No.303 烏帽子岳1182m(西上州) 平成24年(2012年)12月25日 |
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→ 国土地理院・地図閲覧サービスの該当ページへ カーナビに従って群馬県の下仁田から県道45号線→県道93号線と西進し、雨沢バス停のある分岐を左折して御荷鉾林道へ入る。前方にチラッチラッと尖がった岩峰が見え隠れする。あれがもしかして烏帽子岳? と助手席のT君が話しかける。それ(烏帽子岳)を確かめる間もなく、平成14年5月に完成したという大仁田ダムのすぐ近くを通り過ぎ、しーんとしたシボッ沢の烏帽子岳登山口に到着した。トイレはないが、10台以上は楽に停まれそうな立派な駐車場だ。上信越自動車道の下仁田I.Cからは約40分のドライブだった。 靴を履き替えてから、軽くストレッチして、南へ向かう山道へ足を踏み入れたのは9時頃だった。クリスマスの寒い朝だが、積雪の心配はなさそうで、ひとまずほっとする。10分も歩くと体が温まってきて、登山道は私たちをシボッ沢の左俣へ導く。最初のうちは思ったよりも歩きやすい。辺りはミズナラ、トチノキ、ホオノキ、ハリギリ、ハウチワカエデ、イヌシデ、アカシデ…などの心休まる自然林だ。赤テープなどの道標もしっかりしているようだ。 1時間以上は歩いただろうか。二俣の分岐があるはずだが、それを見過ごしてしまったらしい。何時の間にか傾斜が増し、ロープ場も出てくる。どうやら右側の沢道(マル経由の左回り)を登っているようだ。当初は傾斜のきついと思われる左側の沢道(右回り)を上りに使う予定だったのだが…。まぁ、今回の予定は周回コースだから、どちら廻りでもいいよね、と妥協を求めあう私たちだった。妥協したりあきらめたりすることに関しては、私たちは学生時代から意見がよく合う。 郡界尾根に出て、稜線を左へ進む。ブナ、ミズナラ、リョウブ、ツガ、ツツジ類…と山稜の代表的な樹種が目立ってきて、それらの木々の隙間から近隣の山々が見えている。わくわくしながらひと登りすると、そこがマルのこじんまりとした山頂だった。樹林に囲まれていて展望は殆ど無く、山頂標識も樹幹に括りつけられたメモ程度の頼りないものだったが、ひっそりとした(私好みの)いい感じの空間だ。国土地理院の地形図では山名注記のない山で、標高についても判然としないが、2万5千図の等高線を読むと凡そ1220m(+α)くらいだろうか、今回のコース中での最高峰だ。 マルの山頂から北側へいったん下る。前方の眼下にニョキッと突き出た大きな岩峰が近づいてくるが、これが烏帽子岳1182mだ。あんなに急峻な岩場をいったいどうやって登るんだろう? 登れるんだろうか? 登れるはずがない! と後ろを歩いているT君がうるさい。しかし、私も拍子抜けしたほどで、コル(鞍部)から登り返すと、ロープ場もあるけれど、案外あっけなく烏帽子岳の天辺に着いてしまった。 周囲が切れ落ちている烏帽子岳の狭い天辺は、もちろん1点360度の大展望だ。浅間山や上毛三山や近くの御座山や西上州の山々などがくっきりと見えている。遠くの八ヶ岳や北アルプスの方面には薄雲が出てしまっていたが、谷川連峰や日光連山などは純白に輝いていた。じっくりと小1時間、登山地図を広げて山座同定をしたり、もっともっと遠くにある(見えない)山々に想いを馳せたり、早目の弁当を食べたりサーモスの熱いコーヒーを飲んだり、風下に向かってスリルの放尿をしたり…、静かで楽しい時間をまったりと過ごした。 マルとのコルに戻って、道標に従って右折して、ドロ壁の急坂をトラロープを頼りに下る。しかしこの急坂もそれほど長くは続かず、30分ほどで、上りには見過ごしてしまった二俣を通過した。ここには道標がないので、しかも上りのときには下を向いて歩いていたから、ここが分岐だとは気がつかなかったんだね。赤テープがあっちとこっち(2方向)にあるので、それで分岐と確認するしかなかったんだね。と反省する私たちだった。 二俣からは来た道を下り、登山口の駐車場に戻り着いたのは午後2時頃。とうとう誰にも出会わない、静かな烏帽子岳登山だった。 事故渋滞の帰路の車中、どちらからともなく話しかけた、その会話の内容。 「今回の山行、山を歩いている時間より家から登山口までの時間のほうが全然長いねぇ。もっと近くに、同じくらいにいい山はたくさんあるだろうに…」 「“山のあなたの空遠く 幸い住むと人のいう…” じゃぁないけれど、あの山よりももっと遠くに行けばもっといい山に出逢えるはずだ、と思ってしまうのは、これはやっぱり人情だよね…」 「北海道の観光案内所では九州の、九州では北海道の、旅行ツアーのチラシが多いのと同じだね」 「青い鳥はやっぱり、意外と近くにいるのかも…、う〜ん、かなぁ…」 * 烏帽子岳登山のコース取りについては、東側の天狗岩→シラケ山からの縦走がトレンドのようですが、今回の私たちは北側のシボッ沢登山口からのマルを経由した周回コースで、コースタイム(昭文社)は2時間40分の半日コースです。急坂が多く、備え付けのロープに頼る箇所が多かったですが、変化があって面白かったです。新緑のころはもっとよさそうです。ちなみに、今回の歩行時間を計算すると約3時間20分で、私たちとしては、まぁ、がんばったほうだと思います。(^_^;) 「こだま温泉」: 埼玉県本庄市の、所謂スーパー銭湯。ゆったりとした広い館内もいいが、微かにしょっぱい味のする湯も(外湯も内湯も)けっこういい。泉質はナトリウム-塩化物温泉(弱アルカリ性高張性温泉)。関越自動車道の本庄児玉I.Cから近いので、この方面の山行後に立ち寄るには便利だ。入浴料が時間フリーで600円というのも納得の料金だ。 * この後、入館料については少し値上げしたようです。[後日追記] 「こだま温泉」のHP
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