十勇士の人気者、猿飛佐助のゆかりの地。何がいつ出てきてもおかしくはないと思う。
* 2020年、あずまや高原ホテルは閉館したようです。コロナに勝てなかったのかなぁ…。とても残念です。[後日追記]
* その後の四阿山登山のトレンドについて: このころの四阿山登山は鳥居峠からのコースが主流だったのですが、その後、累積標高差の少ない菅平牧場からのコースが整備されると、人気はそちらに移ったようです。牧場は私有地ということで1人200円の入山料が必要になるそうですが…。
そのまたその後には、北東側のパルコーススキー場のリフトを利用しての“ラクラク登山”が台頭しつつあるそうで、この山のトレンドも随分と様変わりしているようです。のほほんハイカーの私には言えた義理じゃありませんが、楽なほうへ行ってしまうのは矢張り仕方のないことでしょうか…。[平成24年7月・追記]
この翌日は草津白根山に登りました。
根子岳への登りから眺めた四阿山
|
麓の牧場の白樺林
|
このページのトップへ↑
ホームへ
|