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No.44 天城山(あまぎさん・1406m)
艶かしいヒメシャラにドッキリ!

天城山の略図
万二郎岳の下り口岩場より望む万三郎岳
万三郎岳1406m

登山者で賑わう万三郎岳山頂
万三郎岳の山頂にて

…天城高原ゴルフ場(天城縦走登山口)〜四辻〜万二郎岳1294m〜馬の背〜アセビのトンネル〜石楠立(はなだて)〜万三郎岳1406m〜涸沢分岐点〜天城高原ゴルフ場… 【歩行時間: 4時間20分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


平成9年(1997年)5月10日 晴れ マイカー利用

 マイカーを利用してのドライブ&ハイキング。
 登山口の天城高原ゴルフ場は既に標高約1050m。ヒメシャラ、リョウブ、カエデ類(イタヤカエデ、イロハカエデなど)、アセビなどのツツジ類、イヌツゲ、そしてブナなどを観賞しながら、ゆっくりと歩く。艶めかしいヒメシャラの大木や、アセビのトンネルなどが特に印象的だった。僅かに咲いていたアズマシャクナゲ(天城シャクナゲ)だったが、花の盛期には少し早かったようだ。
 江戸時代に伊豆の山々は御料林として厳しい保護を受けていたという。その名残りで現在も森林がよく残されているのだろう。でも…、天然林の豊かな緑はたしかに素晴らしいが、見晴らしの良い処は万二郎岳下降口の岩場ぐらいしかなく、百名山としては少々物足りない感じもした。

伊東温泉「伊東園ホテル」: 下山後は、伊東までドライブして、カシニョールの絵と大きな風呂の「伊東園ホテル」に泊った。立派な風呂はアルカリ性単純泉。1泊2食付き一人18,000円。 その歴史は平安時代に溯るという湯量豊富な伊東温泉。大きな町全体が温泉だった。
 翌日は、一碧湖畔を散歩したり池田二十世紀美術館などを見学したりして、昼過ぎに東京への帰路についた。
* この後、平成14年12月に「伊東園ホテル」は、宿泊料金をかなりの低価格に押さえて、リニューアルオープンしたらしい。 これも時代の流れ、かな。 カシニョールの絵はどうなっちゃったのだろう。 [後日追記]

* 万太郎は何処だ?: 天城山には万二郎岳と万三郎岳があるけれど、万一郎岳(または万太郎岳)ってあるのかなぁ、と思って少し調べてみたらあったあった。同じ伊豆半島の北西部にある火山・達磨山982mの別名が万太郎岳と云うそうで、これらの3座を「天城三兄弟峰」と呼ぶ人もいるそうだ。
 この達磨山には後日(2011年4月)登る機会を得ました。[→ No.286「金冠山から達磨山」へ

*** コラム ***
天城のヒメシャラについて

初夏から盛夏にかけて白い花を咲かせる
天城のヒメシャラ
 ヒメシャラ(ツバキ科の落葉高木)の名の由来は、私達が持っているポケット図鑑によると、ナツツバキ(シャラノキ)に比べ葉や花が小型であることによるらしい。樹木のことについて全く無知だった私達は、最初はヒメシャラのことを何とはなくサルスベリだと思い込んでいた。「旅人の悦び」(串田孫一「山のパンセ」)を読んでみて初めて、その樹皮がつるつるで茶褐色の木は、じつは姫沙羅(又は「猿なめり」)であることが分かったのだ。
 その後も関東以西のあちこちの山地でヒメシャラを見かけたが、天城のそれほど赤みが強くなまめかしい幹を見たことがない。
 串田孫一氏は昭和30年の晩秋に天城を歩いているが、その時の姫沙羅(ヒメシャラ)の様子を
「…街を歩いている時に、布地を売る店のウィンドウなどに、裸の人形が立っているのを見て、びっくりすることがあるけれど、そんな感じさえした…」 と書いている。おもしろい表現だな、と思う。
 ついでにもう一つ。樹木の様子をよく和服にたとえる幸田文さん(1904-1990)が、その晩年に書かれたエッセイ「木のきもの」のなかで、ヒメシャラの幹を
「…赤褐色の無地羽二重…」 と形容されているが、これも当を得て妙だと思った。蛇足ながら、羽二重(はぶたえ)とは平織りの絹織物のことで、柔らかく上品な光沢がある。(平成12年1月・記)

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山の仲間と一緒に 天城山
平成30年(2018年)7月11日 高曇り

明るいブナ林がステキ!
万二郎岳から万三郎岳へ

私たちの他には誰もいませんでした
万三郎岳の山頂にて
羽虫がちょっと煩いかも…
 品川駅から6時40分発の「こだま631号:“新幹線お出かけきっぷ”を利用」に乗って、熱海駅でJR伊東線に乗り換えて、伊東駅に着いたのは7時49分。そして伊東駅前から7時55分発のシャトルバスに乗って約1時間、天城縦走登山口(天城高原ゴルフ場)から歩き始めたのは午前9時頃でした。つまり…、都心からの公共交通を利用しての天城山への日帰り登山については、(平均年齢が70歳になる我が山歩会でも)充分に可能だったのです。(^^ゞ
 私達夫婦にとってはじつになんと21年ぶりの天城山でした。なつかしい…というか、じつは記憶が殆ど無い(歳は取りたくないものです)のですが…、ヒメシャラのあの艶めかしい樹肌の感触だけはよく覚えていました…。今回はそのヒメシャラの花があちこちにたくさん落ちていて、まるで花の絨毯を歩いているみたいで、ある意味ラッキー!だったと思いました。落葉高木のヒメシャラの花は高い処で咲いていますので、葉に隠れていたりして、案外と(じっくりと)見る機会は少ないのです。そう…、自然界の花は人間のために咲くのではなく、花粉を媒介してくれる虫や鳥たちなどのために着飾って咲いているのです。
 展望箇所が少ないのが唯一このコースの難点ですが、流石の日本百名山、充分に一日を楽しむことができました。ヒメシャラの落花やアセビのトンネルも印象に残りましたが、山稜の明るいブナ林もけっこうよかったです。平日だったせいか、出遭った他のハイカーは2名だけで、静かだったこともとてもよかったです。
 下山後は伊東温泉「ホテルよしの」で入浴してさっぱりしてから、伊東駅近くの海鮮料理屋でまったりと打ち上げました。

伊東温泉「ホテルよしの」: 伊東駅東口から南へ徒歩約6分の位置。日帰り入浴も快く受け付けてくれるのが嬉しい。しかも入浴料はリーズナブルな500円で、海の見える露天風呂や露天付き石畳風呂などに浸かることができる。ロビーマンはサービス業にはあまり向いていないタイプ…でも充分に許せる(まぁいいかぁ)の範囲…だったかも。 ここも湯量の豊富な伊東温泉。敷地内から湧き出る源泉を掛け流し。泉質は単純泉。甘露甘露でした。

  佐知子の歌日記より
 蒸し暑い天城山には虫多く顔や耳にも飛び込んでくる
 ヒメシャラの白く小さな花びらが山道おおう万二郎岳
 褐色のつるりとすべる肌をもつヒメシャラの幹妖しく凉し
 ドンドンと雷ひびく天城山おそれ見上げる文月の天
 初島をのぞめる広い男湯と狭い女湯料金は同じ
 年毎に歩みおそいが怪我のない下山のビールはほんとに旨い




花の絨毯です!
ヒメシャラの落花
万二郎岳から万三郎岳への山稜にて
明るいブナ林を進む
頭をぶつけないように注意!

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