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No.147 御正体山1682m
平成15年(2003年)1月11日 晴れ

御正体山・略図
道志山塊2日間の山旅 その1
私達だけの静かな御正体山

富士急行線都留市駅-《タクシー10分》-御正体入口・三輪神社〜林道終点〜峰宮〜御正体山〜白井平分岐〜林道〜白井平・御正橋バス停-《タクシー30分》-忍野温泉(泊)… 【歩行時間: 5時間40分(雪道)】
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  午前7時、新宿駅から「あずさ1号」に乗る。 大月駅で富士急行線に乗り換えて、各駅で5つ目の都留市駅で下車。 ホームで辺りを見回したけれど、登山姿の降車客は私達夫婦だけだった。
  駅前からいそいそとタクシーに乗る。 タクシー料金2,010円を支払って細野の三輪神社・御正体山登山口から林道を歩き出したのは8時45分。 ここ(三輪神社)は標高約645メートル。 佐知子の例のキーホルダーのバカチョン温度計によると気温摂氏マイナス約2度。 微風。 まぁまぁの空模様で、寒さは感じない。 木々の梢ではメジロが「チッチッ」と鳴いている。
  雪道の林道を暫らく歩くと、左手の杉木立の隙間から道志二十六夜山から今倉山に至る稜線が見えてきた。 2ヶ月ほど前に私が単独で歩いた山々だったので、早速そのときの自慢話などをしてみたのだが、佐知子はめずらしく真剣に聞いていた。 道志の山々の様子を少しでも多く頭に入れておきたかったのかも知れないけれど、厳冬期の今回の山行、はっきり云って、前回の無雪期のノウハウはちっとも参考にならない、と、私は内心思っていた。
数少ない展望箇所・峰宮跡の付近から撮影
登路から富士山を望む

山頂まであと一息だ
峰宮を通過

樹林に囲まれた山頂
御正体山山頂

御正橋から振り返って眺めた御正体山
御正橋から御正体山
  林道を30分ほど歩き、登山道の入口で6本爪の軽アイゼンを装着する。 今日の行程は、私達の山旅らしくないのだが、日も短いこととて時間的な余裕があまりない。 何時ものように長々と休憩したりメモを取ったり、モタモタとはしていられない。 サーモスの熱いコーヒーをキュッと飲んで直ぐスタートだ。
  仏ヶ沢を渡り、トラバースして尾根に出る。 雪の上のあちこちは、小動物の足跡や薄緑色のシカ(?)のフンなどで、けっこう賑やかだ。 踏み跡(トレース)はしっかりと残っていて、先ずは一安心。 しかし、予想以上の急勾配に口数は少なくなる。 アカマツ、ツガ、モミ、カラマツなどの樹林越しに、左手の今倉山、右手の三ツ峠山が大きい。 稜線上の長くきつい登りが尚も続く。 何時もは40〜50分歩いて15分の休憩を、今回は50分以上歩いて10分間の小休止。 なるべく汗をかかないように注意しながら、ペースを守る。
  やがてブナやミズナラが目立ち始める。 峰宮跡(鹿留林道コースとの分岐)で、雪の上にビニールシートを敷いて昼食の大休止。 コンロで暖めたレトルトのシチューが美味かった。 木々の間から大きな白銀の富士山が見えている。
  再び歩き出す。 平坦な道を少し進み、小さな石祠などのある現在の峰宮(峰神社)を通過。 ブナ林を更に40分ほども登って、雑交林に被われた御正体山の山頂に辿り着いたのは午後2時少し前だった。 山梨県の案内板の説明によると、この山頂部一帯は樹齢50〜200年のツガ、モミ、ハリモミ、ミズナラ、ブナなどの、自然状態が良好に保たれている代表的な地域である、とのことで、自然保存区域にも指定されているらしい。 半分雪に埋もれた赤い屋根の小さな木祠や1等三角点などを確認したりして、明るい日差しの広い山頂部をウロウロすること約20分間。 コガラが「チーチー」と鳴きながら、枝から枝へと飛び回っていた。
 下山路、現在位置の目安になる筈だった九合目とか七合目とかの標石は雪に埋まっていて、全然頼りにならない。 道標はあるのだが、大きく標記してあるのは「御正体山方面」と「今倉山・道坂峠方面」で、どこが(下山予定地の)白井平への分岐点なのか、注意していないと見過ごしてしまいそうだ。 じっさい私達は、白井平への稜線上の分岐を見過ごして、そのまま真っ直ぐになだらかな稜線を道坂峠方面へ向かいそうになった。 右下の急勾配(こちらが正解)に僅かに踏み跡があり、枝の赤テープも見えていたので、「待てよ?」 と思い、地図やガイドブックを読み直してみたり、辺りの地形を細かく観察してみたり、佐知子をその場に残して道坂峠方面へ暫らく歩いていってみたり、してみた。 そのうち佐知子が、道標の下部にごく小さく、まるでイタズラ書きのような「白井平」のかすれた文字を発見。 慎重に判断して、まずここが分岐点に間違いないだろう、と決心するのに随分と時間をかけてしまったけれど、安全登山の見地から、私達は私達自身を誉めてあげたい気持ちだ。
  急坂を下り切り、坂ノ沢沿いの御正体林道を歩き、白井平の御正橋に着いたのは午後4時10分、日の落ちる30分ほど前だった。 バスの便は都留市駅行き、富士吉田駅行きとも午後は各1便のみで、もうとっくに出てしまっている。 林道を歩きながら携帯電話で予約したタクシーが、ほぼ同タイムで到着。 車中からバカでかい富士山を眺めながら、山中湖畔を経由して、今日の宿「忍野温泉」に着いたのは4時40分頃。 タクシー料金は7,290円だった。

  御正体山はいい山だ。 辺りを睥睨するどっしりとしたカタチがとてもいい。 針・広混交の樹林帯もステキだし、何と云っても道志山塊の最高峰だ。 しかし、少なくとも私達の歩いたコース上には「開けた景色」はなかった。 やっとの思いで山頂に辿り着いても展望の「ご褒美」がないのは、矢張り少し寂しい気もする。 だからこそ、静かな山歩きを楽しめたのかもしれないけれど…。
  週末のこの日、歩き始めてから下山するまで、とうとう誰にも出会わなかった。 私達の御正体山は、私達二人だけの静かな山だった。

* 御正体山(みしょうたいやま)の山名について: 昔、この山に篭って修行した妙心、妙善、巨戒の三人の僧にちなんで三僧体(みそうたい)山といわれたのが、いつしか御正体山になったという。 山渓の「日本の山1000」によると、古文献には同名異字でたくさん載っている、とある。 挙げてみると、御正体山、御祖代山、御僧体山、三社台山、御相醍山、三僧大権現、三将台山、御招待山、三正体山、三将大山、美生台山、味生台山、禊台山、見潮台山など。 読み方もミショウダイ、ミショウタイ、ミソタイ。 これだけ異字があるということは、何かにつけ里の人との関わりが深かったという証拠であろう、と同書に述べられてあった。

翌日は鹿留山から杓子山へ



10:45am・まだ先は長い
登路にて
14:30・御正体山からの下り道
下山路にて

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