北アルプス No.244 表銀座縦走 (燕岳〜大天井岳〜槍ヶ岳) 平成20年(2008年)8月12日〜15日 |
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第1日=JR大糸線穂高駅-《バス55分》-中房温泉 第2日=中房温泉〜第1ベンチ〜第2ベンチ〜第3ベンチ〜富士見ベンチ〜合戦小屋〜合戦沢ノ頭〜燕山荘〜燕岳2762m(往復)〜蛙岩〜切通岩(喜作レリーフ)〜大天荘 第3日=大天荘〜大天上岳2922m〜大天荘〜大天井ヒュッテ〜貧乏沢コル・ビックリ平〜赤岩岳2769m〜西岳2758m(ヒュッテ西岳)〜水俣乗越〜ヒュッテ大槍〜槍岳山荘=槍ヶ岳3180m 第4日=槍ヶ岳山荘〜飛騨乗越〜(飛騨沢)〜槍平小屋〜滝谷出合〜白出小屋〜穂高平避難小屋〜新穂高温泉(入浴)-《バス約2時間》-松本… |
第2日目(8月13日) 中房温泉(前泊)〜合戦小屋〜燕岳〜大天荘 | |
10:30 合戦の頭を越える 中房温泉に前泊して、5時30分頃から歩き始めました。合戦の頭を越えるころからダケカンバなどの樹高が低く疎になって、森林限界は間近です。足元にはウサギギク、エゾシオガマ、ハクサンフウロなどが咲いていました。合戦小屋のスイカが、相変わらず美味かったです。 |
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11:20 燕山荘に到着 燕山荘前の広場から燕岳方面を撮ったものです。左側の高瀬川の流れる大きな谷を隔てて裏銀座の峰々が大迫力で連なっています。そのさらに左手の、北鎌尾根と東鎌尾根の頂点に目差す槍ヶ岳がすっくと聳えています。しかし曇りがちで、それらの山岳風景は薄ぼんやりとしか見えてきません。ちょっと残念です。 |
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11:45〜12:35 燕岳を往復 稜線の白い砂礫を踏んで燕山荘から燕岳を往復しました。写真は燕岳山頂部から燕山荘方向(南面)を写したものです。山頂直下のメガネ岩(写真右側)やイルカ岩などの花崗岩のオブジェに代表される独特な風景が、この山の真骨頂です。コマクサが群落して咲いていました。 |
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15:25 切通岩鞍部通過 写真は1923年に開いたとされる喜作新道(東鎌尾根)の小林喜作のレリーフです。切通岩鞍部の岩壁面にはめこまれてあります。疲れもそろそろピークですが、トウヤクリンドウやチシマギキョウなどの美しい花やツメクサ類やツガザクラなどの可憐な花などに元気づけられます。最後の(辛い)登りで、大天井岳直下の大天荘に着いたのは16時10分頃でした。 |
第3日目(8月14日) 大天荘〜水俣乗越〜槍岳山荘=槍ヶ岳 | |
4:50 朝飯前、大天井岳の山頂に立つ 未明に起きて、大天荘(だいてんそう)から10分足らずの大天井岳(おてんしょうだけ)の山頂2922mでご来光を待ちます。この山は常念山脈の最高峰ですが、なんとなくぴりっとしない山容がアダになったものか、その盟主を常念岳に譲っています。云ってみれば不遇の山で、判官びいきの私好みの山でもあります。 |
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5:00 大天井岳から常念岳方面を望む 大天井岳の山頂は云わずと知れた360度の大展望ですが、この日は朝から雲が厚く、ご来光には恵まれませんでした。しかし南の方向が僅かに開けていて、近くの東大天井岳やその右奥の常念岳などがよく見えていました。 日本山名事典(三省堂)によると、「二ノ俣谷をつめた最高所」という意味の御天上・御天所が大天井岳の名の由来、とあります。 |
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6:00 大天荘から出発 5人で個室を与えられて、約一畳に一人のゆったりとした空間を与えられました。お盆中の表銀座です…。これはまったく嬉しい誤算でした。 ストレスのない静かな山小屋で充分に充電して、さて、気合を入れて槍ヶ岳へ向かって出発です。 |
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8:00 喜作新道を行く 岩稜のアップダウンを繰り返しながら東鎌尾根(喜作新道)を少しずつ進みます。この先、ハシゴやロープが続きます。足場はしっかりとしていて慎重に歩けば問題のない「道」です。'98年の地震で崩落した水俣乗越付近の稜線など、「昔」とは随分と様子が変わっていました。 |
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9:30 ミネウスユキソウ 高山では割とありふれたものかもしれませんが、東鎌尾根の、ひやひやとした足元に咲いていたので、かなり感動でした。鮮烈で可憐な、美しい植物ですね。 |
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14:00〜 槍ヶ岳の肩(槍岳山荘)から槍ヶ岳に登る 槍岳山荘にチェックインしてから、空身になって槍ヶ岳山頂を往復しました。天候が悪化していて、雷の危険もありそうで、はっきり云って命がけでした。ホールドとスタンスはしっかりとしていますので、見た目ほどの恐怖も危険もありませんが…。 |
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14:35 槍ヶ岳の山頂に到着 写真には槍ヶ岳山頂の二等三角点と(奥の)槍ヶ岳神社の小祠が写っています。ここも殆どホワイトアウトででした。 「単独行」の加藤文太郎や「風雪のビバーク」の松濤明が命をかけた舞台です。やっぱし…、丁寧に手を合わせました。槍岳山荘へ戻ってから早速、缶ビールで祝杯を上げましたが、そのとき、食堂に設置されている襲雷警報器は鳴りっぱなしでした。 う〜ん…、けっこう怖かったかも…。 (^_^;) |
第4日目(8月15日) 槍岳山荘〜槍平小屋〜新穂高温泉 | |
5:50 槍岳山荘から下山開始 今回は槍平を経由して新穂高温泉へ下る最短のコースです。雨が降ったり止んだりで、この日も遠望には恵まれませんでした。しかしライチョウやイワヒバリやホシガラスを間近で見ることができたり、花にも恵まれて、まずまずの最終日でした。 |
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6:00〜8:30 飛騨沢を下る 日本で一番高い峠(飛騨乗越3020m)から槍平へ向かって飛騨沢を下ります。この沢の一面のお花畑は見事でした。タデ類(オンタデ、ウラジロタデ、メイゲツソウ)、ハクサンイチゲ、ヨツバシオガマ、クルマユリなど、たくさんの高山植物が咲いています。チングルマは綿毛を風になびかせていました。 |
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9:15 滝谷(たきたに)出合を通過 トウヒなどの樹林帯に入り槍平小屋を過ぎ、なおも下ると小広い河原へ出て、その左手奥に北穂高岳へ通ずる滝谷の険谷(日本を代表する岩場の一つ)の一角が見えてきます。 この日は上部に雲がかかっていたのがちょっと残念でした。 |
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12:20 新穂高温泉に到着 新穂高温泉「アルペン浴場」: 新穂高温泉のバスターミナル前にある公営の共同浴場で、無料で開放されています。ここでひと風呂浴びてから帰路につく、というのが下山してきた登山者のささやかな楽しみです。こぢんまりとしたタイル貼りの内風呂で、泉質は単純硫化水素泉。無色透明で微かに硫黄臭の熱めの湯が掛け流し。石鹸やシャンプーはないので持参したほうがいいかもしれません。今どき貴重な、大切にしたい入浴施設のひとつです。(営業時間は9:30〜16:00) * 残念なことに、「アルペン浴場」は2009年4月に取り壊されてしまったようです。[後日追記] |
*** おまけのコーナー ***
* 樹林帯で観察のできた主な植物: ミズナラ、カラマツ、コメツガ、ハクサンシャクナゲ、ゴゼンタチバナ、アカミノイヌツゲ、タケシマラン(実)、サルオガセ、ツマトリソウ、マイヅルソウ(実)、イワオトギリ、ヨツバヒヨドリ、コシアブラ、シシガシラ、リョウメンシダ、アカモノ(実)、ミヤマガマズミ(実)、ムシカリ(実)、ハナニガナ、コミネカエデ、ミネカエデ、オガラバナ、ホツツジ、アキノキリンソウ、ツクバネソウ(実)、コバノイチヤクソウ、ツルリンドウ、ネコシデ、ヤマブキショウマ、イワナシ(葉)、シャクジョウソウ、シラタマノキ、ヤマハハコ、コイワカガミ(葉)、アオジクスノキ(実)、クロウスゴ(実)、ヤグルマソウ、ゴマナ、ヨツバムウラ、ユキザサ(葉)、ウラジロナナカマド、タカネナナカマド、カニコウモリ、コウモリソウ、ゴヨウイチゴ(葉)、ウスノキ(実)?、モミジカラマツ、サラシナショウマ、ミヤマシシウド、サンカヨウ(実)、エンレイソウ(実)、キヌガサソウ、オオバユキザサ、ヤグルマソウ、ズダヤクシュ、キオン、オオイタドリ、カツラ、トウヒ、センジュガンピ、オオバミゾホオズキ、ヤマハッカ、トウバナ、クガイソウ、ハリブキ(実)、タマガワホトトギス、ソバナ、エゾアジサイ、ノリウツギ、ジャコウソウ、ミヤマニワトコ(実)、ウコギ(実)、サワギク、ブナ、トチ、サワグルミ、ウダイカンバ、ウリハダカエデ、ウツボグサ、クサボタン