No.169-1 白山2702m前編 平成16年(2004年)9月18日〜20日 ![]() ![]() |
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第1日=JR上野駅-《寝台特急》-金沢駅-《バス2時間》-別当出合〜中飯場〜甚之助避難小屋〜黒ボコ岩〜白山室堂 第2日=白山室堂〜御前峰2702m〜白山室堂〜黒ボコ岩〜慶松平〜指尾1418m〜六万山1260m〜市ノ瀬(白山温泉) 第3日=白山温泉-《宿の車15分》-白峰-《バス90分》-金沢【歩行時間: 第1日=3時間50分 第2日=6時間40分】 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ もう40年ほど前からずっと、北アルプスの稜線を歩く度に、その山岳風景の彼方にどっしりと鎮座する白山を眺めてきた。4年前の晩秋に越前の荒島岳を訪れたときも、雪を被った白山を眺めて悦に入ったものだ。深田久弥さんの言葉を借りるなら、それはまさしく「神々しいほどの美しさ…」だった。何時しか憧れにも似た想いを、私達夫婦は白山に抱いていた。 しかし、どうも私達は白山に嫌われているようだ。先々月の7月の三連休、新潟や福井などを襲った豪雨のため列車は運休となり、白山行きはキャンセルとなった。被災者の方々には大変申し訳ないが、物凄くガッカリしたのだ。満を持しての今回の再チャレンジだったのだが、どうも今回も天候が芳しくない…。 前夜(9/17): 上野駅23時03分発の寝台特急「北陸」に乗車。心わくわくのブルートレインだ。今回は個室(ソロ)を予約していたので、ちょっとリッチな気分。普通のB寝台(2段式4人部屋)と同じ料金というのが信じられないくらいだ。 列車は定時に走り出した。個室に備え付きの寝間着に着替え、とりあえず横になる。別室の佐知子はもう寝たかしら、などと思いながら車窓のブラインドを開けてみる。都会の夜景が横に走っている。大宮駅を過ぎた頃には、私はもう眠りに就いていた…。
白山比(しらやまひめ)神社(白山神社の本宮)のある鶴来(つるぎ)町を過ぎ、手取川に沿ってバスは快調に走る。この地域の7つの市町村は合併して、来年の2月からは白山市になるという。そういえば去年の4月には南アルプス市というのも誕生したっけ、などと思い出しながらウトウトしていたら、何時の間にか恐竜パークや温泉もある白峰(しらみね)村を通過していた。 登山口の別当出合(標高1250m)に着いたのは8時40分頃だった。手短に身づくろいをしてから、何時ものようにゆっくりと歩き出す。どんよりとした空模様。日本海に停滞する秋雨前線の動きが気になる。 左に観光新道を見送り、修復工事が終わって間もない別当出合吊り橋を渡り、室堂への最短コース、砂防新道へ入る。歩き出して暫らくの区間、沿道のノコンギク(ヨメナかも?)の小群落が、まず、私達を出迎えてくれた。里山でよく目にするこの花をここで見て、私達は意外な発見でもしたかのように喜んだ。 ブナの混ざる林を更に登り進むと、道筋にはミヤマアキノキリンソウ(コガネギク)やミヤマコゴメグサが咲いている。タテヤマアザミの花期は終わりかけていたけれど、ハクサントリカブトは鮮やかな濃紫の花をつけていた。ツリガネニンジンも、数は少ないが淡紫色に咲いている。流石に花の山だ、と思った。初秋には初秋の花たちが、しっかりと咲いている。 何時の間にかダケカンバやオオシラビソが目立つようになっている。まぁるい葉っぱの木はヤマハンノキだろうか。それらの樹林の切れ間からは、右手に甚之助谷、左手には崩壊箇所のある別当谷が見え隠れしている。「人の手」が大量に加わったと思われる砂防堰堤の段々が、痛々しい。 登山道はイヤになるくらい整備されている。この日は登山道を修復している多くの工事関係の方たちと数ヶ所で出会ったが、さもありなんと思った。 「ご苦労様です」 と、一体何十回声を掛けたことか…。 昼食の大休止を含めて3回の休憩で黒ボコ岩へ出た。いくつかある大岩のひとつには白山をこよなく愛した玉井敬泉画伯のレリーフが埋め込まれている。ここは観光新道との合流地点でもあり、今日の宿泊地の室堂平とは目と鼻の距離だ。しかしこの頃から深い霧が立ち込めて、視界は閉ざされてしまった。何にも見えない灰色の弥陀ヶ原をテクテクと横切る。 ふと見上げると、前方に白山本峰の稜線が見えた、と思った。 「あれが、多分、御前峰だよ。右側のピークが別山だよ」 と、足を止めて佐知子に云った。佐知子も歩くのをやめて、不思議そうにその景色に見入っていた。しかし、それは私の大失言だった。数メートルも進むと、目の前に建物の玄関があった。御前峰だと思ったのは白山室堂ビジターセンターの鈍角三角形の屋根で、別山だと思ったのは右手前に張り出した食堂の屋根(妻)だった。濃霧の悪戯による目の錯覚だったのだ。暫し二人して笑いこけていたら、大粒の雨が降ってきた。慌てて建物の中へ入る。時計を見ると午後1時50分だった。 道が歩きやすかったせいかな、霧で景色が見えないせいかな、室堂の建物が立派すぎるからなのかな、なんか、「山」に来た気がしない。デパートで、エスカレーターと階段を乗り継いで屋上に辿り着いたような、そんな感じだった。 * 白山室堂(むろどう): 標高2450mの室堂平に建つ、750人収容の大規模な山小屋。正面のビジターセンターに受付や食堂がある。石川県の公共施設でもあるようだが、実際は(財)白山観光協会が仕切っているようだ。 受付けが終わると、感じの良いアルバイトの青年が、離れて建つ宿泊棟へ案内してくれた。この日は1階部屋の1畳に一人、ゆっくりとくつろげた。中2階の部屋は全く使われておらず、全体的にはかなり空いていたようだ。 [ 5/1〜10/15営業。1泊2食付7,700円。要予約。 ]
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