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湯元・光徳線歩道
No.246 刈込湖切込湖 (奥日光)
 平成20年(2008年)10月8日 高曇り マイカー利用

刈込湖・切込湖 略図
湯元温泉の源泉は湯ノ平湿原の一角にある
湯元温泉の源泉を通過

鮮やかな黄色でした
ヒロハカツラの黄葉

ダケカンバなどが交じります
コメツガの原生林

ミヤコザサをラッセル:前方は山王帽子山
ササをかき分けて…

なだらかな下り道
ミズナラの純林


極上の紅葉狩りハイキング

三毳山(前日)…光徳温泉-《バス10分》-湯元温泉(標高約1480m)〜金精道路〜小峠〜刈込湖〜切込湖〜涸沼〜山王峠(標高1741m)〜光徳温泉…太郎山(翌日) 【歩行時間: 4時間】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 光徳温泉・日光アストリアホテルの駐車場に車を置いて、ホテル前のバス停から湯元温泉行きの始発バス(9:46発)に乗る。乗客は私達夫婦だけだ。紅葉が始まった奥日光にも、こんなに静かな朝があるんだね、などとヒソヒソと話し合っていたらあっという間に終点の湯元温泉に着いた。軽く準備体操をして、北へ向かって歩き始めたのは10時を少し回った頃だった。
 少し歩くと硫黄臭がしてきて、湯けむりの立つ小湿原(湯ノ平湿原)の一角へ出た。ここが由緒ある湯元温泉の源泉であるらしい。のんびりと観光しているヒマはないので、ここはあっさりと通り抜ける。ちょっと登って金精道路を横切ると、そこが「湯元・光徳線歩道」の入口で、ここから“原生林”へ足を踏み入れることになる。
 色付き始めたイタヤカエデやオオイタヤメイゲツ、葉を落とし始めているシラカバ、やや赤みを帯びた樹皮のアスナロ、そしてミズナラやコメツガ…、などの自然林が、いきなり気持ちよい。林床の主人公はよく育ったササ(クマイザサ、クマザサ、ミヤコザサなど)だ。ピンクに色づいた葉を纏ったガマズミが、その実を赤黒く熟成させている。ほのかに甘酸っぱい香りを漂わせているのは普通のカツラより一回り葉っぱの大きいヒロハカツラだ。その大きな木の黄葉が鮮やかで見事だ。巨大な黒木は、これはなんとネズコ(クロベ)だ。シカが遠くで「キィーィーン」と鳴いている。
 1時間くらい登って、小峠のベンチで小休止。この峠は切通し状になっていて、見上げた岩上に五葉のツツジ(シロヤシオかも)が美しく紅葉している。ため息をつきながら再び歩き始めると、常緑針葉樹(黒木)のコメツガ、アスナロ、オオシラビソ、トウヒ、ウラジロモミや落葉広葉樹のダケカンバ、ヤハズハンノキ、シウリザクラ(ウワミズザクラかも)、ナナカマドなどが、それぞれにその葉っぱの色彩の違いを主張している。しかも森の脇役たちのミネカエデやオオカメノキが、茶黄色の葉っぱや赤い実で景色に微妙なアクセントをつけている。まるで…、パリコレのファッションショーを見ているようだ。これが奥日光の“紅葉”なのだ。ウーン、まいったなぁ…。本当に素晴らしいものは「素晴らしい!」としか言いようがないじゃないか…。
* このコメツガ・ダケカンバ林は自然公園内の特別保護地区に指定されています。
 オノエヤナギなどの水辺の樹木が目立ってきたと思ったら、目の前が開けて、刈込湖の白砂の湖畔に着いた。対岸(北東)に聳える於呂倶羅山(おろぐらやま・2020m)などの山腹がきれいに色付き、湖面に反射して光っている。その臨場感のある“名画”を眺めながら、お弁当を食べたり付近を歩き回ったりした。この刈込湖や少し先のひょうたん型に繋がった切込湖は、その南側に位置する三岳(みつがだけ・1945m)の噴火による(深さ約15mの)せき止湖とのことで、流出口のない閉鎖型のものであるらしい。その昔、日光に住んでいた毒蛇を勝道上人がこの湖の中に狩り込めた(刈込湖の名の由来)という言い伝えのある、神秘的な処でもあるのだ。
 くつろぐには絶好の、ステキな湖畔のロケーションを私達二人で暫らくの間独占していたのだが、間もなく中高年ツアーの大団体がやってきて湖畔は人だらけになった。慌てて刈込湖を辞して、平坦になった山道を東へ進む。道端にはノコンギク、林縁にはカニコウモリが、それぞれの花期を終わりかけている。左手の樹林の隙間から切込湖が見えてからもさらに直進すると、やがて再び視界が開けてきて、サッカー場のような大きな凹地が忽然と現れた。ここが涸沼(かれぬま)で、なんとも眺めの良い処だ。7月には高山性の植物が咲き乱れる処でもあるらしい。
 案内板の説明によると、『すり鉢状の地形のため、冷気が低いところにたまり、底の方の温度が低くなるため、普通とは逆に、山の下の方から色づき始める』、ということだが、正面の於呂倶羅山や右側の山王帽子山の山腹などの紅葉の具合をちょっと眺めても、私にはその“差”がはっきりとは分からない。もっとじっくりと観察してみようかしらと思って展望の良いベンチに腰掛けたら、後方からツアーの大団体の話し声や笑い声が聞こえてきた。 慌てて立ち上がって先を急いだ。
 ドウダンツツジ属の鮮やかな紅葉にもウットリとしながら急坂を登り切る。本コースの最高点である山王峠1741mへ出る少し手前に太郎山方面との分岐があったので、明日の(太郎山登山の)下見も兼ねて、道標に従って左へ逸れてみた。ミヤコザサのヤブコギ道を暫らく進むとアスファルト道(山王林道)へ出て、登山地図と首っ引きで南へ少し下って、太郎山登山口を確認した。この“下見”をやっておいてよかったと、じつは、翌日のそのときに私達は悟ることになる…。15分間ほどの、あとから思うと貴重なアルバイトだったのだ。
 その貴重なアルバイトを終えて、山王峠へ戻って小休止していたら、例のツアー大団体が私達をあっさりと追い抜いていった。そしてとても静かになった。そうか、そうなんだよね、もっと早くから追い越されればよかったんだよね、と、またまたヒソヒソと話し合う私達だった。ステキなミズナラの純林やカラマツ林を抜けて、大満足で光徳温泉に戻り着いたのは午後3時25分だった。

 今回のコース(湯元・光徳線歩道)は、小・中学校の林間学校や家族連れのハイキングなどにも人気があるという。日帰りコースとしての適度な行程と、歩いた目的地に刈込湖・切込湖・涸沼などの素晴らしいご褒美(景色)が待っている、というのが人気の理由だと思うが、私にとっては、コメツガやネズコなどの亜高山性の樹木が交ざる原生林がたまらない魅力だった。野鳥の観察にもよい処だと思う。

  「刈込湖・切込湖」の写真集 大きな写真でどうぞ。
  この翌日は太郎山登山

光徳温泉「日光アストリアホテル」 光徳温泉「日光アストリアホテル」: 日光国立公園の中に建つリゾートホテル。“一軒宿のひなびた温泉”と云うにはちょっと贅沢すぎるかもしれないが、1泊2食付で13,000円というのは、この日光においては割安感を感じた。日光湯元から湯を引いた源泉掛け流し。岩風呂風の露天と石タイル貼りの内湯は何れも広々としている。泉質は硫黄泉(硫化水素型・中性低張性高温泉・PH6.4)。高温の湯は湧出時には無色透明だが、空気に触れると白濁・アクアブルー・エメラルドグリーンへと移りゆくという。水を足して湯温調整。私達が入浴したときは浅葱色に白濁していて、硫黄臭が漂い、かなり本格的な好温泉だった。本コース(刈込湖・切込湖ハイク)や太郎山登山や戦場ヶ原の散策など、山歩きの基地として絶好だ。
 湯葉料理などの和食会席膳料理で腹いっぱいになった夕食後、部屋の窓から中庭を眺めたら、2匹の鹿が草を噛んでいて、それが庭園灯に薄っすらと映し出されて幻想的だった。
  光徳温泉「日光アストリアホテル」のHP


対岸の紅葉を眺めながらお弁当
刈込湖畔にて
於呂倶羅山山腹の紅葉が見事でした
涸沼(左方)を通過


奥日光・略図

今回の参加者は14名でした
刈込湖畔にて
反対コースで 刈込湖切込湖
平成23年10月14日 快晴!

東武日光駅-《バス》-竜頭の滝〜戦場ヶ原〜光徳温泉(泊)〜山王峠〜涸沼〜切込湖〜刈込湖〜小峠〜湯元(入浴)-《バス75分》-東武日光駅 【歩行時間: 4時間20分】

 竜頭の滝から戦場ヶ原を散策した翌日、つまり「山歩会」10月定例山行の第2日目、光徳から切込湖・刈込湖を巡って湯元へ下るという、3年前(上欄)とは反対のコースで歩いてみた。温泉から温泉の、温泉好きの私たちにとってはたまらないトレイルだ。
 光徳温泉「日光アストリアホテル」の朝食は7時から、と少し早くなっていたのが嬉しかった。おかげで7時40分には歩き始めることができて、刈込湖畔で早目の昼食(宿のお弁当)を摂って、午後2時には余裕で湯元に下山できた。日帰り入浴施設の湯元温泉「ゆ処山月五識の湯」で山の汗を流し、甘露甘露の大団円だ。 (*^^)v
 刈込湖・切込湖は、3年前と比べると水位が大分上がったようで、二つの湖は完全に繋がっていて、刈込湖畔の白い砂浜などは湖底に沈んでいた。流出口のない閉鎖型、ということもあって、その水位は季節(降雨量)によってかなり差があるようだ。
 紅葉については、今年は少し早目の進行のようで、標高1600m以上では終わりかけていた。その(紅葉の)盛期を予測するというのはなかなか難しいものだ。竜頭の滝の付近など、麓は紅葉の盛りでそれなりに見事だったのだが、今夏の日照時間が短かった影響か、全体的にその鮮やかさがイマイチの感があった。しかし、まぁこれ以上を望むのは贅沢というものだ。紅葉と温泉にたっぷりと浸かり、お天気にも恵まれて、充分に満足のいく2日間だった。

* 今回のこのコースは、特に中高年の紅葉狩りハイキングには超お勧めです! ただし…、宿泊予約の手配はお早目に。

湯元温泉「ゆ処山月五識の湯」 日光湯元温泉「ゆ処山月五識の湯」: 刈込湖方面から下ってくると湯元温泉の源泉地帯を通過するが、そのまま進んだ湯元温泉街の左手に「ゆ処山月」は位置する。源泉に近いので、その温泉水はいかにも“新鮮で濃い”んじゃないかな、といった期待感は裏切られることはない。
 1階は食堂になっていて風呂は2階にあり、石造りの外湯と内湯はほどよい広さで必要かつ十分だ。硫黄臭の漂う湯は日によって白濁したりするそうだが、この日は透明だった。もちろん源泉掛け流しだが、源泉が高温のため加水して調整することになる。この湯温調整に関しては、多分、ここの経営者は気を遣っていない。私たちお客さんが冷水の蛇口をひねったり“湯もみ”したりして調節することになる。まぁ、それも分かってしまえば特に問題はないが…。
 ここは、平成23年10月現在、日光湯元では唯一の日帰り温泉施設とのことだ。
  「ゆ処山月五識の湯」のHP



涸沼から於呂倶羅山(左)と山王帽子山(右)を望む

ちょっと失敗の合成写真です

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