No.72 黒斑山(くろふやま・2404m) 浅間山の好展望台 |
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INDEX 秋の黒斑山(H10年10月) 冬の黒斑山(H20年12月) → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ 秋の 黒斑山 平成10年(1998年)10月25日 山旅の2日目、万座ハイウエイを南下中、朝焼けの名残りの雲間から、これから向かう浅間山外輪山の最高峰・黒斑山がよく見えていた。そのとなりの浅間山本峰は勿論のこと、浅間隠山、鼻曲山、水の塔山、籠の塔山、四阿山、などの山々も見え隠れしていた。鼻曲山のあのハナマガリの山容が、妙に懐かしく感じた。 浅間山の北西、国道144号線を走り、田代湖の近くを左折して砂利道の静かな林道に入る。ガソリンスタンドのお兄さんに道を教えてもらったおかげで、迷うこともなく登山口の車坂峠の駐車場へ着いた。ここは既に標高約2000m。思った以上に寒い。持ってきた衣類を全部着込んだ。 午前9時15分、案内板をあとにして、霧の出てきた緩やかな勾配を歩き始める。カラマツに交じってハクサンシャクナゲの低木が目につく。その花期はきれいだろうな、と思った。登るにつれてトウヒやシラビソが多くなってくる。開けた礫地を何回か通過。この露岩の感じ、4年前に登った水の塔山への道によく似ている。それもその筈だ。車坂峠を境にして、すぐ隣の山だ。
黒斑山の山頂を早々に引き返し、トーミの頭で昼食。コンロで湯を沸かし、カップラーメンを食べていたら霧が晴れてきて、東面の眼前に大きく浅間山が立ちはだかった。山頂部に降り積もった一昨日の雪が白の縦縞となって、それがとても美しい。眼下に広がる湯ノ平の、緑と黄色の渋いまだら模様はシラビソ林とカラマツ林だろうか。誰かが 「まるでゴルフ場の景色みたい!」 と言っていた。右手の剣ヶ峰の円錐形も近くてかっこいい。それらの端正な景色に、思わずの大々休止となってしまった。 大正時代、深田久弥氏は高校一年生の夏に、この湯ノ平高原を通って浅間山に登っているが、その時の印象を、「小諸からの登山は、牙山(ぎっぱやま)や黒斑山などの岩壁を見上げ、高山植物の咲き乱れる湯ノ平高原を通って、変化の多い楽しい道であった」 と書いている。80年近い昔のことだが、今もそれほど変わっていないかも知れない。何時の日か、浅間山登山が解禁になったら、そのルートで山頂を目指してみたいと思った。 中コースの下りは、ゆっくり歩いたのだが、あっという間だった。黄葉のカラマツ林の向こうに雲にかかった水の塔山と籠の塔山が見えている。下山は午後の2時。何時の間にか快晴になっていた。 帰り道、佐久インターから上信越自動車道へ入り、左を振り返ると、黒斑山を従えた頭の白い浅間山が絶対的な存在感をもって高原の彼方に鎮座していた。 道路は相変わらずの大渋滞だった…。 万座温泉「万座ホテル聚楽」: 前項No.71吾妻渓谷 を参照してください。
冬の 黒斑山 平成20年(2008年)12月20日 今年のテルテル山岳隊の忘年山行は、高峰温泉をベースにした黒斑山登山だった。移動性高気圧が本州の上空を覆った、絶好の山座同定日和の一日で、稜線上のいたる処から大絶景を楽しむことができた。眼前の浅間山や近くの四阿山や草津白根山は勿論のこと、北ア、御嶽山、中央ア、蓼科山、八ヶ岳、奥秩父の山並、日光連山…などがすっきりドカ〜ンと見えていた。これだから冬の山はやめられない。 積雪は50〜60Cm位で、踏み跡はしっかりしており、雪も締まっていて歩きやすい。上りはとうとうアイゼンを着けずに済ませてしまった。重登山靴や重アイゼンやピッケルなどの装備が重く、好天にもかかわらずかなりバテてしまった。結果論ではあるけれど、この季節のこのコース(車坂峠から黒斑山往復)に関しては、軽アイゼンとストックという組み合わせで必要かつ十分だと思う。 今回の特筆すべきは、それはあまり書きたくはないのだが、私の持病の腰痛(ギックリ腰)のことだ。ここ数年はそれをだましだまし何とかがんばってきたが、この日のアイゼン装着の際、(腰痛のため)一人では着けることができなかったのだ。それは実際かなりのショックだった。心優しい山仲間の助けで何とかなったが、何時の山でもそうだとは限らない…。少なくとも、今後の単独行に関しては相当の覚悟が必要だ、と悟った。 下山後は高峰温泉でまったりと過ごし、今年の反省や来年に向けての抱負などを語り合った。寝不足と疲れで、何時ものようには酒の量ははかどらなかったが、まぁ、われわれの歳を考えればこんなものだろう…。そう、歳相応に歳をとっていくのが一番いい、と、お互いの傷口を舐め合うようにしてしみじみとしたりもした…。あぁしかし、アイゼン装着の件といい、やっぱり年はとりたくないものだ。 愉快で優しくて気の合う山の仲間たちを今後も大切にしていきたい、と今回も思った。 高峰温泉: 上信国境、標高約2000mに位置する高峰高原には3軒の宿泊施設がある。車坂峠にあり展望の抜群な「高峰高原ホテル(前掛山の頁参照)」、アサマ2000スキー場のゲレンデに最も近い「高峰マウンテンロッジ」、そして奥まった処に建つ「ランプの宿・高峰温泉」で、料金設定は3軒とも同程度でリーズナブル。何れもサービスに努め、その差は微妙だ。しかし、温泉好きならば、多分、間違いなくこの高峰温泉を選ぶと思う。 1階と2階にあるこぢんまりとした風呂場はどちらもシブい檜造りで、私好みのいい感じだ。泉質はカルシウム・ナトリウム・マグネシウム・炭酸水素塩泉、PH6.6。やや白濁で微かに硫黄臭。飲むと甘酸っぱい味。泉温約26度、加熱。源泉掛け流しの冷たい浴槽もある。シャンプーも石鹸も置いていないが、蛇口から出る水や湯には「創生水」なるものを使っているので必要ないという。ちょっとアヤシイが、環境には優しいし、まぁいいか、といったところ。和風の食堂食で、質も量もサービスも文句なし。平成6年の秋に水ノ塔山から籠ノ登山を妻と歩いたときは改築中だったが、その年の12月に山小屋風ランプの宿として新装オープンしたらしい。日本秘湯を守る会会員。積雪期はスキー場の駐車場(無料)から雪上車で送り迎えをしてくれる。 同室の面々はもう既に寝込んでいて起きてこなかったが、夜8時半から玄関前で「星の観察会(無料)」があるというので参加してみた。25倍の天体望遠鏡でスバルやアンドロメダ星雲などを見せてもらったりして、満天の星空を楽しんだ。冷えた身体は風呂でいつでも癒すことができるのが何よりだ。 * この後(平成25年10月)に再び同温泉に1泊しましたが、嬉しいことに、露天風呂ができていました。小さな木造りの浴槽ですが、野趣たっぷりで展望もGood! 甘露甘露でした。[後日追記] 「高峰温泉」のHP
浅間連峰2日間の山旅・黒斑山と篭ノ登山(H25年10月) 烏帽子岳と湯ノ丸山(H19年10月・H28年2月 ) 水ノ塔山から籠ノ登山(H6年10月) 前掛山(H19年10月) 浅間隠山(H6年8月) 鼻曲山(H6年8月) * 浅間山登山の最新情報については小諸市のオフィシャルサイトを参考にしてください。 |