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深田記念公園
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深田氏終焉の地
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茅ヶ岳の山頂
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深田久弥氏終焉の地を訪れる
《マイカー利用》 中央自動車道 韮崎I.C…大明神茅ヶ岳登山口(深田記念公園)〜女岩〜茅ヶ岳1704m〜金ヶ岳南峰〜金ヶ岳北峰1764m (往復) 【歩行時間:
5時間30分】
→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ
新宿へ向かう中央線の車窓から、虚ろな眼(まなこ)で山々の景色を眺めていると、小淵沢のあたりで左手に大きく見えていた八ヶ岳が、韮崎の近くになってもまだ同じ位置に見えているので、なんか変だな、と、長いことそう思ってきた。それが、じつは、後半の部分は茅ヶ岳(かやがたけ)を眺めていたのだと分かったのは、つい5〜6年前のことだった。数十年の間、騙され続けていたのだ。それ以降、この「にせ八ツ」の異名をもつ茅ヶ岳を面白そうな山だな、と思い続けてきた。しかもこの山は、あの「日本百名山」の著者・深田久弥さんが、山の仲間との登山中、昭和46年3月21日に、脳卒中で急逝された最後の山だと知ってからは尚更のこと、是が非でも登ってみたい山の一つになっていた。
その深田久弥さんを記念する小公園の少し手前の駐車場に車を停め、歩き出したのは午前7時30分。ここは既に標高約940メートル。佐知子のザックに付いているキーホルダーのバカチョン温度計によると、気温摂氏マイナス約8度。幸い微風だが、寒さはハンパじゃない。積雪の心配はなさそうなので、用意してきたアイゼンとスパッツは車の中に置いてきた。
女沢に沿って、アカマツ、コナラ、クヌギ、ミズナラ、リョウブなどの雑木林やヒノキとカラマツの植林地帯などを通り、なだらかで広い登山道を北へ歩くこと約1時間、急登にさしかかって間もなく、手袋をした手がようやく暖まってきた頃、本コース唯一の水場でもある女岩の休み場所へ着いた。巨岩の割れ目から沢山の氷柱(つらら)がぶらさがっていた。
女岩からゆっくりと40分ほども登ると稜線に出た。稜線の木々の隙間からは、右手に金峰山などの薄っすらと雪化粧した奥秩父の山々、左手には純白の山頂部を覗かせる南アルプスの峰々などが展望できる。左後方を振り返ると、逆光の富士山も見えている。2ヶ月ぶりの山行だったが、大成功だ。
稜線上の登山道脇に、深田久弥氏終焉の地を示す木柱は立っていた。花が数輪生けてあった。立ち止まって私達は丁寧に両手を合わせた。
人影の少ない茅ヶ岳の山頂1704mヘ着いたのは午前10時15分だった。気温摂氏マイナス約10度。北西の微風に頬をひきつらせながら、360度の展望を思う存分楽しんだ。
ここ(茅ヶ岳山頂)で引き返す計画だったのだけれど、眼前の金ヶ岳を見て、矢張り登ってみたくなり、標高差で約100メートルの、凍土と化した茅ヶ岳北面の急斜面を下った。金ヶ岳の南峰、北峰と、登り返しがけっこうきつかったが、片道1時間弱で標高1764mの金ヶ岳山頂(北峰)ヘ辿り着いた。眺望は茅ヶ岳に負けず劣らない。北の方向の八ヶ岳や北アルプスまでが、白装束に身を固めて、薄い雲の切れ間から見えだしてきた。気温も幾分上がってきたようだ。昼食の冷たい菓子パンをかじりながらの至福のひととき、山座同定。サーモスの熱いコーヒーが旨い。それにしても、金ヶ岳の方が茅ヶ岳より60メートルも高く、この山の盟主は金ヶ岳だと思われるのに、何故、この山を総称するとき茅ヶ岳というのだろうか。なんて佐知子とひそひそと話した。
のんびりと時間を過ごし、金ヶ岳の山頂を辞したのは午前11時50分。景色を楽しみながら休み休み往路を引き返す。山頂でも、下りの途中でも、枯れ枝に止まってまだ堅い木の芽でも突付いているのだろうか、忙しそうに飛び回っている小鳥を間近で見ることができた。囀っていないので、はっきりとした鳥名は分からないけれど、多分シジュウカラかその仲間だろうと思う。こんな寒い真冬にも、小鳥達は必死で生きているんだな、と思って、何だかしみじみとしてしまった。
深田記念公園へ戻ったのは午後3時15分。この日は一日中のスッキリとした快晴だった。
* 茅ヶ岳(かやがたけ): 茅ヶ岳は南の茅ヶ岳、北の金ヶ岳の2峰よりなり、複輝石安山岩と周辺の黒富士火山の角閃石英安山岩、黒富士火砕流に囲まれている。茅ヶ岳の東側は涌水も多いが、西側は少ない。内陸的気候で雨が少なく、乾燥した赤粘土質の酸性土壌のため、ススキ(カヤ)が全山麓を覆っているので、この名がついたとのことだ。[韮崎市・明野村・敷島町のパンフレットより要約]
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茅ヶ岳山頂からの展望
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眼前の金ヶ岳・左奥は八ヶ岳(北東面)
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繊細な美しさ・金峰山(北西面)
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ダイナミックな南アルプスの峰々(南西面)
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