No.165 宮之浦岳1935m 前編 平成16年(2004年)5月1日〜5日 ![]() ![]() |
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第1日=羽田空港…鹿児島空港…屋久島空港-《バス50分》-尾之間温泉 第2日=尾之間温泉-《タクシー1時間弱》-淀川登山口〜淀川小屋 第3日=淀川小屋〜宮之浦岳〜新高塚小屋 第4日=新高塚小屋〜縄文杉〜辻峠〜白谷雲水峡-《タクシー》-永田いなか浜・送陽温泉 第5日=送陽温泉-《タクシーにて島内観光》-屋久島空港【歩行時間: 第2日=50分 第3日=7時間 第4日=6時間20分】 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ ●第1日目(5/1): GW5連休の初日とあって朝の羽田空港出発ロビーは大混雑。各便とも遅れが目立っていた。私達夫婦はパンパンに張り詰めた重たいザックを担いで、広いロビーのあっちこっちをウロウロ。飛行機に慣れていないので、何がなんだかよく分からない。なんとかザックを預けてから、とりあえず行列のできている最後尾に並んだ。やっとの思いで受付カウンターにたどり着いたら、私達の持っている搭乗券は自動機で手続きができる、とのこと。出発予定時間の1時間以上前に空港に着いていたのだが、なにやかやで滑り込みのセーフになってしまった。 鹿児島からは、洋上アルプスと呼ばれる屋久島をじっくりと眺めることのできる海路のほうがいいのは分かっていたのだが、一刻も早く現地に入りたくて空路を選んだ。Q400(双発機)で屋久島空港に着いたのは午後1時半頃、薄曇りで、思ったよりも涼しかった。
空港の食堂で腹ごしらえをしてから、栗生行きのバスに乗る。何処を走っても「平野」のない、海岸線からのいきなりの山岳風景に戸惑いながら、しかしワクワクしながら、私達の山旅は始まった。 尾之間(おのあいだ)温泉に着いたのは午後4時を回っていた。 * オオキンケイギク(大金鶏菊): 東京近郊でもよく見かけるようになったアメリカ原産の帰化植物。この2年後(H18年2月)、在来の植物に対して大きな影響を与えることから、外来生物法によって特定外来生物に指定されました。[後日追記]
![]() ロケーションは良い。庭園や部屋の窓からは岩峰のモッチョム岳940mが間近によく見えるし、南側を振り向けば、森林の彼方に奄美群島へ続く遙かな海面が見渡せる。夕食はトビウオの唐揚げなど美味しかったが、ご飯は、何時も私の田舎の美味しい米を食べているせいか、不味く感じた。2食付の宿泊料は一人8,000円からだが、私達は2階のトイレ付きの景色のよい部屋だったので10,000円だった。 ![]() ![]() 深めの湯船はセメント造りで、底に玉石が敷き詰められている。加熱などはしておらず、源泉に近いせいもあってか、熱めの湯だった。洗髪禁止とあったが、頭を洗わないと風呂に入った気のしない私にとっては大いに不満が残る。 地元の人から聞いた話だが、昔は宿泊もできたらしい。近隣の温泉宿からの苦情等により現在は日帰り入浴のみとのことだった。 入浴料は大人一人200円。 ●第2日目(5/2): 尾之間温泉でのんびりと朝湯に浸かり、予約のタクシーで宿を出たのは8時半頃だった。今日の予定は淀川(よどごう)登山口から淀川小屋までの、僅か50分足らずの勿体ないような歩程だ。じつは今日の昼過ぎ、知り合いの娘さんたち二人と淀川登山口で待ち合わせをしているのだ。偶然同じ時期に屋久島へ渡ることが分かって、それじゃいっしょに歩きましょう、ということになったのだ。持ち物の分担や待ち合わせ場所など、出発前に綿密に話合って準備した。搭乗した飛行機の時間の関係で、昨夜は鹿児島で一泊した彼女たちは、今朝、高速船トッピーで鹿児島港から宮之浦港へ向かっている筈だ。 さて、私達の乗ったタクシーは安房(あんぼう)から左折して坂道へ入る。運転手さんの計らいで、ヤクスギランド手前の「あさひ弁当」で昼食用のおにぎり弁当を520円で購入。再び車は快調に走り、紀元杉、川上杉を経て淀川登山口へ向かう。数年前に観光で島を訪れている佐知子はヤクスギランドや紀元杉を既に見ているので得意満面だ。私は初めて出逢った屋久杉の大きさや森の深さに驚きっぱなしだ。
スギなどの切株や落ちている木っ端を拾ってよく見ると、その濃密な年輪にびっくりしてしまう。温暖な気候なのに何故、と思うが、花崗岩からなる栄養の少ない土壌の影響だという。屋久島の植物は、ずっと、少しずつ、必死に生きているんだな。拾った木っ端を記念に持ち帰ってみようかしら、と思ったけれど、「世界遺産を盗んじゃコンプラィアンス違反だわよ!」 と佐知子に諭された。 未だ閑散としている淀川小屋前の広場にテントを張り、近くのきれいなせせらぎの水場を確認して、「あさひ弁当」のオニギリを食べたりして一段落してから、佐知子を残して、私は踵を返す。登山口には、着いたばかりのMちゃんとAちゃんが待っていた。若い娘さんたちのこぼれるような笑顔に、ほっと胸をなでおろす私だった。 夕方になると淀川小屋前の広場は6〜7張のテントでほぼ限界になっていた。定員40人の小屋を覗いてみるとこれまた満員で、立錐の余地もないほどだった。昨日今日が、多分、混雑のピークだと思われる。テントを持参したのは矢張り正解だったようだ。付近を散歩してみると、鬱蒼とした林の縁にはモミジイチゴに似た花が、下向きに可憐に咲いていた。 娘さんたちと車座になり、持参したカクテルのマテニーとボルドーの赤ワインを飲みながら、霜降りの和牛のステーキを食べたりして、標高1380mの、原生林に囲まれたゴージャスな夕べが過ぎていく。明日からはきつい行程の本格的な登山だ。未だ薄明るい頃、私たちは温かいシュラフに包まれて、もうぐっすりだった。 ![]() ![]()
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