「私達の山旅日記」ホームへ

西伊豆の山旅・第1日目
No.137 燈明ヶ崎遊歩道(田子)烏帽子山(雲見)
平成14年(2002年)5月3日 晴れ

伊豆半島・略図
潮風が気持ちいい ♪

伊豆箱根鉄道線修善寺駅-《バス》-田子〜(燈明ヶ崎遊歩道)〜浮島〜堂ヶ島-《バス》-雲見〜長磯展望台〜烏帽子山163m〜雲見温泉(泊) 【歩行時間: 燈明ヶ崎遊歩道=約2時間 ・ 雲見の烏帽子山往復=約50分】

 * 第2日目(5月4日)=長九郎山
 * 第3日目(5月5日)=葛城山から発端丈山


田子燈明ヶ崎遊歩道

  修善寺から松崎行きの東海バスに乗り、田子のバス停に降り立ったのは午前10時15分。 ここは昔から鰹節の生産で有名な処。 海は青く穏やかで、潮風が肌に気持ちいい。 寝不足と宿酔いで絶不調の私だったが、妻の佐知子は何時ものように元気でルンルンしている。
燈明ヶ崎遊歩道
遊歩道へ入る
展望台より堂ヶ島方面を望む
燈明ヶ崎遊歩道より
  遊歩道への道標が見つからず、漁港の近くでウロウロしていたら、親切な漁師さんがかなり大雑把に道を教えてくれた。 思った通り、矢張りまた道を間違えて、期せずして田子の閑静な街並を見物してしまった。 スズメやカラスやツバメが忙しそうに鳴きながら飛び交っている。 何処かでトビも「ピ〜ヒョロロ」と鳴いている。
  二つある造船所の脇を通り抜けたその少し先が、燈明ヶ崎遊歩道の入口だった。 案内板の説明によると、正式には西伊豆歩道のなかの燈明ヶ崎コース(全長3.8Km)と呼ぶらしい。 西伊豆にはこの他にも海岸線に沿って沢山の遊歩道があるが、何時の日か全コースを通しで歩いてみたいと思った。
  霞んだ富士山や堂ヶ島などの海岸線の景色を楽しみながら、明るい山道を上り下りする。 林相は、マツやサクラも目立つけれど、ほとんどは照葉樹(常緑広葉樹)のようだ。 白い花をつけたトベラや備長炭の材料になるウバメガシなどの海辺の木々が群落をなしている。 足元にはツワブキやアシタバなど、これも温暖な磯特有の緑だ。 ムラサキカタバミがきれいに咲いている。 ウグイスやコジュケイが盛んに囀っている。 天空にはやはりトビが大きな輪を描いている。
  途中のあづまやでお弁当のおにぎりを食べたりして、静かで楽しいハイキングだったが、あっという間(休憩を含め約2時間)に、浮島の海岸線へ降り立ってしまった。 Pサンセットリゾート前の小さな入り江はスキューバーダイビングの若者たちであふれ返っていた。 奇岩景勝のこの浮島は温泉もある「堂ヶ島の離れ座敷」。 ひと風呂入りたかったけれど、ここは我慢して、アスファルト道を南へ約30分、堂ヶ島の船着場へ向かう。
  観光客でごった返す堂ヶ島の観光船発着所へ着いて唖然とした。 ここから雲見までは観光船で渡る予定だったのだけれど、なんと、その航路は既に廃止されているという。 やむなくソフトクリームのやけ食いをしながら、バスを待った。 この頃から私の胃袋と小腸はいよいよおかしくなりつつあった…。

雲見烏帽子山163m(浅間神社)

雲見浜より牛着岩を望む
雲見浜にて
烏帽子山頂から浅間神社を見下ろす
烏帽子山頂より
  雲見(くもみ)のバス停へ着いたのは午後2時半頃。 ここへ来たのは7年半ぶりだ。→No.7波勝崎遊歩道 まだたっぷりと時間はあるので、予約の温泉民宿にザックを預け、付近を散歩することにした。
  まず海岸線(雲見浜)へ出てみる。 小湾に浮かぶ牛着岩の彼方に富士山がぼんやりと見えている。 入り江の左端の長磯展望台まで足を運ぶ。 ここは「想い出岬」というステキな別名を持っている。 肩を寄せ合う若いカップルたちに、なんか、気おくれして、そそくさとその場を去り、宿の女将に勧められた浅間神社(烏帽子山)へ踵を返す。
  海中から垂直にそそり立つ標高163mの小山・烏帽子山は雲見のシンボル的存在。 山すそに浅間神社里宮、山頂に奥宮がある。 まず、横浜そごう…経営再建中の百貨店のあの「そごう」だ…の寄進によるコンクリートの鳥居を潜り、428段の石段を登る。 ウバメガシなどの照葉樹を観察しながら、更に山道を登る。 けっこうきつい。
  30〜40分の登りで山頂(浅間神社奥宮)へ出た。 ここの切り立った岩上の狭い展望台からの眺めがすごかった。 眼下の景色を北から時計回りに、奥宮の屋根越しの雲見浜、浜から山間へ向かって細長く延びる雲見の家並み、千貫門など波勝崎へ続く海岸線の島々、そして無限の海…。 富士山は未だ薄ぼんやりと見えていたけれど、残念なことに南アルプスなどの遠景は既に雲と霞の中だった。
  しかし、ここでついに私の小腸と大腸が大反乱を起こし始めた。 復路の下りは何も憶えていない。 周期的に襲い来る陣痛…私には陣痛の経験はないが多分こんなものだろう…に耐えながら、ひたすら下った。 “陣痛”の周期がいよいよ狭まり、もうダメだと思った時、麓のトイレへ辿りついた。 で、あぁ、スッキリした。 佐知子がしきりに笑っている。
  民宿だらけの小さな海辺の街、雲見の薬局で正露丸を買い求めた。 宿での夕食の頃には、私のゲリはもう殆ど治っていた。 正露丸って、とっても良く効く薬だと思った。 それにしても、同じようなものを食べたはずの佐知子の腹がなんともないのが、なんか不思議で腹立たしい。

*** コラム ***
雲見浅間神社の伝説

千貫門付近から烏帽子山を望む
烏帽子山163m
  烏帽子山の浅間神社の祭神は磐長姫命(いわながひめのみこと)で、富士山の木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)のお姉さんにあたるが、この姉妹の美醜にからむ嫉妬の伝説が面白い。
  美人の妹(富士山)に嫉妬した醜女の姉(烏帽子山)が、いじけて雲見に逃れ、小さな岩山にまつられたとか。 やさしい妹は姉を心配して背伸びをして捜したので益々背が高く美しくなったとか…。 江戸時代の国学者、本居宣長の古事記伝にも記されている有名な物語だそうだ。 今でも雲見の里人は、磐長姫命に遠慮して富士山へは登らないという。 烏帽子山が晴れる時は富士山が雲におおわれ、富士山が晴れる時は烏帽子山付近の天気が悪くなる、とか、烏帽子山で秀峰富士山を誉め賛えると振り落とされる、など、逸話も絶えない。
  この話は、実は自宅へ帰ってから宿でもらってきたパンフレットを読んで知ったのだが、幸か不幸か、私達夫婦が烏帽子山の頂上に立ったときは富士山は薄っすらとしか見えなくて、富士山の景色については何も会話をしなかった。 「振り落とされなくてよかったね」 と、私達は笑いながら話し合った。
 * この話と似たような言い伝えが、少し南の下田富士192mにもあるそうです。

烏帽子山頂から雲見の民宿街を望む
雲見の民宿街
烏帽子山山頂から撮影
雲見温泉「幸右衛門」: 雲見温泉は松崎五湯の一つ。 三浦(さんぽ)海岸の南端、烏帽子山の東麓、漁港近くに4軒の旅館と80軒近くの民宿が軒を連ねている。 所々の道端などにテングサが干してあったのが、いかにも雲見らしい。
  民宿「幸右衛門」は朴訥で優しいご夫婦が切り盛りをしていた。 風呂上りの夕方、小鳥の囀りに軒先を覗いてみると、御主人の指差す方向、間近の電線にイソヒヨドリのツガイが仲良く止まっていた。 メスはヒヨドリに似て地味な暗褐色斑だけれど、オスは渋く薄い青と赤茶のツートンカラーでなかなか美しい。 鳴声もヒヨドリのように下品ではない。 もっともイソヒヨドリはヒタキ科で、ヒヨドリ(ヒヨドリ科)と比較するほうがおかしいのかも…。
  泉質は含塩化土類、食塩泉。 無色透明で海水の味がした。 湯量は豊富のようだ。 一晩中浴槽からお湯が溢れている。 岩風呂とタイル風呂の二つがあり、何れもやや狭いが二人で浸かるには充分な広さだ。 食事を部屋まで運んでくれるのは嬉しかった。 地元の海で採れたイサキや伊勢海老などの魚介類は新鮮で美味しかった。 一泊二食付きで一人7,500円だが、私達は食事を少しグレードアップしたので一人10,000円。
  民宿「幸右衛門」のHP

  翌早朝、雲見の名所の一つ、千貫門(海辺の岩島)付近まで散歩してみた。 海岸線へ出て振り仰ぐと、絶壁の烏帽子山が、海面からタケノコのように屹立していた。

次項・長九郎山(西伊豆の山旅・第2日目) へ続く



海面からタケノコのように屹立していた・・・
千貫門付近の浜から烏帽子山を望む(翌朝撮影)

このページのトップへ↑
No.136「御前山(奥多摩)」へNo.138「長九郎山」へ



ホームへ
ホームへ
ゆっくりと歩きましょう!