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No.290 西穂独標(どっぴょう・2701m)
平成23年(2011年)9月17日〜18日 第1日目は雨2日目はなんと快晴

西穂独標・略図
穂高をハイキング

第1日=東京・竹橋-《高速バス約7時間》-新穂高温泉-《ロープウェイ》-西穂高口駅〜西穂山荘〜丸山2452m〜西穂独標2701m〜西穂山荘 第2日=西穂山荘〜(丸山往復)〜西穂高口駅-《ロープウェイ》-新穂高温泉-《高速バス》-新宿
 【歩行時間: 第1日=4時間20分 第2日=2時間】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 高校1年生のときの北アルプスの夏から始まった私の登山歴。その数年後の昭和42年(1967年)8月1日の、西穂高岳の稜線における高校生パーティーの落雷遭難事故(11名が死亡)は衝撃だった。そのイメージが強くて、西穂に対してはずっと腰が引けていた。
 今回、山の仲間たちと西穂に挑戦する機会に恵まれた。残念ながら悪天候のためその手前の独標(どっぴょう・独立標高点)までの山行になってしまったが、夢にまで見た幻の西穂高岳の片りんを垣間見ることができて、私としては溜飲の下がる思いだった。西穂高岳は、少なくとも独標までは、今やロープウェイを利用すればハイキング感覚で行くことのできるトレイルであった。それは、なんか肩の力が抜けたというか夢から覚めたというか、大きな謎が解けたあとの虚脱感だった。

第2日目の朝に撮影
丸山の手前から西穂方面を望む


第1日目(9/17) 新穂高ロープウェイ・西穂高口駅〜西穂山荘〜西穂独標〜西穂山荘
千石園地内にある播隆上人像
播隆上人像
 東京・竹橋発の夜行バス(毎日あるぺん号)が新穂高温泉のバス停に着いたのは翌朝の5時30分頃で、8時30分始発のロープウェイまでの待ち時間が長かった。バスでの熟睡はやっぱり難しく、寝不足感が付きまとう。
 新穂高ロープウェイの頂上駅(西穂高口駅)から雨具に身を固めて歩き始めたのは9時10分頃。千石園地を少し進むと播隆上人(1786〜1840)の石碑(レリーフ)があった。笠ヶ岳を再興したり槍ヶ岳を開山した、カリスマ的な先達だ。
シラタマノキとゴゼンタチバナのツーショット!
ゴゼンタチバナの赤い実
 沖縄の南海上で停滞している台風15号の影響もあって、小雨とガスの悪状況だ。しかし風はそれほどでもなく、怖い雷も鳴っていない。和気藹々と軽口を云い合いながら、オオシラビソ、コメツガ、トウヒ、ダケカンバなどの森をゆっくりと進む。
 目の高さにはオオカメノキ、ウラジロナナカマド、タカネナナカマドの赤い実。足元には矢張り赤い実のゴゼンタチバナやコケモモが目立っている。北アルプスはもう秋である。
霧の中から・・・、おぉ〜独標が浮かび上がった!
霧の中から独標が…
 西穂山荘で名物の西穂ラーメンを食べてから独標へ向かう。雨と濃いガスが私たちを包んでいる。もう既に森林限界を超えているようだ。丸山2452mを過ぎてからもシャクナゲやミヤマハンノキなどが交じるハイマツ帯のゆるやかな尾根歩きで、すこぶる気分はいいのだけれど、如何せん何も見えない。
 す〜っとガスが引いて、薄っすらと前方になにか見えてきた。独標だ! えっ、もう着いちゃうのぉ〜。
見た目ほど怖くありません
独標近くの岩場
 しかし、段々と岩っぽくなってきた。ガイドブックに書いてあった通り、独標への上り下りは要注意だ。スタンスもホールドもしっかりしていて心配はないが、慎重に進む。
* 昭和42年(1967年)8月1日の、松本深志高校2年生のパーティーが、西穂高岳山頂からの下山途中に落雷遭難事故に遭ったのは、この辺りじゃなかろうか…。生徒11人が死亡、生徒と引率教師13人が重軽傷を負うという未曾有の落雷事故だった。この事故以降、落雷に対する認識や集団登山のあり方をめぐってさまざまな議論があったのは周知の通りだ。なお、慰霊碑は独標から西穂側へ少し下った処にあるらしい。
とりあえず証拠写真!
独標にて
 独標に着いたのは午後1時半頃。今回のメンバーはむさくるしい男性5名と美しい山ガール2名の計7名。岩場の初心者もいる。そしてこの悪天候。う〜ん、ここが思案のしどころだ。
 ここから西穂高岳山頂までの歩程は往復約3時間30分…。総合的に判断して、西穂アタックはやっぱりあきらめることにした。この先からが本格的な岩場が続くのだ。寝不足と経験不足と時間不足の私たちは絶対に無理はしない! (^^ゞ
 ガスが薄れてくると眼前にピラミッドピークなどの岩峰が浮かび上がる。それは西穂高岳へ続く岩稜でもあり、私にとってはこの上もなく魅力的に見えたが…。
ライチョウやホシガラスに出逢った
復路の尾根道にて
 明るくて感じの良い尾根道を歩いているとき、4匹のライチョウ家族に出逢った。(下欄の写真) 人間を恐れていないので手の届く距離まで近寄ってくる。天敵のタカなどに見つかる恐れのないこの空模様では、そうだね、ライチョウは出てくるよね、と大喜びの私たちだった。この日はホシガラスやイワヒバリも至近距離で観察することができた。
 ハイマツの明るい稜線って、ほんとうに、いいなぁぁぁ。
第2日目(9/18) 西穂山荘〜(丸山往復)〜西穂高口駅…新穂高温泉(入浴)…
なんか、明るくなってきたねぇ・・・
西穂山荘の朝
 朝食が済んで暫くすると朝霧が消えてきて明るくなってきた。山荘の裏手からは笠ヶ岳も頭を覗かせ始めている。もっと天気は悪くなるだろうとのことで、まったりと時を過ごしていたのだが、この日がなんと(どんどん良くなる)想定外の上天気。台風の影響はどうなっているのか不思議だ。が、う〜ん残念。あまりのんびりしていると復路の高速バスの時間に間に合わなくなってしまう…。
丸山手前のピークから西穂高方面を望む
西穂高岳がついに見えた!
 とりあえず丸山手前の展望の良いピークへ登ってみる。すると見る見るうちに薄靄が晴れて、西穂高岳方面がくっきりと見えてきた。南東の方向には六百山や霞沢岳、その麓には上高地。乗鞍岳や近くの焼岳も見えてきた。なんと、ブロッケン現象も見てしまったのだ。よかったよかった、来てみて本当によかった。
 踵を返し、意気揚々と復路につく。
展望台から西穂方面を望む
観光客で賑わう展望台
 新穂高ロープウェイ・西穂高口駅の展望台からの景色も素晴らしかった。槍ヶ岳もちらっと見えていた。
 1日ずれていればなぁ、と何回も口惜しく思ったが、まぁ、これ以上を望むのは贅沢というものだろう。
 帰路の中央自動車道は渋滞していたが、こちらも予想外のよい天気で、高速バスの車窓からは八ヶ岳や南アルプスや奥秩父の山々もよく見えていた。
 終わりよければすべてよし。楽しい週末山行だった。
 
笠ヶ岳方面もくっきりと見えていました
中崎山荘・奥飛騨の湯
新穂高温泉「中崎山荘・奥飛騨の湯」: 中崎(なかさき)山荘は過去に何回かお世話になった老舗の温泉宿だが、蒲田川の砂防工事の関係で移転を余儀なくされたようだ。ご主人の健康上の問題もあったようで、平成22年(2010年)4月20日に立ち寄り入浴施設としてリ対岸にリニューアルオープンしたらしい。ロープウェイ乗場やバスターミナルにも近く、利用しやすい位置にある。微かに白濁して硫黄の臭いのする湯は相変わらずで、もちろん源泉掛け流し。木枠の内湯も石造りの露天風呂もなかなかで、風呂上がりの食堂で飲んだビールがまた最高!
* バスターミナル前にあった無料の入浴施設「アルペン浴場」が取り壊されたのは2009年の4月だが、それと何か関係があるのかなぁ…。 ^_^;
  薬師岳から黒部五郎岳: 「中崎山荘」に宿泊したときの山行記録です。



小雨の降る 西穂独標へ続く尾根道にて
ゴゼンタチバナの赤い実
雨に濡れる「森の妖精」
手の届くところまで近寄ってきます
ライチョウの子供
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