No.162 夜叉神峠と甘利山 平成15年(2003年)12月13日〜14日 ![]() ![]() |
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《甲府からレンタカー利用》第1日目(夜叉神峠)=JR中央本線甲府駅-《車45分》-夜叉神峠登山口―夜叉神峠(夜叉神荘)―夜叉神峠登山口-《車10分》-桃の木温泉 【歩行時間: 1時間40分】 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(夜叉神峠)へ 第2日目(甘利山)=桃の木温泉-《車40分》-甘利山駐車場―甘利山1731m―甘利山駐車場-《車45分》-甲府駅 【歩行時間:40分】 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(甘利山)へ 第1日目・夜叉神峠(やしゃじんとうげ)
正味1時間ほどで夜叉神峠に着く。展望が開け、雪を被った農鳥岳と間ノ岳が大唐松山の右後方に大きく見えている。高谷山方面への登山道を左に見送り、右手の夜叉神峠小屋へ最後のひと登り。小屋は閉鎖(年末年始は営業とのこと)されていたけれど、展望抜群の小屋前の広場には数組のパーティーがお昼の休憩をしていた。右端の北岳も加わって、そろい踏みの白峰三山を眺めながら、早速私たちの「大宴会」が始まった。 肉や野菜をたっぷりと使ったトーバンジャン入りのピリ辛ごった煮だ。缶ビールもたっぷり。おまけにAさんが担いできた一升瓶。コンロでお燗したら甘露甘露で、あっという間に、もうほとんどへべれけの状態。広場には何時しか誰もいなくなって私たちだけになってしまった。日も翳ってきて寒くなってきたけど気にしない。真冬の標高1770mの白昼の宴は続く。 風も出てきて流石に猛烈に寒くなってきて、白峰三山にも雲がかかり始めた。Hさんが 「あれは雪雲だぞ!」 と言っている。私を含めた残りの4人はそれをポカンと聞いていた。雪国育ちのHさんには、雪の降る雲かそうでない雲なのかがちょっと見ただけですぐに分かるらしい。それじゃそろそろ辞そうかと、ふと辺りを見回すと、私たちの他には誰もいないと思っていた小屋前広場の片隅で、単独行の娘さんがザックから取り出した小さなオニギリを食べている。声をかけてみると、薬師岳手前の南御室小屋までを日帰りで往復してきたのだという。娘さんの神がかり的な脚力に私たちは絶句してしまった。酔っ払いの変なオジサンたち、と思われるのもいやだったので、娘さんとの会話はそれっきりにして、私たちはそそくさと広場を去った。 夜叉神峠から高谷山1842mを往復(歩程約50分)する予定だったので、Hさんにお伺いを立てたら、うつろな目で 「行かないでいいんじゃないの」 の返事。リーダーのこの指示に異を唱える者はもちろん誰もいず、高谷山方面へ30メートルほども進んだ北岳も見える展望のよい処で景色のおさらいをして、「高谷山へは登ったことにしておこう」 と、のんびりと、千鳥足で、もと来た道を下山した。途中、ものすごい勢いでさっきの娘さんに追い越された。 何時の間にか本当に小雪が降りだしていた。 ![]() ![]() 部屋食の夕餉、再び宴会だ。Sさんが苦労して調達してきた「テルテル山岳会」のオリジナルTシャツを皆で批評しあったりして、楽しく親交を深めた。で、足よりも胃のほうが疲れた。 ![]()
第2日目・甘利山(あまりやま・1731m)
しかし、とりあえず、ということで、展望を楽しみながら、整備されたなだらかな雪道をゼイゼイいいながら登る。駐車場から20分ほどで、甘利山山頂の開けた丘に立つ。西面の景色も開け、間近の千頭星山(せんとうぼしやま・2139m)へ続く山並みが印象的だ。木製のテーブル付きベンチに腰掛けて、コンロで沸かした熱いコーヒーを啜りながら会話が弾む。 甘利山は、今では車道も完全舗装されて、6月下旬頃のレンゲツツジの花期などにはマイカーの観光客であふれかえるという。若い頃盛んに山歩きをしていたJさんは、昔、麓から歩いて甘利山から千頭星山へ登ったことがあるらしく、今昔の感を禁じえないようだった。確かに山登りの山としてはつまらないものになってしまったかもしれないけれど、誰もいない今日の甘利山は私たちだけのもの。勿体ないようなこの大展望を独り占め(五人占め?)にして、Jさんの気持ちもいくらかは和らいだかもしれない。 Sさんの運転するレンタカーのカローラで、甘利山駐車場から甲府へ向かって林道を下る途中、いかにも伝説の舞台となりそうな椹(さわら)池に立ち寄ってみた。池面には氷が張っていたので、はしゃぎながら、恐る恐る、その上を歩いた。バカ勇気のあるAさんはずいぶんと池の中央まで進んでいった。ところが間もなく、Aさんの足下からメリッと氷の割れる音が、池の淵にいた私の耳にもはっきりと聞こえた。間一髪、慌てて全員退却して、大笑いだった。 甲府駅前でレンタカーを降り、地元名物のホウトウが旨いという近くの和風食堂で「打ち上げ」をやってから、「あずさ」に乗り東京へ向かう。二日間の山風と「酒」にさらされてリフレッシュした私たちは、三々五々、師走の街へ帰っていった。 ![]() 甘利山の山頂にて このページのトップへ↑ ![]() ![]() ![]() ![]() ホームへ ![]() |