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No.31-1 安達太良山 北部縦走コース
智惠子のほんとの空を見てきた


安達太良山 略図 インデックス
その@ 湯川渓谷から入山 H8/7/27〜28
第1日=JR東北本線二本松駅-《バス》-湯川渓谷入口(塩沢温泉)〜くろがね小屋 第2日=くろがね小屋〜峰の辻〜馬の背〜安達太良山1700m〜矢筈森〜鉄山1710m〜箕輪山1728m〜鬼面山1482m〜野地温泉(入浴)-《タクシー》-土湯温泉バス停-《バス》-福島駅
【歩行時間: 第1日=2時間40分 第2日=5時間10分】


そのA 奥岳から入山 H26/9/26〜27
第1日=JR東北本線二本松駅-《タクシー30分》-奥岳(あだたら高原スキー場)〜勢至平〜くろがね小屋 第2日=くろがね小屋〜安達太良山〜矢筈森〜鉄山〜箕輪山〜鬼面山〜野地温泉(入浴)-《タクシー50分》-福島駅
【歩行時間: 第1日=2時間15分 第2日=5時間】

 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


安達太良連峰の北部を縦走 その@
湯川渓谷から入山 平成8年(1996年)7月27日〜28日 晴れ

風が強かった
安達太良山の頂上

牛ノ背方面から眺めた安達太良山
安達太良山(乳首山)
  くろがね小屋までは、安達太良山への数あるコースの中で唯一の渓谷コース(湯川渓谷)を、滝見物などをしながら辿ってみた。
  翌日は峰ノ辻から安達太良本山(乳首山)へ登り、それから踵を返して鉄山、箕輪山、鬼面山と主稜(安達太良連峰)を北へ向かって縦走。 火山特有の迫力あるアルペン的景観から緑深い穏やかな山容へと移り変わる、その変化のあるトレイルを楽しんだ。 山岳展望もナカナカで、流石に南東北の名山だと思った。 しかもこの山、いろいろな意味でリーズナブルだ。
  野地温泉へ下山。 タクシーの待ち時間、ひと風呂浴びてから帰路へついた。

* 「山と渓谷」の著者、故・田部重治氏は、戦争の色が濃くなり始めた昭和16年の10月末に、安達太良山に登っている。 氏は、その晩年の著書「わが山旅五十年」のなかで、鉄山と安達太良山の稜線上の鞍部(矢筈森の峠)から眺めたその時の沼ノ平の印象を、次のように述べている。
 『…ここから眺めると、中ノ沢への谷は鉛のような蒼白い色をしている。 ここを初めて眺めた時、月夜におはぐろをつけ、白無垢を着たお婆さんの立っている姿を想像したが、その印象は今も残っている。…』
  僭越ながら、当を得ておもしろい表現だと思う。


  その安達太良本山から鉄山へ続く荒涼とした山稜は風が強かった。 重心を低くして歩いていると、風の音に紛れて、何度となく繰り返し高村光太郎の詩が耳をよぎる。 学生の頃に覚えた詩はなかなか忘れないものだ。
  文学にそれほど造詣のない私だが、人に隠れて読んだ詩集の一つに「智惠子抄」がある。 「深夜の雪」とか「あどけない話」など、感心しながら読み耽ったものだ。 その中でも特に印象に残っているのが、「…みちのくの安達が原の二本松松の根かたに人立てる見ゆ…」、というイントロで始まる珠玉の一篇 「樹下の二人」 だ。 私はこの詩が今でも好きでたまらない。

あれが阿多多羅山、あの光るのが阿武隈川。
・・・・・・・・
この大きな冬のはじめの野山の中に、あなたと二人静かに燃えて手を組んでゐるよろこびを、下を見てゐるあの白い雲にかくすのは止しませう。
・・・・・・・・
ここはあなたの生れたふるさと、あの小さな白壁の点点があなたのうちの酒庫。
それでは足をのびのびと投げ出して、このがらんと晴れ渡った北国の木の香に満ちた空気を吸はう。
・・・・・・・・
まだ松風が吹いてゐます、もう一度この冬のはじめの物寂しいパノラマの地理を教へて下さい。
あれが阿多多羅山、あの光るのが阿武隈川。
 「智惠子抄・樹下の二人」より

馬ノ背から沼ノ平を覗きこむ(平成26年9月に撮影)
荒涼とした沼ノ平 …白無垢を着たお婆さん…のような…


安達太良連峰の北部を縦走 そのA
奥岳から入山 平成26年(20014年)9月26日〜27日 晴れ

アルペン的なロケーションです
安達太良山の山頂にて

風が強く、とても寒く感じました
鉄山の山頂にて

ドウダンツツジの紅葉
箕輪山から鬼面山へ
  山の友人たち(山歩会)と錦秋の安達太良連峰を縦走。 お天気にも恵まれて、磐梯山〜飯豊連峰〜吾妻連峰などの展望もバッチリ。 麓ではアキノキリンソウ、山稜ではオヤマリンドウやヤマハハコなどが足元を飾ってくれました。 ガンコウラン、クロマメノキ、シラタマノキなどの実を口に含んだりして、歩きながらビタミンの補給もしました。(^^ゞ
  少し気になったのは、登山道の分岐にある指導標の一部が朽ちていたりして、判読不能のものが(少なからず)あった、ということです。 …これは、まぁ、仕方のないことだと思います。 当分の間は、私たち登山者が相応の注意をすればいいこと、だと思います。

  第1日目は、奥岳から勢至平を経てくろがね小屋までのまったりコースです。 くろがね小屋の源泉掛け流しの温泉は相変わらず素晴らしかったです。 * 勢至平コースの詳細については次項の「安達太良山・一般周回コース」を参照してみてください。
  第2日目は、5時30分からの小屋の朝食後、6時10分に出発して、まず安達太良山本峰1700mに登ります。 それから主稜を北へ進み、荒涼とした景観の沼ノ平を左下に眺めながら鉄山1710mを目指します。 今回も風が強く、低体温症に要注意。 フリースや雨具などを着込みます。
  鉄山を過ぎると風も収まり、おだやかな稜線歩きになったので、上着や手袋などを次々に脱いでいきます。 山ではこまめな体温管理が不可欠です。
  連峰最高峰の箕輪山1728mからの下りが滑りやすい道で、少し難儀しましたが、みんなで声を掛け合って楽しく滑りました。…もとい、慎重に下りました。 鬼面山1482mへの上り返しからは歩きやすい道で、ホッと一息です。 旧土湯峠からブナ林を下って、野地温泉に到着したのは午後2時頃でした。
  うれしい想定外だったのは、山稜から山腹にかけての紅葉が既にその見ごろを迎えていた、ということです。 赤く色づいているのはヤマウルシ、ドウダンツツジ、ナナカマドなど。 黄色に色付いているのがハウチワカエデや橙色とのグラデーションも美しいミネカエデなど。 紅葉は緑色があってより映えますが、緑色部分(つまり常緑の植物)はチシマザサ、ハイマツ(キタゴヨウとの交雑種らしい)、アカミノイヌツゲ、ガンコウラン、ミネズオウ、ハクサンシャクナゲ、などでした。 今年の紅葉は例年より早く、今まででも特に美しい、と、毎秋この山を訪れるベテランハイカーが云っていました。 私たちは超ラッキー!だったのです。
  というわけで、紅葉三昧・展望三昧・温泉三昧の、夢のような2日間の山旅でした。
  錦秋の安達太良連峰・写真集

* この日(9月27日)の帰路に知ったことですが、木曽の御嶽山では大変なことになっていました。 戦後最悪の噴火災害、とのことです。 火山噴火は怖い、とつくづくと思います。 誰だって、どんな名登山家だって、このような(急な)噴火には太刀打ちできない、と感じます。 被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。

  佐知子の歌日記より
 快晴に日光・那須の峰々を 車窓に顔寄せ目で追いかける
 山道にりんどうここぞと咲き誇る 濃紫とはこの色のことか
 ほんとうの空に流れる白すじの 雲のびやかに安達太良の山
 山小屋の風呂より見える山肌の 紅や黄の葉が陽に輝けり
 夕飯はカレーライスのくろがね小屋 定番うましほほえみの味
 山並みは錦ちりばめたおやかに 登るみちのく安達太良連峰
 前うしろ右も左もすきまなく 安達太良山の粧いにけり
 噴火せし御嶽山の灰と石 ああ登山者の命うばえり
 これがもし二年前のことならばと 画像ふるえる御嶽の噴火

鬼面山の紅葉
箕輪山の北斜面から鬼面山を望む ・ バックは吾妻連峰


くろがね小屋(平成7年7月に撮影)
撮影:平成7年7月28日
くろがね小屋(平成26年9月に撮影)
撮影:平成26年9月26日
くろがね温泉「県営くろがね小屋」: 鉄山の岩峰の直下、標高約1350mの山懐に抱かれる絶好のロケーション。 定員50名。 岳温泉などにも給湯しているという源泉の湯。 単純酸性泉、白濁、硫黄の臭い。 口に含むと酸っぱくて、いかにも本物っぽい。 檜造りの狭い浴槽だが湯量豊富。 必要かつ十分だ。 とにかく、山小屋で温泉に入れるなんて、こんな贅沢、滅多にない。
* 平成14年8月24日現在、小屋のしゃれた基本構造や、こげ茶色の外板壁も変わってはいませんでしたが、正面入口の上部などに太陽電池のパネルが取り付けられていました。 大きな違いで嬉しかったのは、男女別の風呂場が改築されて一回り広くなった、ということです。 これで3〜4人くらいでもゆったりと入浴できるようになりました。 この「源泉掛け流し」の絶品の湯に、私などは晩と朝で計4回も浸かってしまいました。 小屋の管理人さん(橋本さん)も相変わらず大きな声でお元気でした。 カレーライスの夕食後、管理人さんの巧みなハーモニカーの伴奏で、数々のなつかしい歌を、同宿のみなさんと合唱しました。
* 平成26年9月26日現在、名物管理人の橋本さんは平成15年3月に退職されたそうで、現在では3人の管理人さんが交代で勤めているそうです。 通常は1名で対応しますが、30人以上の宿泊客になると2名体制となるそうです。 この日の管理人さん(山崎さん)も、非常に気さくで話好きの、とてもいい感じの方でした。 夕食のカレーライスの味も相変わらずで、美味しかったです。

野地温泉「野地温泉ホテル」: 標高約1200m、吾妻連峰と安達太良連峰の境に位置する一軒宿の温泉ホテル。 ひなびた、という感じは全くなく、どちらかというと観光ホテル的。 入浴のみでも可(入浴料800円・15時まで)、というのが嬉しい。 風呂は多彩で立派。 単純硫化水素泉。 54.2度、白濁。 泊りでゆっくりと温泉三昧してみたい感じ。

安達太良山・一般周回コース 平成14年8月の山行記録です。

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