「私達の山旅日記」ホームへ

No.53 甲武信岳(甲武信ヶ岳)2475m
平成9年(1997年)11月22日〜24日 第1日目は雨第2日目は曇り第3日目は快晴

森林の幽趣・・・
霧氷が美しい(十文字峠付近)
武信白岩山と三宝山の鞍部
尻岩にて
近くに見晴しの良い岩場(三宝岩)がある。
1等三角点のある三宝山の山頂
霧と風の甲武信岳山頂:メチャ寒い
甲武信岳山頂

シックな(渋い)外観の甲武信小屋
甲武信小屋


霧氷の深林を歩く‥‥

第1日=…清里を散策…JR小海線信濃川上駅-《バス30分》-梓山 第2日=梓山-《宿の車7分》-毛木平〜十文字峠1960m〜大山2225m〜武信白岩山2270m〜尻岩〜三宝山2483m〜甲武信岳2475m〜甲武信小屋 第3日=甲武信小屋〜木賊山2469m(まき道)〜破風山2318m〜雁坂嶺2289m〜雁坂峠2050m〜(久渡沢)〜雁坂峠入口-《タクシー》-JR中央本線塩山駅
 【歩行時間: 第2日=6時間30分 第3日=6時間10分】
 → 国土地理院・地図閲覧サービスの該当ページへ


  第1日目(登山前日)は小雨。 小海線を途中下車し、清里を散歩。 作者と館長が同一人物の宝石美術館「ア ミュジアム オブ アート(田中治彦氏)」などを見学。 昼食にはしゃれた食堂でほうとうを食べた。
  梓山バス停前の旅館「白木屋」の女将は口数は少ないが感じは悪くない。 貴重な岩茸の胡麻和えの心づくしは、酒を美味くした。

  第2日目は曇り。 カラマツ林の毛木平までは白木屋のご主人に車で送ってもらう。 千曲川源流遊歩道を右に分け、亜高山帯の原生林が特に素晴らしいと云われる十文字峠経由のコースへ進む。
  その十文字峠辺りからはシラビソなどの深い原生林…。 霧と風の中を歩く。 霧氷が美しい。 風で木と木の擦れる音が歯ぎしりのように聞こえる。 とても寒い。
  武信白岩山と三宝山(埼玉県の最高峰2483m!)の鞍部にある尻岩で昼食をとる。 水筒の水が凍っていて飲めない。 サーモス(ポット)をもってきてよかった。
  その昔…、明治の末期から大正、昭和の初期にかけて、田部重治や小暮理太郎などが彷徨し、ここ奥秩父で発見し驚喜したのは、森林の幽趣と渓谷の美しさだった…、とか。 今もそうだな、と思った。
  甲武信岳の山頂もホワイトアウトで、晴れていれば素晴らしいという展望は全く得ることができなかった。 風が強く、身体が凍りつきそうだった。
  山頂直下の甲武信小屋に着くやいなや、毛布を7枚被って横になったが、身体の震えは止まらなかった。 夕食は例によってカレーライス。 身体も少しは暖まった。
  小屋の入口にある寒暖計によると、夜7時の外気温はマイナス8℃だった。 霧が晴れて星がきれい。 風邪薬を飲んで寝た。
  北国の知人にあとで聞いて分かったことだが、私達夫婦は低体温症の一歩手前だったかもしれない。 身体が冷えきっているときにはストーブなどでまず暖をとってから、というのが正しい手順だったようだ。

  第3日目は快晴、午前6時25分小屋発。 木賊山(とくさやま)は巻いて、破風山(はふさん)から雁坂嶺(かりさかれい)を越える。 ハイマツ、シャクナゲ、コメツガ、ダケカンバなどの植生だ。
  雁坂峠辺りから少し暖かくなり、絶好のロケーションでの昼食となった。 昨日の十文字峠は味わいのある薄暗さだったが、この雁坂峠はあっけらかんとした明るさだ。 峠にもそれぞれ個性があるようで、その対照が面白いと思った。
  午後1時35分、雁坂峠入口に下山。 今日もほぼコースタイム通りに歩けた。 (と、いうことはコースタイムが甘い?)
  帰路、中央本線「かいじ」の車中、缶詰の熱燗が旨かった。

  帰宅途中、新宿駅山手線のホームでの乗車中、何故か私の前で急にドァーが閉まり、手に持っていた私のザックの紐が電車のドァーに挟まれ、そのままザックだけが代々木の駅まで引きずられる、といったアクシデントに見舞われた。 先に乗車していた妻の佐知子が、内側から紐の一部を握って、引っぱり上げてくれていたようだ。 幸い怪我もなく、買ったばかりの私の40リットルザックも無事だった。 代々木駅のホームで、ザックをもって私を待っていた佐知子が逞しく見えた。


* 甲武信岳(こぶしだけ・2475m) 「甲武信ヶ岳」とも表記される。 山名の由来については、山頂が甲州(山梨県)、武州(埼玉県)、信州(長野県)の三国境に位置するからとする説と、山容が握り拳に似ているので拳岳となり甲武信があてられたとする説があるようだ。 東へ荒川、南へ笛吹川(富士川)、西へ千曲川(信濃川)を発し、3河川の分水嶺にもなっている。 「山名・用語辞典(山と渓谷社)」、及び「日本山名事典(三省堂)」より要約して後日追記。

* 十文字峠と植物群落保護林: 標高約2000mに位置する十文字峠は、かつての信州と武州を結ぶ街道の要所にもなっていたという。 現在は丸太作りの十文字小屋がひっそりと建っていて、裏側にはアズマシャクナゲの群落がある。 この周辺はコメツガ、トウヒ、シラビソなどの亜寒帯性極相林(原生林)の美しい処で、苔生した倒木や地表の様子などはまさに「幽趣」の形容がぴったりする。 特に峠の東側(栃本方面の7.37ha)は十文字峠植物群落保護林として、学術的にも貴重な存在であるらしい。



下山路は快晴に恵まれた
雁坂峠付近からの展望(中央は木賊山)

このページのトップへ↑
No.52「赤岳から横岳と硫黄岳」へNo.54「金時山」へ



ホームへ
ホームへ
ゆっくりと歩きましょう!