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No.128 飯豊山(いいでさん・2128m)
平成13年(2001年)8月9日〜13日 ちょっと晴れたり雨も降ったり

飯豊山 略図

御西小屋から大日岳へ
大日岳:飯豊連峰の最高峰


マツムシソウ満開の飯豊連峰を縦走
大きくて遠い山だった

第1日=JR米坂線小国駅-《乗合タクシー40分》‐飯豊山荘 第2日=飯豊山荘〜 湯沢峰1021m〜梶川峰1692m〜門内岳1887m〜北股岳2025m〜梅花皮小屋 第3日=梅花皮小屋〜梅花皮岳2000m〜烏帽子岳2018m〜御西小屋〜大日岳2128m〜御西小屋〜御西岳2012m〜飯豊本山2105m〜本山小屋 第4日=本山小屋〜御秘所〜草履塚〜切合小屋〜種蒔山1791m〜七森〜三国岳1644m〜剣ヶ峰〜地蔵山1485m〜御沢〜飯豊鉱泉 第5日=飯豊鉱泉〜川入バス停-《バス》-JR磐越西線山都駅
 【歩行時間: 第1日=約1時間 第2日=8時間15分 第3日=7時間30分 第4日=7時間 第5日=10分】

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 第1日目(8月9日・曇) 東京〜小国駅〜飯豊山荘.
  上杉家の城下町、上杉鷹山生誕250年で活気のある米沢までは山形新幹線を利用。 米沢からJR米坂線で約1時間20分、小国(おぐに)駅に着いたのは午後1時29分だった。 小国町営バスの待ち時間が1時間以上あるので、どうしよう、と思っていたら、乗合タクシー(9人乗りワゴン車)の運転手に声を掛けられた。 渡りに船とはこのことだ(と、このときはそう思った)。 同じ電車で駅に降り立った他のハイカーたちも、顔を見合わせながらそのワゴンタクシーに乗り込んだ。 飯豊山荘までの料金はバス代(700円位)とそれほど大差のない、一人1,000円だった。 う〜ん、でも、なんとなくキナ臭いかも…。
  小国町は北に朝日連峰、南に飯豊連峰をいただく山形県西南端の町で、新潟県との県境の豪雪地帯に位置している。 道路の所々に町のキャッチフレーズ「白い森の国」の看板が目につく。 ブナの白い幹と雪の白をイメージしているらしい。 ワゴンタクシーの車窓から緑深い森林を眺めながら、さもありなんと思った。
  午後2時半頃、飯豊山荘へ着いた。 ここは標高約400メートル。 飯豊の主稜線へ続く4本の登山コース(丸森尾根コース、梶川尾根コース、石転び沢コース、ダイクラ尾根コース)の起点にもなっている処だ。
  夕方、明日のコースの下見も兼ねて付近を散歩してみた。 長期予報では前線が停滞するだろう、とのことで、当分の間天候には恵まれないらしい。 少し不安な気持ちで夜を過ごす。

飯豊山荘 飯豊温泉「飯豊山荘」: 山形県側の小国町、玉川の流れる谷間(長者原)の奥(天狗平)に位置している。 冬季間休業。 温泉付き山小屋といった感じだが、最近、湯治客や観光客にも人気が出てきているとのことだ。 源泉は湯沢峰の中腹にあり、国民宿舎梅花皮荘などとともに引湯をしているらしい。 せっかくいい温泉なのに、不思議なことに、飯豊山荘の看板やパンフレットなどには「温泉」の肩書きがどこにも記されていない。 これも東北人の奥ゆかしさのたまものだろうか。 携帯電話は勿論「圏外」。 通信手段は有料の衛星電話(3秒10円は凄い値段だ)のみ。 食事は食堂にて、岩魚の塩焼きや山菜料理など、美味しかった。 泉質は、ナトリウム・カルシウム塩化物、炭酸水素塩、硫酸塩温泉。 充分な広さをもった石造りの浴槽には、少し濁ったお湯がこんこんと注がれていて、とてもいい湯だった。 部屋の窓からの眺めもよく、1泊2食付き一人5,900円(税別)は安すぎる、と思った。
 * その後、宿泊料は値上げしたようです。 本頁の影響かなぁ…。 (^_^;) [後日追記]
  「飯豊山荘」のHP


 第2日目(8月10日・曇、雨) 飯豊山荘〜北股岳〜梅花皮小屋.
湯沢峰を通過:きつい登りが続く
湯沢峰を通過
梶川峰で昼食:後方の山は門内岳
梶川峰にて一休み
  昨夜のうちに宿で用意してもらったおにぎりで朝食を摂り、歩き出したのは午前5時40分。 上空には厚い雲が垂れ込めていて、稜線付近には深いガスが発生していることが予想された。 随分と迷ったのだが、落石の危険のある石転び沢の雪渓コースを断念して、梶川尾根コースの登路を選んだ。 アイゼンがザックのただの重りになることが少し残念だったけれど、安全登山のためにはやむを得ない選択だったと思う。
  飯豊山荘から5分ほど歩き、湯の沢に架かる橋(ここで車は通行止)を渡り切った道路の右側に梶川尾根コースの登山口はある。 いきなりの急登が、ここから延々と続く。 ブナ、ミズナラの自然林の中を喘ぎながら、休み休み、ゆっくりと登る。 何故か小鳥の声も聞こえず、木々の梢にそよ風の気配もない。 「静かだね」 と佐知子に話しかけたら、近くの藪の中から急にウグイスがケキョケキョと鳴き出したので、顔を見合わせて笑ってしまった。
  しかし笑っている場合ではなかった。 汗がボタボタと身体中から流れ落ちてくる。 今日の登りは標高差にして約1600メートルの長丁場。 シュラフや3日分の食料などが入ったザックが重い。 気合いを入れないとくじけそうになる。
  湯沢峰を通過し、 梅花皮(かいらぎ)大滝などが展望できる滝見場で中休止。 ここから見渡せる石転び沢の大雪渓の上部は、思った通り霧に包まれていた。
  さらに登り、五郎清水でも中休止。 ここで休んでいた中年カップルから、沢を下った水場で汲んできた水を分けてもらった。 つめたくてとても美味しい水だった。 おまけにキュウリの塩漬けまで貰ってしまって、元気な中年カップルに感謝感激。
  ダケカンバが目立ち始め、再び急な尾根を登りきると三角点のある梶川峰へ着いた。 午前11時45分だった。 ここから先は、もう長い急登はない。 ひとまずほっとして昼食の大休止。

滝見場から石転び沢を望む
滝見場で一休み
霧の中の北股岳山頂
北股岳山頂
梅花皮小屋
梅花皮小屋
  なだらかな稜線を歩き出すと、素晴らしいお花畑の連続だ。 青系の花…、タカネマツムシソウやタカネトリカブト、それにリンドウ科の高山植物などが花期を迎えており、山は初秋の気配だ。 ヒメシャジンもたくさん咲いていた。 チングルマは既に羽毛状(稚児車)になっていて風に揺れる様が美しい。 特にタカネマツムシソウがゴージャスで、此処彼処に群れ咲く様は見事だった。
  水筒の水不足も心配になってきて、耐え切れず、門内(もんない)小屋で400円の缶ジュース(アクエリアス)を買って飲む。 尚、この飯豊の山小屋ではどこも、飲み終わった空き缶は持ち帰ることになっている。 門内岳を過ぎた辺りから、矢張り、雨が降り出した。
  花に見惚れながらギルダ原を通り過ぎ、連峰随一の鋭鋒北股岳の山頂へ辿り着いたのは午後3時30分。 残念ながら雨と霧で、何にも見えない状態だった。
  北股岳から標高差にして170メートルほど下ると十文字鞍部で、ここに建つ梅花皮小屋に到着したのは午後4時頃だった。 小屋へ入ると、飯豊山荘で同宿した他のパーティは、そのほとんどがもう既に到着していた。 今日は気合いを入れて一生懸命歩いたつもりだったが、あらためて私達の足の遅さを実感して、このときだけは何だか情けなくなった。
  雨は依然として降り続いている。 自炊の夕食は、持参したボルドー産の赤ワインを飲みながら、霜降りの和牛ステーキをミディアムレァーに焼いて食べた。 小屋には電気がないので、日が陰り出すと部屋は直ぐに暗くなってくる。 疲れていたので、食事の後片付けもそこそこに、シュラフに入って横になった途端、もう眠っていた…。

* 梅花皮(かいらぎ)小屋: 北股岳と梅花皮岳の鞍部(十文字鞍部)、標高約1860mに建つ小国町町営の山小屋。 収容人員60名。 シーズン中は管理人が入る。 最近建て直したらしく、水洗のトイレなどきれいだった。 素泊りのみで宿泊料は一人1,500円。 貸し毛布あり(一枚500円)。 水場は2分ほど歩いた処にある。 この日は二人で三畳くらいのスペースを与えられ、余裕たっぷりだった。


 第3日目(8月11日・高曇、雨) 梅花皮小屋〜大日岳〜飯豊本山小屋.
  朝食を済ませ、まだ軽くならないザックと疲れの残る重たい身体を引きずって、心だけはウキウキと、梅花皮小屋を出たのは午前5時30分。 昨夜半まで降っていた雨が上がり、薄日も差して見晴らしは悪くない。
烏帽子岳2018mより飯豊本山を望む
烏帽子岳山頂にて

ガスが出てきた:大日岳2128mの山頂にて
大日岳山頂にて

雨の飯豊本山山頂(北峰2105m)
飯豊本山山頂にて
  東側が急峻に切れ落ちている非対称山稜の尾根筋を、梅花皮岳、烏帽子岳とアップダウンを繰り返しながら、牧歌的な御西岳へ向かって快適に進む。 ビューポイントだらけの稜線歩き。 左前方には飯豊本山、右前方には大日岳が、それぞれに大きな鈍角三角形の斜辺を長く伸ばしている。 振り返れば、昨日は雨と霧の中だった北股岳がすっきりと聳え立っている。 天狗ノ庭など、あちこちの草原に咲くタカネマツムシソウやヒメシャジンなどの群落も、相変わらず見事で美しい。 途中二回ほどツガイのホシガラスを間近で見ることができた。 暫らく観察していると、ホシガラスは、ハイマツのマツボックリをくわえてどこかへ飛んでいった。
  御西小屋へ着いたのは午前10時丁度。 眺望や花などを楽しみながらチンタラ歩いたおかげで、何時ものことながら、予定時間を大きくオーバーし始めた。 午後からまた天気が悪くなりそうなので、とりあえずここで早めの昼食、カップラーメンだ。
  昼食後、サブザックに水筒と雨具と非常食だけを詰めこんで、御西小屋から連峰の最高峰大日岳への往復を決行。 (おいおい、「時間」と「雲行き」は大丈夫なのかぃ?)
  眼前に大きく見えていたので、近い、と思ったけれど、矢張り大日岳は遠かった。 休憩を含め、御西小屋からの往復には約3時間20分を費やしてしまった。 おまけに大日岳への最後の急登の頃からガスが出はじめて、山頂では昨日の北股岳同様、何にも見えない状態になり、復路の途中からはとうとう雨が降り出した。
  再び重たいザックを担ぎ、雨と霧の中、道に迷わないように注意しながら、御西岳の広い頂稜を進む。 小さなピークを二つ越え、登り切った処に1等三角点と小さな石祠のある飯豊本山(飯豊山)の頂上があった。 ここまで来れば本山小屋は目と鼻の先だ。
  石垣に囲まれた飯豊山神社は案外ひっそりとしていた。 その神社のすぐ裏手にある本山小屋へ着いたのは午後4時の少し前だった。 どうやら今日も、私達が最終組に限りなく近い小屋の宿泊客、のようだ…。
  自炊の夕食(この日はレトルトのカレーライス)を終えて、くつろいでいた時、トイレから戻ってきた佐知子の「雨が上がって景色が見えるわよ!」の発声に、私を含めた数名のハイカーたちが反応した。 それーっとばかり、飯豊山神社西側の広場へ行ってみた。 なんと、雲海の中からくっきりと飯豊の主峰たちがその姿を現わしているではないか。 夕焼けの空に染まり始めた飯豊本山(北峰)の勇姿などを眼前にして、あちこちから思わず歓声が上がった。 地元のハイカーたちが自慢げに私達に山座同定の説明をしてくれた。 佐渡島や鳥海山は見えなかったけれど、北の彼方の雲の上には朝日連峰も浮かんでいる。 小さな岩に腰掛けて、ポケットのコニャックをチビチビ飲りながら、佐知子と、ずっとそれらの景色を見続けていた。 来てみて良かった、と、はっきりとその時そう思った。

本山小屋裏手の広場にて* 飯豊山本山小屋: 飯豊本山(飯豊山)は双耳峰で、最高点と三角点は北峰2105mにあり、飯豊山神社と本山小屋は南峰2102mにある。 本山小屋は福島県山都町の町営で、素泊りのみの料金は一人2,000円。 連峰の他の山小屋同様夏季のみの営業(期間外開放)とのこと。 収容人員50名。 水場は少し離れていて、一ノ王子との中間地点を東側の沢へ30mほど下った処にある。 この日の宿泊者は30名ほど(三畳に二人)で、ゆったりしていた。


 第4日目(8月12日・雨、曇) 飯豊本山小屋〜飯豊鉱泉.
  昨日のあの夕焼けは一体なんだったんだろうか。 僅かな期待が木っ端微塵に砕かれた。 未明からの雨は当分止みそうもない。 雨具に身を固め、少しは軽くなってきた45リットルザックを担いで、本山小屋を出たのは午前5時40分だった。
御秘所:けっこう怖かった
御秘所を通過
  高山植物などを所々に愛でながら、一ノ王子、御前(おんまえ)坂と、ハイマツと花崗岩の道を下る。 御秘所(おひしょ)と呼ばれる切り立った岩尾根は、それほど長くは続かなかったけれど、今までの柔らかい道に慣れ切った足には少しハードで、怖さを感じた。
  姥権現(うばごんげん)、草履塚(ぞうりづか)と、謂れ因縁のありそうな箇所が続き、この飯豊山が古くからの信仰の山であったことがしのばれる。 食事を出してもらえるということで最近登山者に人気の出てきたという切合(きりあわせ)小屋を通過。 何時の間にか種蒔山も通過。 七森を過ぎ、三国小屋で一人200円の休憩料を支払って、少し早めの昼食の大休止。
  三国小屋から左へ下るとすぐ剣ヶ峰の難所だ。 要所にはクサリがあって心配はないのだが、雨に濡れた岩は滑りやすく注意が必要だ。 ビビリながらも慎重に進む。 三国岳から地蔵山までのコースタイムが距離の割には長い(1時間15分)理由がよく理解できた。
  地蔵山を手前で右に巻き、横峰、笹平と下る。 何時の間にか辺りはブナ林に変わっている。 慣れない自炊での山小屋泊りの連続と、雨の中のアップダウンを繰り返しながらの緊張の連続の下りで、どうやら疲れはピークに達していたようだ。 ほっとした気持ちで、上十五里、中十五里、下十五里、と長坂を下っていたとき、岩と粘土の下山道で「事故」は起こった。
  1メートル近い段差を、いつもならルートを探して慎重に下るのに、そのとき何故か私は咄嗟に飛び降りてしまった。 ぬかるんだ粘土質の地面に着地するや否や、滑って斜面を転げ落ちた。 一体何回転しただろうか。 気が付くと登山道縁の潅木の幹に身体が支えられていた。 木々の間から深い谷底が見えていた。 暫らく動けなかった。 首だけ振り返ると、佐知子が蒼い顔をして岩上からこちらを見下ろしている。 幸い軽い打ち身(額と腰)と擦り傷(両腕)だけで大難は免れたが、後になって、もしそこに潅木がなかったら、と考えたら矢張りぞっとした。 沈黙のなか、少し歩いて安全な場所で小休止。 佐知子にオキシフルを塗ってもらいながら、何故こうなったかを考えて、深く反省した。 1時間以上休憩を取っていなかった(何時もは必ず40〜50分歩いて10〜20分の中休止)疲れと、下山予定時間が大きく遅れ出していたことに対する焦りが「事故」の原因だった…。
バカチョン最後の1枚
 御沢へ下山
  やっとのことで長丁場の尾根道の下りが終わり、駐車場やキャンプ場のある御沢(おさわ)へ着く。 ここからは大白布沢に沿って、ゆるやかに車道を下る。 と、間もなく飯豊鉱泉へ着いた。 午後4時15分、既に雨は上がり、まだ日は高かった。 記念に飯豊鉱泉の全景を撮ろうとしたら、電池切れではないのにシャッターが切れない。 転んだ時に壊してしまったものか、7年間愛用した私のバカチョンカメラもそろそろ買い替えの時期かもしれない。

飯豊鉱泉: 両腕の擦り傷が染みて痛かった風呂上り、広間の大きなトチの木のテーブルでビールを飲んでいたら、何時の間にか夕食が始まった。 運がいいと熊の肉を試食できるとのことだが、この日は山菜料理や岩魚の塩焼きなど、若主人の心のこもった手料理、とても美味しかった。
  ポリ(?)の浴槽はそれほど大きくはないが必要かつ十分だ。 硫黄泉(冷鉱泉)。 加熱。 1泊2食付き一人7,000円(税込み)。 夕食後、宿の若主人から飯豊登山のことについて、ビデオを見ながら解説してもらった。

  ここで出合った愛知県にお住まいの単独行の娘さん。 今日は御西小屋からの下山だという。 物凄い体力と気力だと感心した。 たまたま私達夫婦と同室になり、尽きない山の話に花が咲く。 とてもさわやかで明るい娘さんで(おまけに美人で)、私達の息子の嫁にでも、と思ってしまったほどだった。 それにしても我が息子と娘、一体何時になったらいっしょに山へ行けるのやら、一体何時になったら結婚することやら、と、そんなことまで、そこはかとなく考えてしまった、静かで人情味豊かな山間の鉱泉宿だった。

オコジョ:Kさん撮影   後日、その単独行の娘さん(Kさん)から可愛いらしいオコジョの写真を送ってもらいました。 大日岳への登山道近くで撮ったそうです。 点ポチのように小さく写っていましたが、流石に一眼レフ、引き伸ばしても鮮明でした。 この他にも景色や花のステキな写真をたくさん送っていただいたのですが、全部お見せできないのが残念です。
  とてもさわやかでがんばり屋の美人のKさん、どうもありがとうございました。


 第5日目(8月13日・曇) 飯豊鉱泉…「いいでのゆ」…山都駅….
  飯豊鉱泉から歩いて10分足らずの処に川入(かわいり)バス停がある。 私達を含め10名ほどの乗客を乗せて、9時40分頃に磐越西線の山都(やまと)駅行きのバスは走り出した。 車窓から何回も振り返ってみたけれど、飯豊の山々は厚い雲の中だった。
飯豊山荘〜門内岳
登路にて
  話し好きで山に詳しい親切なバスの運転手さん。 車中、ずっと大声で、飯豊山にまつわる話しなどを私たち乗客に語り続けていた。 昔、所領権をめぐり、米沢藩と会津藩、新潟県と福島県で争いがあったことや、信仰登山の歴史や、その面影でもある地名の謂れなど、面白おかしく事細かに話してくれたのだけれど、申し訳ないことに聞いたそばから殆ど忘れてしまった。
  その運転手さんに勧められ、途中下車して「いいでのゆ」へ立ち寄ってみた。 湯上りに生ビールを飲みながら名物の「山都そば」に舌鼓。 5日間の私達の山旅の疲れが癒えていった。 2時間ほどくつろいで、広い駐車場へ出ると、山都駅から引き返してきた、あの親切で多弁な運転手さんの運転するバスが待っていた。 途中、飯豊山神社の前で特別に停車してくれたので、参拝もすることができた。
  JR磐越西線の車中、飯豊鉱泉で貰ってきたサービスの地酒を、例によってチビチビ飲りながら、楽しかった縦走登山の断片を反復して思い出していた。 飯豊山は花と稜線眺望に優れた花崗岩の山だった。 そして、大きくて遠い山だった。

「いいでのゆ」: 山都(やまと)町の宿泊施設、温泉保養センター。 飯豊山への会津側からの代表的な登山口である川入(飯豊鉱泉)と山都駅の中間(バスで約25分)の緑豊かな杉木立の中に位置する。 平成3年8月掘削に成功、1300mの地下から自噴とのことだ。 バスの運転手さんの話だと、竹下首相時代の「ふるさと創生」の産物でもあるようだ。 ナトリウム塩化物・硫酸塩泉。 源泉温度59.6℃。 薄い茶褐色の湯。 入浴料は大人一人500円。 「青空星空風呂」と名付けられた石造りの露天風呂など、「お湯」そのものが自慢というだけあって、なかなかけっこうでした。
  「いいでのゆ」(山都町)のHP



大日岳とヒメシャジン:天狗ノ庭付近より
ヒメシャジン(バックは大日岳)

本山小屋裏手の広場から飯豊本山(北峰)を望む
本山小屋から飯豊本山を望む
大日岳へ:季節遅れのニッコウキスゲが咲いていた
御西小屋から大日岳へ
ニッコウキスゲがまだ咲いていた。

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