*** コラム ***
丸山は日本で2番目に多い山名
丸山は全国どこにでもある山名だ。 山容(地形)から名付けられた、ということらしいが、つまりイージーな山名の代表格と云ってもいいと思う。 「日本山名事典(2004年5月発行・三省堂)」によると、全国の丸山は187座もあり、内71座が北海道にあるという。 同音同義の円山も別に24座(内北海道17座)あるとのことだ。 ちなみに、同名漢字の山で最も多いのは城山の298座。 丸山が第2位で、第3位は愛宕山の121座だ。 ついでに調べたら、標高が最も高い丸山は南アルプス(悪沢岳の近く)の丸山3032mで、最も低いのは千葉県香取郡多古町の丸山32mだった。
(円山では北海道宗谷支庁天塩郡豊富町の円山13mが最も低い。)
関東ローム層の低い台地を少し下ると一毛作の田園風景が広がるが、ここが千葉県の山武町だ。 その穏やかな谷間の片隅に私の田舎(母の実家)がある。 今ではカブトムシやクワガタのいたクヌギの木や、根っこをおやつ代わりに齧ったニッキ(ニッケイ)の木などは伐採されてしまって、スギとタケだけの手入れのされない林になってしまったけれど、母の実家の裏山のことを、部落の人は丸山と呼んでいた。 山といっても「お爺さんは山へ芝刈りに」の山であって、際立ったピークはなく
、その山上はスイカ畑や南京豆畑が広がる平原だ。 ここでは昔から木の茂る山林の一区画のことを「山」と呼んでいるので、私にとっては特に不思議はないのだけれど、もしかしたら大昔の開墾以前はこんもりと盛り上がった山容だったのかもしれない。 今となっては部落の誰に聞いてもその山名の由来は分からない。 それどころか、部落の人でも若い人は、丸山という山名があることさえも知らないようだ。
その千葉県山武郡山武町の丸山は、国土地理院の地形図には載っていない。 わが国唯一の日本山名事典とのふれこみの三省堂の山名事典にも勿論載っていない。 私の田舎の丸山が、地元の人たちにでさえ完全に忘れ去られる日も近い。 そんな丸山が、多分、日本国中にたくさんあるんだろうな…。
* 千葉県山武郡山武町はその後(H18年3月)の町村合併により千葉県山武市となりました。 [後日追記]
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