天狗山から御座山を望む
撮影日:H17年11月
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不動の滝で一休み
キオンが花盛り
2040m峰(前御座山)のピーク
山頂部が見えてきた!
御座山の山頂
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360度展望の山頂にぽんと出た!
《マイカー利用》 中央自動車道・長坂I.C-《車60分》-栗生登山口〜不動の滝〜2040mピーク(前御座山)〜金山沢のコル〜避難小屋〜御座山2112m…栗生登山口-《車15分》-南相木温泉「滝見の湯」-《車50分》-長坂I.C 【歩行時間:
3時間40分】
→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ
東京都大田区の自宅から長野県南佐久郡の北相木村と南相木村の境に位置する御座山へ、車で行くルートをインターネットの「自動車ルート検索サイト」などを利用して調べてみた。すると、面白いことに、御座山は関越自動車道を利用しても中央自動車道を利用しても、所要時間も高速料金もそれほど変わらない、ということがわかった。カーナビの答えも、北側の登山口(北相木村の白岩や山口)までだと関越道利用ということになり、南側の登山口(南相木村の栗生)までだと中央道利用の結果になる。北側の登山道は距離は長いがなだらかで歩きやすく、南側の登山道は急勾配だけれど距離は短い。なんとなく気が急いて時間に余裕のない昨今の私は、迷うことなく南側(栗生コース)のピストンを選んだ。今回は単独行だから、コース選定に関しては山の相棒(妻の佐知子のことです)の承認は不要なのだ。(*^^)v
* じつのところ、何れのコースも所要時間に大差はないようです。 (^_^;)
中央自動車道の長坂インターを出て、山梨県道28号を北(清里・小海方面)へ進む。九州の西の沿岸部を北上している大型で非常に強い台風16号の影響か、非常に不安定な空模様だ。晴れ間が見えたかと思うと、時折強い雨がフロントガラスをたたく。そして、清里を通過するころは深い霧に包まれた。今回はあきらめるしかないな、と思いながら、やはり未練で、カーナビの指示に従ってノロノロと走っていたら、なんと徐々に霧が晴れてきて、上空には青空が覗き始めた。いけるかも、と小躍りした。
南相木村栗生の登山口には5〜6台は停まれそうな駐車スペースがあり、既に2台の車が停まっていた。木漏れ日のさわやかな登山道に足を踏み入れたのは午前8時40分頃。まずはカラマツ林。唐沢の右岸に沿った急勾配が続く。
やがてカラマツは鳴りを潜め、ミズナラ、カエデ類(イタヤカエデ、ハウチワカエデ、ウリハダカエデなど)、シナノキ、ハリギリ、ヤマハンノキ、サワシバ(ミズメだったかも)、モミ…などの自然林に移り変わる。苔生した林床に風情がある。日の差す道端にはキオンが今を盛りに黄色く咲いている。ホタルブクロやフシグロセンノウは寂しそうにぽつんと咲き残っている。アサギマダラがひらひら飛んでいる。しみじみと、来てみてよかったと思う瞬間だ。
今は水量の少ない(迫力がイマイチの)不動ノ滝で立ち止まる。この辺りにもキオンが群生して咲いている。そして、とってつけたようにトリカブト、ダイモンジソウ、ヨメナの類、ヤマハッカなどが少し咲いていた。ハクサンボウフウ(セリ科)に似た花も咲いていたが、種名に確信はもてない。花たちの盛期を過ぎた季節だが、これだけの花に出逢えれば御の字だ。ニャッとほくそ笑んで、とりあえず先を急ぐ。
森の中低木層にはトウゴクミツバツツジやアズマシャクナゲなどのツツジ類が目立ちはじめ、ゴヨウマツ(キタゴヨウ?)、トウヒ(少し)、コメツガ、ダケカンバなどの亜高山っぽい木々が増えてくる。クサリ場などの岩っぽい箇所も出てきて、所々展望も開けてきた。コメツガの根っこもホールドにして、ひたすら登る。
御岳社の祠と錆びた鉄剣がまつられた2040m峰(前御座山)のピークを通り過ぎ、少し下って金山沢のコルから登り返す。足元の所々にはイワカガミの艶々した丸い葉が鮮やかな緑色に光っている。暫く進むと瀟洒な避難小屋があり、その裏手の岩場(安山岩であるらしい)が御座山の山頂だった。
360度展望の岩上にぽんと出たときの感動は、瑞牆山の山頂へ着いたときのそれにも似て、驚きと目まいと溜め息だった。南面には奥秩父の重鎮たちが並び、その右手前の天狗山と男山が尖がっていてかっこいい。佐久平を隔てた西面には展望の主役ともいうべき八ヶ岳連峰がずらっと並んでいる。北面に目を転じると、茂来山の奥に聳える浅間山は厚い雲の中だったが、その右手前の西上州の山々は雲の切れ目から見えている。東面の特徴のあるギザギザ頭は両神山に違いない。雲がなければ南アルプスも北アルプスも望めるだろう。ザックを降ろすのも忘れてぐるぐるきょろきょろ、私一人だけの楽しい山座同定の時間が流れる。感無量!
至福のひとときだ!
切り立って細長い山頂部の北西側には山頂標識と石祠(浅間神社+諏訪神社)があり、ここでサーモスの熱いコーヒーを啜る。中央道の談合坂SAで買ってきたハムと野菜類を挟んだフランスパンを齧りながら、もう一度岩の山頂部をウロウロ。足下の周囲には背の低いコメツガやカラマツやダケカンバ、それにシャクナゲ、ウスノキ、ツツジ類(ハコネコメツツジ?)など、岩と緑のコントラストが美しい。ここではアカマツがハイマツのように低く地を這っている。岩陰で高山植物のイワインチンがひっそりと咲いている…。もう少し…、いや、もっともっと…、この天井の底が抜けたような静かな天辺で時間を過ごして、それからゆっくりと来た道を下ることにしよう。
* 御座山は佐久の盟主: 西上州を含めても、南佐久の山々のなかにあって2000mを超える山はこの御座山だけです。その容姿といい山頂の崇高さといい、流石に日本二百名山だと思います。シャクナゲの咲く季節ならばもっといいのかもしれませんが、その頃は人影が多くなりそうです。車を使えば東京から日帰りができるのも御座山のいいところですが…、この日は3連休の最終日で、帰路の中央自動車道は大渋滞でした。じつのところ、登山よりも車の運転のほうが疲れました。とかくこの世はままなりません。
* 御座山・郷土の森: 林野庁中部森林管理局のホームページを閲覧していて分かったことですが、古くから神が鎮座する山として地元住民から信仰されている御座山を、郷土の象徴として保護しているそうです。読みにくい山ですが、“神様のおいでになる山”ということで、その山名の由来も何となく理解できます。
* 御座山山頂部についての蘊蓄:
・ 山頂部の南側にコンクリートの土台の一部が残っていましたが(写真・下)、かつては無人雨量観測小屋が建っていたそうです。
・ 昔は、この山頂部で薙鎌(ナギガマ)の神事が行われていたといいます。それがどんな神事なのか不勉強な私には分かりませんが、なんか歴史的なロマンを感じます。
・ 国土地理院の基準点現況情報によりますと、山頂にあった二等三角点の標石は1995年8月1日現在で“亡失”してしまって、現在もそのままになっているようです。
下山後は、近くの南相木温泉「滝見の湯」へ立ち寄りました。ときあたかも新蕎麦の季節。9月からのメニュー・新蕎麦「相木蕎麦(写真・右)」を入浴後に賞味したのは云うまでもありません。ちょっと高い(900円)ですが、黒くてザラっとした舌触りと新蕎麦の香りがたまりません。
「滝見の湯」については当サイトの「天狗山」の項を参照してみてください。
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*** 御座山の山頂で見たもの *** |
山頂標識と石祠
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無人雨量観測小屋跡
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イワインチン(キク科の高山植物)
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這っているアカマツ
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