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京都の山旅日記-後編 No.498 京都の 小倉山296m 令和7年(2025年)11月12日(水) |
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Make a U-turn and go back. さて困った 第2日目(11/11)・愛宕山登山=嵐山…清滝~愛宕山(往復) 第3日目(11/12)・小倉山登山=サンメンバーズ京都嵯峨-《宿の送迎車5分》-嵯峨嵐山駅前~竹林の小径~大河内山荘~小倉池~展望所~小倉山296m~六丁峠~嵯峨鳥居本~清涼寺~嵯峨嵐山駅-《JR嵯峨野線》-京都駅17:06-《新幹線のぞみ430号》-19:13品川… 【歩行時間: 3時間40分】 → 地理院地図の該当ページ(小倉山)へ *** 前項「京都の愛宕山」からの続きです *** JR嵯峨野線(山陰本線)の嵯峨嵐山駅と、保津峡を走る観光列車(嵯峨野観光線)のトロッコ嵯峨駅とは隣接しているが、其々に共通するその駅前で緊急夫婦会議となった。トロッコ列車の予約はしていたのだが、予約したスマホの決められた画面を改札で見せないと乗車できないという。じつは…、私はその(予約した)スマホを家に置き忘れてきてしまっていたのだ。でも、その状況を駅員さんに説明すれば何とかなるとは思ったのだけれど…。話し合った結果は…『なんか面倒くさそうだし、予約した列車までにはまだ大分時間があるし、トロッコ列車に乗らずにここから歩いて、嵯峨野散策を兼ねながら小倉山登山をしましょう』ということになった。もちろん、スマホを忘れた私には議決権はない。当初の計画ではトロッコ列車に乗って…保津峡を観光しながら…トロッコ保津峡駅まで行って、そしてそこから…落合橋~六丁峠を経て小倉山に登る予定だった。…まぁいいかぁ~ ということで、嵯峨嵐山駅前(=トロッコ嵯峨駅前)から歩き始めたのは9時半頃だった。外国人観光客でごった返す竹林の小径を通り、天龍寺の北門前を通過して、嵐山公園へ下る道を左に分け、大河内山荘(俳優の故・大河内傳次郎氏が別荘として造営したものらしい)の門前も通過して、右手の眼下に(竹藪越しに)トロッコ嵐山駅に停車している赤色の車体(トロッコ)を発見する。う~ん、あれに乗る予定だったのかも…、と思わず呟く私だった。 蓮で水面を覆われた小倉池を見物して、御髪神社の左手前からいよいよ登山開始となる。山道へ入ると途端に人影は絶えて、時折外人のハイカーに追い越される程度の静かさだ。常緑樹もけっこうあるようだが、色付き始めている落葉広葉樹もあったりで、なかなかの林相だ。やっぱり山はいい。 ★小倉山で観察のできた樹木など: 常緑樹→ヒノキ、アカマツ、コジイ、ソヨゴ、ヤブツバキ、サカキ、ヒサカキ、アセビ、ヒイラギなど。落葉広葉樹→コナラ、ヤマザクラ、ネジキ、ウラジロノキ、ヤマハゼ、リョウブ、カエデ類(イロハモミジ、オオモミジ、ウリカエデなど)、ツツジ類(ヤマツツジ、コバノミツバツツジなど)、など。林床にはシダ類(ウラジロやコシダ)が群生して茂っていました。 この地もご多分に漏れずシカやイノシシの食害に悩まされていると聞きます。京都市のサイト「京都市情報館」の該当項によりますと、小倉山を守る会が中心となって小倉山再生プロジェクトがその活動を進めているらしいです。観光地であるので、景観などを重視した人間(観光客)に都合のよい「自然保護」にならざるを得ないとは思いますが…。何が本当の「自然」なのか、これは常に難しい問題です。 → 京都市のサイト「京都市情報館」 ★小倉山(雄蔵山・小椋山・隠椋山)について(補足): その麓には有名な寺社などの名所古跡が散在しています。鎌倉時代の歌人・藤原定家が、その東麓の小倉山荘(時雨亭)で小倉百人一首を編纂した、という話しは有名です。なお、小倉山荘跡は厭離庵(えんりあん)という臨済宗天龍寺派の寺院(尼寺)として現在に至っています。 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ(貞信公) 防鹿柵を抜けて尚も高度を上げる。意外と指導標が少ないので、地形図(25000図)のコピーとコンパスは手から離せない。 暫く登ってから展望所でひと休みする。京都市街やその奥の比叡山方面の山並みなど、東面の景色が一望できる。見えている建物群の屋根に寺社と思われるものが多いのは、京都市街の独特な景観だ。 やがて空が抜けて明るくなってきた。ソヨゴ(冬青:モチノキ科の常緑小高木)が小さくて可愛らしい赤い実をつけている。アカマツの植栽地を過ぎて暫くすると、いつの間にか広くて歩きやすい石畳状の遊歩道を歩いている。 石畳の遊歩道から道標に従って左折して山道へ入り、なだらかに4~5分も登るとそこが愛宕山296mの山頂だった。樹林に囲まれて展望は無い。ベンチなども無かったので、早々に引き返した。 さらに石畳の広い遊歩道をだらだらと下っていると、自動車専用道路(嵐山・高雄パークウェイ)のガードレールにぶつかって、ここで遊歩道は終わっている。英語の標板があって、Make a U-turn and go back. This a toll road,access is not allowed for pedestrian.(Uターンして戻ってください。この道路は有料道路のため歩行者は通行できません)と書いてある。さて困った。どうしたもんじゃろのう~(少し古い?)。 ふと見ると、ガードレール沿いに細い山道が続いている。その山道(左手の眼下が保津峡の、けっこう怖くて危ない登山道)をロープを頼りに慎重に下って上って約20分間、ようやく公道(京都府道50号京都日吉美山線)へ出て、ホッとした。ここが六丁峠で、右へVターンして、かつては愛宕詣で賑わったという門前町の鳥居本(とりいもと)方面へ進む。 この道は愛宕街道と呼ばれていて、国の「伝統的建造物群保存地区」や「日本風景街道」に選定されているという。嵯峨鳥居本では町家風の家々が立ち並び、今もなお当時の風情を色濃く残している。期せずしてそんな名所を観光できたのはご褒美だと思った。愛宕神社(愛宕山)の一の鳥居も観ることができたので、それも嬉しかった。 その愛宕街道で、時折外人観光客を乗せた人力車とすれ違う。反対方向は上り坂になっているので車夫さんは大変そうだ。佐知子がイケメンの車夫さんに「がんばって!」と声を掛けたら「ありがと~」とニッコリ笑って応えてくれた。 昼食は、途中の清涼寺の境内にあるこじゃれたカフェ「Bhagavan」…店名のヴァガバァーンはサンスクリット語でお釈迦様のことらしい…で、粕汁ランチなどを食べて、地ビールも味わった。(*^^)v そんなこんなで、嵯峨野をたっぷりと味わって、JR嵯峨嵐山駅に着いたのは午後2時半頃だった。帰りの京都駅構内で新幹線を待つ間に、土産に「生八つ橋」でも買って、そして柿の葉寿司の駅弁と、ついでにカップ酒も買って、帰路に就こう。 [この日の歩数計:20892歩] 佐知子の歌日記より 予約した証明になるケータイを忘れて乗らず保津峡トロッコ 竹林は外国人に占められてかぐや姫ははて驚くだろうか 小倉山を歩けばここかあそこかと定家の山荘描きつつ行く 人あふれ我「お上りさん」の京都駅 土産の袋ああ重たおす |