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福岡〜大分の山旅 その@
No.394 英彦山(ひこさん・1200m)
令和2年(2020年)4月1日(水) やっぱり雨・・・ レンタカー利用

九州北部の略図
略図
英彦山の略図
第1日目
推定樹齢は300年以上・この他にも大クスノキが2株ありました。
太宰府天満宮の大楠
樹高33m 幹周12.5m 天然記念物

「ひこさんホテル和」の部屋の窓から北面を望む
ホテル和から北面を望む
第2日目・英彦山登山
ミツマタが満開!
参道の石段を上る

この右手から登山道(石段)が続いている
奉幣殿

下山時に撮影
中津宮にて

雨が止まず・視界約40m
中岳の山頂は近い!

中岳の山頂に到着!
英彦山神宮・上宮


霊山としてのスピリチュアルを感じた!

第1日目(3月31日・曇り)=東京・成田空港(LCC)09:50…11:55福岡空港-《車》-太宰府天満宮(観光)-《車》-ひこさんホテル「和」
第2日目(4月1日・雨)=ひこさんホテル「和」-《車2分》-別所登山口〜奉幣殿〜中津宮〜産霊社〜英彦山神宮上宮・中岳1200m(往復)…別所登山口-《車》-別府温泉「湯元美吉」 【歩行時間: 3時間30分】
第3日目(4月2日)=別府温泉…由布岳登山…由布院温泉
第4日目(4月3日)=由布院温泉…鶴見岳…福岡空港…成田空港

 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 桜と菜の花が満開だった4日間、何時ものメンバー(夫婦)で福岡〜大分の山旅をしてきました。
 新型コロナウイルスの厄災に世界中が騒然としているこんな時期に…行くかどうするかについてはものすごく悩んだのですが、山の誘惑には勝てず、というか…1か月以上も前から飛行機(LCC)やレンタカーや宿などを予約していたので、其々をキャンセルするのが面倒くさかったこともありました。無謀との謗りは免れないと思いますが、閑散とした交通関係や観光地の様子など、めったに経験のできない静かでゆったりとした山旅になりました。予約のホテルなどではとても歓迎されました。キャンセルが相次いでいるとのことでひっそりとした館内でしたが…。

●第1日目(3月31日・曇) まず、太宰府天満宮に参拝
 福岡空港を出て数分歩いた処に10台ほどが停まっている駐車場があって、そこが予約のレンタカー(駅すぷれす)の拠点だった。セルフなので係員はおらず、つまり誰とも会わずに、事前に受信したメールに記された手順通りにことはとんとん拍子にはかどって…、と書きたいところだが、慣れないシステムにかなり辟易して難渋した。二人の(夫婦の)知恵を総動員して、最後にはレンタカー会社の案内所に電話して手順を再確認したりして、つまり駐車場で30分ほどモタモタしてから、私達のレンタカー(日産ノートだ)はようやく発進した。ふぅ〜。でも、レンタル料金が超安いので文句は言わない。
 佐知子にとっては初めての、私にとっては人生3回目の太宰府天満宮を観光参拝してから、今日の宿・英彦山の山腹に位置する「ひこさんホテル和」へ向かう。街角で出会う人は少なく、その殆どはマスクをしていた。

ひこさんホテル和(なごみ) 英彦山の北西の山腹、標高約630mに位置するなかなかしゃれた感じの温泉旅館。別所登山口の無料駐車場までは1キロ足らずの距離にあり、英彦山登山の拠点としては申し分ない。泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉(弱アルカリ性低張性温泉)、循環加温式、殆ど無色透明無味無臭。しゃくなげ荘(休館中)からの引き湯であるらしい。源泉名は「英彦山温泉」。ゆったりできる内湯(石張り)も露天風呂も特に遜色ない。セルフ的というか機械的というか、(余分なことは言わない)対応については嫌な感じはなくて、かえって居心地の良さを感じた。部屋の窓からも「天空のレストラン」からも、雲や霧の隙間から日岳(ひだけ・589m)や犢牛岳(こつといだけ・690m)などの北面の山並みがよく見えていたのが印象的。どなたが活けているのか、随所の生け花がとても素敵だった。登山基地として捉えると、朝食開始が8時からというのはいくらなんでも遅すぎると思う。1泊2食付きで@9,800円は割安に感じた。
  「ひこさんホテル和」のホームページ

 佐知子の歌日記より
幾とせも大楠木は根を張りて太宰府天満宮におわす
湯の宿のあちらこちらに生け花がすがすがしくも飾られており

●第2日目(4月1日・雨) 英彦山登山・表参道コース
 朝からの雨だ。8時からのホテルの朝食後、意を決して出発。数分車を走らせて閑散とした別所駐車場(無料)に着く。ここは標高約630mで、この先の正面登山口より100mほど標高が高い。つまりショートカットの楽々コースを私達は選んだのだ。本来は銅鳥居(かねのとりい)のある正面登山口(参道の入口)から歩き始めるべきで、それが英彦山の正しい登り方だとは思ったのだが、この雨だ。矢張り水は低いほうへ流れる。
* じつは、スロープカーを利用すれば石段の参道を登らずに英彦山神宮奉幣殿までは行くことができますが…。
 9時を少し過ぎた頃、雨カッパに身を包み傘を差して、別所駐車場から歩き始める。暫く舗装道を進むと表参道に突き当たり、ここを左折して石の鳥居を潜り、英彦山名物の長い石階段(の半分弱だが)をひたすら上る。左右の茶店や土産物店はすべて閉じていて、何処も彼処もひっそりとしている。沿道のミツマタの花がちょうどその見頃を迎えていて、私達をやさしく出迎えてくれる。
 奉幣殿(たいほうでん)の広場にある手水舎の軒を借りて雨をしのぎ、視界約40mの霧を見つめながら一休み。それから幾つ目かの鳥居を潜って、杉並木の石段を少し上って下津宮を通り過ぎる。やがて道は石段から木と土の階段状へ変化して、岩ゴツの簡単なクサリ場も出てくる。そして中津宮を過ぎるころから傾斜が緩んでくる。
 狩籠護法(かりこめごぼう)〜稚児落とし〜関銭(せきせん)の跡〜産霊神社(むすびじんじゃ・行者堂)〜朽ちかけた木の鳥居、といった謂れ因縁のある箇所を次々と通り過ぎ…いよいよ超・聖域に入り…中岳山頂1200mに位置する英彦山神宮の御本社(上宮)に着いたのは11時20分頃だった。辺りは相変わらず雨に煙っていて、風が強くなってきた。
 上宮から東寄りに少し進むとプレハブ小屋(中岳休憩所)があり、これには助かった。菓子パンを齧りながら壁に掛かった温度計を見ると摂氏約3度。風が吹き込んできて雨に濡れた身体にはかなりの寒さだ。…もう、この段階で私達は戦意喪失している。ここからすぐ近くの(中岳の南200mに位置する)南岳のピークをあきらめて、そのさらに先の鬼杉見物も端折って 「濡れた足元が滑りやすい…展望も望めない…寒くて植生観察をする気力も出ない…ここまで(上宮を参拝)で充分だ。来た道を引き返そう」 ということになった。くどいようだが、私達の「水=心と気力」は何時も(これだけは仲良く)低いほうへ流れる。而してこの日の英彦山は、大量の雨水が常に私達の足元に流れていたのだ。
 里に咲く満開の桜に癒されながら、別所駐車場に戻ったのは13時45分頃だった。急いで車内へ入りエンジンをかけて、空調の暖房を最高レベルへ引き上げた。
 悪天候で、「豊かなブナの森やシオジの美林」などの英彦山の自然を堪能することができなかったのは、とても残念だった。しかし…、霊山としての英彦山の「気」というかスピリチュアルというか、を充分に感じ取ることはできたと思う。…負け惜しみに聞こえそうだが…。

* 英彦山神宮: 英彦山は古くからの由緒ある修行の場で、主祭神は北岳の天忍穂耳命(アマノオシホミノミコト)、配神は南岳の伊耶那岐命(イザナギノミコト)と中岳の伊耶那美命(イザナミノミコト)であるという。私達は結局、この国を作った母神様・愛ゆえの悲劇の女神ともいわれるイザナミノミコトのみを詣でたことになる。
* 天忍穂耳命(アマノオシホミノミコト) 天照大神(アマテラス)と素戔嗚尊(スサノオ)の誓約(うけい)で生まれた五皇子の長男。…もちろん記紀の世界です。念のため。
* 英彦山について(補足): 山名の由来については、御祭神が天照大神の御子(天忍穂耳命)ということから「日の子の山」→「日子山」、そして英彦山(ひこさん)となった、ということらしい。なお、英彦山は羽黒山(山形県)・熊野大峰山(奈良県)と並び「日本三大修験山」に名を上げ、弥彦山(新潟県)・雪彦山(兵庫県)とともに日本三彦山にも数えられているそうだ。…やっぱり、超スピリチュアルな山なのだ。

 雨の英彦山登山後は、耶馬渓などを観光ドライブしながら東進して、この日は別府温泉に宿をとった。沿道のあちこちでは桜と菜の花が満開で、福岡県も大分県も春爛漫が始まっていた。…明日の由布岳は晴れそうだ。

 佐知子の歌日記より
 英彦山の参道沿いに雨のなかグオッガオッと蛙の輪唱

次項「由布岳」へ続く



この日の英彦山・雨はとうとう降り止まず・・・
クサリがなくても何とかなるクサリ場
クサリ場を登る
上部にはヒノキが多い
大スギの脇を下る
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