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No.304 兜山から積翠寺温泉
平成25年2月14日 晴れたり・・・曇ったり

兜山・略図
ブドウ畑の頭上に・・・
春日居町から兜山を望む

雲の上に神々しく・・・
登路から富士山を望む

この構図、最近ちょっとマンネリかも (^_^;)
兜山の山頂でメロンパン

レトロな感じがいいなぁ・・・
マツダランプのホウロウ看板

ここもひっそりとしていました
岩堂峠を通過

何故か「賀正」と書かれた貼紙が・・・
深草観音:岩窟の内部


僕のうしろに道はできる…

JR中央本線春日居町駅-[20分]-岩下温泉-[12分]-夕狩沢古戦場の解説板-[16分]-花火工場(山内煙火店)の脇・登山口-[65分]-兜山913m-[22分]-990m峰-[22分]-林道-[27分]-岩堂峠-[15分]-深草観音-[32分]-積翠寺-[6分]-積翠寺温泉(要害)-《送迎バス15分》-甲府駅 【歩行時間: 4時間30分 (山稜は雪道・約30分のロスタイムを含む)
 → 国土地理院・地図閲覧サービスの該当ページへ


  使用期限の迫った“東京-甲府”のあずさ回数券が2枚残っている。 これを使って(単独・日帰りで)行ける山をさがした。 条件は、今迄に行ったことのない山域で、下山地に温泉があることだ。 そして、ようやく見つけたのが兜山(かぶとやま・913m)〜積翠寺温泉のトレイルだった。 参考にしたガイドブックは「ブルーガイドハイカー・いで湯を楽しむ100山・関東近辺(実業之日本社)」で、該当項(兜山)の執筆者は岩崎元郎さんだ。
  2万5千図のコピーをザックのポケットに入れたが、兜山の登山道はその表示がなく、ちょっと不安だ。

  新宿発7時30分の「あずさ3号」に乗り、塩山で普通列車に乗り換えて3駅目、閑静な春日居町駅に着いたのは9時9分だった。 ホームからは北西方向の正面にずんぐりとした兜山が、見ようによっては兜の形に見えなくもない、個性のある山容を見せている。
  アプローチの里道は右に左に枝分かれしていて、(見損なったものか)道標もないので、進むべき方向を失いがちだ。 しかし、ブドウ畑の頭上にそびえる兜山に向かって歩けばよいのだから、案外と簡単だ。 すれ違った地元の方に道を尋ねたりして、県下最古の温泉・岩下温泉の脇を通り過ぎ、さらにアスファルトをだらだらと登る。 小川(西平等川)を渡ると夕狩沢古戦場の解説板が立っていて、近くには青色の「流しそうめん」の看板があり、よく見るとその端っこに小さな字で「←兜山入口」と書かれてある。 結果オーライの好調な出だしだ。
  花火工場(山内煙火店)の左脇を少し進んだ処が兜山・岩場コースの登山口だった。 山道を暫く登るともう汗びっしょり。 一休みしてセーターを脱ぐと、山の冷気が肌に気持ちよい。 辺りの高木はコナラ、クヌギ、ヤマザクラ、アカマツなど…、いわゆる雑木林だ。 サクサクと落ち葉を踏みしめる音も耳に心地よい。 …やがていつの間にか尾根伝いを歩いている。
  岩っぽくなってきてクサリ場も出てくるが、岩場と云うよりはどちらかと云うと泥壁だ。 振り返ると南面が開けていて、眼下のゴルフ場(春日居G.C)が案外ときれい。 そして、甲府盆地東部を挟んだ御坂山塊の頭上には富士山が薄ぼんやりと、雲の上に神々しく輝いている。 一昨日に降ったと思われる雪の名残りが、徐々に目立ってくる。 少なくともこの2日間は誰もこの山道を歩いていないようだ。 雪上の踏み跡がない。 嬉しいような恐いような…。
  「山梨100名山」と書かれた山頂標識と、木製のベンチと、3等三角点の標石のある、兜山の山頂についたのは11時20分頃だった。 木々に囲まれていて展望は殆ど無いが、ひっそりとしてこじんまりとした、私好みの山頂だ。 メロンパンなどを食べたり、サーモスの熱いコーヒーを飲んだり、至福のひとときをまったりと過ごす。
  それから、アカマツの目立つ山稜を北西へ向かってさらに進む。 兜山の北側なので一段と残雪が多くなってくる。 積雪はせいぜい10cmほどなのだが、踏み跡がないので道型が頼りだ。 「僕の前に道はない…僕のうしろに道はできる!」 と、高村光太郎を気取って歩いていたら、人間の子供靴と思われる足跡が点々と続いている。 「なんか変だなぁ〜」 と思いながらも、そのトレースを頼りに進んでいたらヤブっぽくなってきた。 胸ポケットからメガネを取り出して、よくよくその足跡を見てみたら、シカの足跡が少し融けて、まるで子供の靴跡みたいに見えていたのだった。 あぶない、危ない。 とにかく、少しでも「変…」と感じたら後戻りするに限る。
  登り返すと岩ゴロのピーク(無名峰=990m峰)で、本コースの最高峰だ。 ここからの下り道を覗きこむとけっこうな急勾配で、流石に私も観念して、ここで6本爪のアイゼンを装着した。 バージンスノーを踏みしめ“新雪のトレース切り”をして、自分の後ろにだけ足跡が残るってとてもいい気分だ。 でも、柔らかい雪なのでアイゼンの底に張り付いて団子状になってしまい、かえって歩きづらく鬱陶しい。 幾分傾斜が緩んでくると、早々にアイゼンを外した。
  990m峰から20分ほど下ると、山梨森林管理事務所の小型車が停まっている林道へひょいと出た。 一帯はスギ・ヒノキの人工林だ。 先入観でその林道を左へ下ったが、これが私の大勘違いだった。 「岩堂峠ハイキングコース」と書かれた看板(マツダランプのホウロウ看板…相当古い)があって、その矢印は反対側(右手の北西方向)を指しているのだが、信念をもって勘違いをしている私は動じない。 15分間ほど林道を下ってしまった処で、どう考えてもこれはおかしいと(ようやく)感じた。 地図とコンパスをじっと見る。 このまま下ると春日居G.Cを経由して振り出しの春日居町に戻ってしまう…。 道標には素直に従うものだ、とつくづくと悟った。 このロスタイムというかアルバイトというか、は約30分だった。 林道を戻って更に少し進むと、左側に目指す岩堂峠方面の山道が分岐していた。
  岩堂峠まで、カラマツ林も通ったりしてゆるやかに登り、そこから深草観音へ下る。 相変わらず静かな雪道で、私の前に踏み跡はない。
  コース上にある深草観音(=岩堂観音)について、ガイドブックには「一見の価値はある。不思議な光景を目に入れられる。」と書いてあったので、ここはじっくりと観光した。 “高い岩壁を穿ってつくられた”という観音堂であるらしいが、足元に石灯籠や石仏や石碑などが立ち並ぶ、確かに不可思議な空間だ。 右脇からクサリのついた“巻き道”もあるのだが、意を決して(3点確保が必要な)古びて長い鉄梯子を上ってみる。 と、その最上部は間口2〜3メートルほどの岩窟(岩堂)になっていて、酒や餅などが供えられてある。 何故か「賀正」と書かれた張り紙もしてあったが、いくらなんでもこれは季節外れだろう。 今日はもうバレンタインデーなのだ。 恐い思いをした割には、なんか拍子抜けしたような…。 →旧正月?…だったかも…。(^_^;)
  深草観音から25分ほど下ると里のアスファルトへ出て、雪も完全に消えてほっとする。 武田家ゆかりの積翠寺の門前を通り、要害山(要害城)の麓に位置する「積翠寺温泉・要害」に着いたのは午後2時50分頃だった。 脱コースした割には予定通りの下山タイムで、不安に感じていた体力だったが、少し自信を取り戻した。
  今回のトレイルは変化があって面白かったが、展望箇所が少ないのが残念だと思った。

積翠寺温泉・要害 積翠寺温泉「要害」: いわゆる「信玄の隠し湯」のひとつ。 北側に離れて建つ「古湯坊」とともに積翠寺温泉を名乗る、一軒宿と云ってもおかしくないロケーション。 石貼りの露天風呂からは甲府盆地を見下ろすことができる。 夜景はさぞかしきれいだろうと思う。 泉質は低張性弱アルカリ性低温泉、加熱、(多分)一部循環、殆ど無色無臭。 甲府駅前までは車で約15分の距離。
  感動したのは、そのサービスだ。 日帰り入浴(入浴料700円)の客は私一人だったのだが、なんと、甲府の駅までマイクロバスで(無料で)送ってくれたのだ。 乗合バスの出発時間までにはまだ大分あり、タクシーを呼ぼうと思っていた私にとっては、いい意味での“寝耳に水”だった。 この要害温泉は、ロビー受付の女性も、お掃除のおばさんも、マイクロバスを運転してくれた青年も、従業員はみんなとても親切で感じが良かった。 きっとここの経営者も素晴らしい人なんだろうな…。
 * 平成29年(20017年)1月30日の読売新聞夕刊によりますと、123年の歴史ある温泉旅館の「要害」は閉鎖されることになったそうです。 同年4月からは障害者施設として再出発する予定、とのことですが、なにかやっぱり、残念で淋しい感じがします…。 [後日追記]
 * もう1軒の積翠寺温泉「古湯坊」については、拙山旅日記の No.56「淡雪山から興因寺山」 を参照してみてください。



この松の過去に何があったのでしょう?
兜山山頂の変な(奇形の)松
赤松の目立つ山稜でした。
梯子の上部に岩窟があります
深草観音の鉄梯子
この梯子、けっこう恐かったです…

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