No.261 白神岳1235m 後編 平成21年(2009年)7月5日〜6日 |
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第3日=アオーネ白神十二湖…十二湖散策…十二湖駅-《五能線》-能代-《バス60分》-大館能代空港…羽田空港 【歩行時間: 第1日=4時間30分 第2日=4時間30分】 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ *** 前項 白神岳(前編)からの続きです *** しかし私は“つまらない”とはこれっぽっちも思わなかった。ブナ林というのは本来「平凡」なものなのである。「平凡」というのは人の心を疲れさせない…。この白神岳は、この山に入ってきた私たちを優しく包み、気を遣わせるといったことがなかった。それは私が初めて中央沿線の石老山を登ったときにも感じたことだったが、この白神岳の「平凡」は質も量も桁違いにレベルが高いのだ。こんな「極上の平凡=極上の自然」を残してくれた当地の先達に、何度も何度も頭を下げて感謝したい。 ●第2日目(7月6日・晴) 変化に富んだ二股コースを下る
コンロに火を点けて、まずは夜明けのコーヒーをゆっくりと啜る。それからインスタントのポタージュスープを飲んで、チーズやハムステーキやクラッカーなどで朝食を摂る。ゆっくりと行動していたのが功を奏して、歩き始めた午前6時40分頃には朝霧は消えかけていた。 一等三角点のある白神岳山頂では、昨夕同様まぁまぁの空模様で、あちこちの峰々の山名を指差し確認して復習する。そして東側一帯に広がる白神山地の核心部をため息交じりに凝視して、幾重にも広がる緑の起伏に“最後の感動”をした。それからおもむろに、西側へ続く二股コースに足を踏み入れる。イブキトラノオやニッコウキスゲが咲き乱れ、ぼんやりと霞む日本海側の景色もいいもんだなぁと思っていたらいきなりの急坂で、いっぺんに朝の眠気が吹っ飛んだ。 「昨日の重たいザックだったら、この滑りやすい急坂は大変だったわね」 とメンバーの一人が云っていた。実際、よく整備された「マテ山コース」を重いザックと寝不足の第1日目に選んだのは大正解だったと私も納得した。運んできた水分や食料の大半を消費していたので、今の私たちのザックは随分と軽い。 「メンバー4人の総重量はそれほど変わらないけど…」 と云ったらみんな苦笑いしていた。山へ来ると(何を食べても美味しいので)案外と太るのだ!…? 潅木帯のロープ場が暫く続く。キャラボク(又はその仲間)が茂っている箇所があったが、これは珍しいと思った。しかしブナが主役の樹林帯へ入ってからも急降下が続き、じっくりと植生の観察はしていられない。足元に咲くハクサンチドリやギンリョウソウを写真に収めるのが精一杯だった。 母沢と種蒔苗代沢が合流する地点(二股)から道はなだらかになる。二つの沢を渡渉してから白神川の右岸へ出て高巻き、三の沢、二の沢(フナイ沢)、一の沢(上木戸の沢)を横切る。マテ山コースよりも変化に富んでいて面白いコースだと思った。 ブナのほかにはトチノキやサワグルミなどの沢沿いの樹木も目立っている。水辺にはミズ(ウワバミソウ)が群生していたので、その茎を少し齧ってみた。ぬるっとしてサクッとした食感で、そのまま食べても充分に美味しかった。エゾアジサイの薄青紫色の装飾花が目の高さに美しく咲いていて、思わず何度も立ち止まる。 二股分岐へ着いたのは10時50分頃で、ここからは昨日も歩いているので気は楽だ。 (旧)登山口にある電話ボックス型の建物で無事下山した旨の記帳をする。さらに下って車止めのある登山口広場で中休止。それから尚だらだらとアスファルトの林道を下り、国道101号線を横切って五能線の白神岳登山口駅へ向かう。11時57分発の下り列車はとっくに出てしまって、次の17時34分発の列車までには時間がありすぎるので、道すがら岩崎タクシーに予約の電話を入れる。工藤商店という酒屋の前で缶ビールを買って飲んでいたら、間もなくタクシーが迎えに来てくれて、私たちは今日の宿「アオーネ白神十二湖」へ向かった。 * 十二湖ルートの通行止めのことや山頂の水場の様子やクマに注意のことなど、事前の白神岳登山ルートの最新情報についてはアオーネ白神十二湖の担当者にいろいろと親切に(電話で)教えていただきました。おかげさまで安全で快適な山行になりました。アオーネのガイド担当の吉田さん、どうもありがとうございました。 「アオーネ白神十二湖」については次項「十二湖散策」を参照してください
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