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「バイファム」第12話感想

船外で作業する宇宙服姿が2人。ロディとバーツ。ジェイナスの「スコット隊長」(南極探検の人みたい……)からお呼びがかかって戻っていく。
「オシッコの途中」なのに急いで来させられた(?)シャロン。途中では止まらないから結局最後までしたんだろうという突っ込みはさておき、スコットは集めた一同の前で施政方針、いやいや今後の抱負、でもないが演説。ここにとどまるよりは地球へ行こうと。口調はほとんど生徒会長。一文一文考えたわけでも、まして覚えたわけでもないだろうに、あれだけもっともらしく長々と話せるのだから大したもの。「目的地は」でいったん切って「地球だ」とか、「みんなで力をあわせてこのジェイナスに挑戦してみようじゃないか」なんて。アガるたちではないようだ。それだけ気心がしれた仲間になりつつあるのかもしれないが。
遅れてきたジミーに文句を言ったり、敵が攻めてくるなら俺が、とか、スコットが配置を発表しようとすれば勝手に決めるなとか、ケンツはうっとおしいところばかり目立ってしまったようだ。腕を組んで困った顔をするクレア、帽子のつばを持ち上げてにらむマキ。
スコットの決めた配属だが、ブリッジオペレータはA班、B班とも戦闘時は1人ずつ(バーツ、ロディ)抜けるのだからつらい。もっとも絶対的に数が不足しているのだからいかんともしがたい。それから、ケイトに積極的な役割分担がないのもどうかと思う。オールマイティカードということでもなさそうだし。
ケンツは整備係になって不満顔。でもスコットにまで「ケンツ軍曹」と呼ばれて思わず敬礼。スコットにまであしらわてしまった(誰でもできるか)。
しかし頭で考えているほど、物事は簡単には進まない。ジェイナスの目の前をふさいでいる鉄骨、あれをどうにかしなくては発進できない(入港時は、後ろから進入したから問題はない)。さっきロディ、バーツが調べていたやつだ。それを除きに再び外に出る2人。もう1人手がいるから、スコットに頼もうとすると、スコットはキャプテンだからとマキが代わる。バーツにひやかされるが、「女のあたいじゃ不服だっての?」と勝ち気なマキ。ジェイナスの男の子はみんなどちらかというと保守的な考え方のような気がする。女の子は女の子で、極端なフェミニストはいないみたいだが。
それを潮に、みんな自分の仕事にとりかかる。ジミーに仕事をねだって引っ張っていくルチーナと、へどもどしているジミーとどっちが年上なのやら。シャトルで持ってきた積み荷を整理するのが彼らの仕事だが、見上げるほどある荷物の山は、彼らの手には余るんじゃないだろうか。期待はしないが厄介払いに仕事を与えておいて、少しでもはかどれば儲けものという考えなんだろうか?
頭の動きは鈍くないジミー。とりあえず荷台を持ってくる。が、ケンツに横取りされる。確かに「ずっこい」。今度は電動カートを見つけてきて、ケンツは馬鹿を見る意。「あなたって冴えてるー」って、やっぱどっちが年上なのか分からない。教科書に出てきそうなお話。
船外作業の3人。マキは張り切っている。ちょっと張り切りすぎで、はたで見ていて危なっかしい。鉄骨を手荒に放り投げて、かえって自分が鉄骨にはさまれかけた。それを見て笑い出すあとの2人。でも、遊んでいるとスコットがうるさい。スコットがにらまなかったら事故になったんじゃないかという気もするが。
スコットも、ブリッジでただ作業を見ているだけなのではない。ジェイナスの軌道計算の指導にあたっている。スコットは「もっと高い軌道に乗せる」べきだと言う。フレッドもそれに賛成する。「高い軌道」がどういうことなのかはっきりしないが、時間的なロスはあるが、そのほうが確実らしい。直接地球へ行けたほうがいいと考えるペンチに、航路が0.01度ずれると1光年行くごとに17億kmずれると説明する。失敗は許されないということ。
ところが、突如思わぬ事態に。現在のクルー14名では出航できないとコンピュータがはじき出した。ついさっきペンチにリーダーらしく解説したのはどこへやら、スコットは平静を失う。鉄骨班は、一番大きいのを取り除けずに一度戻ってくる。その彼らの前でカチュアに当たるスコット。「無駄だよカチュア! 気休めはやめてくれ! 何度やっても同じだ!」が、カチュアは同じ質問を繰り返したのではなかった。Q. 今のメンバーで出航するにはどうしたらいいか? A.1 外部からコントロール。A.2 今のメンバーを訓練。A.3 サブコンピュータを使う。単純なYes/Noの質問ではなく、こういう質問にも答えられるとは、相当賢いコンピュータだ。
解答が示されると、俄然立ち直るスコット。「よーし、あとは航行軌道の選択と、出発時間の算出だ!」
そんな騒ぎは知らずに小さい連中は仕事をこなす。「きょえー!!」ジミーは生き物を剥製にしても悲しくないんだろうか?(まさか、前に飼っていたのを死んでも埋めるのは忍びないとか…?) 恐がるルチーナにどっかに持って行けと言われて、持っていった先は例の遺跡のありか。しかし遺跡には異変が生じていた。遺跡の周囲の床に何かが生えている。それをスコットに報告しに行くが、スコットたちは鉄骨をRVで除去する相談でもちきりで、耳を貸してはくれない。
艦内の機器の点検が終わって、ルチーナたちを手伝いだしたケイトは、ミセス・ピアスン(カチュアの母)のトランクから、偶然遺跡の写真を見つける。明らかに、現在より古い時代を写している。考えにふけるケイト。その時。「誰?」「ジミー……」ホント、愛想のないやつ。ジミーの知らせで、「地球に行ったら海を見よう」と話しているマルロ、ルチーナの横を駆けて行く。
遺跡を調べたケイトは、遺跡には植物の生命力を強める働きがあるのではないかと推測する。しかしそれは伝染病を引き起こすかも知れないと考えて、ここを閉鎖することを決意。
ついにバイファムを操縦するロディは、外した鉄骨と一緒に宇宙に放り出されるが、どうにか助かる。主役が主役メカに初めて乗ってやることが、単なる作業なのもちょっと悲しいものがある。ここまでほとんと1クールを費やしたというのに。バーツは何故か最初からネオファム。
いよいよ発進間際。「リアクター出力、アイドリングからミドルパワーへ48%」胸の高鳴る瞬間だ。カウントダウンはシャロン。「発進10秒前……コースはクリアよ……5、4、3、2、1」こうしてジェイナスは遂に発進。ほっと肩の力を抜くスコット、笑いに包まれるブリッジ。こうして銀河漂流は始まった。
前回(第11話)で、さっさと出航するだろうと思って観ていた僕としては、やきもきさせられる2回だった。一筋縄ではいかない。
ところでマキは第2話で自分の年齢を12歳といっていた。しかしこの回の最後でのスコットのセリフでは13歳。誰にも知らせずに誕生日を迎えたのかな? だとしたら偉いぞマキ。
この日は2059年1月13日、時刻は19:24。ってちょうど放映されていた日時じゃ……。
原画
小野順之、笠原茂、星野絵美、小林智子、小林まゆみ、服部あゆみ

Vd: 1999.8.21, Vd: 1997.12.19