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No.366 湯ノ倉山1343m(奥会津)
平成30年6月15日 曇り マイカー利用

湯ノ倉山の略図
湯ノ花温泉入口から夕方に撮影
県道から湯ノ倉山を望む

この左奥が登山口
林道終点・滝沢登山口

蝦夷譲葉:ユズリハ科の常緑低木
エゾユズリハ

殆ど樹林に囲まれている
湯ノ倉山の山頂

湯ノ倉山から大嵐山方面へ向かう
ブナ林の尾根道を進む

下山道の滝沢にて
リョウメンシダの海だ!
下山後は奥会津観光を…
姫小百合:別名オトメユリ。日本の特産種。

高清水自然公園のヒメサユリ
「日本秘湯を守る会」の宿
湯ノ花温泉「旅館末廣」


奥会津への山旅・そのA
リョウメンシダの海を泳いで下山!

《マイカー利用》 帝釈山・田代山登山(前日)…檜枝岐温泉(泊)-《車35分》-林道終点・滝沢登山口(湯ノ花温泉登山口)〜山の神入口〜湯ノ倉山〜分岐〜滝沢登山口-《車35分》-高清水自然公園(ヒメサユリ観賞)-《車30分》-湯ノ花温泉(泊)… 【歩行時間: 4時間】
 → 国土地理院・地図閲覧サービスの該当ページへ


 尾瀬檜枝岐温泉「ますや旅館」で朝湯に浸かって、そして7時からの盛り沢山な朝食を摂って、それからおもむろに支度してマイカーに乗り込む。昨日の帝釈山・田代山登山の疲れは殆ど癒えていて、身体は軽いし気分も軽い。きょう目指す山は帝釈山脈の北側の支脈に連なる大嵐山(おおあれやま・1636m)と湯ノ倉山1343mだ。…しかし、空が低くてねずみ色の梅雨空だ…。

 檜枝岐からは約30分の運転…国道352号線→県道350号線・通称「田代山林道」…で南会津町湯ノ花の集落へ入る。と左前方に湯ノ倉山のピラミダルな山容が見えてくる。その左奥には大嵐山と思しき山影も見え隠れするが、山頂部には厚い雲がかかっている。
 「う〜ん…やっぱり今回は湯ノ倉山だけにしましょう!」 と妻の佐知子がきっぱりと云う。もちろん私に異存はなく、この時点で今日の山行は湯ノ倉山のみの周廻コースと(あっさりと)決定した。
 今夜の宿泊予定の湯ノ花温泉「旅館末廣」を右に確認して、それから左手の共同浴場「弘法の湯」の少し先を左折して、滝沢に沿った林道滝沢線を進む。県道からは数分(距離にして約1.3km)で林道の終点(滝沢登山口・標高約875m)に到着する。そこは5〜6台の車が駐車できる小広場で、近くでタニウツギが満開に咲いている。今は一台も停まっていなくて、とても静かで、小鳥の鳴き声だけが森にこだましている。
 午前8時40分頃、駐車場の奥から道標に従って登り始める。とすぐ古い林道に合流して、立派に育っているスギの植林地帯をなだらかに進む。道端の草地にはマムシグサやオオヤマオダマキがゴージャスに咲いている。やがて間もなく自然林に移行して、沢筋の樹木…サワグルミ、トチノキ、カツラ…などの渓畔林の小道をなだらかに登る。一面のシダ類が眩しいほどに美しい。
 登山口から20分ほどで沢の出合(分岐点・山の神入口)があり、往路はここを右折して湯ノ倉山の山頂を目指す。けっこうな急登で、暫くは沢筋を進むが、やがてトラバースして尾根道になる。ブナ、ミズナラ、ネズコ(クロベ)、ウダイカンバ(マカンバ)、ハリギリ、ホオノキ、イヌシデ、などの気持ちよい林相だ。足元にはイラクサやクルマバソウの類やギンリョウソウが多く、ギンランも少し咲き、花期の終わったイワウチワの葉が照り輝いている。矮性化した常緑高木のヤマグルマかな、と思って写真に撮っておいたけれど、帰宅してからよく調べたら常緑低木のエゾユズリハだった。関東の南に暮らす私にとっては珍しい樹木だ。
 湯ノ倉山のこじんまりとした山頂は殆ど樹木に囲まれているが、所々に切れ間があって、北西側の湯ノ岐川の流れる谷間が薄霧の中にぼんやりと見えている。南東側の隙間から見えるはずの近くの大嵐山は(予想した通り)雲の中だった。で、例によって山頂部をウロウロと歩いて付近の樹種をメモする。…ブナ、ミズナラ(山頂標識)、マルバマンサク、オオカメノキ、タムシバ(幼木)、リョウブ(幼木)、(トウゴク?)ミツバツツジ、ムラサキヤシオ(花)、エゾユズリハ、ミネカエデ(少し)、ネマガリダケ…。じぃ〜っと観察していると極小の羽虫らしきもの(近いものがよく見えないんです、ハィ…)が手の甲などを歩き回って時々噛むらしく、チクンチクンと痛痒い。→帰宅してから10日間ほどはあっちこっちが赤く腫れていました。[後日追記]
 超静かな湯ノ倉山の山頂を辞して、明るいブナ林を大嵐山方向へ少し下り、鞍部からなだらかで歩きやすい尾根道を進む。足元にはずっとイワウチワの群落が続くが、春の花期はさぞかしだろうと推測する。佐知子のザックに括りつけたクマ避けの鈴の音が辺りに響き渡る…。
 間もなく左手の谷が近寄ってきて合流して、指導標のある分岐に出る。真っ直ぐに進んで標高差で約300mほども登れば大嵐山の山頂だが、私達は(計画通り)左へVターンして沢道を下山する。大嵐山の山頂は展望がすこぶる良いと聞くが、そだねー、ガスっていたら意味ないじゃん、と自分に言い聞かせる。…少し後ろめたい気もするが…。(^_^;)
 この下りの逆への字型の沢道の、リョウメンシダの群生がすごかった。その鮮やかな緑の“海”がず〜っと続くのだ。渓畔林のカツラの大木も見ごたえがあったし、サワグルミやトチノキの姿も美しい。渡渉箇所も出てくるが、足場はしっかりしているので全然問題ない。立ち止まって座りこんで、宿で作ってくれたお弁当(おにぎり)を食べたり、白くてちっちゃな花をつけたウワバミソウ(ミズ)を、久しく離れていた友人に出逢ったような懐かしい気持ちで愛でたりした。
 とうとう誰にも出会わずに、穏やかに下って、滝沢登山口の駐車場に戻りついたのは午後1時半頃だった。(エゾ?)ハルゼミが鳴いているのをこのとき気がついて、顔を上げて耳をそばだてる。ふと、身体がシダの緑色に染まってしまったような、そんな気がした。

* 高清水自然公園のひめさゆり群生地: 大嵐山をカットしたおかげでかなり早い時間の下山になったので、湯ノ花温泉からは片道30分ほどの運転で、南会津町・南郷のヒメサユリを見物に行った。今年は例年より開花が早かったらしく、もう見ごろを迎えていた。ゆっくりと見て回って約30分。標高850mに位置する山の上で…およそ100万本といわれる“天空のひめさゆり”の…ほのかに甘く香る薄ピンクの優雅な姿を、たっぷりと堪能した。入場料は@300円だった。

湯ノ花温泉「旅館末廣」: 湯ノ花温泉は湯ノ倉山の西麓、湯ノ岐川沿いに位置する由緒ある小さな温泉郷。田代山登山の東側の拠点にもなっている。(ちなみに、田代山登山の北側の拠点は木賊温泉で、西側の拠点が檜枝岐温泉) 4つの共同浴場(弘法湯・湯端の湯・石湯・天神湯)があって、それらの湯めぐり(@200円)も面白そうなのだが、今回私達が宿泊した旅館末廣は「日本秘湯を守る会」の宿なこともあり、その3種類の湯(石張り木枠の内湯と露天風呂、そして源泉がことなる岩風呂)だけでも充分過ぎるほど満足だったので…気力体力の関係もあるけれど…共同浴場巡りはパスした。もちろん旅館末廣の3つの湯は源泉掛け流しで、泉質は単純泉、無色透明無味無臭。部屋の窓からも湯ノ岐川越しに湯ノ花の集落や田園風景が広がっていて、その奥にやさしい姿の里山たちが緑に聳えている。食事は地元産の山菜や岩魚などの料理で、朝食に+αで出てきた焼き立てのパンが…この宿の名物なんだそうだが…意外性もあって美味しかった。1泊2食付き、トイレ付きの立派な和室で@約13,000円だった。
  湯ノ花温泉「旅館末廣」のホームページ

* 総括: 今回の2泊3日の奥会津への山旅について、第1日目の帝釈山の山稜や田代山湿原ではオサバグサとワタスゲの海。第2日目の湯ノ倉山(本項)ではリョウメンシダの海、高清水自然公園ではヒメサユリの海…と、よくぞ大海を泳ぎまくったものだ。陸なのに…。(^^ゞ
 この翌日(第3日目)、東京への帰路に立ち寄った日光市霧降高原・キスゲ平園地のニッコウキスゲは、未だ咲き始め(三分咲き程度)で「海」とまではいかなかったけれど、“らしさ”は味わうことができた。梅雨の晴れ間のワンチャンス。概ね大成功の今回の山旅だった。

  佐知子の歌日記より
 山肌は両面羊歯の海となり さみどりゆれる湯の倉山よ
 目印の旗をたよりに進みゆくヒメサユリ咲く会津のこやま
 黄色濃いニッコウキスゲは霧のなか霧降高原に咲き始める

仕切り線

湯ノ倉山・滝沢の渓畔林が美しい!
逆への字のV字谷
リョウメンシダの海を下山
下山道(滝沢)にて
カツラの巨木(下山道の滝沢にて)
大山苧環:キンポウゲ科の多年草。ヤマオダマキの変種。有毒植物。
オオヤマオダマキ
銀竜草:ツツジ科の多年草。腐生植物。
ギンリョウソウ
紫八汐躑躅:ツツジ科の落葉低木。別名ミヤマツツジ。
ムラサキヤシオツツジ

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No.365「帝釈山から田代山」へ工事中です

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