No.54-1 金時山1213m Part1 金太郎伝説の箱根外輪山最高峰 |
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インデックス その@ 乙女口から金時山 平成9年12月20日 バットマンかキティちゃんの耳に見える 仙石〜乙女口〜乙女峠〜長尾山〜金時山〜矢倉沢峠〜仙石原温泉 そのA 再び乙女口から金時山 平成13年11月17日 もっと痛くなる前に下山してしまいなさい! 乙女口〜乙女峠〜長尾山〜金時山〜矢倉沢峠〜金時登山口〜仙石 そのB 公時神社から金時山 平成14年3月9日 日本の将来もまんざら捨てたものじやないぞ 仙石〜公時神社〜金時山〜長尾山〜乙女峠〜乙女口〜仙石 そのC 夕日の滝から金時山 平成28年1月22日 雪道の金太郎コースを楽しむ 地蔵堂〜夕日の滝〜猪鼻砦〜金時山〜長尾山〜乙女峠〜乙女口 そのD 乙女峠から金時山 令和4年5月24日 辛うじてシロヤシオが咲き残っていた! 乙女峠バス停〜乙女峠〜長尾山〜金時山〜公時神社〜仙石 そのE 再び乙女峠から金時山 令和4年9月13日 空色の空が気持ちよい 乙女峠バス停〜乙女峠〜長尾山〜金時山〜公時神社〜仙石 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ その@ 乙女口から金時山 平成9年(1997年)12月20日
自宅を出たのは午前7時50分。暖かい薄晴れの冬だった。箱根湯本近辺の麓には未だ少し紅葉が残っていた。今回は弁当を作るのをサボってしまったので、小田原で駅弁などを購入した。鯵寿司、鯛めし、シューマイ…、と、少し欲張り過ぎた。 意外と露岩の多い山頂や尾根筋から、富士山、甲斐駒、八ヶ岳や、近くの神山、駒ヶ岳などがよく展望できた。乙女峠から長尾山を経て金時山へ至る稜線は神奈川と静岡との県境でもある。下部はヒノキ林が主だが、標高が上がると、ブナ、ミズナラ、ヤマザクラ、ミズキ、シデ類、モミジ類(オオモミジなど)、ツツジ類、ヒメシャラ、そしてスズタケ、などの天然林で、これも素敵だった。 沢山のハイカーで賑わう金時山山頂からの展望で特に印象的だったのは、西にど〜んと鎮座する富士山の左手にある山並み…、薄雲にかすむ位牌岳1458mと越前岳1503mの遠景だった。並んだこの愛鷹連峰の2座が、まるで般若の角のように見えている。それを妻の佐知子に喋ったら 「私はバットマンかキティちゃんの耳に見える」 と言葉が返ってきた。行く手(東面)の矢倉沢峠へ向かう稜線上には明神ヶ岳や明星ヶ岳も間近に見えている。枯れ枝の隙間からはその左手に丹沢山塊が豪快だ。 古い山名は猪鼻山(いのはなやま)、又は猪鼻嶽とも云うらしい。江戸時代のころから金太郎伝説とともに金時山(きんときやま)と呼ばれるようになったとか。けっして侮れない山だと思った。 この日は仙石原温泉に宿をとり、翌日は芦ノ湖西岸森林浴並木道を歩いた。 * 乙女峠: 標高約1000m。かつては箱根越えの最古の街道(碓氷道)や箱根裏街道もここを通っていたという。ここからの富士山の眺めは外輪山の稜線中随一といわれる。私達の持っている古い百科事典によると、「この地名の起源は、江戸時代にこの地の一帯を小田原藩が警固して、仙石原に番所をおいたため御留(おとめ)峠の名が生じ、のちに乙女峠に転化したものといわれる」、とのことだ。しかし、私は敢えて次の民話をこの地名の由来としたい。 昔、仙石原の娘が父親の病気を治そうと、峠の先の地蔵堂に日参した。満願の日に父親の病気は治ったが、彼女は雪に埋もれて死んでしまった。その言い伝えから、彼女の霊を哀れみ乙女峠と呼んでいる、そうな…。[峠の案内板にそう書いてありました。] 仙石原温泉「箱根甲子園」: 単純硫黄泉、無味無臭。風呂は露天風呂、岩風呂、大浴場と多彩。露天風呂は特に良かった。太った仲居さんもなかなか感じが良かった。 「水と緑に囲まれた家庭的な宿」 は頷ける。 * 平成14年3月に箱根甲子園は閉鎖され、同年12月現在、リゾートマンションの建築中だそうです。良い温泉宿、と思っていただけに、ちょっと残念です。[後日追記] そのA 再び乙女口から金時山 平成13年(2001年)11月17日 「山歩会」の定例山行。私達夫婦にとっては2度目の金時山。今回は、秋のシーズンとあって物凄い人出。コース上のいたるところは人、人、人(殆どが中高年です)でうずめられていた。山頂の金時茶屋の金時娘(金時おばさん?)も大忙しで、ゆっくりと話しができる状態ではなかった。それでも、流石に人気のハイキングコース。晴れていたこともあって、富士山や箱根の山々などの眺望も良好で、おまけに山麓は紅葉の真っ盛り。晩秋の箱根を満喫することができた。
小田原駅前のバス停で、便利でお得なフリーパス(金時山ハイキングパス:一人一日1300円:電車・バス利用の際は超お勧めです)を購入、湯本経由桃源台行きの箱根登山鉄道バスに乗る。交通集中による渋滞で、予定を40分ほど遅れて仙石で下車。ここで運良く御殿場行きのバス(1時間に1本程度)に乗り継ぐことができ、仙石からの登山予定を反対コースの乙女口からに急遽変更した。おかげで歩行時間にして約30分弱を短縮することができた、けれど、もともと歩行時間の短いこのコース、時間にガツガツせず、麓の紅葉や金時山などの景色を眺めながらの舗装道歩きも悪くなかったかもしれない。 総勢8名、乙女口(乙女峠入口)のバス停から元気良く歩き出したのは午前10時25分。寒さは感ぜず、手袋は必要無かった。例によって、ゆっくりと、ゆっくりと歩く。今回の山行、一体、何十組、何百組のパーティーに追い越されたろうか。でも、それが私達のペース。もう、もはや、それは私達の哲学にさえなっている。そう…、とにかくゆっくりと歩きましょう。 檜林の入り雑じる雑木林や露岩の目立つジグザグ坂をゆっくり登って約1時間、ひょっこりと乙女峠へ出て、矢張り驚いた。正面(西北西の方向)にドカーンと大きな富士山が、白銀の上半身から蒼々とした下半身まで、惜しげもなく両翼を目一杯広げ、御殿場の街並みを手前に従えて、私達の目の前に現れた。パーティーの面々から思わず歓声が上がった。晴れていて良かったね、と、みんなで云い合った。この感激があるから、乙女口からのコースはいいと思う。 乙女峠で中休止の後、右手に箱根中央火口丘(神山など)や芦ノ湖などを眺めながら、尾根筋を金時山へ向かう。長尾山の明るく開けた山頂部で小休止の後、最後の登り返しで、露岩の金時山の山頂へ着いたのは12時50分頃だった。 大混雑の金時山山頂で楽しい昼食、1時間半の大々休止。茶屋のトイレでは順番待ちの女性たちの長い行列ができていた。曇ってはきたけれど、まだ見えている富士山や箱根の山々などの景色を思う存分楽しんだ。人は多かったけれど、不思議なことに、意外と静かな山頂だった。 木々の間から、ぼんやりとしか見えなくなってきてしまった丹沢の山々や、行く手の明神ヶ岳などを眺めながらの稜線上の下り、大股で私達を追い越していったご婦人方4名のパーティの一人が、すべって、膝と足首を捻ってしまった。何事もなかったかのように歩き出したご婦人だったが、暫らくして、立ち止まって足の痛みを訴えた。私達も立ち止まって、靴を脱いだご婦人の足首を見たら、もう既に腫れ出していた。これから段々と痛みが増してくるものと思われた。佐知子のザックに常備しているサロメチールの軟膏をお貸しした。 「もっと痛くなる前に下山してしまいなさい」 と忠告した。山の初心者らしい4名の女性パーティーは、私達に感謝して、今までよりはゆっくりと、しかし私達よりは速く、下山していった。 仙石のバス停に着いたのは午後3時50分だった。私達8名は、勿論、全員無事故で元気だった。湯本まで大渋滞でノロノロ運転のバス。途中下車して、宮城野の「勘太郎の湯」で汗を流してから帰路についた。 宮城野温泉「勘太郎の湯」: 箱根の山の良さは、手頃な歩行時間と山稜の要所からの眺望、そして下山後の温泉入浴の楽しみ、だろうと思う。ハイキングの帰路、数ある温泉施設のうちの一つがこの「勘太郎の湯」。宮城野バス停の近く、早川沿いの鉄筋3階建て。平成3年に営業開始とのこと。人気日帰り温泉施設の休日の午後ということで、かなり混雑していた。施設の営業時間は10時から19時までだが、食堂の最終オーダーが午後5時(食堂の営業は6時まで)とのことで、もう少し時間を延長してほしかった。せわしない入浴になってしまったけれど、風呂上がり、さっぱりとした気持ちでメンバーの皆さんと団欒しながら飲んだビールの味は格別だった。 湯量豊富。塩化物泉・硫黄塩泉、無味無臭透明だった。大浴場、露天風呂、掛け流しの大理石風呂(男女日替わり)など。入館料大人750円。オーナーは地元の株式会社勝俣組(建設業)。勘太郎はその先代と二代目の名前、とのことだ。 * この後(平成18年11月現在)、入館料は1,000円に値上げされていました。食堂の営業時間は延長されたようです。 * さらにその後(2019年6月10日付)、「勘太郎の湯」は閉館となったようです。残念〜 そのB 公時神社から金時山 平成14年(2002年)3月9日 3回目の金時山は、公時神社からの最短で山頂へ行けるコース。山の好きな仕事の仲間たちとその家族といっしょの、総勢9名の、明るく元気な山行だった。 私達夫婦は電車とバスと徒歩。他の3家族7名はマイカーで、9時半に公時神社の駐車場で待ち合わせ。早く着きすぎた私達は、とりあえず公時神社にお参りする。金太郎のモデル、坂田公時を祀ってあるこの神社。「金時神社」ではなく「公時神社」というのが本当らしい。コガラのツガイがしきりと境内の樹上を飛び回っている。全員が揃い、公時神社コースを登り始めたのは午前9時50分頃だった。
缶ビールを18本も担いできた強力(若手のホープです)のおかげで山頂での楽しい団欒。風が強くて少し寒かったが、時間の経つのを忘れた。春霞だろうか、遠望は利かなかったけれど箱根の山々はよく見えていた。白銀の富士山も辛うじて見えていた。相変わらず人影は多い。 この金時山は、針葉樹林あり、広葉樹林あり、稜線歩きあり、岩場もあり、麓には温泉もあり、とバラエティに富んでいる。しかも富士山の展望にも優れている。極め付き、はないが、それぞれがそこそこで、云ってみれば一昔前のトヨタ車みたい(60点主義)で、総合評価となるとかなりのハイレベルになってしまう。それが、何時行っても沢山のハイカーで賑わう人気の秘訣だと思う。 ハイキングは今回が生れて初めてという、同僚のチャパツの息子さん。今春の就職が内定しているとのことだが、登り始めの時 「山歩きの何がいいのか、その答えを出したくて父についてきた」 と言っていた。下山してからの自動車道で、「山歩き、如何でしたか」 と訊いてみたら、「また来てみようと思いました」 との返事。日本の将来もまんざら捨てたものじやないぞと、そのときとても気分が良くなった。 公時神社の駐車場へ戻ったのは午後2時50分。みんなと別れてから、私達夫婦はそこから尚15分ほど車道を歩き、仙石のバス停でバスを待った。 |