No.232 烏帽子岳と湯ノ丸山 美しいものは美しい! |
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INDEX @秋の烏帽子岳と湯ノ丸山: 平成19年10月30日 A湯ノ丸山でスノーシューハイク: 平成28年2月19日 → 国土地理院・地図閲覧サービスの該当ページへ @秋の烏帽子岳と湯ノ丸山 車坂峠にある高峰高原ホテルの朝食をゆっくりと食べてから、おもむろにマイカーに乗り込む。今日もお天気はまぁまぁのようで、昨日の前掛山(浅間山)登山の疲れも残っておらず、私達夫婦は元気一杯だ。
登山道は人っ気のない土産物店の横手から二つに分かれている。右手が湯ノ丸山へ直接登るコースで、左手がキャンプ場を経由してその南斜面を緩やかにトラバースする道だ。今回の私達は左手へ進み、まず烏帽子岳へ登る右回りのコースを選んだ。 この辺りのシラカンバやダケカンバはその葉を殆ど落としていたけれど、カラマツの黄葉は今が盛りだった。ここでは少数派のミズナラが茶褐色の渋い黄葉でその存在をアッピールしている。それらの黄色系(落葉樹)に対するコメツガやキタゴヨウやアカマツなどの緑色系(常緑樹)とのコントラストが絵画的で、なんとも云えず美しい。 湯ノ丸山と烏帽子岳の鞍部へ出てから登山道らしい登り道になる。緑のササと黄土色の草紅葉の対比がここでも美しい。ウスユキソウがその盛期の名残りである苞葉(花びらに見えるもの)を白茶色に枯らしている。 烏帽子岳の稜線へ出ると展望が大きく開け、ここからは溜め息の連続だ。(烏帽子岳の)南峰を経て岩ガレの北峰(本山)へ着いたのは11時少し前。360度の大展望だ! 西の彼方には、北アルプスが横一線に峰々の殆どすべてを見せて幻想的に連なっている。その右手の雲海には火打・妙高が浮かんでいる。北面には根子岳を左に従えた四阿山が近くて、なだらかな広角三角形がかっこいい。四阿山の右奥には草津の山々(白根山かな?)が並んでいる。東の近くには大きなお饅頭(湯ノ丸山)があり、その右奥には籠ノ登山や黒斑山を従えた浅間山が…あぁ私達は昨日はあそこにいたのだ…冠雪した山頂部を縦縞に染めて目立ってる。南面の佐久平方面にも雲が湧いて海のようになっていたけれど、薄っすらと奥秩父の山々の輪郭が同定できて、その右側には八ヶ岳連峰や中央アルプスが島のように見えている。 長野県に属するこの烏帽子岳は浅間・烏帽子火山群の西端の山で、北側の切れ込みにかつての火山壁の面影を残しているという。饅頭型の湯ノ丸山のほうは溶岩円頂丘とのことで、群馬県の山としては最西端に位置している。烏帽子岳の山頂で大休止の後、来た道を鞍部まで下り、眼前に大きく横たわる湯ノ丸山へ登り返す。 その湯ノ丸山の広い西側斜面には背の低い樹木が疎に生えていた。(黄色に)黄葉しているのはダケカンバとカラマツ。深緑色のアクセントはキタゴヨウとコメツガで、それが烏帽子岳山頂などから見えていた美しいまだら模様の正体だった。所々のドウダンツツジ(サラサドウダン?)が真紅の紅葉でひときわ目立っている。 湯ノ丸山(南峰2101m)のただっ広い山頂も岩ガレで、矢張り360度の大展望だった。三角点のある北峰2099mが近くにあり、両峰間の道はなだらかで、特に花の季節は「天上のプロムナード」、とガイドブックには書いてあった。しかし私達はうっかりして北峰往復を割愛して、前方の浅間山を眺めながら上信国境の道を東へ下ってしまった。暫く進んでからそれに気がついたのだが、花の殆ど咲いていない今の季節なので、まぁいいか…、と佐知子と話した。 初夏(6月頃)には、この辺りの山腹は天然記念物であるレンゲツツジの大群落を目当てに大勢のハイカーが訪れるという。特にそれが美しいのがこの湯ノ丸高原一帯であるようだ。その名も「つつじ平」という高原を通り、スキー場の草付き(ゲレンデ)を転げ落ちるように下り、ドスンと着いた処が振り出しの地蔵峠だった。午後2時10分。大きな駐車場にポツンと私達のブルーバードが、今朝と同じように停まっていた。 蛇足になるかもしれないが、この山域の明るい美しさは、じつは、人間の臭いがプンプンする美しさ…、つまり公園林のような管理された美しさだ。その善悪は別にして、これほど手を入れて自然をより自然に見せる、というのは並大抵の苦労ではないと思う。この地を管理されている公共の団体や個人の方々に畏敬の念さえ感じてしまったのが本音である。 「ほっぽいておいた自然が好き」 だと常々云ってきた私にとってはちょっとシャクなことでもあるのだが…、この山域がかなり上質な“美しい自然”であることは間違いのないことである。 「あまりこだわらないで、美しいものは美しいでいいんじゃないの」 と妻の佐知子が傍らで云っている。実際、美しい自然とは何なのか、という問題は難しすぎるほど難しい…。 高峰高原ホテル: 前項の前掛山(浅間山) を参照してください。
A湯ノ丸山でスノーシューハイク
湯の丸スキー場の第1リフトを利用して(標高差で約100mをズルして)、つつじ平の入口辺りから歩き始めたのは午前9時30分頃。ゆっくりと登って湯ノ丸山の山頂に着いたのは10時50分。まずまずの空模様で360度の大展望。近くの四阿山や浅間山をはじめ、八ヶ岳や北アルプスなどもよく見えました。…少しモヤっていたので写真向きではなかったですが…。山頂で約40分間の至福の時間を過ごし、烏帽子岳との鞍部を経由して(ぐるっと周回して)地蔵峠に戻ったのは午後の1時頃。ぎりぎり昼飯前、でした。 それから高峰温泉でまったりと1泊して、お天気が下り坂の翌日(2月20日)は…NHKの大河ドラマで今流行りの…上田市にある真田氏ゆかりの地(真田氏歴史館、山家神社、長谷寺、真田氏本城跡)などを観光してから帰路につきました。 湯の丸高原も高峰高原もスキー客でけっこう賑わっていました。歩いて登る人は矢張り(かなりの)少数派で、だから雪山の静かさもたっぷりと味わうことができました。 高峰温泉: No.72黒斑山(浅間山)を参照してください。
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