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No.183 トムラウシ山2141m 前編
平成17年7月12日〜14日 時々ガスったが概ね良い天気

トムラウシ 略図
北海道の山旅・のほほん24日間 [4/8]
雪渓とお花畑の空中散歩

登山前日(7/11)=…新得駅前-《バス80分》-トムラウシ温泉 第1日(7/12)=トムラウシ温泉-《タクシー20分》-短縮コース登山口〜カムイ天上〜前トム平〜トムラウシ公園〜南沼キャンプ指定地 第2日(7/13)=南沼キャンプ指定地〜トムラウシ山2141m(2回アタック)〜ヒサゴ沼避難小屋 第3日(7/14)=ヒサゴ沼避難小屋〜化雲岳1954m〜天人峡温泉(泊)…
 【歩行時間: 第1日=6時間40分 第2日=5時間 第3日=7時間10分
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 7月11日(雨・曇): 登山前日 新得〜トムラウシ温泉  
  北海道の「ヘソ」は富良野市だが、その「重心」は新得町にあるという。 それを記念した新得駅前のやじろべえ形のモニュメントを見ながら、1日に1本の、午前7時20分発の拓殖バス(7/9〜8/21運行)に乗る。 私達のマイカーは、一宿のお世話になった駅前旅館に預けてきた。 バスの乗客は私達夫婦のほかには一人の中年ハイカーの男性だけで、三人の貸し切り状態だった。 その中年ハイカーも明日トムラウシに登るらしい。
トムラウシ公園を隔ててトムラウシ山が大きい
トムラウシへ(翌日撮影)
  バスは十勝川に沿って北へ遡行する。 途中、バスの運転手さんから 「降りてダムを見物しますか?」 と聞かれたけれど、本降りの雨が降っていたので、中年ハイカーとも相談して、そのまま走ってもらうことにした。 ダム見物の停車時間が割愛されたせいか、予定より10分早くトムラウシ温泉に到着した。
  雨が止んだ(と思っていた)ので、大きなザックを宿に預けて、トムラウシ山へ続く登山道を散歩がてらに歩いてみた。 そしたら再び大雨になって、傘を持ってこなかった私達は大きなミズナラの木の下でじっとしていた。 雨足が弱くなったのを見計らって、ぬかるんだ道を走って下り、近くの東屋(兼トイレ)で雨宿り。 しかし雨は再び激しく降り、私達はその東屋に釘付けになってしまった。 随分と長い間、足元のアリンコの働きぶりなどを観察していたら、目の前を一台のライトワゴン車が宿の方向に走り去った。 と思ったら、暫らくしてそのワゴン車が引き返してきて、車窓から私達に傘を2本差し出してくれた。 ありがたかった。 あとでフロントに尋ねたら、その優しいライトワゴンの運転手さんは宿の従業員だった、とのことだった。
  かなり早めのチェックインだったが、宿の対応は親切そのものだった。 レストランでの昼食後は、のんびりと風呂へ入ったりしながら過ごした。 快適な宿のおかげで、明日からのトムラウシ登山の心と身体の準備が出来上がった。 天気は快方に向かっているという…。

トムラウシ温泉「東大雪荘」 トムラウシ温泉「東大雪荘」: トムラウシの南麓にエゾマツやミズナラなどの原生林に囲まれて建つ民営の国民宿舎で、一軒宿の温泉だが、リゾートホテルの感もある。 岩風呂風の内湯も露天風呂も大きくてとてもいい。 泉質は含硫黄・ナトリウム・塩化物・炭酸水素泉。 源泉温度は約93度。 無色透明、微かに硫黄の臭い。 循環併用だが、湯船からは常に湯があふれ出ていて、ほとんど源泉掛け流し。 部屋の窓の下には十勝川の支流ユウトムラウシ川が流れる。 夕餉に特別注文したオショロコマ(イワナ)の骨酒など、もう最高! 1泊2食付一人9,232円だった。
  一昨年の大雪山縦走の際、ようやく予約のとれた東大雪荘だったが、台風襲来のハプニングで急遽下山して、泣く泣くキャンセルした思い出が私達にはある。 人気の温泉宿だから、今回も3ヶ月以上前に予約を取っておいたのだ。 その私達の期待は正しかった。 この宿はそのサービスや居心地のよさにおいてずば抜けていた。 フロントを受け持つ初老の紳士…元々のホテルマンだろうか…の、ホテルサービスの術を心得た、じつにきめ細かい配慮など、全く素晴らしいものだった。 北海道のど真ん中の山奥で、こんなに(いい意味で)都会化された、イキで洗練されたサービスを受けるなんて驚きだ。
  私はこのトムラウシ温泉が大変気に入ったが、少し残念だったのは、この温泉が一部循環で、塩素類の臭いが、僅かだけれどしていた、ということだ。 衛生のためにはやむない処置だとは推察するけれど、大きな湯船の広さはその3分の1でも十分だと思うから、せめて完全な源泉掛け流しにしてほしかった。
 外部サイトへリンク 東大雪荘のHP

 7月12日(高曇り): 満天の星空 トムラウシ温泉〜短縮登山口〜南沼キャンプ地  
コマドリ沢上部にて
長い雪渓を登る

トムラウシが目の前です
前トム平付近

バックはトムラウシ山頂部
南沼キャンプ地

翌朝、ぶらっと散歩
南沼(翌朝撮影)
  現在のトムラウシ登山の主流は、マイカーを利用した短縮コース登山口からの日帰り往復登山になっているという。 はたしてその通りだった。 トムラウシ温泉の表側から続く昔からの登山道(昨日その入口付近を下見した温泉コース)は、私達が見聞きした範囲では、誰も歩いていなかった。 多少の迷いもあったけれど、軟弱で鈍足な私達は、昨日のうちに宿の電話でタクシーを予約した。
  トムラウシ温泉から未舗装の林道をそのタクシーで20分ほども走ると、短縮コース登山口手前にある土場跡の駐車場に着く。 既に数台の車が停まっている。 ここは標高1030mで、トムラウシ温泉の標高651mよりも約380mほど高い位置にある。 昨日のバスの中でもいっしょだった中年ハイカーとタクシー代を割り勘して、歩き始めたのは午前5時50分頃だった。
  ネマガリダケの生い茂る道を暫らく進むと温泉コースとの分岐へ出る。 「キャンプ場での今夜のおかずにタケノコ、採ってみるか?」 と云ったら、「ここ、国立公園よ!」 と佐知子に叱られた。 テントやシュラフや3日分の食料などでパンパンになったザックが重い。
  昨日来の雨でぬかるんだり水溜りになった道は歩きにくいことおびただしい。 私達は、うっとおしいからと、このときもスパッツは着けないでいたので、ズボンの裾は泥水だらけになってしまった。 トドマツ、ミズナラ、マカンバの樹林からエゾマツ、ダケカンバの樹林へと徐々に移り変わる。 それにミヤマハンノキ、ミネカエデ、ウラジロナナカマドなどの脇役が森にアクセントをつける。 針広混交の、典型的な北海道の山の自然林だ。
  カムイ天井からコマドリ沢の手前までは尾根伝いの新道(2003年開通)ができていて、カムイサンケナイ川に沿って遡行する従来の沢コースは閉鎖されていた。 増水時の渡渉で事故があったためらしい。 新得町役場商工観光課の説明板によると、沢コースより約700メートル長い、とのことだった。 この新道の泥んこ道もひどかった。 ちょっと古いけれど、どこまで続くぬかるみぞ、の心境だ。 ダケカンバの樹高が段々と低くなってくる。
  コマドリ沢に合流してからの雪渓の登りが長かったけれど、徐々に展望が開け、辿り着いた前トム平からは、岩と池塘と雪田とハイマツとお花畑の天国だった。 あのコマクサが、無造作にあちこちに咲いている。 黄色のタカネオミナエシ(チシマキンレイカ)や薄紫のイワブクロも咲いている。 そのゴージャスな尾根上の草原の礫地に座り込んで、コンロに火を点けてのささやかな昼食。 きのこご飯と味噌汁とソーセージだ。 周囲は雪渓だらけの広大な山裾で、背後に東大雪の山々が並び、行く手にはトムラウシ山がトムラウシ公園を挟んで目の前だ。
  トムラウシ山頂直下の南沼キャンプ指定地も、視界の開けた素晴らしいロケーションだった。 私達がテントを張ったすぐその脇では、雪渓から流れ落ちる雪解け水がせせらぎとなって一晩中音をたてていた。 水場が近いというのは理想的なテン場の条件だ。 周囲の草地はエゾノハクサンイチゲ、チングルマ、イワウメ、ミヤマキンポウゲ、エゾノツガザクラ、エゾコザクラ、キバナシャクナゲ、イソツツジなどの高山植物のオンパレード。 眼前にはトムラウシの岩峰が聳えている。 私達がこのキャンプ指定地に辿り着いたのは午後3時前だったが、霧が出たり晴れ間が出たりでちょっと忙しい空模様の中、付近を散歩したりして飽きることはなかった。

  夜中にふと目が醒めて、テントから首を出して空を眺めたら星が降っていた。 佐知子を起こしていっしょに外へ出てみた。 満天の星空の中央に天の川が流れている。 月は出ていなかったけれど、星明りだけでトムラウシ山頂部や周囲の山々が黒々と見えている。 まるでプラネタリウムにいるようで、めまいがする。 来てみてよかった、と私達はそのときしみじみと思った。

次項 トムラウシ山(後編)へ続く



あっちもこっちもお花畑♪

南沼キャンプ指定地の付近にて
エゾノハクサンイチゲの群落
トムラウシ〜化雲岳の稜線にて
チングルマなど
無造作に点在しています
コマクサ

「北海道の山旅・のほほん24日間」の写真集大きな写真でご覧ください。

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