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麓は芽吹きの新緑
稜線は未だ冬枯れ
二十六夜山頂にて
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スミレが静かに咲いていました
JR中央本線大月駅-《タクシー35分》-道坂トンネル〜今倉山1470m〜赤岩(松山)1450m〜二十六夜山1297m〜戸沢・芭蕉月待ちの湯(入浴)-《無料送迎ワゴン車15分》-富士急行線赤坂駅 【歩行時間:
4時間10分】
→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ
今倉山から二十六夜山へのミニ縦走コースは、そこそこに変化があり、そこそこに展望もよく、林相もナカナカで、おまけに静かで…。そしてなお嬉しいことに、麓の下山地には日帰り温泉施設の「芭蕉月待ちの湯」が待っています。一年半前の秋に単独で初めてこのコースを歩いたときから、私は大変気に入ってしまって、スミレの咲く頃に是非もう一度歩いてみたい、とずっと思っていました。今回、「山歩会」の皆さんをお誘いして同コースをおさらいする機会を得ました。4月中旬にはめずらしい夏日で、もう暑いくらいの陽気の中、妻の佐知子も勿論参加して、何時ものように和気藹々と楽しい一日を過ごすことができました。
しかし、今回は何時ものデジカメを家に忘れてしまって、急遽レンズ付きフィルムを使ったので、思い通りの写真は撮ることができませんでした。野の花など、近寄って撮った写真は全部ピンボケで、小さな花などを撮るのには接写ができるカメラでないとウマくいかないようです。と、腕の悪さの言い訳になってしまいましたが…。
それじゃ遠景はうまく撮れたのかと云われそうですが、分厚い春霞のために真っ白な富士山は薄ぼんやりとしか見えず、くっきりとした山岳写真は撮れません。近くの道志の山々は優しい輪郭を見せていて、バカチョンカメラの写真向きではありませんでしたが、これはこれで心暖まるステキな景色でした。
山道の所々に可憐に咲いていたスミレは、その殆どはタチツボスミレでした。麓近くでつつましく咲いていたのはマメザクラで、その下向きの花の姿に思わず微笑んでしまいます。この落葉小高木のマメザクラは、富士山周辺に多いことからフジザクラの別名があります。スミレ類にしてもマメザクラにしても、それほどたくさん咲いているわけではなく、大袈裟でない自然な風で、それがかえって好ましく感じました。「山路きて
なにやらゆかし…」 の世界です。
* ぼんやりと歩いていると、後ろからメンバーたちの小さな叫び声。 「小鳥よ!」 「多分…、コガラだ!」 「Tamuさんの真上だ」 「そこじゃないってば。もっと近く…、目の前よ!」
ちょっと見上げて驚いた。なんと、1メートルも離れていないカラマツの枝に止まって、シジュウカラより一回りも小さな小鳥が、その新芽を盛んに突いているのだ。至近距離なので喉もとの黒い横長の(襟巻状の)模様もよく見て取れた。
「これはヒガラですよ。コガラに似ていますけれど」 と、私はその場でシジュウカラ科の見分け方を得意になって説明した。じつは最近、野鳥小図鑑で覚えたばかりだったのだ。
それにしても、そのヒガラは一向に逃げる気配がない。私たちの目の前の小枝から小枝へと飛び移り、もう夢中で木の芽を食べている。野山にたくさんいるシジュウカラ科の中ではいちばん小型の鳥で、マツ類やトウヒなどの背の高い木の枝先で生活しているため間近に姿を見る機会は少ない、と野鳥小図鑑には書いてある。こんな至近距離で長いことヒガラを観察できるのはめずらしいことだと思う。疲れの出始めた登路でのことだったが、私たちはその後一層仕合せな気持ちになれた。
この日は、待ち合わせに遅れて予定の電車に乗れなかった人や、乗り物酔いなどで体調不十分な人や、下山時に腿の筋肉が痙攣してしまった人など、めずらしく小アクシデントの続いた日でしたが、とりあえず全員無事に下山して、それはそれで、きっといい思い出になったと思います。「芭蕉月待ちの湯」で、風呂上がりに皆で笑いながら飲んだビールの味は最高でした。
このコースの詳細については、前項の 秋の道志二十六夜山 も参照してください。
芽吹きのカラマツ林を登る:ヒガラが盛んに飛び回っていました。
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