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No.141 平標山から仙ノ倉山
平成14年(2002年)7月13日〜14日 高曇り

平標山・仙ノ倉山 略図
バックは平標山
平標山ノ家

山ノ家の頭上にどっしりと大源太山
振り返ると大源太山が…

小屋の周辺に咲いていた
小屋裏のニッコウキスゲ

風が強かった
平標山の山頂にて

稜線上にて
ウラジロヨウラク

バックは苗場山
ハクサンシャクナゲ

仙ノ倉山の山頂にて記念撮影
仙ノ倉山の山頂


谷川連峰西端の山々を楽しむ

第1日=JR上越新幹線越後湯沢駅-《バス35分》-平標登山口〜(平元新道)〜平標山ノ家 第2日=平標山ノ家〜平標山1984m〜仙ノ倉山2026m〜平標山〜松手山1614m〜平標登山口-《バス約8分》-「宿場の湯」(入浴)-《タクシー20分》-越後湯沢駅
 【歩行時間: 第1日=2時間50分 第2日=5時間】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 第1日目(7/13): 「山歩会」としては初めての山小屋に一泊しての今回の山行だったが、悪天候のため一週間順延したせいで、当初11名参加の予定が5名になった。 「山登りでは5名のパーティが理想的。仮りに1名がトラブったとき、2名が付き添い、2名が救援を求めに行ける…」 とかなんとか理屈をつけて、とにかく明るく元気に越後湯沢の駅に降り立ったのは午前9時42分。台風6号は過ぎ去ったけれど、台風7号と8号が接近していて大気は不安定のようだ。何とか2日間もってくれと祈りつつ、浅貝行きのバスに乗り込む。バスはほぼ満席だったが登山姿の乗客は私たち5人だけだった。
 10時45分、平標登山口バス停(標高1000m弱)から歩き始める。国道17号線を少し戻って三国小学校裏から続く岩魚沢林道へ入る。人っ気のない別荘地を過ぎると二つ目のゲートがあって、ここで車は完全に通行止めになっている。お蔭で静かな林道歩きを楽しめる。お昼の12時、登山道(平元新道)への入口の水場で大休止。何時もの通り四方山話に花が咲く。

 カラマツ、ブナ、ミズナラ、ダケカンバ、ハリギリ、カエデ類などの雑木林をジグザグと、休み休み登る。振り返ると上信越国境の山々が見渡せる。眼下には筍山の苗場スキー場も見えている。急坂が続くと流石に口数は少なくなる。稜線へ出る少し手前で雨が降り出した。本降りだ。傘を差し、平標山ノ家へ駆け込んだのは午後2時10分頃だった。

* 平標山ノ家: 平元新道を登り切った標高約1650mの稜線上に位置する。平標山(たいらっぴょうやま)や仙ノ倉山が眼前の好ロケーションだ。この日の宿泊客は団体が数組あって丁度定員の約40名。一畳に一人、むさ苦しくない程度の混み具合だった。飾り気がなく口数の少ないヒゲの管理人さんのカレーライスは美味しかった。

 夕食前、雨は降っていたけれど、四方の山々は見えていたので、小降りになるのを見計らって小屋付近の山道を散歩してみた。眼前の大きくてなだらかな仙ノ倉山の右斜面の奥に、谷川連峰の中心部に聳える万太郎山1954mが三角形の頭を出している。平標山方向へ少し登って振り返ると、山ノ家の赤と黄緑の屋根とキャンプ場の数張りのテントが小さく見え、その稜線上の奥には大源太山1764mがどっしりと構えている。小屋の周辺にはニッコウキスゲが美しく咲いている。

 第2日目(7/14): 夜半、小屋に吹きつける強い雨音で何回か眼が覚めた。ウトウトしていたら、何時の間にか雨音はしなくなった。
 ほんのりと薄明るくなってきた午前4時過ぎ、恐る恐る、そっと小屋を出てみた。なんと雨は完全に上がり、天空の一部には星が瞬いている。昨夕、「雨が降っているのにくっきりと周囲の山々が見渡せる場合は、その翌日は間違いなく大雨だ!」 と言っていたヒゲの管理人さんの予言は大ハズレ。嬉しくなって小躍りしながらみんなを起こした。
 山ノ家での朝食後、なだらかな草原の山道を北へ向かい、心もウキウキと歩き始めたのは午前5時55分。これから約6時間、展望の稜線歩きを堪能することになる。
 30分ほど歩き、仙ノ倉山への(平標山の)巻き道を右に見送る。この巻き道は植生保護のため現在は閉鎖されているのだ。尚も30分ほど登ると三等三角点のある平標山の山頂へ出た。南の風が少し強かったけれど展望は申し分ない。仙ノ倉山から谷川本峰への主稜線や上越国境の山々、苗場山の平らで広い山頂部などもよく見えている。
 平標山の山頂から東へ進み、広い尾根道を仙ノ倉山へ向かう。花の百名山とのふれこみだが、花にとって中途半端な季節だったのか、思ったほど高山植物は咲いていない。それでも処々、チシマザサ(ネマガリダケ)やハイマツの合間にハクサンフウロやハクサンチドリなどが可憐に咲いている。チングルマの花は終わって羽毛状の稚児車になっていたけれど、ナナカマドには白い花が咲き、ウラジロヨウラクが赤い小さな花をつけ、ハクサンシャクナゲは今が盛りと咲いていた。そして、それらは私たちの目を充分に楽しませてくれた。
 谷川連峰の最高峰、一等三角点のある仙ノ倉山2026mの山頂で大休止。360度の大展望を思う存分楽しんでから、平標山へ引き返す。
 雲が少し多くなってきたようだ。平標山で小休止の後、午前9時40分頃、西へ向かって下山開始。正面に苗場山などを仰ぎながら、たおやかな尾根道をひたすら下る。ここにもハクサンシャクナゲが咲いている。ハクサンフウロ、モミジカラマツ、ニガナ類なども、少しだけれど咲いている。時折ガスも出始めたが、空は依然明るい。
 松手山を過ぎた辺りから再びダケカンバ、ブナ、ミズナラなどの広葉樹林帯へ入っていく。この山域も、日本海側の多雪山地と同様、シラビソなどの針葉樹林帯が欠如した「偽高山帯」 なのだろうか…。

* 平標山の不思議: 平標山と仙ノ倉山との鞍部を中心に風食裸地が広く分布しているが、小泉武栄著「山の自然学(岩波新書)」によると、ここ(海抜2000mを切る低山)の風食地形は地形学上でもかなり珍しいようだ。更に珍しいのが、日本アルプスなどの風食とは異なり、ここでは北西の季節風はまったく関与していないということだ。調査で分かったことらしいが、どうやら真犯人の主犯は関東地方で梅雨の頃に吹く「イナサ」と呼ぶ強い南風らしい。風食によってできた砂礫地では独特の植物相が生じる、とのことだ。

 中高年登山の事故の大半は下山時ですよ、とハッパをかけたのも束の間、メンバーの一人が段差のある急勾配で滑って脛に擦り傷を負った。慣れない二日間の山歩きで、膝が相当に疲労しているようだった。先頭を歩いている私の歩が少し早すぎたのかもしれない、と反省して、尚一層ゆっくりと下った。
 風通しの良い鉄塔下で大休止の後、ゆっくりと、ゆっくりと歩いて、平標登山口バス停へ着いたのは午後2時を過ぎていた。越後湯沢へ向かって約1時間、国道17号線と並行する遊歩道(トレッキング湯沢U)を歩く予定だったのだけれど、あっさりと変更して、丁度来たバス(ラッキー!)に乗って三国街道二居宿「宿場の湯」へ。山旅の汗を流してから家路についた。

二居温泉「宿場の湯」 三国街道二居(ふたい)宿 「宿場の湯」: 湯沢町の日帰り温泉施設。平標登山口バス停から越後湯沢行きのバスで約10分。越後湯沢駅からはバスで約30分。国道17号線沿い、田代スキー場の近くに位置する。源泉名は二居温泉。泉温52.1度のアルカリ性単純泉。無色透明無味無臭。入浴料大人一人600円。これといった取り柄はないが、平標山や苗場山などの山行後の汗を流すには最適、だと思う。みんなと食堂で飲んだ風呂上りの生ビールが五臓六腑に染み渡った。
  「宿場の湯」のHPへ



平標山の下山路にて
前方に苗場山を望む
前方に苗場山を望む
バックは平標山
ホッと一息(松手山にて)
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