「私達の山旅日記」ホームへ

西伊豆の山旅・第2日目
No.138 長九郎山996m
 平成14年5月4日 曇りのち雨


長九郎山 略図京丸シャクナゲが満開!

…雲見-《バス》-大沢温泉-《ヒッチ》-池代・長九郎登山口〜三方平の分岐点〜長九郎山〜八瀬峠〜大沢温泉(泊)… 【歩行時間: 5時間40分】
 → 国土地理院・地図閲覧サービスの該当ページへ

 * 第1日目(前日・5月3日)=田子の燈明ヶ崎遊歩道と雲見の烏帽子山
 * 第3日目(翌日・5月5日)=葛城山から発端丈山へ


  雲見(くもみ)の温泉民宿を午前8時に発ち、松崎でバスを乗り換えて、那賀川沿いの県道を溯り、大沢温泉口のバス停に着いたのは8時50分頃だった。 天気予報は曇りだが、チト気になる空模様。 幸い風はなく、青々とした緑は目に新鮮で、小鳥たちも元気にさえずっている。
  ソメイヨシノの並木道を過ぎ、池代(いけしろ)の長九郎登山口へ向かって暫らく歩いた処で、地元の軽トラックの老運転手に声を掛けられた。 「乗っていかないか」 とのこと。 勿論二つ返事でトラックの荷台に乗りこんだ。(これって交通違反?) ヤッタネ!と幸先の良い出だし。 大沢で合流した那賀川の支流・池代川に沿って、軽トラックは快調に…少しガタゴトして荷台にしっかりとつかまっていないと振り落とされそうになったが…約2Kmの道のりを走った。 今日は当地の釣り大会とのことで、渓流沿いでは大勢の釣り師たちが真剣に竿を振っている。
  笑顔のステキな老運転手に御礼を言って、池代の登山口から歩き出したのは午前9時20分。 池代川の更なる支流の持草川(もっそうがわ)を左に見て進む。 期せずしてヒッチハイクで時間を稼いでしまったが、ここはまだ標高約120メートル。 まだまだ先は長い。 照葉樹の天然林やスギ・ヒノキの植林地帯の、比較的ゆるやかな坂道を、林道と登山道を何回か交互しながら、休み休みゆっくりと登る。
自然林を往く
稜線のヒメシャラ

小雨の山頂
長九郎山の山頂

特に濃い色のシャクナゲ
京丸シャクナゲ
  池代林道は標高約500mの地点(二度目の登山道入口)で通行止めになっていた。 マイカーでここまで来たタウンシューズやサンダル履きのオバサンたちは、山頂部のシャクナゲに未練を残しながらシブシブと引き返していった。 「ザマぁ見ろ!」 と内心で思いながら、笑顔でオバサンたちを見送った。
  「ザマぁ見ろ」 と思った私達に天罰が下ったのか、稜線近くまで来て、とうとう雨が降り出した。 辺りは自然林。 天城山のそれと比べると幾分色艶の渋いヒメシャラが目立ち始める。 新緑のパステルカラーが鮮やかだ。 温暖で雨の多い伊豆。 樹幹にコケ類やシダ類が着生している様は大台ケ原のそれにも似て、神秘的だ。
  三方平の分岐点を左へ進んだ稜線上でブナの老木を発見。 標高1000メートルに満たない伊豆の山でブナの木に出会えるなんて、なんか感動だった。 でも、老木ばかりがチラホラで、若木は育っていないようだ。 矢張り温暖化の影響だろうか。
  雨のそぼ降る長九郎山山頂(*)の3等三角点にタッチしたのは12時55分だった。 群生するシャクナゲに囲まれて、傘を差しながらベンチで昼食。 案内板の説明によると「京丸シャクナゲ」となっていたが、これはアズマシャクナゲやアマギシャクナゲと同種のものであるらしい。 しかし、花は蕾ばかりで未だ殆ど咲いていない。
 「軽トラックの老運転手さんも“満開だ!”って言っていたのに、なんか変よね」 と佐知子が首を傾げている。 展望ヤグラの鉄製の螺旋階段を登ってもみたけれど、霧のため視界が悪く、眼下に緑の群落が薄ぼんやりと広がっているのみだった。
  山頂を辞し、八瀬峠を目差して西へ向かって稜線を暫らく歩くと、感動が待っていた。 なんと、こちらは京丸シャクナゲの大満開。 薄いピンクや濃いピンクの花(総体的にアズマシャクナゲよりは色は濃い)を、右に左に眺めながら、ただもうため息の連続。 来てみて良かった、と矢張り思った。 今年は季節の移り変わりが異常に早いが、そのおかげでGWに満開のシャクナゲを見ることができたのだ。 この辺りのシャクナゲやサラサドウダンは植栽されたもの、ということで少しつや消しだけれど、美しいものは美しいでいいんじゃないかとも思う。
  何時しか雨は止んで、八瀬峠を過ぎた頃から周囲の山々が見えてきた。 大野山の山腹を巻いて更に下ると、大沢温泉や松崎の街も見下ろせる。 下りは軽いアップダウンもあり、けっこう長かったけれど、新緑のトンネルを幾つもくぐったりして飽きなかった。 今日の宿「大沢荘」へ着いたのは午後4時10分頃だった。

* 長九郎山のシャクナゲについて :
● 長九郎山頂一帯(2.65ha)は昭和36年に国の学術参考保護林に指定されています。 林の樹冠は、ヒメシャラ、ブナ、モミなどによって造られ、中層には、イヌツゲ、アセビ、京丸シャクナゲ、チチブドウダン等が密生しています。 松崎町では、激減するアマギシャクナゲについて、平成17年1月20日に「長九郎山アマギシャクナゲ保護協議会」を設立し、今後有効な保護策を講じるための実態調査を行うことにしたそうです。 [後日追記]
● これも後日わかったのですが、アマギシャクナゲは標高800mくらいから頂上までに約2,000本自生しているもので、京丸シャクナゲは八瀬峠から山頂に向かって少し登ったところにある植栽したシャクナゲであるとのことです。 私達がその花を見て感動したのは(思った通り)京丸シャクナゲのほうで、アマギシャクナゲよりも花期が幾分早いようです。 [後日追記]
* 以上は「農林水産省関東農政局静岡農政事務所」や「松崎町役場」のHPを参考にしたものですが、不思議なことに、平成23年7月現在、それらの該当部分の記述は両HPからは削除されていました。

大沢温泉「大沢荘」 大沢温泉「大沢荘」: 松崎から東へ約5Kmの閑静な山間に位置する。 桜並木の池代川畔に老舗の大沢温泉ホテルと対峙するのが「大沢荘」。 宿の番頭さんは豊富な湯量をしきりに自慢していた。 石タイルの露天風呂とタイルの内湯。 重曹芒硝石膏泉、泉温59度(宿のパンフでは“49度前後”となっていた)。 「化粧の湯」とのことで、なめらかな湯だった。 食事は別室で、山・川・海の幸など、炭火の「囲炉り焼き」。 1泊2食付き一人16,000円だった。
  翌朝、上流へ向かって約700m、7時から入浴できるという河畔の露天風呂まで散歩してみた。 宿泊客以外は有料で400円(その後500円になったらしい)。 露天風呂の草分け的存在なんだそうだ。 野趣溢れる、ということで混浴だが、男女の入口は別々で浴槽には板のしきりがしてある。 そのしきり板の下が空いていて、覗いてみたら、佐知子の背中が少し見えていた…。
* その後、宿泊施設としての「大沢荘」は休館状態にあるようだ。 なんか…、さびしい感じがする。 大沢荘の日帰り入浴施設である「山の家」露天風呂は営業しているらしい。 [後日追記]

次項・葛城山から発端丈山(西伊豆の山旅・第3日目) へ続く



長九郎山の稜線にて
数少ないブナの木
ブナの老木
満開でした
シャクナゲの尾根道を下る
このページのトップへ↑
No.137「燈明ヶ崎と烏帽子山」へNo.139「葛城山から発端丈山」へ



ホームへ
ホームへ
ゆっくりと歩きましょう!