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No.117 扇山(おうぎやま・1138m)
平成13年(2001年)2月10日 晴れ
扇山の略図
中央高速道をくぐり扇山へ
扇山へ向かう

根元から水が湧き出している水呑杉
水呑杉


はえぬきの陽だまりハイキングコース

中央本線鳥沢駅〜梨ノ木平(扇山登山口)〜水呑杉〜大久保のコル〜扇山〜三境〜白馬不動尊〜君恋温泉(泊)〜犬目バス停-《バス23分》-四方津駅… 【歩行時間: 3時間40分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 恩賜の山・扇山は、戦前からハイキングによい山として知られていたという。バスツァーなどの日帰りコースとしても、首都圏のハイカーたちには馴染みの深い山でもある。真冬の寒いさなか、とにかく行ってみよう、と思って行ってみたのが、そのはえぬきのハイキングコース、扇山だった。

 中央線の普通列車で鳥沢駅に降り立ったのは午前10時30分頃。ここは大月の少し手前、既に山梨県へ入っているけれど、奥武蔵や奥多摩と同じくらい、否、それ以上に近いと感じた。扇山の山頂までの標高差は約800メートル。決して侮ることなかれ、と心に言い聞かせつつ、清々しい冷気を胸いっぱいに吸い込んだ。
 扇を真ん中から水平に割った上半分、とでも形容すべきか、その平べったい饅頭形の扇山を前方に見ながら、アプローチの舗装道をのんびりと歩く。その途中、道端の枯れ枝に止まっている頭と羽根が黒っぽく腹が薄茶色の綺麗な小鳥(ジョウビタキかな?)を間近で見ることができた。なんかウキウキとしてきたのも束の間、2週間前の大雪の名残りが道のあちこちに現われ始めた。
 アスファルトを正味約1時間歩いて、登山口の梨ノ木平で早めのお弁当。それから、6本爪の軽アイゼンとスパッツを時間をかけて(慣れていないので時間がかかってしまうのです)装着して、とりあえず万全の体制で、北へ向かって積雪約10pの山道を登り始める。
 山行の時は特にそう思うのだけれど、時間が経つのがとても早く感じられる。このときもそうだった。根本から水が湧きだしている「水呑杉」を過ぎ、スギ・ヒノキの植林地帯を抜け、ミズナラ主体の雑木林になってきたなと思って、ふと気がついたら広い雪原の山頂に立ち尽くしていた。佐知子のザックに付いている例のキーホルダーのバカチョン温度計によると気温摂氏丁度0度。北の微風。それほど寒くはない。霞んでいて遠望は利かなかったけれど、丹沢や道志の山並などがよく見えている。富士山も、白い背景の空からぼんやりと白銀の光を投げかけている。白い空に白銀の峰なんて、つまり保護色で、云ってみれば闇夜のカラスみたいなものだ。カメラ写りの悪いことはこの上もないけれど、肉眼で見るとこれがまたけっこうイカしている。…ゆっくりと時間を過ごしたので、山頂を去る頃は富士山方面の西空がうっすらとオレンジ色に染まり始めていた。
 下りは犬目への道標と君恋温泉の道標にしたがって進む。30分も下った地点でアイゼンを外す。小鳥たちのお喋りを聞きながら尚も下ると、やがて山中にひっそりと佇む白馬不動尊に着く。お堂に手を合わせ、その裏手の落差20メートルほどの滝(白瀧)の下を通り、少し進むと今日の宿・君恋温泉の裏手へ出た。午後4時20分だった。

君恋温泉 君恋温泉: 民家風の地味なたたずまい。山腹の高台に位置する一軒宿。長期滞在の先客(仕事で来ている工事夫たち)が数名泊まっていたが、三連休の初日というのに一般の宿泊客は私達夫婦だけだった。
 3〜4人はゆっくりと浸かれるタイル貼りの風呂場が男女別にある。ガイドブックによると泉質は鉄鉱泉とのことだったが、脱衣所等に成分表などは無く、無味無臭透明で、実態は藪の中だ。岩風呂風、加熱。食事は部屋食。和室が二部屋使えて1泊2食付き7,000円は安いと思った。尚、入浴のみは要予約で一人500円。
* 君恋温泉は、2016年頃、廃業したらしいです。またひとつ、山麓の思い出の湯宿が消えていく…。とても淋しくて残念です。(後日追記)

 宿の翌朝、廊下の西の窓から顔を出すと、冷気とともに、富士山や道志の山並などの景色が薄ぼんやりと、しかし美しく眼に飛び込んできた。
 その君恋温泉から犬目のバス停まではゆっくり歩いて約15分。当初、四方津の駅まで約1時間半の道のりを歩くつもりだったけれど、犬目から午前8時22分発の四方津経由上野原行きの富士急バスが出るとのことで、便乗することにした。
 四方津駅から中央線に乗り込んでみたものの、時間はまだ早いし、真っ直ぐ帰宅するのも勿体無いので、途中下車して、懐かしの高尾山へ行ってみることにした。[→次項・高尾山

扇山の山頂にて
広い雪原の山頂
中高年の団体が立ち去って…
雪ダルマと富士山
山頂の片隅に小さな雪ダルマ…


新緑の扇山へ 平成18年(2006年)6月3日 曇り

 山の仲間たち山歩会と同コースを歩きました。山頂部一帯はガスってしまい、展望を得ることはできませんでしたが、新緑の森林浴に大満足の一日でした。
 麓のモミジイチゴには実がたわわで、ノイバラは満開でした。山中のあちこちでは朱赤色のヤマツツジが花の盛期を迎え、白い花のヤマアジサイ、ウツギ、カマツカ、エゴノキなども美しく咲いていました。草本類ではフタリシズカ、テンナンショウ類、アマドコロ(ナルコユリに似ています)などが目立ちました。春には黄色い花が目立ちますが、梅雨どきになってくると何故か白っぽい花が多いようです。コナラとミズナラの簡単な見分け方(葉柄の有無)なども勉強したりして、今回はちょっとアカデミックにハイキングしました。
 下山後は、勿論、君恋温泉に立ち寄り、山の汗を流しました。入浴料は一人500円でしたが、タケノコとフキの煮物がサービスで皿いっぱいに(食べきれないくらい)出されたのは、感激でした。

ガスっています
ヤマツツジが見ごろ
シダ類が幻想的に光っていました
シダの緑もきれい
扇山山頂で記念写真
広い山頂にて

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