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鈴鹿山脈2日間の山旅・その@
No.376 御在所岳 一ノ谷新道
令和元年(2019年)5月17日(金) 晴れ
御在所岳の略図
ロープウエイ駅の近くから撮影
御在所岳とゴンドラ

左が「一の谷山の店」
一ノ谷新道の登山口

マツタケに見える・・・?
松茸岩を通過

この岩上には登れるらしいけど・・・
鷹見岩を通過

ピラミッド型の目立つ山容です
樹林の隙間から鎌ヶ岳を望む

ロープ場を登る
けっこうきつい!

前方の建物が(旧)アゼリア
眼前に広大な山上公園…

山頂広場の中央に一等三角点の標石がある
御在所岳の頂上


一の谷新道で登ってロープウェイで下る
〜あと一歩のところ(山頂部直下)で道迷い〜

JR品川06:23-《新幹線のぞみ3号》-07:51名古屋8:15-《三重交通高速バス》-9:24湯の山温泉・御在所ロープウエイ前〜一の谷山の店・登山口〜(一ノ谷新道)〜山上公園〜御在所岳〜14:40山上公園駅-《ロープウェイ15分》-ロープウェイ駅・湯の山温泉(泊)…翌日は藤原岳登山
 【歩行時間: 3時間50分(道迷いのタイムロス20分を含む)】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 東海地方と京阪神地方に挟まれた、と云ったらいいのか、琵琶湖と伊勢湾に挟まれた、と表現したほうがいいのか、何れにしても、昔から東西の交通の要所に立ちはだかるのが(岐阜県、三重県、滋賀県の県境・南北50Kmに及ぶという)鈴鹿山脈だ。私達夫婦にとってはまったく未知の山域なので、近所の図書館で借りてきた登山地図などを参考にしてじっくりと計画を練ってみた。1泊2日の予定で、宿泊地の湯の山温泉は(温泉好きの私達には)絶対に外せない。ということで(どういうこと?)交通には新幹線を利用して、初日に湯の山温泉から鈴鹿山脈の南部に位置する御在所岳(ございしょだけ・1212m)に登って、第2日目に北部の藤原岳1140mに(それぞれ日帰り登山で)登ってみましょう、ということになった。御在所岳は日本二百名山で、藤原岳は日本三百名山の一峰である。相変わらず…名山に弱い私達だ…。

* 御在所岳?御在所山?: 日本地理院の地形図では御在所山となっていますが、ガイドブックなどでは御在所岳となっています。現地では御在所岳で統一されていたこともあり、本項では「御在所岳」と表記しました。
 なお、御在所ロープウェイの駅前広場には「御在所山かございしょ岳か」と題した石碑が建っています。詳細については湯の山温泉の該当ページを参照してみてください。


 名古屋駅の名鉄バスセンターから8時15分発の(座席の半分ほどが埋まった)三重交通高速バスに乗り約70分、終点の湯の山温泉・御在所ロープウエイ前に降り立つ。昨年(2018年)8月に「湯の山かもしか大橋」が開通し、ロープウェイ駅前の駐車場へバスが乗り入れできるようになり、便利になったようだ。佐知子がトイレへ行っている間に辺りをぐるっと散策してみる。土産物店や最近オープンしたという「モンベル」のショップもあるけれど、平日のせいか予想に反して閑散としている。地理院地図(電子国土Web)のコピーをポケットから取り出して方向を確認して、ロープウェイ駅の左脇の小道へ向かって歩き始めたのは9時40分頃だった。
 深い谷(三滝川の上流)に沿った情緒のある小道はやがて三重県道577号線(湯の山温泉線)に吸収される。心地よい瀬音を聞きながら、だらだらとアスファルトを上っていく。アカヤシオやトウゴクミツバツツジの花期は終わって、朱赤のヤマツツジがほんの少し咲いているだけだったけれど、何処も彼処も新緑で、それが目と心に気持ちよい。
 この県道577号線は、地図上では鈴鹿ライン(国道477号線)とT字型にぶつかっているのだけれど、不思議なことに自動車は行き止まりになっている。鈴鹿ライン側には立派な駐車場があったりして、ここが(多分)主流のマイカー登山の基地のひとつになっているいることが推測できる。私達は徒歩なので、柵をすり抜けて鈴鹿ライン側へ入り、左折して更に西へ(武平峠方面へ)向かう。と間もなく右手に中道コースの登山口があって、数名のハイカーがたむろしている。私達は少し迷ったけれど、ここを通過して50mほど進んだ右側の、「一の谷山の店」と書かれた表札のある建物(営業はしていないみたいだった)の脇の山道へ入る。こちらが一の谷新道の登山口になっているのだ。もちろん登山届けは専用の箱へ投函した。
 御在所岳の一般登山道は5コースほど(裏道・中道・一の谷新道・表道・武平峠道)があるようだけれど、ガイドブックをざっと読んで私達が上りに選んだのは、急峻だけれど比較的に安全(危険箇所の少ない尾根コース)と思われるこの一の谷コース(一の谷新道)だった。しかし読むと見るとは大違い。道型はしっかりしているけれど踏み跡が頼りない感じで、ロープや梯子も出てくるが、一見して所謂「荒れて」いる感じなのだ。一ノ谷を隔てて右上に見えるはずの頂上岩壁やロープウェイのゴンドラなどは樹林の隙間からチラッと見える程度で、とても“圧倒されるような”絶景ではない。まぁでも人影がなくて静かなのがいいかも。左手(南側)の、ブナの原生林があるという鎌ヶ岳が、時折ピラミッド型の山容をちらつかせる。
 途中で2回ほど大休止をしたときに、辺りの樹種などをざっとメモしてみた。
 『ヒノキなどの植栽樹の生き残りも少し交じるけれど、殆ど常緑樹と落葉樹の入り交じった(若い)自然林のようだ。目についたのはツガ(葉はコメツガに似て短いが、若い枝に毛がないので…)、アカマツ、アカガシ、ヒサカキ、サカキ、ヤブツバキ、イヌツゲ、アセビ(紅い新葉が花のようにきれい)、マサキ、ミズナラ、マルバアオダモ(白い円錐花序)、シロモジ、ネジキ、サンショウ、そしてツツジ類(咲いている木は見当たらない…シロヤシオはこれからかも)など。足元で目立っていた草花は中腹部のイワカガミと上腹部のフデリンドウ。→ハルリンドウかもしれないし若しかしてタテヤマリンドウかもしれない…この花の同定はやっかいだ。

 鷹見岩や恵比寿岩などの花崗岩の岩峰を通過して、もう大分登ってきたなぁ〜と思っていたころ、突然眼前が開けて指導標が立っている。右手が「大黒岩」で左側は「×(通行止)」となっていて、後ろ(来た道)が「一ノ谷新道・山頂」となっている。通行止の右上には、なんと、ロープウェイの山頂駅(山上公園駅)と思しき建物がすぐ近くに見えている。なんか変だなぁ〜と感じながら、とりあえず右方向(大黒岩方向)へ進むと下り坂になって、山頂駅方向(つまり山頂方面)からどんどん離れていく。佐知子が後ろでぶつぶつ言いだしている。流石の私も「これはおかしい」と断定して来た道を引き返して、見逃してしまった(と思われる)山頂への分岐を捜す。
 先ほどの指導標から暫く下ると微かに踏み跡が右手に分かれていたので、「もしかしてこっち?」と言いながら(佐知子をその場に残して)スズタケの茎などにつかまりながら急勾配を登っていったけれど、やがて踏み跡は消えて岩壁に行く手は塞がれてしまった。
 仕方がないので引き返し、さらに来た道を下る。すると今度はもう少しはっきりとした分岐を見つけた。ここにも道標らしきものは見当たらないけれど、さっきのヤブ道よりは歩きやすそうなので少し登ってみて唖然とした。冬はスキー場になるというただっ広い公園風な空間と立派な建物(アゼリア…昨年の5月に閉店したらしいが…)が眼前に横たわっているのだ。どうやらここが御在所岳の山上公園のようだ。緊張していた佐知子の表情がいっきに緩んで 「なんなのよ〜いったい〜あそこに道標がなければ誰だって道迷いだわよ〜」 と口元が笑っている。
 「奇岩を見物しながらの中道コースにしておけばよかったかも」 と私。
 「ほらあそこ、軽自動車が停まっているわよ」 と佐知子。
 時計を見ると午後2時少し前。道迷いによるタイムロスは20分間程度だったろうか。平らで人工的な大空間を眺めながら、しばし呆然と立ち尽くす私達夫婦だった。

 山上公園のアスファルトを進み、観光客に交じって三重県と滋賀県の県境を示す標識や一等三角点(標高1209.41m)の標石のある山頂広場をまず“観光”して、それから西側に200mほど進んで望湖台(こちらが最高点1212m)も散策する。北西面の琵琶湖も南東面の伊勢湾も春霞の中から辛うじて判別できるほどの陽気で、それらの大展望もたっぷりと堪能する。御嶽神社と長者池は少し離れているようだったので割愛して、下りは…やっぱり…ロープウェイを利用することにした。
 今夜は湯の山温泉で一夜を過ごし、明日は北側に聳える藤原岳を目指す予定だ。

湯の山温泉「三慶園」: 御在所岳の東麓に位置する湯の山温泉は、三滝川河畔の渓谷に20軒ほどの宿泊施設がひしめき合っている。由緒ある温泉地であるらしい。御在所ロープウェイの乗り場から近くて、それでいて静か、ということで私達が選んだのが老舗旅館の「三慶園」だった。川音が微かに聞こえ、部屋の窓からは新緑をたっぷりと眺めることができる。外湯は無いけれど、石タイル貼りの広い内湯だけでも充分に満足だ。朝晩の料理も美味しくて、女将の心遣いも手慣れたものだった。泉質はアルカリ性ラジウム泉。殆ど無色透明無味無臭、加温。1泊2食付き税込みで@10,950円は割安感のある良心的な料金だと思った。

 話は変わる。 寅さんシリーズの第3作「続続 男はつらいよ フーテンの寅(昭和45年1月公開)」は私がシリーズ中で最も好きな作品だが、その(旅先の)主要な舞台となったのがこの湯の山温泉だ。老舗旅館の美人女将を演じた新珠三千代はもちろん良かったけれど、老い先短い元ヤクザ(テキヤだったかな)の花沢徳衛と寅さんとのやりとりにぐっときたなぁ。…なんかとてもなつかしい。

  佐知子の歌日記より
 滑りやすい石ゴロゴロの道なれど御在所岳にひばりの声す
 道に迷いたどり着きたる山頂にリフトや自販機食堂もあり



御在所岳で目立っていた植物たち
コース上の中腹部に咲いていました。
イワカガミ
コース上の上部に咲いていました。
(フデ?ハル?タテヤマ?)リンドウ
不分裂の葉形:3裂が多い
シロモジ:クスノキ科の落葉低木

御在所岳の広大な山頂部にて
右側は(多分)イブネ
望湖台から雨乞岳(西面)を望む
左は御嶽大権現
ロープウェイ駅近くから御在所頂上を望む

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