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No.231 前掛山2524m(浅間山2568m
平成19年(2007年)10月29日 曇り・強風時々晴れ マイカー利用

前掛山・浅間山 略図
落差約10m
不動滝

葉縁が白い(冬期):クマザサよりずっと小さい
ミヤコザサ

いざという時の避難壕も兼ねているようです
火山館・浅間神社

白黒のコントラストがきれい:左側が火口壁
前掛山への稜線

レンズ雲が本峰の頭上に出ている
前掛山山頂・レンズ雲が…

とにかく風が強かったです(左前方は四阿山)
早々に退却

紅葉の真っ盛りでした
麓の紅葉


桃源郷か極楽だ!

《マイカー利用》 関越自動車道…上信越自動車道・小諸I.C…浅間山荘〜一ノ鳥居〜不動滝〜二ノ鳥居〜火山館・浅間神社〜湯ノ平〜賽ノ河原〜前掛山…浅間山荘-《車30分》-高峰高原ホテル… 【歩行時間: 6時間20分】
 → 国土地理院・地図閲覧サービスの該当ページへ


 ここ数年で浅間山の火山活動度レベルが3→2→1と徐々に引き下げられてきたことにより、昨年の9月22日から、黒斑コース及び火山館コースにおいて第二外輪山の前掛山(火口から500m)まで、登山者の自己責任において登山可能となっているようだ。その情報を知ってからは満を持していた。
 平年より11日早いそうだが、10月17日に浅間山に初冠雪のニュースが流れた。山頂部のきれいな白い縦縞模様の“思い出の風景”が脳裏をよぎる。そして暫らくして紅葉もきれいになる頃、つまり10月下旬の未明に、ついにマイカーを運転していそいそと出かけた。助手席には何時もの通り妻の佐知子がウトウトしている。

 頭を雲の中に隠した雄大な浅間山を眺めながら、上信越自動車道の小諸I.C.からアサマサンライン経由で約25分、浅間山荘前の駐車場に着いたのは午前7時頃だった。少し遅れているという今年の紅葉がようやく見ごろを迎え始めていて、辺りの森は色鮮やかだ。山に入って新鮮な空気を吸うと何時もそうなのだが、なんだか身体が軽くなった感じでウキウキする。佐知子も今回は特に張り切っているようで、めずらしくとっくに目を覚ましていて、せっせと登山の準備をしている。
 駐車場の少し先の鳥居の近くに「浅間連峰遭対協小諸支部詰所」の小さなプレハブの建物があり、人影はなかったが、ここは登山案内所も兼ねているようだ。外壁などの説明板には登山ルートの詳細や火山活動に関する情報などが“これでもか”というくらいに丁寧に書いてある。携帯電話を利用した登山者登録システムの実証実験中との説明書きもあり、面白い試みだなとは思ったけれど、なんか分かりにくく面倒臭そうだったので私達はパスしてしまった。アナログ形式の、つまり手書きの登山届けを専用ポストに投函してから、蛇堀川(千曲川の支流)が流れる谷を遡上する。30分も進むと一ノ鳥居で、ここから二ノ鳥居までは道は二つに分かれる。私達は上りには不動滝経由の右側のルートを選んだ。
 茶褐色に色付き始めたミズナラの林が続く。林床の主は背の低いササで、葉の縁が白くてとても美しい。思わず立ち止まって観察してみた。手にとってよく見ると、そのササの葉は稈(かん:茎のこと)の先端から順々に4枚〜7枚くらい出ていて裏に毛が密生していた。そして稈の節が丸く膨らんでいたので、これはミヤコザサに多分間違いない。ミヤコザサがこれより北(西)には分布しないという境界(ミヤコザサ線)があり、それは最深積雪50cmの地域を結んだものと一致する、というようなことをどこかで聞いたことがある。この浅間山南西麓の辺りは、冬にはそれほど雪は積もらないのかなぁ、と、あれこれ考えてみたりした。何れにしても、ここのミヤコザサは、その分布域の北(西)限に近いものであると思う。
 落差10mくらいだろうか、それなりに見ごたえのある不動滝を過ぎて二ノ鳥居も過ぎ、長坂と呼ばれる上り坂が続く。よく整備された登山道で歩きやすい。何時の間にか辺りの森の主役はカラマツになっていて、その美しい黄葉が視界を牛耳っている。右上にはその名の通り牙のような尖峰の牙山(ぎっぱやま・2100m)が聳え、左上には槍ヶ鞘などの岩山がかっこよく見え始める。いよいよこのコースの核心部だ。
 浅間神社のある火山館に着いたのは9時を少し過ぎた頃だった。ここは管理人の常駐する避難小屋だが宿泊はできないという。管理人さん(館長さんとお呼びしたほうがいいのかなぁ)はむっつりとした人で、室内で1匹のハトを放し飼いにして可愛がっていた。暫らく休んでから出かけようとしたら、「“上”のほうは風が強いと思うから気をつけて!」 と注意された。
 火山館の館長さんが云った通り、徐々に風が強くなってきた。手袋をつけて、セーターもジャケットも着て、フードもしっかりと被ったが、それでもじっとしていると寒い。
 寒かったけれど、この広い湯ノ平の景色は秀逸だった。背の低い黄葉真っ盛りのカラマツが疎に生えている。右手の頭上には縦縞の雪模様を山頂部に抱く前掛山が立ちはだかり、左手にはトーミの頭・黒斑山・蛇骨岳・Jバンドなどの岩峰のつながり(第一外輪山)が見え隠れする。足元の草原も黄色に輝いて、所々のクロマメノキ(浅間ベリー)の葉が深紅に染まっている。シラタマノキが初秋の名残りの白く丸ぁるい小さな実を少しつけて風に揺れている。何処を如何切り取っても美しい絵になっている。
 やがて道はガレて急登になり、少しのタデ類やコメススキなどを残して植生は絶え、殺伐とした火山特有の景観になってくる。西風が追い風となって、少しフラフラしたが、自然と足が前へ進む。稜線へ出ると、これも美しい縞模様の雪を貼り付けた浅間山本峰(釜山)が大きく目の前に迫りくる。この浅間山本峰に直接登る道は閉鎖されていて、右手の前掛山山頂へ続く道が開けている。近くに機材やシェルターがあり、そこから何人かの男性の話し声が聞こえてきた。下山時に火山館の館長にお聞きして分かったのだが、この話し声は新しいシェルターを作っている工事の人たち、とのことだった。
 稜線を南へ歩き始めると西風が右手から襲いかかり、油断していると吹き飛ばされそうになる。重心を低くしてガニ股で少しずつ進む。振り返ると後続の佐知子が私のザックの紐を握って離さない。その佐知子の左肩の向こう(北北西の方向)には田園風景が広がっていて、その先には広角三角形の四阿山が形よく見えている。
 前掛山の山頂へ着いたのは午前11時40分頃だった。強風のため目をよく開けていられない。写真を撮ろうと思っても手元がブレてしまって目標が定まらない。観天望気における強風のサイン=レンズ雲が、本峰の頭上に出ている。で、身体の危険さえ感じた。長居は無用だ。早々に山頂を引き上げる。そのとき薄目で山頂標識をチラッと見たら「浅間山」と記されてあった。ここは、そうか、もう立派な浅間山の山頂なんだ、と理解した。
 来た道を戻り湯ノ平へ下りつくと風が弱まり、ここはまるで桃源郷か極楽だ。私は行ったことはないけれど、このときの湯ノ平のような処が天国の一角には必ずあるのではないかと思う。
 振り出しの浅間山荘駐車場に着いたのは午後3時頃だった。今回は高峰高原ホテルに宿泊の予約を取ってあるので天狗温泉(浅間山荘)の入浴はしなかったが、その鉄分の多い赤茶けた湯はちょっと未練だった。受付で駐車料金の500円を支払ってからマイカーに乗り、チェリーパークラインを辿って高峰高原へ向かう。
 今回の山歩きは、強風との戦いもあったりして必ずしも楽なものじゃなかったけれど、多分一生涯忘れ得ないであろうほどの、夢のような素晴らしいものだった。

* この翌日は烏帽子岳と湯の丸山へ登りました。
*
浅間山登山に関する最新情報については小諸市オフィシャルサイトを、浅間山の火山情報の詳細については気象庁の該当ページを参考にしてください。

No.72黒斑山 平成10年10月の山行記録です。



高峰高原ホテル 高峰高原ホテル: 3日前に宿泊施設の予約活動をしたのだが、天狗温泉(浅間山荘)には団体客があるらしく予約が取れず、高峰温泉の存在はうっかりして、この高峰高原ホテルに予約を入れたのだが、結果オーライだった。このホテルのサービスはとてもよく洗練されていて、登山客にも配慮がなされていて、何の不満も感じなかった。料理は地元産の新鮮な素材をフルに使ったフランス料理風なもので、これも洗練された美味しいものだった。そして最も素晴らしかったのは、このレストランからも風呂場からも部屋からも南面の景色が大きく開けていて、佐久平越しに奥秩父や八ヶ岳などの景色がよく見えていたことだ。 翌朝も天気が良かったので、奥秩父の金峰山の右奥には冠雪した富士山もよく見えていた。これはまったくゴージャスな眺めだった。石張りの風呂場は清潔でそれなりの広さもあるが、泉質はちょっと怪しく、循環・加熱で塩素臭が少しあった。“良質のナトリウム泉です”とのことだが、公式サイトにも謳ってあるように“この眺望こそが最高の温泉施設…”と云えると思う。1泊2食付一人11,700円(平日料金)は割安だと感じた。
  「高峰高原ホテル」のHP



何処を切り取っても美しい絵画!(湯の平〜賽の河原)
まるで桃源郷!  まるで絵画の世界!
湯ノ平の草紅葉と落葉松の黄葉

バックは黒斑山
前掛山への登り(賽の河原)
バックは前掛山(浅間山)
強風のため早々に下山


左奥に四阿山の右裾が見えています・・・ お鉢の向こう側(右上)に最高地点がチラッと見えています
前掛山から眼前の浅間山本峰(釜山)を望む 
積雪の横縞模様がきれい!

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