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第1日目(登山前日)
レンタサイクルで市内観光
越前大野城
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三連休を利用して奥越の名峰へ
第1日=東京…JR福井駅…JR越美北線・越前大野駅-(市内観光)…勝原駅〜民宿「林湊」 第2日=民宿「林湊」〜勝原スキー場〜シャクナゲ平〜荒島岳1523m〜シャクナゲ平〜小荒島岳1186m〜中出-《ヒッチの車》-越前大野 第3日=越前大野…九頭竜湖…長良川鉄道・美濃白鳥駅…
【歩行時間(第2日): 5時間40分】
→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ
第1日目(11/3・登山前日): 福井駅から一両編成のJR越美北線(九頭竜線)に乗り換え約50分、越前大野駅で途中下車。駅のレンタサイクル(2時間300円)で、道に迷いながらも、北陸の小京都とも云われている日本情緒あふれる市街をグルっと散策。街のシンボル的な存在でもある亀山249mに登り、越前大野城見物などしてみた。天気は快方に向かっていたが、まだ生憎の曇り空。展望台からは市街を一望できたが、東南東の方向に見える筈の大野富士(荒島岳)は雲の中だった。
越前大野の市内見物に2時間以上を費やしてしまったけれど、レンタサイクルの追加料金は支払わずにすんだ。親切な駅員さんに感謝して、再び九頭竜線に乗車。その16分後、5駅先の勝原(かどはら)駅に降り立つ。閑散とした駅前でオロオロしていると、いっしょに降車した地元のオバサンに声を掛けられ、駅から歩いて約5分ほどの今夜の宿「民宿林湊」まで案内してもらった。福井県の人はみんな親切だ。
* 民宿林湊(はやしみなと): 気さくな宿の奥さんの手作りの豆腐料理など、とても美味しかった。これで2食付き税込みで5,500円は、びっくりするほどの安さだ。一昨年頃から登山客専門の宿に衣替えをしたそうだ。私達夫婦を含め5組13人の泊り客で満室だった。水場の少ない荒島岳登山、「明朝は水筒にたっぷりと水を入れて出かけなさい」
と宿の奥さんから注意を受けた。
当初、登山口の勝原スキー場にあるロッジ・ギンレイに予約の電話をいれたのだが、現在は営業をしていない、とのことだった。で、急遽、駅からほど近いこの「民宿林湊」に宿をとったのだが、結果オーライだったようだ。
* 勝原スキー場は2010年春をもって廃業したようです。(後日追記)
* 民宿「林湊」は令和3年(2021年)の春に廃業したそうです。矢張りコロナ禍の影響でしょうか。とても残念です。(後日追記)
第2日目(登山当日)
ブナ林を往く
白山を望む
荒島岳の山頂
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第2日目(11/4・登山当日): 朝食を済ませ、宿を出たのはまだ薄暗い午前5時45分。寒くはない。登山口のスキー場を通過する頃、明るくなってきた。抜けるような快晴だ。
今回の登りは標高差にして約1260メートル、決して侮れないコースだ。オーバーペースに気を付けながら、何時ものように、休み休みゆっくりと歩く。ゲレンデの登りが終わると、ほどなく美しい黄葉のブナ林へ入る。一昨日の雨の影響か、ぬかるんだ道は滑りやすく注意が必要だ。
小ぶりなダケカンバが目立ち始めると間もなく、ササに囲まれたシャクナゲ平に到着。道はここで中出コースと合流。疎らになってきた樹林の頭越しに荒島岳の山頂部が目の前に見えてくる。ひと息入れてから少し進むと、右手から佐開(さびらき)コースが合流。左手(北側)に聳える白山が近くて大きい。例年より降雪が少し遅れているらしく、まだ白い白山じゃないのが残念といえば残念だ。
いよいよ「モチガ壁」と呼ばれる最後の急登となる。タフな登りに佐知子との会話も途切れがちになってきた頃、午前10時15分、ようやく荒島岳の山頂に辿り着いた。一等三角点と荒島大権現奥ノ院の小さな祠がある小広い山頂で、まず目障りに感じたのが、あの、遠目からもはっきりと見える、大きな電波反射板などの人工物だった。(*)
とはいえ、流石に山頂からの眺めは抜群だ。北面の白山が、まずなんといっても素晴らしい。その白山連峰の右手後方に北アルプス南部の重鎮、笠・槍・穂高のスリーショット。そのさらに右手の乗鞍岳と御嶽は少し離れてお互いに大きな裾野を広げている。南東の方向、遥か彼方の雲海からぴょこんと頭を出しているのは、あれは恵那山だ。南面には能郷白山などの両白山地南部の峰々が広がっている。そして北西には大野盆地の閑静な街並みが航空地図のように見下ろせる。その大野盆地中央奥の、豆粒のように見える緑の小島が、昨日登った越前大野城のある亀山に違いない。山頂にいた地元のハイカーたちから、その他の沢山の山名を教えてもらったのだけれど、申し訳ないことにほとんど忘れてしまった。(^_^;)
山頂で大展望を楽しんだり、民宿林湊の奥さんに作ってもらったオニギリを食べたりして、1時間以上の大休止の後、シャクナゲ平まで来た道を下り、ここから潅木や細身のブナの生い茂るなだらかな中出コースへ入る。
荒島岳山頂から1時間ほどで展望の開けた小荒島岳の山頂ヘ出た。ここから振り返って眺めた荒島岳は、大野富士の呼称に恥じない立派な山容で、何時までも眺めていても飽きなかった。
午後2時15分頃、テレビ塔の近くの水郷(みずごう)登山口辺りの林道を歩いていると、道路脇の駐車場で、私達の前を歩いていた初老のご夫婦に「車に乗らないか」と誘われた。渡りに船、とはこのことだ。下唯野(しもゆいの)の駅まで歩く予定をあっさりと変更して、初老夫婦のご好意に甘えることにした。この親切なご夫婦は地元福井県にお住まいで、奥さんの運転するこの車(4WDの軽のワンボックスカー)で、北海道や九州の山旅にも出かけたとのことだ。頭の下がる思いがする。結局、私達の今日の宿泊地、越前大野まで送っていただいたが、私達にとって非常にラッキーな下山になってしまった。
まだ午後2時45分。大野の街で、思いがけず与えられた行動時間を使って、まず私達が急ぎ足で行ってみたのは、矢張り、あの亀山だった。駆け足で登って、越前大野城の展望台に立ち、東南東の方向に聳える秀麗な荒島岳をずっとずっと眺めた。 「最高の山旅になったね」 と、そのとき私達は話し合った。
* この3年後(平成15年10月)、荒島岳山頂部の電波反射板は撤去されて、すっきりとした景観になったそうです。跡地には植生復元のための作業も行われているとのことです。[後日追記]
第3日目(11/5・帰路): 朝、越前大野市街の宿「俵屋旅館」をゆっくりと立ち、まず400年以上の伝統があるという七間通りの朝市などを見物した。それから「どうやって帰ろうか」と相談して、少し遠回りしてバスと電車の旅を楽しみながら帰宅の途につくことにした。
越前大野駅から再び九頭竜線に乗り、勝原駅を通過し、終点の九頭竜湖駅で下車。そこからバスで長良川鉄道の美濃白鳥駅へ向かう途中、九頭竜ダムのバス停で途中下車し、「九頭竜ダム展示館」を見学したり紅葉の山並を眺めたりして時間を過ごした。北西の方向、九頭竜湖の左奥に頭を出している荒島岳は、ここでも、奥越の名峰としての存在感をまざまざと見せつけていた。
* このあと再びバスに乗り、九頭竜ダムから白鳥へ出たのだが、その長良川鉄道の美濃白鳥駅前の食堂で食べた「スパゲッティ・ナポリタン」が感動的だった。昔の…、昭和40年代の味を彷彿とさせる(ケチャップがギタギタの)懐かしい味だったのだ。そしてなんと、かつては恒例の(今は絶えて久しい)グリーンピースまで添えてあったのだ。あまりにも美味し過ぎるスパゲッティだったので、実際、私達夫婦は思わずホロっとしてしまった…。
小荒島岳山頂から荒島岳を望む
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越前大野城から荒島岳を望む
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