それは怪しいほどの美しさだ!
美ヶ原高原ホテルをベースに、スノーシュー(西洋カンジキ)で大雪原を散策 《近ツリのバスツアー》
【歩行時間: 第1日=1時間30分 第2日=3時間】
→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(王ヶ頭)へ
「ガイド付き、初心者歓迎」、との宣伝文句に惹かれて、美ヶ原高原スノーハイキングのバスツアー(総勢18名)に参加してみた。当地は高い晴天率とのことだったが、この週末は生憎の悪天候で、日本百名山41座を見渡せるという山岳展望には恵まれなかった。
第1日目(2/24): 全国的に季節外れの暖かい一日で、なんと、現地は今年初めての「雨」だった。信州2月の標高2000メートル。一体誰が「雨」を予想しただろうか。おかげさまで、雨と霧のスノーハイクという貴重な体験をするハメになった。
初体験のスノーシュー(登山用)は思っていたより歩きやすく、ガイドの親切なレクチァーのおかげもあって快適だった。この日は約1時間半の足慣らし。しかし、何も見えない。どこをどう歩いたのか、さっぱり分からない。
夕方から雨は雪に変わった。
第2日目(2/25): 曇天だが雪は殆ど止み、霧も薄らいだ。朝食後、もう慣れたスノーシューで早速出発。今日の気温は平年並とかで、流石に寒い。頬の感覚がなくなってくる。
ホテル脇の雪上に、スズメより一回り大きいこげ茶色(よく観ると繊細な色合い)の小鳥が、チュッチュッと鳴きながら群れをなしていた。ホテルで餌付けをしているらしい。ハギマシコ(アトリ科:冬の渡り鳥)とのことだった。思いがけない小鳥たちの見送りに、つっぱっていた頬もゆるんできた。
「…その高さに、広さを加えると、まさに日本一かもしれない…(深田久弥)」 という美ヶ原のなだらかな台地が、白一色の大雪原となって眼前に広がる。まずは美ヶ原のシンボル、故山本翁を記念した「美しノ塔」を見物。さらに南へ向かって歩く。かつては放牧の牛馬に塩を与えたという「塩クレ場」の付近を通過する頃、霧の切れ目から王ヶ頭の鉄塔群が間近に見えてきた。この鉄塔群が案外サマになっていて、美しく景色に溶け込んでいる。王ヶ頭の鉄塔は、もうすでに「自然」の一部になっているのかもしれない…。時折日が射し込むと、ダイアモンドダストがキラキラと頭上を舞って、それは怪しいほどの美しさだ。
塩クレ場を少し過ぎた辺りで右へ大きく回りこみ、シラビソやダケカンバなどの樹林帯へ入る。ガイドから樹木の名前や動物の足跡(キツネとのことだった)のことなどを教えてもらう。樹木に張り付いた宝石のような霧氷が美しい。 「無雪期には決められたコースしか歩けないけれど、今はどこでも歩き放題ですよ」 というガイドの言葉に、妙に感心したりもした。
3時間ほどのスノーハイクだったが、美ヶ原の大雪原を充分に堪能できたと思う。しかし、これで百名山の一座を完登したとするには流石に気が引ける。登りを省略しているし、ピークの王ヶ頭は極めていないし、他人任せのバスツアーだし…。何時の日か、無雪期に、三城(さんじろ)牧場から王ヶ頭まで歩いて登ってみたい、と思った。
初夏の美ヶ原: この翌年、三城から山道を歩いて緑の美ヶ原を散策しました。(後日追記)
王ヶ頭を望む
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スノーシューで大雪原を散歩
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