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No.174 越前岳1504m(愛鷹連峰)
平成17年(2005年)2月2日 快晴 マイカー利用

越前岳 略図
そうだ、富士山を見に行こう!

《マイカー利用》 …東名高速道・御殿場I.C-《車35分》-十里木高原駐車場〜展望台(電波塔)〜笹峰〜眺め岩〜勢子辻分岐〜越前岳[往復] 【歩行時間: 3時間10分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 駿河の山なのに何故「越前…」なのかは判然としない。そもそも「越前岳」または「越前山」という名の山は北陸はもとよりこの日本にはここだけにしかないようだ。そんなミステリアスな面白さも手伝って、「そうだ、富士山を見に行こう!」 と思い立って選んだのが富士山展望の南側のネット裏、愛鷹(あしたか)連峰最高峰の越前岳だった。

 東名高速道の御殿場インターを降り、国道469号線を西進する。快晴だ。右側一面はでっかい富士山が朝日を受けて鎮座している。左前方には愛鷹連峰の位牌岳と越前岳がピョコンピョコンと並んでいる。箱根の山などから富士山の左側に薄ぼんやりと見えている、いつも気になっていた「まるで般若の角か、はたまたバットマンかキティちゃんの耳」のようなあの姿だ。その特異な山容が益々近くなり、くっきりと眼前に横たわる。
 十里木(じゅうりき)高原の広い駐車場(無料・トイレあり・標高880m)に車を置く。寒気団が上空を覆う寒い朝で、寝不足気味のダルな身体に否応なく活(カツ)が入る。軽く準備体操をしてから歩き出したのは午前7時40分頃。登山道は凍土と化していて、積雪も段々と増えてくる。擬木階段を登り切った展望台で、妻の佐知子はたまらず軽アイゼンを装着した。私は「なんとかなる」と思って着けなかった。実際、上りではなんとかなったのだけれど、下りでは私も装着した。結論を云うと、矢張りアイゼンは有効だった。ちょっと意地を張った私がバカだった。
雑木帯を登る
軽アイゼンがよく効く

展望はほぼ360度
越前岳の山頂
 佐知子が不慣れなアイゼン装着で手間取っている間、私は展望台から眼前に広がる大きな富士山を見ていた。四合目辺りからだろうか、上部が白銀の富士山は確かに神々しくてこの上もなく美しい。しかしその広大な裾野の、ゴルフ場や植林地帯や鉄塔や建物群が無秩序に立ち並ぶパッチワーク状のきたならしさは、一体なんだろう。富士山はもしかして今や、否ずっと以前から、うんと遠くから眺めるためにだけ存在する名山じゃなかろうか、なんて、少し寂しい思いになった。時折「ドーン」という不気味な大砲音が…、自衛隊の北富士演習場における実弾訓練だろうか…、悪魔の唸り声のように聞こえてくる…。
 富士山を背負いながら、再びゆっくりと雪道を登る。クマザサ帯を抜け、1098.9mの三角点のある笹峰や眺め岩などでも振り返って、富士を仰ぎながら小休止。新緑や紅葉の季節はさぞかしキレイだろうと思えるようなブナ、ミズナラ、リョーブ、オオカメノキ、ヤマボウシ、カエデ類等の冬枯れの雑木帯を抜けると、案外あっけなく山頂に着いてしまった。
 小広い越前岳山頂には2等三角点の標石や木製のベンチが置かれてあった。展望はほぼ360度。北面の富士山の右側は御坂・道志・丹沢や箱根の山々、左側奥には南アルプスが連なっていて、更にその左下の清水市街の奥からは駿河湾が弧を描いている。南面の彼方には伊豆の山々が薄っすらと見えていて、その手前の位牌岳などの愛鷹山塊の景色が近い。
 ここ(越前岳山頂)から南へ、呼子岳を経て鋸岳〜位牌岳〜愛鷹山へと続く愛鷹連峰核心部の縦走路は、こうやって眺めているだけでも充分に魅力を感じるが、長丁場でもあり危険箇所(鋸岳)もありとのことで、今回の私達の装備では無理だと思う。だいいち、私が「行ってみよう」と言ったって、臆病な佐知子が承諾するはずが無い。ガイドブックによると、東側の大山祗命(おおやまづみのみこと)神社方面へ下る道の途中に富士見台という展望のよい処があるということで、せめてそこまで行ってみようかとも思ったけれど、富士山に雲がかかり始めてしまったこともあり、当初の予定通りここで往路を引き返すことにした。マイカー登山の場合は駐車場まで必ず引き返さなくてはならない、というのが、矢張り気味のないことだと思う。
 上半身が雲に隠れ始めた富士山を前方に眺めながら、あれよあれよという間に十里木高原の駐車場に下山してしまった。丁度お昼の12時頃。昼飯前、だった。
 この越前岳山頂往復の最短ルートは、富士山展望に優れたファミリー向けの素晴らしい日帰りコースだと思う。私達も、少なくても富士山展望については充分に満喫することができた。しかし多分、この愛鷹連峰の真骨頂は“縦走”にあると思う。その意味では今回の私達のコース設定は、これでよかったのかな、と思うほど、ちょっと勿体無い感じもした。
 車に乗って、愛鷹山塊の麓を西からぐるっと回って南下し、沼津の街を抜けて、宿泊予約のしてある伊豆長岡温泉へ向かう。チェックインの予約時間までにはまだたっぷりと時間があったので、少し足を伸ばして、ビャクシン樹林やダイビングスポットとして有名な大瀬崎をゆっくりと観光した。沼津や大瀬崎から眺めた愛鷹山塊は富士山の(醜い)下半身を隠す格好の屏風になっていた。

翌日は沼津アルプス



笹峰1099mから富士山を仰ぐ
笹峰1099mにて
バックは駿河湾方面
越前岳山頂1504mにて

位牌岳と越前岳 般若の角? バットマンの耳? キティちゃんの耳?
般若の角・・・?
金時山より(H9年12月撮影)
→ 「No.54金時山(箱根)」

バットマンの耳・・・?
御殿場方面より(今回撮影)

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