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No.266 古峰ヶ原(こぶがはら)
平成21年(2009年)10月27日 台風一過 マイカー利用

古峰ヶ原 略図
急坂が続く
三枚石新道を上る

開けた空間の芝生の広場
金剛山奥之院と三枚石

関東ふれあいの道を下る
リョウブの純林

前方に古峰ヶ原ヒュッテ・・・
古峰ヶ原峠

天狗の面の石像
古峯神社入口にて


落ち葉が道を隠して・・・

《マイカー利用》 …東北自動車道・鹿沼I.C-《車45分》-古峯神社・大駐車場〜三枚石新道入口〜五枚石〜三枚石(金剛山奥之院)〜(三角点1378m)〜古峰ヶ原峠〜古峯神社-《車40分》-鹿沼温泉「華ゆらり」(入浴)-《車15分》-鹿沼I.C… 【歩行時間: 4時間20分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


  台風一過の朝、渋滞の始まる直前の首都高から東北自動車道へ入る。 くっきりとした青空が広がり、期待感も広がる。 本日のターゲットは「関東百名山(山と渓谷社)」を読んで初めて知った足尾山地・前日光の古峰ヶ原だ。 日光開山の祖・勝道上人(しょうどうしょうにん)が修行した地であるらしい。 山名ではないのに“…名山”の一峰に連座しているのが奇異に思えたし、「こぶがはら」という読み方にも興味をそそられた。 いつか必ず行ってみようね、と妻の佐知子と常々話し合っていた「山」でもある。 時あたかも紅葉の真っ盛り、のはずだ…。
  鹿沼インターで降り、カーナビのアナウンスに従って大芦川に沿った古峰街道を北西へ進む。 銅製としては日本最大級という鳥居(一の鳥居)をくぐると、間もなく左手に金剛山瑞峯寺、さらに進むと右手に古峯(ふるみね)神社の鳥居も見えてくる。 少し先の左側にバカ広い駐車場があり、そこにぽつんと車を停める。 身支度を整えて、歩き始めたのは午前9時頃だった。
  アスファルトを暫く進み、道標に従って左折して静かな「三枚石新道」へ入る。 沢を転石で渡ってからが急登だ。 ヒノキの人工林から徐々に天然林・自然林へと移行する。 アカマツやモミなどの常緑針葉樹も交ざるけれど、そのほとんどはミズナラ、リョウブ、クリ、ヤマザクラ、ハリギリ、ホオ、ネジキ、ナツツバキ、ダケカンバ、ハンノキ類、カエデ類、ツツジ類などの落葉樹の雑木林だ。 初夏のその花期にはアカヤシオの美しい森でもあるらしい。 林床の所々には葉縁が白くなり始めた背の低いミヤコザサが茂っている。 少し開けた林下ではコアジサイが黄色くなり始めた葉を輝かせて群落していたが、可愛らしい実をつけているものもあり、これは見ごたえがあった。 しかし…、主役の高木たちの紅葉がイマイチなのが気になる。
 「昨日から今朝にかけての台風20号のせいかしら…?」 と佐知子が呟いた。 なるほどよく見ると、まだ緑を残している葉は枝についているが、紅や黄の色鮮やかな葉は殆ど落ち葉になってしまっている。 「そぉかぁ…、台風のせいかぁ…」 と私のトーンも落ち気味だ。
  岩っぽい処(五枚石?)を通過する辺りまでは確かに「登山道」を歩いていたのだが、苔生したゴロ岩やその下を流れる瀬音にうっとりとしていたせいか、辺りの樹木を観察したりしてよそ見をしていたせいか、一面の落ち葉で道筋が分かりづらかったせいか、いつしか目印の赤テープも途絶え、踏み跡も途絶え、稜線の手前でとうとう道が分からなくなった。
 「ちょっと、今歩いているの、これって道?」 と佐知子が後ろから声を掛ける。
 「う〜ん、やっぱし道を外したかなぁ。あははは・・・」 と私が答える。 実はずっと「やばい!」と思っていたのだ。 この森は道がなくてもけっこう簡単に歩けてしまうのだ。
  ここで2万5千分の1地形図とコンパスを取り出して緊急夫婦会議を開く。 西の方向に稜線の高まりが樹林の隙間から見えている。 南へ向かって歩いていなければならないのにずいぶんと西へ向かっている。 やっぱり変だ。 こういうとき(道に迷ったとき)は、ほんとうは来た道を戻るのがセオリーなんだけれど、それもシャクなので、少し角度を変えて左方向へトラバースしてみようということになった。 そして足元に注意しながら暫く進むと、(幸運にも)ようやく「道」を見つけた。 早い時期に結果オーライとなったが、そろそろ引き返そうかと思っていた矢先だったので、ほっとして嬉しかった。 なだらかになった登山道を進み、明るく開けた修験道の霊地・三枚石に着いたのはそれから間もなくだった。
  なるほど三枚の大石が積み重なったように見える三枚石の左側には、その大石の一部を飲み込むようにして金剛山奥之院の社が建っている。 傍らには環境省と栃木県の立派な説明板があり、その謂れなどが書かれてある。 私達は井戸湿原方面から歩いてきたという先着の中年夫婦と言葉を交わしてから、その少し離れた枯芝の上に同じようにビニールシートを敷いて、昼食のおにぎりをほおばった。
  三枚石からは井戸湿原から続く「関東ふれあいの道」を北へ進む。 この尾根道は「高原と牧場のみち」というネーミングもあるようだ。 少し進んだ辺りが古峰ヶ原高原の最高地点で3等三角点1378mがあるはずだが、どうやら道筋にはないらしく、(多分)左手のピークにあるんじゃないかなと思った。 ちょっとヤブっぽい処だったし、私達は三角点ハンターでもないので、佐知子と顔を見合わせて、あうんの呼吸であっさりと通過した。 この辺りの樹高は低く、株立ち状のリョウブが特に目立った。 前方の樹林の隙間からは男体山や女峰山などの日光連山が見え隠れしている。 道幅の広いのはいいのだが、大雑把な間隔の丸太階段は少々歩きづらい。
  下るに従ってそれらの山岳展望が近くの山々に沈み、辺りの樹高も段々と高くなる。 二つめの鳥居をくぐるとツツジ類の多い古峰ヶ原峠へ出て、そこの東屋でも休憩した。 舗装路脇に数台の車が駐車している。 こじんまりとした湿原(古峰ヶ原湿原)が広がり、開放的なよい処だ。 3年前に例の事件のあった小さな避難小屋(古峰ヶ原ヒュッテ)も間近に見えている…。 ここからは道標に従ってショートカットコースへ入り、途中からアスファルトに合流して、尚ひたすら下る。
  古峯神社の大駐車場に下山したのは午後2時40分頃だった。 まだ時間がたっぷりとあったので、ザックを車に置いてから、古峯神社を参拝したり、その奥にある広大な廻遊式日本庭園「古峯園(こほうえん・入園料300円)」を見て回ったりした。
  累積標高差約700mの今回の周遊コースは、展望にはあまり恵まれないが、森林浴を兼ねた手ごろなボリュームのハイキングルートだと思う。 特に上りに歩いた三枚石新道は、私達は油断によるロストコースという大失態をしてしまったが、なかなか趣のあるよい登山道だった。 この登山道入口の案内板には「健脚者にかぎる」と書いてあったが…、“軟弱”な私達夫婦の感想としても、それほどきついとは感じなかった…。

* 三枚石[環境省と栃木県の説明板を転記] 『三枚石(さんまいせき)の名前は、石が三枚重なっているように見えるところから付けられたといわれていますが、元来、この石の下で、日光開山の祖である勝道上人が座禅修行したことから、「三昧石」とも呼ばれています。文献によると、この地で修行したのは西暦757年と記されています。これは奈良県にある東大寺大仏開眼の5年後にあたります。窟屋の中には金剛童子(不動明王)が祀られています。』
* 横根山の岩海…の一部?: 私達が道に迷いそうになった岩っぽい森…苔生したゴロ岩やその下を流れる瀬音にうっとりとしていた辺り…は、もしかして「横根山の岩海」の一部かもしれない。横根山や井戸湿原はこの三枚石や五枚石から南東へ直線距離で3Km〜4Kmの距離に位置するが、その周辺に散らばる花崗岩の巨石が重なる景観を「岩海(がんかい)」と呼んでいるらしい。
 横根山の岩海は、氷河時代の地形変化を現代に残し、過去の気候変化を現代に伝える貴重な自然遺産であるとして、平成23年1月に鹿沼市の天然記念物に指定されました。[後日追記]

ウェルサンピア栃木・鹿沼温泉「華ゆらり」 鹿沼温泉「華ゆらり」: 古峰ヶ原登山の帰路に立ち寄ったのが栃木県鹿沼市にある栃木厚生年金休暇センター「ウェルサンピア栃木」だった。 鹿沼I.Cからは15分足らずの距離で、その一角にこの温泉入浴施設「華ゆらり」がある。 広く明るい浴室で、各種の内湯や露天風呂等、設備も整っている。 泉質はアルカリ性単純泉で、湧出量・毎分94.3Lの透明な湯が浴槽から常に流れ落ちている。 非常に気分のよい風呂だった。 レストランや休憩室、マッサージ処もある。 営業時間は10:00〜22:00。入浴料は500円。 前日光などの山行後には超お勧めだ。
  鹿沼温泉「華ゆらり」のHP



台風一過の山の秋 (画像をクリックすると大きな写真がご覧になれます)
「三枚石新道」を上る
山腹は辛うじて紅葉・・・
「高原と牧場のみち」を下る
山稜は既に冬枯れの・・・
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