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No.350 赤城山鈴ヶ岳(すずがたけ・1565m)
平成28年11月5日 快晴

鈴ヶ岳(赤城山)の略図
右側が白樺牧場
新坂平バス停から歩き始める

バックは地蔵岳
鍬柄山の山頂

前方に見えてきた!
ずんぐりと尖がる鈴ヶ岳

狭いながらも楽しい山頂
鈴ヶ岳の山頂

ミズナラやハウチワカエデの黄葉
黄葉を見上げる
後日(2018年9月)撮影
富士見温泉「見晴らしの湯」


俗化からは程遠い静かな自然
私は赤城山を誤解していたのかもしれない…

前橋駅-《バス1時間》-新坂平〜鈴ヶ岳登山口〜姥子峠〜鍬柄山1560m〜大ダオ〜鈴ヶ岳1565m〜大ダオ〜出張峠〜沼尻〜赤城少年自然の家-(バス40分)-富士見温泉(入浴)-《バス30分》-前橋駅 【歩行時間: 4時間】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ


  公共交通を利用して、平日に日帰りで赤城山登山をするのは、東京都大田区に住む私にとっては並大抵のことではない。 東京駅発6:08の一番早い上越新幹線(とき301号)を利用しても、両毛線の前橋駅に着くのは7時33分で、登山するためにはこれっきゃないという(前橋駅前からの)7時32分発のバスに乗るのは絶対に不可能なのだ。 なんというバス会社(スイカの使えない関越交通バス)の怠慢、もしかして陰謀? だろうか…。 群馬県は自動車保有率で全国第一位(つまり車社会の県)だと聞く。 マイカー優先で、(もしかして)電車やバスなどの公共交通のことについてはまるで頭にないのかもしれないが…。

  という訳で、秋の土曜日を選んで単独で出掛けた。 土日祝日だったら前橋駅北口から赤城山ビジターセンター行きの急行バス(8時45分発)が出ているのだ。 私は辛うじて座席を確保することができたが、そのバスは(思った通り)登山姿の乗客で超満員だった。
  超満員のバスだったけれど、新坂平バス停で降りたのは私を含めても3名だけだ。 殆どの乗客は黒檜山〜駒ヶ岳方面を目指すようだ。 白樺牧場脇のアスファルトを少し戻って、セーターを脱いで、閑静な鈴ヶ岳登山口から登り始めたのは10時近くになっていた。 振り返ると近くの地蔵岳が大きい。 祭りの後のように…紅葉の盛期が終わりかけているのがちょっと残念だ。
  登り始めて暫くは道標のない枝道が多いけれど、尾根筋を外さずに右より(北西へ)進めば問題ない。 ミズナラ、ダケカンバ、ハウチワカエデ、ヤマザクラ、リョウブ、シデ類、ツツジ類(多い)などの明るい林相で、林床は一面のミヤコザサ(ニッコウザサ?)だ。
  姥子峠〜姥子山(知らずに通過)〜鍬柄(くわがら)峠となだらかにアップダウンして、展望のよい鍬柄山の山頂部で最初の小休止。 東面の地蔵岳の左手には大沼(おの)の頭上に駒ヶ岳から黒檜山へ続く山並みが一望でき、そのさらに左奥には日光白根山が白い頭を覗かせている。 少し雲の出ている西〜南面には信州や上州の山々や、薄ぼんやりと富士山も見えている。
  この鍬柄山の山頂には標石があるけれど、これは三角点ではなくて国有林の境界標だ。 「山」の字が入っている側(鍬柄山の場合はその東側)が県有林で、その背面(数字が書いてあるほう)が国有林側だ。 何れも自然環境保全地域になっている。
  鍬柄山から大ダオ(タルミ)までは標高差で約150mを下る。 前方には木々の隙間からずんぐりと尖がる…これも赤城山の寄生火山のひとつ…鈴ヶ岳の山容が見え隠れする。 こりゃ〜近いぞ、楽勝だ。 と思ったのが大間違い。 大ダオからの登り返しはけっこうきつい岩場の連続で、トラロープに頼らなくてもなんとか攀じることのできる程度ではあったが、気が抜けなかった。
  それにしてもこの山稜にはヤシオツツジやヤマツツジやレンゲツツジなどのツツジ類が多い。 その花のシーズンはさぞかしステキだろうと思う。
  やはりツツジ科の一種・アズマシャクナゲも目立ち始めて間もなく、石祠や三等三角点などのある鈴ヶ岳の山頂へ着いたのは11時40分頃だった。 山頂の北側にはそれぞれ「鈴嶽大神」「愛宕山大神」「赤城山大神」と彫られた3つの石碑もあって格調高い感じだけれど、思ったよりもずっとこじんまりとした山頂部だ。 なので先着の2組のパーティーに気遣いながら、そそくさとコンビニおにぎりの昼食を済ませ立ち上がる。 ツツジ類などの灌木に囲まれた山頂なので、座っていると展望がないのだ。
  大ダオに戻ってから(北へ)左折して、今度は深いカラマツ林を下る。 林床を彩るオシダの群生が美しい。 道標のピンクテープを見逃さないように注意しながらずんずん下る。 と、やがてミズナラなどの自然林に移行して、瀬音が聞こえてきて広い山道に突き当たる。 この道が「関東ふれあいの道・カラマツと熊笹のみち」で、左折すると赤城キャンプ場から赤城町深山方面へ下ることができるけれど、今回は右折して大沼湖畔を目指す。 何れにしても、ここからは道型がはっきりとしているのでひとまず安心だ。 山の北側斜面の関係もあるのか、こちらの紅葉はまだ見ごろで、それがとてもよかった。
  感じのよい沢(沼尾川)を小橋で渡って、ここからは再び上りになる。 カラマツ林と自然林(雑木林)を交互に通過して、出張峠からはなだらかに下って「さいたま市立少年自然の家」が近くに建つ登山口を出ると、そこからはアスファルトだ。 時計を見ると14時30分。 沼尻は近い。
  赤城山も裏へ回ると“俗化”からは程遠い静かな自然が楽しめるのだなぁ、と今回しみじみと悟った。 私は赤城山を誤解していたのかもしれない。 …新緑のころに是非もう一度、この静かな山域を歩いてみたいと思った。

温泉マーク 富士見温泉 見晴らしの湯 ふれあい館: 鈴ヶ岳からの下山後に大沼(おの)湖畔を歩いて、(15時20分発の)赤城少年自然の家バス停から帰路についたのだが、今回の富士見温泉入浴に関しては、立ち寄ったというよりは気がついたらこの温泉に浸かっていた、というのが正しい表現かもしれない。 というのは、この帰路のバス便は富士見温泉が終点で、とにかくここで降りなくてはならなかったからだ。 風呂好きの私としては、ここで数分後の(前橋駅行きの)バスに乗り換えることはあり得ない。
  富士見温泉「見晴らしの湯」は赤城山の南麓に位置する道の駅「ふじみ」にある入浴施設で、入館料は良心的な510円。 ナトリウム・カルシウム・塩化物温泉の、無色透明だが口に含むとしょっぱい味の、けっこう本格的な泉質だ。 大深度源泉(1,000m以上の深度を持つ源泉)であるらしい。 露天から見渡せる前橋市の夜景には定評があるそうだが、今回の入浴中はまだ明るくて、それ(夜景美)を実感していない。 でも、レストランの大きなガラス窓から眺めた榛名山の左裾に沈む夕日が、ものすごくきれいだった。 おまけに、つまみに頼んだ皮つきポテトフライが安くて(300円)美味くて量もたっぷりで、ビールがじゃんじゃん喉を通った。
  道の駅「ふじみ」・富士見温泉のホームページへ

  富士見温泉でまったりと時を過ごし、玄関前のバス停から17時45分発の前橋駅行きに乗る。 しかし驚いた。 乗客は私一人だけなのだ。 あれほどいた観光客やハイカーたちは一体どこへ行ってしまったのだろう、と訝った。 …車窓の外は漆黒の夜空だ。 その目線を少し下に向けてまた驚いた。 前方の前橋の街明かりが宝石箱のようにきらめいていたのだ。

赤城山(黒檜山) 17年前(平成11年7月)の拙山行記録です。

*** コラム ***
「熊笹のみち」はクマザサではない!

 下山時に歩いた鈴ヶ岳北麓の「関東ふれあいの道」のコース名は「カラマツと熊笹のみち」となっていて、現地の(環境省と群馬県の)立派な解説板には「クマザサ」と題した説明文があった。しかし私は疑問に感じた。というのは、私が今回歩いたコース上に生えていたのはクマザサではなくて(それより一回り小型の)ミヤコザサだったからだ。
 冬が近づくと葉の縁が白く枯れるのは似ているけれど、ミヤコザサの葉裏には毛が生えているのに対してクマザサの葉には毛は無い。形や大きさも微妙に違う。そして決定的な違いは、ミヤコザサの節の部分は球状に膨らんでいる、ということだ。
 …なので、この山域のササがクマザサではなくてミヤコザサであることは間違いないと思う。…環境省と群馬県の担当者にひとこと云ってやりたい心境だ。
環境省と群馬県によるクマザサの解説板
現地の解説板
「関東ふれあいの道」にて撮影
* 葉の縁が白くなるササを総称してクマザサ(熊笹・隈笹)と呼ぶ場合もありますが、この解説板に書いてある内容は明らかに特定種としての「クマザサ」を指しています。それはやっぱり間違いだと思うのです。 また、ここで云う“ミヤコザサ”はササ属のミヤコザサ節を指しています。正確な種名はもしかして(ミヤコザサ節の)ニッコウザサかもしれません。…ササについては分からないことが多く曖昧なところもあったりして、ちょっと面倒です…。

仕切り線

林床のオシダも美しい!
黄葉のカラマツ林(下山路にて)

鍬柄山近くの山稜から撮影 沼尻付近から撮影
大沼越しに黒檜山〜駒ヶ岳を望む

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