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No.31-2 安達太良山 一般周回コース
智惠子のほんとの空を見てきた

安達太良山の略図
インデックス
@ 湯川渓谷から入山 H8/7/27〜28
湯川渓谷入口〜くろがね小屋〜安達太良山〜野地温泉…
A 奥岳から入山 H26/9/26〜27
奥岳〜くろがね小屋〜安達太良山〜野地温泉…
B 奥岳から周回コース H14/08/24〜25(本項)
奥岳〜くろがね小屋〜安達太良山〜薬師岳…

 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


安達太良山B 奥岳から周回コース
平成14年(2002年)8月24日〜25日 曇り

第1日=JR東北本線二本松駅-《タクシー》-奥岳〜(勢至平)〜くろがね小屋 第2日=くろがね小屋〜峰ノ辻〜牛ノ背〜安達太良山1700m〜五葉松平・薬師岳1322m-《ゴンドラ》-奥岳-《タクシー》-二本松
 【歩行時間: 第1日=2時間 第2日=2時間30分】


 「山歩会」の第10回目の定例山行は、ほんとの空があるという南東北の名山、安達太良山だった。夏の定例山行に私達が安達太良山を選んだ理由は簡単だ。いい山で、いい温泉があって、涼しくて、しかもリーズナブル、だからだ。今回は勢至平コースから入山して「くろがね小屋」で一泊。翌日頂稜へ出て、薬師岳からゴンドラリフトで下山、というイージーだけれど中身の濃い、と思われる一般周回コースを辿ってみた。

 第1日目(8月24日): 今回の参加者は私達夫婦を含め5名。ガラガラ状態の東京駅9時発の東北新幹線Maxやまびこ35号に和気藹々と乗車。郡山駅で在来線に乗り換え、5駅先の二本松のホームに降り立ったのは午前11時12分だった。時間の余裕はたっぷりとあるので、二本松駅前のレストランで昼食。ここで食べたトンカツが美味かった。
第1日目
前方の山は鉄山
勢至平へ

くろがね小屋前にて
夕涼み・・・


第2日目
風が強い!
安達太良山の山頂にて

バックは安達太良本山
薬師岳にて
 二本松駅前から奥岳まではバスも出ている(岳温泉で乗り換え)のだが、時間の折り合いが悪く、タクシー(5人以上だとワゴン車を手配してくれる)を利用した。奥岳のあだたら高原スキー場を左に見ながら歩き出したのはお昼の12時30分。空は曇っていたが空気は澄んでいる。
 ショートカットの山道を敢えて避け、登山道としては広すぎると思われるなだらかな登り道(昔は馬車道、今はジープ道というらしい)をのんびりと歩く。花の季節と紅葉の季節の狭間のせいだろうか、人影は思ったより少ない。小鳥たちの鳴く声も聞こえず、私たちのおしゃべりの声だけが深緑の森に響き渡る。→ 主な樹種: ミズナラ、ダケカンバ、ウリハダカエデ、ヤマウルシ、オオカメノキ、ヒメコマツ、カラマツ、等。
 安達太良山の東側中腹に位置する開けた熔岩台地(勢至平)へ足を踏み入れると、前方に箕輪山や鉄山の懐かしい姿が見えてくる。左手には樹林の隙間から安達太良本山の乳首も見えてきて、それらを説明する私の声も弾んできた。初夏にはレンゲツツジが咲き乱れる処らしいが、今はアキノキリンソウやヤマハハコが咲いている。ちょっと不細工な(花期の終わりかけた)シャジンの仲間も咲いている。山はもう秋の気配だ。
 山頂への直登コースを左に分け(勢至分岐)、平坦な道を更に進む。チョロチョロと流れ出る「金明水」で喉を潤す。右下に湯川渓谷が見えてくると、間もなく山懐に抱かれた「くろがね小屋」に到着した。眼上には鉄山の岩壁が立ちはだかり、硫黄の臭いが辺りに漂っている。午後2時45分だった。
 夕食(5時30分から)までの数時間、檜造りの温泉風呂に浸かったり、小屋前の広場で涼んだりして時を過ごした。広場の南側に、上部のガレ沢を源泉とする配湯管が通っていて、あちこちの木蓋の隙間から湯煙が立っている。この配湯管はこの少し先から地中へ潜っているけれど、きっと麓の岳温泉や奥岳温泉まで通じているのだと思う。木板の蓋に腰掛けていると、お尻がとても温かい。 「なんか、痔に効きそうですね」 などと軽口を言い合いながらの楽しいひととき。湯上りの肌にススキ越しの涼しい風が心地良い。

 第2日目(8月25日): 朝風呂にゆっくりと浸かり、5時半からの小屋の朝食を食べて、小屋前広場からゴロ石の山道を登り始める。ガスっていて視界は悪い。進むにしたがって風が強くなってきた。周囲にはガンコウラン、レンゲツツジ、小ぶりなナナカマドなどの灌木が疎に茂っている。ハイマツには沢山の松毬(まつぼっくり)が成っている。
 峰ノ辻で安達太良山への直登コースを左に分け、稜線(牛ノ背)へ向かう。ウィンドブレーカー代わりのカッパの上着を着て、メンバーたちは何時になく言葉数も少なげに、必死に歩いている。
 心配していた稜線上の強風は、身体が飛ばされるほどではなく、ひとまずホッとした。しかし霧は晴れず、楽しみにしていた沼ノ平の荒涼とした風景など、何も見えない。鉄山往復は諦めて稜線を南へ向かう。360度真っ白の安達太良山頂上へ着いたのは午前8時10分だった。
 山頂からの展望をあきらめて、広々とした砂礫の道を西へ下る。悔しいことにこの頃から霧が晴れ出した。振り返ると安達太良山の乳首(山頂部)が可愛らしい。足元には所々アキノキリンソウ、ノリウツギ、ヤマハハコ、オヤマリンドウなどが咲いている。
 山頂から1時間ほどで薬師岳(五葉松平)の展望台へ着いた。眺めはナカナカで、安達太良連山やその右奥の吾妻連峰の一部がスッキリと見えている。ゴンドラで上がってきた親子連れの観光客たちなどが歓声を上げている。広場の大きな木柱には「この上の空がほんとの空です」と書いてある…。
 ゴンドラリフトで奥岳へ下り、「奥岳温泉・あだたら高原富士急ホテル」で山の汗を流してから帰路についた。肝心な稜線歩きでガスられたのが少し残念だったが、十分満足のいく山行だった。メンバーの一人はこの山が大変気に入ったらしく、何時か又来てみたい、とさかんに言っていた。

* 5年前の平成9年9月15日、その日は風の無い日だったとか…、沼ノ平西側斜面において、亜硫酸ガスのため中高年パーティのうち4名が死亡するという事故があった。私たちハイキング愛好家にとって衝撃的なニュースだったが、それ以来沼ノ平を通るコースは立入禁止になっているとのことだった。また、くろがね小屋から鉄山へ登る直登コースも同様の理由から立入禁止になっている。

あだたら高原富士急ホテル 奥岳温泉「あだたら高原富士急ホテル」: 岳温泉の北西約4km、安達太良山東側中腹の勢至平下に位置する。あだたら高原スキー場のゲレンデが目の前にある奥岳温泉の一軒宿、と云いたいが、宿と呼ぶにはあまりにも立派すぎるリゾートホテル。
 岳温泉の岳とは安達太良山を指しているそうだ。源泉は「くろがね小屋」付近の例の場所。泉質について“薄まった”感じがしたが、下流の岳温泉よりは「濃い」という報告もあるらしい。ということは、いかに「くろがね温泉」の湯がイイか、ってことかな。泉質は、くろがね温泉と勿論同じ単純酸性泉、無色透明。入浴のみは800円。安達太良山から奥岳への下山時、使える温泉施設だ。
* 2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災以降、営業はしていないようです。非常に残念です。(後日追記)

くろがね温泉「くろがね小屋」: 前項「安達太良山・北部縦走コース」を参照してください。

安達太良山(北部縦走コース): 前項の縦走コースも参照してみてください。



安達太良山頂から下山開始!
振り返ると安達太良山の乳首が可愛らしい
振り返ると安達太良山の乳首が可愛らしい

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